2017/11/2 University of Michigan Wolverines vs. Ferris State Bulldogs @ Yost Ice Arena (NCAA hockey)

明けて11月2日。2日、3日とミシガン州にいる予定にしたが、デトロイトにはいないので、ずっとダブルツリーにいるのは高いし、もったいないので、2泊するということで、昨年利用したAirbnbを今年も使ってみることにした。この日はミシガン大学のあるアナーバーに行くつもりでいたのと、4日にフィラデルフィアに行く朝早くの便に乗らなければならないことを考えて、空港に近いところを探し、イプシランティという街の部屋で貸してくれるところを選んだ。1泊約5000円だったので、2泊で1万円、それでもダブルツリー1泊分よりは安いからお得ではある。

午前中にダブルツリーをチェックアウトし、アナーバー方面へ向かう。この日はミシガン大学でアイスホッケーの試合を見ることにした。平日なので、ゲームの開始は夜7時。毎年相変わらずだが、それまでの時間で、買い物を済ませる。デトロイト郊外は基本何でも揃うので、住むにしても便利な所だ。この日は雨が降ったりやんだりというぐずついた天気。カリフォルニアじゃないからこんなもんなのだが、毎年ドライブしているとどこかで必ず雨が降るなと思う。トイザらスで今年発売のゲームソフトを買った後で、いい店を見つけた。

パネラブレッドという店だ。基本、パン屋さんではあるのだが、レストランと言ってもいいくらい食事やサラダが充実していて、店内で食べることもできる。パンは、フランスパンからデニッシュまで数多くの種類から選ぶことができ、そのまま空いている席について、ページャーというベルを渡されて、できあがりを待つだけだ。もちろん持ち帰りもできる。店によっては、店内の端末でも注文できるし、携帯のアプリで注文することもできる。レストランではないから、席についてもチップもいらない。これが、ファストカジュアルというスタイルらしい。すでに全米で数百店もある新進気鋭の店らしい。中でも自分がおいしいと思ったのがスープで、本日のスープほか何種類もあって、量も選ぶことができる。しかもパン付きを頼めば、それだけでもう1食分十分の量になる。これまでは、ホールフーズマーケットという店を探して、今日のスープを買っていたのだが、ホールフーズマーケットは中で食べることができないので、いつも車に戻って食べていたのだが、スープのグレードはちょっと落ちるけれども、パネラブレッドがあれば、自分的にはもう十分なのであった。
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夕方になったので、宿泊を予約していた部屋に向かう。イプシランティという街は、デトロイトとアナーバーのほぼ中間にあって、空港までは15分、アナーバーへも30分もかからない便利なところだ。イプシランティという街はイースタンミシガン大学がある街で、イースタン・ミシガン大のアスレティックチームはイーグルスと言ってチームカラーも緑である。今回の旅では、NFLフィラデルフィア・イーグルスのゲームも観るつもりでいたので、イースタン・ミシガン大イーグルスのグッズを身につけて行ったらおもしろいかなとも思ったが、やめた。この日はイースタン・ミシガン大のフットボールのゲームもあったのだが(対戦相手はボール州立大)、チケットも安くて手軽に買える感じだったが、雨がやまなかったら面倒くさそうなので見送った。ミシガン州には、ミシガン大、ミシガン州立大以外に、このイースタン・ミシガン大やセントラル・ミシガン大、ウエスタン・ミシガン大などがあって、それぞれにフットボールチームがあって、プロ選手も輩出していたりするから、フットボールをやる人間にとっては恵まれた環境だ(近隣の州まで含むとさらに選択肢は増える)。ミシガン大やミシガン州立大に行けなくとも(技術や学業などの面で)、受け入れられる土壌は色々ある。中でもイースタン・ミシガン大は、デトロイト・ライオンズのファンにとっては有名なQB、チャーリー・バッチの出身校だが、逆に言うと彼くらいしか有名な選手がいないところで、正直ここまで手を広げるとキリがないのでやめた。

予想はしていたが、イプシランティは結構な田舎で、しかも借りる部屋は、フリーウェイ沿いでイプシランティのダウンタウンとは全然離れたところにあった。湖が近くにあって、景色がすばらしいというようなことを書かれていたが、車で運転している分にはそんなことはわからなく、今思えば近くまで行って湖を見に行けばよかったかなとは思う。借りる部屋は、いかにも最近作られたアメリカの郊外によくある一軒家が固まって作られた住宅地だった。実は一軒家というよりは2階建ての住宅で、10軒くらいが集まった長屋みたいな建物で、目指す場所はそこの2階にあった。ホストは、自分と同世代くらいの白人女性で、小学生くらいの息子とネコ3匹をいきなり紹介される。部屋の中はとてもキレイで、カーペットも鮮やかな白で、ここを靴で踏んでいいの?と思うほど。自分の部屋は、さらにその上にある階の小さな部屋で、借りる時の条件に、ネコが気にならない人ということがあったのだが、3匹のネコのうち老猫の1匹を除いた2匹は常に自分につきまとって動き、部屋にも平気で入ってきて、ベッドにも上がってくる。ここまで人に慣れているネコがいるんだと思った。そう言えば、自分は猫アレルギーみたいなものがあったことを思い出し、部屋に落ち着くまで、しばらくくしゃみをし続けていた。
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ホストからおしえてもらったWI-FIのパスワードが間違っていて、プロバイダーに問い合わせをしてくれてやっとつながったのだが、結局2泊した中で、ホストと話したのは、これが最後だった。思えば、ホストとの最後の会話で、食べ物がほしかったらここら辺で頼めばいいからと出前のパンフレットのようなものを見せて言われて、どういうことだろう?と思っていたのだが、まさかそれからチェックアウトまで、会うことも電話もメールもすることなく帰ることになるとは思いもしなかった。去年、利用したジョージア州Airbnbのホストは、メールだけでなく色々と気を配ってくれる本当にいい人だったので、その落差に驚きつつも、むしろこっちが普通なんだと思った次第である。

部屋の合鍵をもらって、ミシガン大学へ向かう。ミシガン大学のアスレチックチームの愛称はウルバリンズという。どのスポーツでも基本はこの名前だからわかりやすい。この日はアイスホッケーチームのゲームを見るのだが、実はアメリカの大学でアイスホッケーチームがあるところは少ない。この日のミシガン大の対戦相手は、フェリス州立大ブルドッグス。グランド・ラピッズというミシガン州の街にある大学で、アイスホッケーにはやたらと力をいれているようで、ホッケーだけはNCAAの1部に所属している。バスケットボールにおけるゴンザガ大みたいなものと思えばいいだろう。NHLのチームはアメリカ各地にあるけど、大学にチームがあるのはミシガンなど、アメリカ北中部東部のカナダに近い地域になる。アイスホッケーを支えているのは、この地域の人達なのだ。大学アイスホッケーの試合は変則的で、毎年その学校との試合を1シーズンに2試合連日で行う。今年のフェリス州立大との試合をミシガン大で2試合連日行ったら、来年はフェリス州立大で連日2試合行うという感じだ。その方が、遠征代も節約できるし、相手チームを研究できて、おもしろい試合が行えるというのもあるのかもしれない。

チケットはかなり前にStubhubで買ってしまって、アイスホッケーを見るにはかなりいい席だったのだが、高くて40ドルくらいした。出発直前にサイトを見たら、10ドルくらいで売られていたりしていて、しまったと思ったが仕方がない。やはりアホほど人気ではないスポーツのチケットを買うのは、直前でいい、これは鉄則にしとかないといけない。

アイスホッケーの試合が行われるのは、Yost Ice Arenaと呼ばれるアイスホッケー専用のアリーナだ。この辺がミシガン大学はやっぱり普通の大学とは違う。Yost Ice Arenaは、車で通りすぎた感じでは、大きなレンガのような壁の倉庫みたいな建物だった。フットボールの試合の時は、大学構内の色々な場所がパーキングになってわかりやすいのだが、他のスポーツの時は、大学でパーキングを探すのは難しい。そして、アイスホッケーのゲームなどでは、ネットでパーキングパスも売られていない。アリーナの周りを2周くらいしたが、パブリックパーキングがよくわからず、近くのパーキングにとりあえず止めた。リミテッドパーキングと書いてあったが、時間が書いてあって、試合時間の頃にはリミテッドではなくなるように書いてあった。普通の野外の駐車場で、ちゃんとしたゲートもパーキングメーターもなかったが、入口が鎖で閉じられてしまうようになる危険性があったので、一時的に止めさせてもらって、歩いてパブリックパーキングを探すことにした。大学構内の坂を上がった数百メートル先のところにパブリックパーキングを見つけたのだが、ここはパーキングメーター方式で、ただし時間を見てみると、試合時間の頃には終わっているようだった。ここにそのまま止めてたらどうなる? 出られなくなるのかな?と思いながら、車に戻ろうとしたら、また雨が降ってきてイライラしてきた。先ほど車を止めた駐車場は、歩いて戻る中で、仮に入口が鎖で閉められたとしても、普通の野外駐車場なので、路肩に乗り上げれば出られないことはないかということに気付く。だったらこのまま止めててもいいんじゃないのと決断し、アリーナへ向かうことにした。
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Yost Ice Arenaは、とてもキレイなアリーナで、後で調べて1924年にできたと知ってびっくりした、何度も改装したりしているのだろうが、大学のアイスホッケーのアリーナとしては十分すぎるものだろう。Yostというのは、ミシガン大学の有名なフットボールのコーチの名前らしく、なぜホッケーのアリーナにフットボールのコーチの名前がと思うのだが、その辺のセンスはよくわからない。ミシガン大は、これまでバスケットボールのクライスラーセンター、今年、ホッケーのYost Ice Arenaと来たのだが、なぜか一番行きたかったはずのフットボールのミシガン・スタジアムだけにまだ入れていない。そういう運なのだろうか。

アリーナの中に入って、ミシガン大のアイスホッケーのレジェンドたちの展示を見てみる。数々の選手がNHLにも進んでいるが、自分の世代で有名なのは、ダラス・スターズで活躍したゴーリーのマーティー・ターコやニュー・ジャージー・デビルスのジョン・マッデンアナハイムマイティダックスのアンドリュー・コグリアーノだろう。しかし、彼らにしてもカナダ人であり、すでにカナダの独立リーグでプレイした後で、ミシガン大に入るという、アイスホッケーならではの普通の大学生と言えるのかというような、よくわからない立場なのであった。さらにミシガン大にはメル・ワカバヤシという日系人のレジェンドがいるらしく、NHLだけでなく、日本のリーグでもプレイし、日本代表のコーチも務めたほどの人物もいるという。こんなすごい人物もいるのに、アイスホッケーはマイナースポーツゆえに注目されないのはもったいない。そんなミシガン大のアイスホッケーチームも1997-98シーズン以来、ナショナルチャンピオンからは遠ざかっている。それこそマーティ・ターコがいた時代だ。
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売店ペパロニ・ピザを買って、試合が始まる直前に席に戻る。アリーナとしては、10000人も入らない規模ではあるが、試合が佳境になった頃には観客席の8割ほどは埋まっていた。後でわかったことだが、NBAデトロイト・ピストンズのゲームよりもはるかに空席の割合は少なかった。あらためてこの地域のホッケーの人気の高さを知らされた。ここ数年、自分はNHLの試合も見れていない中、たまにしか試合結果やハイライトもチェックしていない状態で、ましてや大学ホッケーの選手の名前など知りもしない状況ではあったが、試合は十分に楽しめたものであった。
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ミシガン大とフェリス州立大では、身長の高さは明らかにミシガンの方が高い選手が揃っていた。そして、フェイスオフにしても、パックコントロールもミシガン大主導で、ほぼ相手陣内で試合が進み、ミシガンがシュート攻勢をかける。試合開始1分ほどでフェリス州立大がペナルティを取られて、ミシガン大が数的優位になったパワープレイで、なんと開始2分でディフェンダーJoseph Cecconi のロングシュートが決まり、ミシガンが先制。これは楽勝の試合かなと思っていると、開始から5分過ぎて、今度はミシガン大がペナルティーを取られて1人減り、フェリス州立のパワープレイになると、30秒もたたないうちにフェリスのゴールが決まり、あっという間に同点に。フェリス州立大も実力的には互角で、相手オフェンスの隙をついて速攻で攻めるチームかなというのが見えてくる。試合時間7分となり、再びフェリス州立のペナルティーでミシガンのパワープレイとなると、7分半、リバウンドを押し込むような形で、ミシガンの2年生フォワード、Will Lockwoodがゴールを決め2-1と勝ち越す。なんかパワープレイになるとゴールが決まってしまうという情けない展開になってきた。その後、試合は落ち着き、やはりミシガンがほぼパックコントロールをして、相手陣内で試合が進むという流れに。フェリスは防戦が続き、攻撃に転じることがなかなかできない。そんな中の17分、ミシガンの3年生フォワード、Cooper Marodyが相手ゴーリーが全く反応できない技ありのシュートでゴール。これで3-1に。ミシガン優勢のまま、第1ピリオドが終了。
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第2ピリオドに入り、フェリス州立大が電光石火の攻撃を見せる。開始わずか30秒で、ミシガンのゴールを破り、3-2と1点差に詰め寄った。ちょっと嫌な予感もしてきたが、それからは試合は膠着状態に入る。相変わらずパックコントロールはほとんどミシガンで、シュートもミシガンばかりが打っているのだが、決まらない。だが、フェリス州立大の相手オフェンスのミスや合間で仕掛ける攻撃は確かに侮れず、ミシガン大オフェンスの攻撃がイマイチ弱くなっていたのかもしれない。そのまま3-2で第2ピリオドが終了。
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最後の第3ピリオドに入る。開始早々、ミシガンがペナルティーでパワープレイを与えてしまう。しかし、フェリス州立大は疲れからなのか、この好機を生かせない。開始3分、リンクの人数が対等になり、フェリスの攻撃で、シュートがポストに当たる、あわや同点かといったショットが出た。しかし、この好機も得点に生かせなかったフェリス州立が今度はペナルティーを取られて、ミシガンのパワープレイに。火が付いて怒涛の攻撃を仕掛けるミシガン。フェリスはこの攻撃を何とかしのぐが、7分半、パワープレイが終わり、フェリスが一息ついたところで、ミシガンの4年生フォワード、キャプテンのTony Calderone相手ゴーリーの止めたパックをかき出してそのまま押し込むようなシュートでゴール、これで4-2と勝ち越した。ここが、この日のゲームの山場だったように思う。
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焦ったフェリス州立大はなんとか攻撃を仕掛けないといけない状況の中で、またペナルティを取られて、ミシガンのパワープレイに。ここをしのいで、残り10分を切り、攻勢をかけるフェリス州立大だが、ミシガンはことごとく応戦して、流れは変わらず。開始14分、ミシガンは相手のミスをついて、左サイドから上がった2年生フォワード、Jake Slakerが独りで攻め込み、相手ディフェンダーを振り切って、ゴール右隅へ叩き込むシュートで追加点をあげた。相手ゴーリーは全く動けず、これで5-2。完全に試合は決まった。フェリスは完全に緊張の糸が切れたのか、ミシガンはさらにgraduate student(院生?)というアイスホッケーならではのよくわからない学年のフォワードAlex Roosが15分に追加点を上げ、一方的な展開でさらに16分にもJake Slakerが相手ゴーリーの止めたパックを押し込む技ありのシュートでこの日2点目を上げ、7-2まで点差が開いた。最後まで主導権はミシガンが握り、終始ミシガンが攻めていたという終わってみれば、一方的とも言える試合であった。
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シュート数はフェリスの30本に対して、ミシガンは51本と圧倒。この日2得点、1アシストを上げたJake Slakerは、チームのほとんどのメンバーがミシガン近辺の出身かカナダ人である中で、一人だけカリフォルニアのサンディエゴ出身で、2年生で副キャプテンもつとめていることから期待の選手であるのだろう。忘れないでチェックしておこう。今シーズンここまで、ミシガン大は5勝2敗、フェリス州立大は2勝6敗1分。ちなみに翌日の試合は、フェリス州立大が2-3でオーバータイムの末、勝利。こういうところがミシガン大は詰めの甘い。ミシガン大は、2017年終了時点で7勝7敗2分となり、チャンピオンを狙えるチームではさらさらないどころか、NHLに行ける選手もあらわれないだろうなという感じだ。さすがに大学のホッケーの選手までチェックしているとキリがないので、ほどほどにしようと思った。
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まだ雨がきちんとやまない中、買い物をして部屋に戻る。すでに22時をまわっていたが、家にはホストはいず。明かりを手探りで探して点ける。それでも2匹のネコは常に自分につきまとってくれる。シャワーを浴びるにもついてくるし、ベッドにも上がってきて、なでると喜ぶ。こうなると悪い気はしないが、なんだかなぁ?という感じである。
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