2020/01/08 Motion City Soundtrack : Don't Call It A Comeback 2020 @ Webster Hall, NYC

明けて1月8日。この日はニューヨークへ移動だ。ワシントンDCでは、スポーツ観戦ばかりで、音楽のライブを見ることがなかったので(ライブハウスの数も実際少ない)、多分ライブに飢えることになるだろうと思って、旅の終盤はニューヨークでの予定を入れた。
 
早朝の飛行機にはしなかったので、時間の余裕がある。ニューヨークへは飛行機で1時間半の距離だから、車で行こうと思えば行けるのだが、車なら3時間4時間コース、しかもこの辺りの移動は、州境をまたいで、有料道路が多く金が意外にかかる、そしてマンハッタンに入るとなると渋滞だから、飛行機で移動できるなら、それが最高の選択だった。
 
ついに5日間いたワシントンDCを離れる。やはりレンタカーを返す時になると、旅情がこみあげてくる。飛行機は、国際線と一緒にブッキングしたので、ユナイテッド。追加料金もほぼかかっていない。ニューヨークは、ラガーディア空港に着く。ラガーディアに行くことは意外と多い(ちなみの帰りの国際便はJFK空港発である)。ニューヨークに着いたのは3年ぶりということになるだろうか。
 
ニューヨークに着く時には、なぜかニューヨークの曲が聴きたくなる。私が好きなのは、Jay-Z & Alicia Keysの”Empire State of Mind”だが、この前の旅でフリートウッド・マックのライブに行ったこともあって、まだマックバブルは続いていて、ニューヨークの曲と言えば、意外と多くの人に忘れられている”Empire State”なのである(1982年のアルバム『ミラージュ』収録曲、リンジー・バッキンガム作曲)。ほんとにこういうクセのある曲が好きだ。すでにこんな話題をするほど、自分の頭は音楽モードになっている。

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今回は基本、マンハッタンのみの移動のつもりなので、ニューヨークではレンタカーを借りないことにした。そうなると考え方も楽になる。街中の移動は地下鉄で十分だし、空港からの移動は、乗り合いのワゴンバスを利用することにした。昔はブルーヴァンと呼ばれたシャトルが多かったように思うが、今はもうないようだ。今回利用したのはエアーリンク・シャトルというもの。エクスペディアで出発前から申し込めたので、楽だった。空港のカウンターで電話をしないといけないのが面倒なのだが、そんな大変なものではなかった。同じ方面のホテルの4~5人が一緒に乗り込んで、順番にホテルを回って降りていく仕組み。それで約2000円だから安い、ただし所要時間は約2時間。その順番はドライバー次第だ。幸いにも一番最後ではなかった。
 
というのも、今回のこの時期、マンハッタンのホテルが意外と安かったからだ。そう。普通にマンハッタンに泊まれるならば、レンタカーなんていらない。マンハッタンのホテルだけは、旅行サイトは数あれど、それぞれがコネの効くホテルがあったりするので、時間があるならこまめに調べるべきである。トリバゴに全てをゆだねるのは間違っている。この時期はどこも安かった。無理して、ニュージャージーやブルックリンに泊まる必要はなかった。この前調べた穴場のロング・アイランド・シティを探す必要もなかった。マジソン・スクエア・ガーデンに行くのに直結しているペンシルベニアホテルだって安かったのだが、ちょうどニューヨーク・ニックスNBA)はロードに出ていて、ニューヨーク・レンジャーズNHL)は1試合ホームゲームがあったのだが、この観戦はあきらめた。
 
そこで選んだのが、DCでも泊ったPODというホテルチェーンのタイムズスクエアあるホテルだった。こういうはしごもおもしろいなと思った(割引がきくわけではない)。泊った部屋は、2段ベッドのある部屋、マンハッタンのホテルにしては狭苦しさは感じない。何しろ古すぎるホテルはたくさんあるマンハッタンで、ここは実は新しくて清潔だった。ただ、大仰なエントランスからスケルトンのエレベーターに乗って2Fのフロントに入るのだが、一旦出かけて夜に戻った時に、そのエレベーターが2機とも故障して待たされ、従業員に案内されて業務用のエレベーターで上がることになったのは勘弁だった。地下鉄の駅も近くて、歩いてすぐの場所に、おいしい総菜がテイクアウトできるデリもあったので、良かったなと思った。

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話がずれたが、この日行くのはライブである。私が選んだのは、モーション・シティ・サウンドトラックというバンドの再結成ライブであった。モーション・シティ・サウンドトラックは、ミネソタ出身のロックバンドだが、私が初めて知ったのは、2007年のサンフランシスコにいた時だった。当時、ダウンタウンにあったヴァージン・メガ・ストアで、外の壁のショーケースに出たばかりの3枚目のアルバム『Even If It Kills Me』のピンクとブルーのアルバムジャケットと同じディスプレイが形作られていて、なんかカッコイイなと思ったのだ。それこそ最初は「モーション・シテイ」という映画のサウンドトラックかなくらいに思っていた。そのまま店に入って試聴機でアルバムを聴いて、バンドだということを知り、一聴してこれは間違いないと思って、そのまま買って帰った。 

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音楽はそれこそウィーザーにも通ずるパワーポップというべきジャンルであり、メンバーのルックスのさえなさもウィーザーとの共通点と言ってもいいだろうが、彼らの曲の特徴は全体に響いているムーグ・シンセサイザーであり、これが実に心地いいもので、ライブに行くと、ずっと跳ね回っていることになる楽しいものにちがいないと確信できた。歌詞は抑圧された人間の悩みや叫びだったりするのが多く、ウィーザーと似ているところでもあるのだが、彼らほど変態的な歌詞があるわけではなく、こちらはさわやかである。

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もちろんサンフランシスコにいる間には彼らのライブを観る機会はなく、その後、ファーストアルバム『I Am The Movie』セカンド『Commit This To Memory』も後から追いかけて大ファンとなったのだが、彼らの来日公演を始めて観れたのは、4枚目の『My Dinosaur LIfe』の時だったと思う。フェスでも見たかもしれないが、その時の記憶はない。そして、何より彼らが無期限休止を発表した2016年の最後の来日公演もクラブ・クアトロで観たのが鮮明に記憶に残っている。
 
それから3年以上経って、再始動となる復活ライブが行われるのである。そもそも休止になったのは、バンド間の倦怠感などもあったのだろうが、ボーカル/ギターのジャスティン・ピエールに娘が生まれて、プライベートを優先させるみたいな側面があったので、復活はいずれあるのかなという含みは感じられたものであった。ただ、休止前の2016年は来日公演も行われるほど、日本のプロモーターはバックアップしていたにもかかわらず、今回の再始動ライブは、日本ではほとんど話題にもならず、来日なんてありえない感じになっていたのが、とにかく残念だった(活動休止前の来日公演を主催していたスマッシュは、今回、完全無視であった)。だからこそ、日本に来ないなら、アメリカに行って観てやると思ったのである。
 
ちょうどそのモーション・シティ・サウンドトラックの再始動ツアーのニューヨーク公演にタイミングを合わせて、チケットを購入していたのだ。会場はウェブスター・ホール。ニューヨークでライブに行こうと探すと、必ず目に止まる老舗のライブハウスであるのだが、実は私はこれまでなぜか一度も行ったことがなかった。
 
ウェブスター・ホールは調べてみると、1886年に建設されたとんでもない古い建物である。何度か火事に遭っており、改装もされているのだが、ニューヨーク市文化遺産的な場所になっているようだ。古くは舞踏会や集会場であったのだが、おもしろいのはレコーディング・スタジオが併設されていた時期があり、レイ・チャールズやエルビス・プレスリーやフランク・シナトラも使ったらしい。ライブハウスになってからは、今も活躍するほとんどのアーティストはニューヨーク公演ではここを使っているというとんでもない場所だ。日本で言えば日比谷公会堂みたいな場所になるのか、でも日比谷公会堂は今もしょっちゅうライブで使われるわけではないし、そもそも日比谷公会堂の方が建物としては新しいのだが。
 
ホテルからウェブスター・ホールまでは地下鉄で約20分。でも最寄りの駅からは少し歩かないといけないので、それなりの防寒の格好をしていないといけなかった。車で行ければ、駐車場に止めて、薄着で走って会場に入ることもできるのだが、そういうわけにはいかない。ライブの開始は20時となっていたが、20時には始まらないだろうという前提で、一応19時過ぎに出る。会場のある11ストリート界隈は、ダウンタウンの下町である。そんなに高層ビルとかもないので、夜になると店や会社もやっていないので、結構辺りは暗い。ウェブスター・ホールのネオンは目立ってすぐにわかった。でも実際にここに車で来たら、近くに駐車場もなかったので、結構苦労しただろうなと思った。

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入ってみると、ほんとに古い建物だった。それこそ昔、舞踏会をやっていたんだなと思うような趣のある歴史ある建築。同じマンハッタンにあるライブハウス、ボワリー・ボールルームと似た感じだった。フロアには客はぎっしりとは埋まっておらず、まだ当分始まらないような様子だった。防寒着のままだったのですぐに暑くなり、これをなんとかしたいとクロークに預けることに。しかし、考えることは皆同じで、クロークに預ける列がとにかく長く、階段を上がって3階まで続いていた。いつまで待つんだろうと思いながら、待ってる客も慌てるそぶりもないので、まだしばらく始まるわけもない、こんなもんなんだろうと自分を納得させる。日本のライブハウスみたいにコインロッカーがあればいいのだが、ここにあるとずいぶん不釣り合いだなと思いつつ。せめて整理券発行するとかできないのかなと思いながら、1時間以上は待っていたと思う。

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ようやくクロークに預け終わって、フロアに戻ると、客は明らかに詰まっていた。そろそろ始まりそうかなという感じがしたので、そのままここで待つことに。結局、前座のバンドの演奏はなかったように思う。ここは3階建ての結構大きい建物で、クラブとして使う時はそれぞれのフロアで別の音が鳴っていたりするらしく、音響のもれは結構少ないようであり、待っている間にバンドの演奏らしき音は聞こえなかったように思う。今回のチケットはチケット交換サイトのStubHubで買った。確か80ドルちょっとくらいで、原価はもう少し安いのだろうが、このモーション・シティ・サウンドトラックのツアーは6日ボストン、7日ハンティントン(ニューヨーク州)で、10日、11日とニュージャージーに行ってしまうので、マンハッタンの公演はこの8日だけなのである。もちろんソールドアウトにはなっていたし、値段は決して高くないだろう。 

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ライブハウスにはフリーのWI-FIもないので、時間を持て余すかと思ったが、kindleで買っていた本は開けたので、読書して待つことに。まわりは白人客ばかりなのは当然で、アジア系すらほぼ見かけなかったのだが、話をそばだてて聞いていると、大学生みたいな若い奴らが多いんだ。しかも女の子の多さにもビックリ。日本でのライブのようにもっさい男ばっかりとは違うなと。BGMが消えて、照明が暗くなり、メンバーが登場したのは、21時40分くらいだった。妥当な時間であり、むしろ良心的な時間に始まったのではないか。まあ、もうここからは周りと一緒にジャンプしまくっていたので、記憶を戻すのに大変だ。

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1曲目は”Attractive Today”。2枚目のアルバム『Commit This To Memory』の①曲目である。ライブではおなじみの曲ではあるが、最初にこの曲を持ってくることは、まあ彼らの再始動という意味では最適なものであり、会場は上がる上がる。2曲目は ”Everything Is Alright”。 2枚目のアルバム『Commit This To Memory』の②曲目、リアルに次の曲である。おそらく通常ならば、ライブの後半でやっていた最高に盛り上がる曲をここで持ってきた。もうイントロからぶち上って、ここからはほとんど覚えていない。全てはオールライト、これまであったことなんて大したことない、このために自分は生きてきたんだと思わせてくれる曲、周りからも合唱が響いた。

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ここからは記憶をたどっていくことになるが、3曲目は”Broken Heart”。3枚目のアルバム『Even If It Kills Me』の⑧曲目だが、シングルカットされたので、ライブではよく演奏される曲。4曲目は”Disappear”。4枚目のアルバム『My Dinosaur Life』の④曲目だが、これもシングル曲であった。シングル曲はとりあえずやっていくのかと思ったが…。5曲目は”It Had to Be You”。 これも3枚目のアルバム『Even If It Kills Me』の③曲目で、大好きな歌いやすい曲が来た。思えば、この曲もシングルカットされていたのね。モーション・シティ・サウンドトラックは、シングル曲といっても特別ヒットしたわけでもないので、ミュージック・ビデオが作られた曲という印象が自分の中ではあるだけだ。

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すると、6曲目は”When "You're" Around”。また2枚目のアルバム『Commit This To Memory』に戻った(③曲目)。7曲目は”Her Words Destroyed My Planet”。また4枚目のアルバム『My Dinosaur Life』の曲だ(③曲目)。そうそう『My Dinosaur Life』ならやっぱりこの曲でしょ。思えば、この曲もビデオを作ってたシングルだなと。確か一番ビデオは凝っていて、ジャスティンはダンスも踊ってたなと。8曲目は”A Lifeless Ordinary (Need a Little Help) ”。 また『My Dinosaur Life』の曲だ(②曲目)。この曲もシングルである。

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 A Lifeless Ordinaryというと、ダニー・ボイルの映画『普通じゃない』であり、ASHが担当したその主題歌を思い出すが、ジャスティンはタイトルだけ映画からインスパイアされたもので、映画とは関係のないものだと言っているが、私はこのタイトルの曲は、本家のASHよりこちらの方がはるかに好きだ。あらためて4枚目のアルバム『My Dinosaur Life』も、これはこれでいいなと思う。私的には、シンセがほとんど聴こえなくなったアルバムであり、あまり好きではなかったのだが。モーション・シティ・サウンドトラックが、唯一メジャーのコロムビアから出したアルバムであり、彼らの絶頂期であったわけだし、ビデオにも金がかけられて、決して売れなかったアルバムでもないが、結局コロムビアとは関係がこじれてしまい、ここから彼らのキャリアは大きく変わったなと、バンドの過去を想起させられてしまった。
 
9曲目は”Last Night”。3枚目のアルバム 『Even If It Kills Me』に戻った(④曲目)。このアルバムでは最も叙情的な曲かもしれない。今回再始動ということなので、キャリアの曲をまんべんなく振り返るのかと思ったら、ずいぶん時期が偏っている気がするなと思っていたら…。

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10曲目に”My Favorite Accident”。ここでついにファーストアルバムの『I Am The Movie』の曲(⑤曲目)が来た。この曲もシングルだ。私はやっぱりこのようにシンセが暴れまわる曲が大好きなんだと納得する。11曲目は”Make Out Kids”。またも2枚目『Commit This To Memory』である(⑥曲目)。続いて12曲目も、”Time Turned Fragile”で2枚目からの曲(⑦曲目)。なんだろう、やっぱり私が高揚するのは、初期の曲なんだよなと思う。

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13曲目は”Point of Extinction”。また3枚目の『Even If It Kills Me』である(⑪曲目)。この曲も嫌いじゃないけど、そんなにライブではやってないよなという印象。なんか意味があるのかなと思っていたら…、14曲目は”Modern Chemistry”。1枚目の『I Am The Movie』である(⑨曲目)。ここでまたファーストなのかよとかき乱される感じを味わっていると…

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15曲目は”This Is for Real”である。 3枚目の『Even If It Kills Me』の象徴的な曲(②曲目)。この曲があったからこそ、モーション・シティ・サウンドトラックを聴きはじめたと言っていい曲である。この曲が流れる前までは、もう体の節々が痛くて、ヘトヘトであったが、もうそんなことは関係なく、はしゃぎまくる。どうせなら 『Even If It Kills Me』の①曲目の”Fell in Love Without You”も聴きたかった。イントロから何から一番盛り上がる曲のはずなのに、残念ながら私はこの曲をライブでは聴いたことがない。

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16曲目は”Even If It Kills Me”。 3枚目『Even If It Kills Me』のタイトルトラックである(⑬曲目)。いや、何だろう、楽しかった時も、もう終わりか~という思いがこみあげてくる。17曲目は”Hold Me Down”。2枚目の『Commit This To Memory』のラストトラック(⑫曲目)。シングルではあるが、2枚目で一番しんみりする曲を演って、メンバーはステージからひけた。

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会場は盛り上がり続ける。何せ、ほぼ4年ぶりのライブであるから仕方ないだろう。こんなに熱心なファンがいることに驚きであった。しかも皆私よりははるかに若い連中である。アメリカの文化の底の深さに感嘆する。拍手の鳴りやまぬ中、メンバーは意外と早く再登場した。アンコールではあるが、果たしてどれだけ演るのだろうか? 
 
1曲目(18曲目)は”Worker Bee”。最初のギターの音で歓声が上がった。まさかの4枚目『My Dinosaur Life』(①曲目)から来た。後からネットを見ると、他の会場では意外にこの曲は演っていなくて、ラッキーな体験だったことに気づいた。続いて2曲目(19曲目)は、”L.G. FUAD”。2枚目『Commit This To Memory』の⑧曲目で、シングルにもなったが、ライブでは定番の曲。 ”L.G. FUADって何やねんと思って、調べた記憶がある。"Let's Get Fucked Up and Die"のことである。至福の時間がこのまま続くかと思ったら、3曲目(20曲目)の冒頭のボーカルが聞こえた時に悲鳴があがる。”The Future Freaks Me Out”、ファースト『I Am The Movie』の③曲目であるが、この曲はライブの最後に演る曲として有名だからだ。

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そして、この曲が終わって、メンバーは集まり観客に挨拶をして去った。やはり、これで最後なのか。会場はまだ拍手は鳴りやまないが、ライブは終了。全20曲の復活ライブだった。キャリアを総括するライブなんだろうと思ったが、5枚目のアルバム『GO』や、6枚目の『Panic Stations』からの曲は1曲もなかった。メンバーにとっても振り返りたくない過去なのだろうか。それでも、さすがにツアー後半からは、”True Romance”(『GO』の②曲目、シングル曲)は演りはじめたようだが。
 
ファーストの『I Am The Movie』からはわずか3曲というのも意外だった。
”Cambridge”(①曲目)も”Capital H”(⑩曲目)も”Red Dress”(⑪曲目)もナシだった。ましてや”Back To The Beat”(アルバムデビュー前のシングル)なんて、あったのかみたいな感じである。ちなみに今回のツアーのタイトルは『Don't Call It A Comeback 2020(これをカムバックとしないでくれ)』であったのだが、これは彼らのファーストアルバム 『I Am The Movie』の⑦曲目に、同じタイトルの曲、 ”Don't Call It a Comeback ”があるからこそ、こう名付けたのだろうが、結局、この曲だって演らなかった(調べてみると、他のどこの会場でもである)。一体どういうことなの?って感じである。壮大なジョークとでも言いたいのだろうか、でも、そんな偏屈なバンドでもないはずなんだけどね。

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さすがに汗びっしょりになったので、物販で売っていたロンTを買って、トイレで着替えた。多分、クロークでの引き取りにも待たされたが、もうよくおぼえていないが、ほんとにコレ何とかならないのと思った。ニューヨークの地下鉄はいつまでもやっているので、そのまま乗ってホテルに帰る。深夜1時くらいだったと思う。日本もこんな風にならんかね。当時はコロナではなかったから状況も違うが、まさか終電が繰り上がってしまうことになるとはね。ちなみに私は翌日もこのままニューヨークに滞在なのである。

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モーション・シティ・サウンドトラックは、この再始動ツアーが終わった後、2020年7月にシングル”Crooked Ways”を出しただけで、他の動きはまだない。もし、コロナがなければ、別の動きがあったのかわからないが、この時感じた、まだ終わっていないという彼らの思いが新たに示されることを切に願っている。