2013/12/1 Indianapolis Colts vs. Tennessee Titans @ Lucas Oil Stadium (NFL football)

 明けて12月1日。 結局ブルーミントンの街には何の懐かしさを感じることもなく、 インディアナポリスへ戻ることに。この日はインディアナポリス・ コルツを見るために、ルーカス・オイル・ スタジアムへ行くのである。最初に言っておくが、 この日を私は一生忘れることはないだろう! それは、後ほどわかるが、ある意味、 それだけ貴重な体験をしたのであった!
 
 また田舎道を逆戻りかと思いきや、ナビは別のコースを示した。 インディアナ州の道は、ドライブするのにはほんとに快適である。 いわゆるフリーウェイではないのに、 2車線以上ある一直線の道が延々と続き、 100km以上のスピードを出してビュンビュン飛ばすことができ る。車の数も少ないから渋滞もない。 ただ、時々道の真ん中にイタチ? のようなタヌキ?のような動物が死んでいることがあるので注意であ る。逆に夜にドライブする時は危険なのかもしれないなと思った。
 
 とはいいながら、インディアナポリスのダウンダウンに入ると、 それなりの渋滞に巻き込まれて、ルーカス・オイル・ スタジアムに着いた頃は試合開始の1時間前を切るほどであった。 去年のスーパーボウルが行われたこのスタジアム。 できたばかりで本当にキレイである。ルーカス・ オイルという車のオイルのメーカーが作ったスタジアムなので、 クラシックカーが内装の一部になっていたりして、 デザインも実に凝っている。 こんなスタジアムが他にもっとあればおもしろいになと思った。
イメージ 1
 
イメージ 2
 この日の試合は対テネシー・タイタンズ戦。 まさか去年と同じカードをまた観ることになるとは思わなかった。 去年はナッシュビルのLPフィールドで、 今年はインディアナポリスのルーカス・オイル・スタジアムである。2年連続アンドリュー・ ラックを追いかけることになるとは不思議な運である。そして、 この運は思わぬところにあらわれた。
イメージ 3
 今回チケットを買ったのは、 チケットマスターのチケットエクスチェンジという交換サイトであ る。試合日の1ヶ月を切った時期に購入して、 値段は200ドル程度だった。オークションではないので、 買い手が自由に値段を設定し、 買い手はその値段でよければすぐに購入することができる。 そしてこの時、私が買ったチケットこそ、 セクション109のRow1であった! なんと最前列である! アウェイのタイタンズ側とはいえ、ほぼ真ん中のセクションである。
 
 まさに幸運だったとしかいいようがない。 おそらくシーズンチケットホルダーの方がたまたま急用か何かで行 けなくなったものを出品したタイミングに、 自分がアクセスしたのが重なったのであろう。通常、 最前列のチケットはこういうサイトでも、1000ドル以上で取引されて いたとしてもおかしくないもの。 ましてやほぼ真ん中のセクションである。確か自分が買った時は、 ここのチケットは5枚で出品されていたと思う。 1枚しか購入しない自分が、 たまたまその1枚分を購入できたというわけである。 とはいいながらも、実際現場でその席に着くまでは、 自分のチケットがほんとに最前列なのかどうかは信じられなかった 。そして、席を見つけて、それが本当に現実のものとなった!
イメージ 4
 写真で見てもらえばわかると思うが、 最前列とはこういう眺めなのであった。 前に何も遮るもののないこの眺めを心に焼き付けておこう。 これから一生、自分がまた最前列のチケットを手に入れるこ とはないかもしれないわけだし…。ただ最前列でも、 自分がいるのはサイドラインなので、 テレビ中継のようにタッチダウンをした選手がセレブレイションで やってくるゴールライン側ではない。ましてやルーカス・オイル・ スタジアムは広いので、 最前列でも結構フィールドと距離があることがわかった。
イメージ 7
 そうなると最前列のデメリットも見えてきた。 遮るものがないと言っても、 自分の前には必ずスタジアムレベルにいるカメラマンやチアリーダ ーやラインマンなどがいて、ビューが結構な具合に邪魔されることがわかった。 写真を撮ろうとしても、 何かが写り込むようなショットになってしまう。 チアリーダーは遠くから見ると美人に見えるが、 近くで見ると意外とデカくてメイクが異様でもある。 最前列はむしろビュー的には快適でない方が多かった。 写真を撮ろうと思っている者にはなおさらだ。
イメージ 5
 さらに自分がいたセクションには、 さらに一段下に仮設のシートが設けられ、 そこに子どもや一般人の客が座る形になった。 彼らに眺めを邪魔されることはなかったが、 微妙に最前列でないと言えば、最前列ではなくなった。 何者なのだろう? 選手の関係者なのか?、VIPなのか?と思っていたら、 彼らはその日のゲームの合間に行われるイベントに参加する一般人であることが わかった。 出番が来たらすぐに出れるように仮設のシートにスタンバらされて いたわけだ。おかげで自分と同じ最前列にいた観客達は、 前にいるイベントの参加者たちと、 彼らのゲームイベントの出来によって、 励ましたり祝福したりするような連帯感も生まれた。
イメージ 6
 そんな妙な高揚感に浮かれていたわけだが、 この日のゲームを振り返ってみよう。ここ最近、コルツは「逆転のコルツ」というイメージが定着しているわけだが、この日もその名にふさわしいゲームであった。
イメージ 9
 第1クォーター、いきなり最初の攻撃でコルツQB、アンドリュー・ラックのパスがインターセプトされてしまう。いきなり暗雲のたちこむ展開。しかし、相手のタイタンズは黒星が先行し、決して勢いに乗っているチームではない。この日のタイタンズQBは、ライアン・フィッツパトリック。相変わらずエースQBジェイク・ロッカーはケガで欠場である。何回かタイタンズのゲームを見たことがあるが、ジェイク・ロッカーが動いているのを見たことがない。タイタンズの攻撃をパントに終わらせた後、コルツはラックのショートパスで距離を稼いでいく。コルツもエースWRのレジー・ウェインが欠場していて、レシーバーの層は薄いのだが、そこはラックである。先制したのはコルツ、Kアダム・ヴィナティエリのフィールドゴールで3-0。コルツはさらにフィールドゴールを追加して6-0とする。
イメージ 8
 せっかく最前列に座っているのに、タッチダウンのようなビッグプレイはなかなか見られないから困ったもんだ。テネシー・タイタンズはディフェンスのいいチームなので、コルツは攻めきれない。新加入したRBトニー・リチャードソンも未だフィットできていないのか、いいところを見せられない。そんな中、コルツは選手層の薄さを露呈させることになる。タイタンズはフィッツパトリックのショートパスで進んだかと思えば、ラックばりのまさかのスクランブルを見せる。これにコルツディフェンスは動揺し止められず、タッチダウンを許してしまい6-7と逆転される。しかしコルツは直後の攻撃で、ラックがなんとかパスで稼いだ分を、ヴィナティエリが47ヤードのフィールドゴールを決めて9-7と逆転。
イメージ 10
 するとラックのパスが見切られたのか、タイタンズディフェンスが奮起し、なかなかパスが決まらず、ラックはサックを浴び続けることになる。コルツのオフェンスラインが薄すぎるのは否定できないであろう。第2クォーターだけで4つのサックを食らってしまうのだ。しかもラックは2回ファンブルをしてしまうのだが、それでも味方がリカバリーするところが、ラックの持っているところであろう。すると今度は、コルツディフェンスが、フィッツパトリックのパスをインターセプト、これをまたヴィナティエリのフィールドゴールへつなげることに成功。差を広げて12-7で前半を終えることになる。
イメージ 11
 後半になると、タイタンズはレジェンド、クリス・ジョンソンを積極的に使ってくる。コルツディフェンスは必死に止めるが、この人はランだけでなくパスキャッチもうまいので始末が悪い。ペナルティーもとられ、距離を献上し、ついにクリス・ジョンソンへのパスが通って、タッチダウンを許してしまい、12-14と逆転されてしまう。しかしその後も、やはりラックはサックを浴び、パスが通らない。すると今度はコルツディフェンスが自陣28ヤードまで迫られたところで、DEロバート・マシスがフィッツパトリックをサックしファンブルを誘発。このボールをコルツLBジェレル・フリーマンが奪い、さらに敵陣32ヤードまで走り、距離を稼ぐ。結局ヴィナティエリのこの日5本目のフィールドゴールで15-14と再逆転するのである。コルツはラックが5サックもされながらもターンオーバーにまでは至らなかったのが、タイタンズは一つのサックで流れが変わってしまう。これもやっぱり持っているチームとそうでないチームの差なのか。
イメージ 12
 さらにはフィッツパトリックのパスを、CBカシアス・ボーンがこの日2つ目のインターセプト。ラックはパスが通らなければスクランブルで走るというおなじみの方法で徐々に攻め込み、最後はRBブラウンが4ヤードを持ち込んで、この日コルツ唯一のタッチダウンを上げ、22-14と突き放した。そのままこのスコアでゲームは終了。
イメージ 13
 結局、アンドリュー・ラックはパス獲得200ヤード、タッチダウン0、インターセプト1、ラン獲得42ヤード。ランは、RBドナルド・ブラウンの54ヤード(タッチダウン1)が最高。レシーブは、TEコビー・フリーナーの50ヤードが最高であった。一方、タイタンズのライアン・フィッツパトリックは、パス獲得201ヤード、タッチダウン1、インターセプト3、ラン獲得54ヤード、タッチダウン1という成績。パスどころかランでも、コルツは獲得104ヤードに対し、タイタンズは162ヤード。タイムポゼッションにしてもコルツ約26分に対し、タイタンズは約34分と、とても勝ったチームとは思えないスタッツなのであった。
イメージ 14
 選手層の薄い中、よくここまで戦っていると見るべきなのだろうか。第3クォーター終盤、ラックの投げたパスを、全くのワイドオープンだったのにも関わらず落球したWRヘイワード・ベイの体たらくには、コルツファンもブーイングを上げていたことを記しておこう。ハイライトでは、欠場中のWRレジー・ウェインがその落球を見て、サイドラインで怒りまくっている映像が抜かれていて、これには笑った。ことごとくチーム作りに失敗してきた、かのオークランド・レイダースが一巡目で取った選手である。スピードだけは早いのだが、本当にそれだけである。なんとかこういう選手でも集めてやりくりして勝負をつなげているのが、コルツのチームの手腕であろう。そして、ラックのカリスマ性と運が、チームを動かしているのを今回も十分に見させてもらった。
イメージ 16
 最前列の席に座りながら、フィールドゴールばかりという、ゲームのおもしろさは置いといて、実に動きの少ない見ごたえのないゲームではあったのだが、それでも自分としては、一生に一度あるかないかという思い出ができた。なんと、NFLのゲームハイライト映像に、自分の姿が抜かれていたのである! もちろん1Sでなく、グループではあるのだが、こんなに感激したことはない。カメラが近くにいるなということはわかっていたのだが、本当に自分の姿がハイライトに残るとは。残念ながらテレビ中継で抜かれたいたかどうかはわからないのだが… よくプレイの合間に、会場のカメラが観客席を抜くような演出があったりするが、それでも自分の姿がこれまで写されたことはなかった。ましてやハイライト映像となれば、そこの会場にいる人以外でも、後からアクセスして見られるものだからうれしい。これも最前列の役得だったわけである。この席のチケットを売ってくれた人、ほんとにありがとう。この映像、ダウンロードして保存する方法、あるのかな?
イメージ 15