2020/01/07 National Mall Segway Tour @ Washington DC

明けて、1月7日。この日はもう一度メリーランド大学に行く予定を入れていたので、まだワシントンDCにいる。メリーランド大学のバスケットボールチームがこの日はオハイオ州立大学を迎えての試合がある。とはいえ、試合は平日でありナイトゲームであるので、それまでの時間を何をして過ごすかというのがあった。
 
ワシントンDCはアメリカの首都であり、都会には違いないのだが、ニューヨークに比べれば、イベントの数ははるかに少ない。これまでなら、バスケの試合を観て、さらにその後、ライブハウスに出かけるなんてことをやっていたのであるがワシントンDCにそんなにたくさんライブハウスがあるわけではなく、特に心ひかれるライブもなかったので、静かにしているしかなかったのである。
 
ましてや平日、火曜の昼間に何をするかとなると考えるのであった。エクスペディアなどの現地ツアー、Airb&bの体験ツアーも調べたが、ひかれるものはなかった。特に遊ぶ場所などない街で、あると言えば博物館である。ワシントンDCには、この前にも記したが、スミソニアン博物館などの博物館や美術館が固まったナショナルモールという地区があり、ほぼすべての博物館が入場無料になっている。(その中でも入場料をとる博物館が、先日の記事で記した、閉館してしまっていたニュージアムであった)その博物館などの多くにはツアーなどがあって、申し込めば参加できるようになっているのだが、自分がそこに参加しても、アメリカに歴史についてはほんとに表面的な知識しかないので、コンダクターの方の英語の説明を完璧には理解できないだろうし、他の参加者がいると、自分が迷惑をかけてしまうかなと思った。
 
そこで私が選んだのは、セグウェイツアーであった。それこそスミソニアン博物館だけでも、本気で見学しようと思えば、1日あっても足らない。そんな博物館や美術館のどれを選んだところで、平日の昼間、数時間で済むツアーで満足できるかというと消化不良になるだろう。ナショナルモールというのは、それだけで巨大なテーマパークみたいなものであり、とても歩いて全部回れるようなものではない。セグウェイツアーというのは、もちろんスクーターみたいな乗り物のセグウェイのことで、そのような博物館間の移動をセグウェイで済ませることで、時間を短縮し、さらに街の名所や記念碑も回り、ナショナルモール全体を体感しようというものであり、DCの街を地理的に理解し、アメリカの歴史も簡単に学べるものとして、自分には最適ではないかと思ったのだ。

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それに私はまだセグウェイに乗ったことがなかったので、経験としてもいいものになるのではないかと考えた。約3時間のツアーで、ガイドさんのレクチャーもあって、額面は75ドルだったから(少しのディスカウントはきいた)、ちょっと高いかとは思ったが、まあいいかとエクスペディアの現地ツアーで申し込んだ。このセグウェイツアーは、アメリカ各地や世界の観光地でもあるもので、中でもDCは歩いて回るのは大変だし、車で回るのも面倒くさいナショナルモールでは便利なものと宣伝されていた。
 
一応、午前中の回で申し込んだので、昼過ぎには終わる。それから用事を済ませて、早めにメリーランド大学に行って、キャンパスを探索できればいいかなと思っていた。セグウェイツアーの事務所は、ジョージ・ワシントン大学のすぐ近くにあった。まさかここにもう一度来るとは感じ。着いたのは集合時間のほぼギリギリだった。待合室に通されたが、他の客は来ていないようだった。インストラクターはマットという見るからに20代の若者で、彼が自己紹介をしてくれた後で、この回の参加者が、自分だけだと知らされた。マジかよ? マンツーマンってことなの?
てっきりHPなどを見ても4~5人の参加者はいるものと思っていたが、そもそも自分1人しかいなくても普通に開催されるというのが驚きだった。それと同時に、自分1人しかいないとなると、もし自分のセグウェイの扱いが下手クソだと迷惑をかけるなというプレッシャーと、他に参加者がいれば彼らに話題が振られることもあるだろうが、自分1人だと会話が面倒くさいなと思ったのだった。
 
すぐに事務所の前でセグウェイの扱い方をレクチャーされるが、操作は死ぬほど簡単だった。これより前に電動スクーターに乗っていたこともあって(今回セグウェイツアーを申し込んだので、練習のためにも電動スクーターに乗っておきたいという考えがあった)、それ以上に快適であった。ましてや体重移動で、いかようにも動いてくれるのである。

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10分くらいでそのまま公道に出て出発。交通量の多い道は歩道しか通らないのだが、セグウェイツアーは、警察とも協力関係にあり完全に認知されているので、どこも自由に通行することができるようだ。インストラクターのマットは、話を聞くとジョージ・ワシントン大学を1年前に卒業したばかりということだったので、渡邊雄太を知っているかと聞いてみたら、知らないと返事。そんなことある? 別にバスケットに関心のない人間なら、同じ大学に通う奴でも知らないものなのかと納得はしかけたが、そんなものかなと。彼、4年も通ってたんだよ、それでNBAに行ったっていうのに。

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ジョージ・ワシントン大学のキャンパスを通りながら、ここは何学部の建物とか教えてもらい、ワシントンDCの有名なホテルやレストランのエピソードを聞かされた後で、ホワイトハウス前に向かう。他の観光客がたくさん来ている中にセグウェイで乗り付けるのは、爽快な気分でもあった。トランプ大統領はここにいないのに、こんなに警備の人間がいるという話になり、ラファイエット広場のラファイエット侯爵がどういう人物であるかを聞かされる。アメリカの歴史の話は自分的にはこれくらいのでいいのよね。その当時は、ここが後に大統領選挙の混乱でエライことになるなんて、思いもしなかったけど。

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そこから博物館や美術館が立ち並ぶ中を移動し、例えばここはアフリカ系アメリカ人の歴史文化博物館であり、建物のデザインは誰が手掛けてとか、建物の中には入らないまでも基本的な知識を教えてくれる。すでにほとんど忘れてしまっているのが情けないけど。そして、向かったのはワシントンDCのシンボルでもあるオベリスクと呼ばれるワシントン記念塔。1884年に完成した建物で、頭頂部には展望台があって、エレベーターで有料でそこに登れるという。興味があるなら登ってきていいよ、僕はここで待ってるからとマットは言ったが、他にも仲間の客がいるなら自分も一緒に登っただろうが、自分1人だし、彼を待たせるのも悪いし、金払って上るほどの意味があるかも考えて、だったらもっとセグウェイに乗っていたいなと思い、パスすることにした。

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そんなこんなで、なぜセグウェイツアーが人気がなく、自分がマンツーマンのレクチャーを受けるようになったのかがわかった。ここに来ると、電動スクーターで移動している観光客がたくさんいて、ワシントンDCには電動スクーターがとにかくあふれており、ここではそれで十分なのであり、それだけ安価で普及しているのだ。わざわざ高い金を出して、セグウェイに乗る意味はない。ただ、塔の近くの広場は電動スクーターで乗り入れてはいけないことになっているのか、マットはスクーターで来た観光客を虫けらを扱うように罵って蹴散らしているかのようであった。まあ実際、電動スクーターが軽自動車としたら、セグウェイSUVみたいなもので、強度もスピードだって違う。そして、こちらは正式に観光ルートとして認定された乗り物なんだという自負があるというところなのだが、ちょっと悲しくもなってきた。このままセグウェイツアーはすたれてしまうんだろうなと。
 
続いて向かったのは、ポトマック川と湖に囲まれた島の中にある公園、パルテノン神殿のようなジェファーソン記念堂。建物は修復中であったが、中には入ることができ、アメリカ独立宣言を起草したジェファーソンのバカでかい銅像があり、周りの壁には独立宣言の文章などが刻まれている。湖ごしにオベリスクが見える景色は絶景で、ほんとに無駄にデカくて広い、ワシントンDCの街を感じることができるのだが、それだけのものでもある。

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さらにセグウェイで駆け抜けて、フランクリン・ルーズベルト記念公園へ。ここは石の塀で囲まれた散策路になっており、フランクリン・ルーズベルトの大統領在任中の前後に起こった出来事や彼の発言が、彫刻や石に刻まれており、彼の功績をたどることができるようになっているというものだ。何だろうな、ここまで来ると、アメリカという国はたかだか300年も経っていない歴史の浅い国であり、その歴史を刻む建造物や遺品が全てにあるわけではなく、記憶を残すものとして、モニュメントや像を作って後世に託すしか方法がないんだなと思えてくる。愛犬の像まで作られているのを見ると、これを作るのにどれだけ金をかけているんだろうと思えてくる。ここには滝とかがあって水がある風景がウリのはずなのだが、水回り部分は故障して涸れていた。ジェファーソン記念堂やルーズベルト公園には売店もあり、トイレ休憩にもなるというものだ。

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続いて訪れたのは、マーティン・ルーサー・キングジュニアの記念碑公園。ここも構造はそれほど変わらず、バカでかいキング牧師の石像があって、壁などには彼の言葉が刻まれている。これも歴史の短いアメリカが取る最良の歴史を伝える方法として、石などでモニュメントを残すしかないんだなという戦略しか見えてこない。キング牧師の場合は、映像も肉声も残されているし、生家なども保存はされているのだろうが、ワシントンDCは、彼が指揮した大行進をした目的地ではあるが、キング牧師自身に特別ゆかりがあるわけではないので、こうやって石像とかを作るしかないということだろう。

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そして、セグウェイツアーの最終目的地である、第二次大戦の記念碑からリンカーン記念堂へ着いた。リンカーン記念堂までには長い長方形のプールというか池があって、そこは長-い直線の道なので、セグウェイを最高に飛ばせばどれくらいスピードが出るのかを試させてもらえた。

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リンカーン記念堂の中には、さらにバカでかい教科書などでも出てくる石像があって、このリンカーン像の視点からのオベリスクが見える広場の光景は圧巻である。その前にマーティン・ルーサー・キングジュニアの記念碑を見ていたこともあって、この風景は1963年の8月28日の公民権運動のワシントン大行進で、20万人以上の人々で埋め尽くされた場所でもあり、そういう意味で感慨深いものがあった。

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リンカーン記念堂の脇には、朝鮮戦争ベトナム戦争の慰霊碑もあり、亡くなった兵士全員の名前が刻まれている石塀もあった。まさにアメリカの光と影の歴史をすべて感じられる場所がワシントンDCでもあるのだ。途中、雨が降ってきたりもしたが、濡れるほど強まることはなく、そのままセグウェイを駆って、事務所に戻る。割と飽きずに楽しめたツアーであった。その後、帰国してからセグウェイは生産終了になったというニュースが出たが、このような観光地では結構有益なものであり、なくなってしまうのは惜しいものである。あらためてセグウェイツアーももうなくなってしまうのかな?という思いが強くなった。

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ホテルへ帰る途中、また別のホール・フーズ・マーケットのイートインでお昼を食べる。寒かったので、スープを飲んで温まる。夕方になったが、再びメリーランド大学へ向かう。

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