2017/11/3 Detroit Pistons vs. Milwaukee Bucks @ Little Caesars Arena (NBA basketball)

明けて11月3日。朝10時くらいに起きると、やはり2匹のネコが部屋にやってきてつきまとってくる。リビングに降りるが、誰もいない。何か食べるものを置いてくれたりしていないかなと思いきや、ダイニングに行くが何もない。コーヒーくらい作れないかなとキッチンに行くが、何が何やらどこに何があるのか、よくわからず。Airbnbってbed & breakfastっていうことじゃないの?って思いながら、オーナーに連絡を取ろうとするが、電話番号を聞いていなかったことに気付く。とりあえずAirbnbのサイトから、「コーヒーか何か朝食に作りたいんだけど」とメールを送るが、当然すぐには返事が来ず(結局このメールに対する返事はなかった)。昨日、非常食のつもりで1ダラーショップ(アメリカの100円ショップ)で買っておいたチョコレートをリビングでESPNを見ながら食う。なんかつらい。何度も言うが、あまりにも去年のAirbnbのホストさんがいい人だったので落差に驚くが、実際はこちらが普通なんだろうとあらためて納得させる。
イメージ 1

この日は、デトロイト市内に戻って、NBAデトロイト・ピストンズのゲームなどを見る予定だ。相変わらず昼のうちに買い物を済ませて、そして途中の街でパネラブレッドを見つけて昼食を取る。パネラブレッド、やっぱりいいわ。一度、部屋に戻って、デトロイトダウンタウンへは車で向かうことに。

今年はデトロイト・ピストンズにとって、まさに新しいシーズンとなった。というのもダウンタウンにリトル・シーザーズ・アリーナという新たなホームアリーナができたからだ。フットボールのフォード・フィールド、野球のコメリカ・パーク、そしてバスケットとアイスホッケーのリトル・シーザーズ・アリーナが全てダウンタウンの徒歩圏内にあるというスポーツの観戦者にとっては理想的な街の環境が生まれたのである。しかし、逆に言うとこれは、ピストンズの3回の優勝を見てきた栄光のホームアリーナだったパレス・オブ・オーバーンヒルズはもうないということである。厳密に言うとまだ取り壊してはいないのだろうが、ピストンズがもうそこでゲームをすることはない。ダウンタウンから車で1時間もかかる場所で、何でこんな不便な場所にあるんだとさんざん思いながらも、自分も3,4回訪れた独特の雰囲気の味のあるアリーナではあった。しかし、低迷するピストンズが変わる新たな要因になるのであればいいことかもしれない。
イメージ 2

むしろ、残念なのはNHLのデトロイト・レッドウィングスのホームであるジョー・ルイス・アリーナも使われなくなったことである(こちらも厳密に言えばモノレールからアリーナの姿は見れたので、まだ取り壊されてはいないようだ)。1979年から4回のスタンレーカップ優勝を見てきた格調の高いアリーナだった。初めて行った時は、アリーナの客席へ入る入口が、深紅の幕をくぐって入る形で、ホッケーのプレイが止まるまで、客を入れないようにするおじいさんの番人のような係員がいて、すごいなと感動したものだった。リトル・シーザーズ・アリーナは、他の地域のアリーナと同じくバスケットとホッケーで併用して行う施設なのだが、ダウンタウンのいい場所にあったジョー・ルイス・アリーナまでも、実際老朽化はしているのだろうが、なくさなくてもいいのになとは思った。

デトロイトダウンタウンには夕方すぎに向かう。一応、会場からはちょっと遠いが、15ドルでネットでパーキングパスが買えたので探すが、住所で見ても、別の駐車場の係員に聞いても、一向にその場所がわからない。独りで車で移動しているので、どこかに車を止めて歩いて探すわけにもいかず、だまされたような気分でグルグル回っていると、5ドルの駐車場があったので、そこに車を止めることにする。もったいないが仕方がない、というか、こっちの方がまだちょっと会場に近かった。やはりデトロイトダウンタウンは何もないから、駐車場も安いのだ。

リトル・シーザーズ・アリーナはフォード・フィールドのある場所から歩いて10分くらいかかる北側にある場所で、元々何があったのまでは、ここまで来たことがなかったからわからない。この日はデトロイト・ピストンズミルウォーキー・バックスとの試合で、成長著しいヤニス・アンテトクンポ率いる若きバックスにピストンズがどう立ち向えるか、初めてのアリーナで見るには申し分ない試合で、チケットは奮発していい席をStubhubで買った。
イメージ 3

新しいアリーナは広くて快適で、グラウンドフロアはすり鉢状に作られていて、入口から入ると階下に降りていって席があるような形になっている(2階席以上へはさすがに上がらないといけないようだが)。クラブエリアには、セクションごとに専用の入口があって、専用の売店もあり、大人数が混雑しないようになっていて、ラクジュアリーなところは充分である(新しいアリーナはそこにばかり力を入れすぎなのであるが)。これまでのアリーナと同様、レジェンドプレーヤーを讃えるコーナーもきちんとあって、売店にはパレス・オーバーンヒルズでのラストゲームの写真や、ジョー・ルイス・アリーナで使われていたガラスなどが売られていたりしていて感慨深かった。
イメージ 4

イメージ 5

ピストンズは新アリーナ効果もあって、今シーズンはスタートから好調で、この日まで5勝3敗だった。一方のバックスは4勝4敗の五分。アンテトクンポは5年目のシーズンとなり無双の活躍をしているが、チームがそれについていけていないと言われている。会場でもらったプログラムには、同じ34番でフォワードのアンテトクンポとピストンズのトバイアス・ハリスが並んで載っていた。今回の席は一階席の上方である。リトル・シーザーズ・アリーナだけにピザ会社、リトル・シーザーズのペパロニピザを買って席につく。試合開始時間となった。プロジェクションマッピングも年を追うごとに進化しているなと思う。選手が入場。今年のピストンズセルティックスからエイブリー・ブラッドリーが加入したが、逆に大きな補強と言えばそれだけ。これでやっていけるのかというチーム状況である。これでファンの期待が集まるのも難しい。その通りというか、お客さんは入っていない。結局、後半になっても空席が目立つさびしい客席。これで勝っていけば、客は増えていくのだろうが、新アリーナでこの感じはあまりにもつらい。
イメージ 6

試合が始まる。序盤からピストンズはなかなかフィールドゴールが決まらない。でも、そんな時に決めるのがトバイアス・ハリスだ。得意の3ポイントを連続で成功させる。この人は、チームの調子は関係なく、決められる時に決める孤高のマイペースぶり。こういう選手はチームには必要だと思うが、でもチームリーダーにはなりえないんだなと思う。一方のバックスのアンテトクンポは、序盤からフルスロットルだ。ドライブにレイアップ、ミドルのジャンプショット、ダンクと誰も止められない無双ぶりで、第1クォーターだけで10点をあげる。バックスは3ポイントの名手であるトニー・スネルにポイントガードのマルコム・ブログドン、そして外から3ポイントをガンガン打つセンターのソン・メイカーの存在が実にこわい。こういう風に書くと、バックスが大量得点でリードしているような印象に感じるかもしれないが、実際はそうではなかった。やはりアンテトクンポがベンチに下がると、バックスの流れが止まるのだ。ピストンズはディフェンスが機能しはじめ、フォワードのアンソニー・トリバー、センターのエリック・モアランドやガードのレジー・ジャクソン、イシュ・スミスが得点を決めて追い上げる。第1クォーター終了時には、終始リードされていたピストンズが28-26と逆転していた。
イメージ 7

イメージ 8

第2クォーターからはピストンズが終始リードする展開に。ピストンズフィールドゴールが次々と決まりだし、ディフェンスが成功し、バックスはシュートが決まらない。アンテトクンポとスネルの得点で何とか追いついている状態。そして、第2クォーター6分半でついにピストンズのエース、センターのアンドレ・ドラモンドがこの日の初得点をダンクで決める。7分にはスネルの3ポイントで38-40と逆転したバックスだが、7分半にピストンズはガードのレジー・ジャクソンがファウルをもらったフリースローを2本決めて40-40の同点、ここから両チーム、点の入らない攻防が2分ほど続く中、均衡を破ったのはエイブリー・ブラッドリーの3ポイントだった。そしてドラモンド、フォワードのスタンリー・ジョンソン、さらにブラッドリーとピストンズの連続得点のランで、51-42とリードを一気に9点に広げる。バックスはブログドンとガードのクリス・ミドルトンが3ポイントで返すが、ピストンズもハリスとブラッドリーが得点して譲らず、59-48とピストンズが11点リードで前半終了という予想外の展開に。
イメージ 9

イメージ 10

後半になってもピストンズの好調は続く。そしてバックスのフィールドゴールなかなか決まらない。スタンリー・ジョンソン、ブラッドリー、ドラモンドらの得点で、開始3分には67-50と最大17点差に。ドラモンドのシュートも決まりだすと、バックスはファウルで止める方向に。これまでならフリースローの苦手なドラモンドは外しまくるのだが、この日もそうだが、彼のフリースローは今シーズンずいぶん改善されている。会場のモニターの演出で、彼がフリースローを打つ時に、目をそむけるような客の表情が写し出されるのが恒例になっているほどだ(もちろんリアルタイムの観客の映像ではなく、使い回しの映像だが)。しかし、7分を過ぎたあたりから、再びアンテトクンポが覚醒。ダンクにジャンプショットにレイアップ、そしてディフェンスではリバウンドにブロックまで、無双の活躍を見せる。第3クォーター10分には、77-70と7点差まで差を縮めたバックス。しかし、ドラモンドをファウルで止めるバックスのディフェンスに対して、ピストンズはアンテトクンポに対し、あえて全力のディフェンスを仕掛けていないように見える(ブラッドリー以外は)。実際にアントテクンポは止められはしないのだが、むしろ余計なファウルを取られて、バスケットカウントを与えないようにしているかのようである。そして、82-72で第3クォーターが終了。
イメージ 11

イメージ 12

第4クォーターに入る。やはりアンテトクンポが下がると、バックスのリズムというか流れが明らかに変わる。バックスは開始3分半までフリースロー2本しか得点できず、ピストンズはイシュ・スミスやガードのラングストン・ギャロウェイなどが得点を決めて、91-73と最大18点差まで広がった。バックスはガードのマシュー・デラベトバとソン・メイカーらの3ポイントで何とかしのぐ形に。そして、ドラモンドはファウルされても、どんどんフリースローを決めていく。この日は何回、客が目をそむける映像を見たことか(彼が本当にフリースローを失敗すると、この映像は流れない)。なんとこの日フリースローだけで14点も決めていたのだ。バックスはアンテトクンポが戻って得点を続け、点差を10点以下に戻すが、及ばず。結局、105-96でピストンズが優勢を続けて勝利を収めるというまさかの結果となった。
イメージ 13

イメージ 14

ピストンズは、アンドレ・ドラモンドが24点(うちフリースローが14点、14/16で確率87.5%である)、14リバウンド、2ブロック。エイブリー・ブラッドリーが23点(うち3ポイント3本成功)、3スティール。トバイアス・ハリスは13点(うち3ポイント3本成功)、イシュ・スミスは10得点。バックスは、アンテトクンポが29点、4ブロック。マルコム・ブログドンが21点(うち3ポイント3本成功)、10アシスト。クリス・ミドルトンが16点、7アシスト。トニー・スネルが12点(うち3ポイント2本成功)、センターのジョン・ヘンソンが13リバウンドといったところだった。
イメージ 15

フィールドゴールピストンズ47.3%、バックス46.9%。3ポイントはピストンズ30.7%、バックス40.0%とそれほどの差は見られなかったが、フリースローでは、ピストンズ28本(うち23本成功)、バックス9本(うち8本成功)と大きな差がついた。そういう意味でピストンズのバックス、アンテトクンポに対する戦術が成功したとも言えるだろう。

ピストンズは2017年末まで、20勝15敗と一時連敗を喫したこともあったが、好調を維持。このままいけば、いい順位でのプレイオフも見えてくる。そして、今シーズンはエイブリー・ブラッドリーの影響がいかに大きいかがわかる。3ポイントにディフェンスと、その活躍は数字に出ない部分でもあまりにも大きい。しかし、生え抜きの選手や地元出身の選手が少ないのはさびしいことだ。3日のバックス戦では出場しなかったが、ルーキーのガード、ルーク・ケナードは見たかったなと思った。3ポイントの得意な彼だが、個性を発揮してチームに定着できる選手となるだろうか?