2018/11/18 Indianapolis Colts vs. Tennessee Titans @ Lucas Oil Stadium (NFL football)②

 インディアナポリス・コルツテネシー・タイタンズのルーカス・オイル・スタジアムでの試合。結論から言うと、これはアンドリュー・ラックのための試合というものだった。彼の復活劇を見に来た自分にとっては、最高の試合を見せてもらったが、すべての局面がコルツのいいように回ったものであり、こんなラッキーなゲームでいいのと思えるほど、ラックにとっては楽勝なゲームであっただろう。逆に言うと、観客としてはゾクゾクするような部分はほぼなかったと言えるものだ。
イメージ 2

 最初の攻撃はタイタンズからだった。今シーズンにニューイングランド・ペイトリオッツから加入したランニングバック(RB)のディオン・ルイスのランとQBマリオタのショートパスでファーストダウンを取るが、自陣34ヤードまで進んだところで、コルツディフェンスがマリオタをサック。攻撃はパントで終わる。代わってコルツの攻撃。RBは2年目のマーロン・マックだが、これが走れず、ラックからワイドレーバー(WR)T.Y.ヒルトンへのパスなどでファーストダウンは取るも、敵陣までは入れず、こちらもパントで終わる。
イメージ 1

 今日のコルツはディフェンスが最初から好調だった。続くタイタンズの攻撃もルイスに走らせず、マリオタにパスをさせず、パントで終わらせる。するとパントリターンで、WRのチェスター・ロジャーズがなんと74ヤードの快走を見せる。あわやリターンタッチダウンかと会場は大盛り上がりだが、敵陣23ヤードまで進んだ。コルツのホールディングの反則で10ヤード戻されて、敵陣33ヤードからのスタートとなったが、絶好のポジションからの攻撃。ラックのショートパスと相手のペナルティーもあって、敵陣1ヤードまで進むと、最後はマックが押し込んでタッチダウン。キックも決まって7-0。先制点はコルツに入ったが、すでに第1クォーターは13分以上経っていた。
イメージ 19

 
イメージ 3

 第1クォーター残り1分ちょっと、続いてのタイタンズの攻撃。RBにデリック・ヘンリーを出してきた。今年3年目、アラバマ大学出身のハイズマン・トロフィー受賞者である。とは言いながらも、今シーズンこれまで1試合100ヤード以上走った試合はない。ヘンリーは止めたが、怖いのはQBマリオタ自身も走ってくることだ。そのまま第2クォーターに突入。マリオタから2年目のWR、コーリー・デイヴィスへの23ヤードのパスが通り、自陣49ヤードまで進まれる。タイタンズのペナルティーがあって39ヤードまで戻ったところで、次のマリオタのパスを、コルツの2年目のコーナーバック(CB)クインシー・ウィルソンがインターセプト。彼の今シーズン初めてのインターセプトで、コルツに攻撃権が移った。
イメージ 6

 自陣42ヤードからのコルツの攻撃。ラックからタイトエンド(TE)、ジャック・ドイルへのパスが立て続けに通り、敵陣27ヤードまで侵入。
さらにヒルトンへのパスなどもあり、敵陣4ヤードまで迫るが、タッチダウンには至らず。なんとTE、エリック・エブロンから、QBラックがレシーバーになるパスもあったが、決まらなかった。フィールドゴールは成功して、10-0に。またもコルツの棚ぼたの得点だ。

 第2クォーター、残り11分。続いてのタイタンズの攻撃も、ルイスもマリオタも走らせず、パントで終わらせる。ようやく、ここからラックが本領を発揮し始める。続くコルツの攻撃は自陣13ヤードから始まったが、マックのランで自陣20ヤードまで進むと、ラックは、今シーズンから加入した、WRのドントレル・インマンに12ヤードのパスを通すと、自陣32ヤードからT.Y.ヒルトンになんと68ヤードのロングパスでタッチダウンである。これで17-0となった。
イメージ 4

 第2クォーター、残り7分半。コルツディフェンスは、なおもタイタンズの攻撃陣に仕事をさせない。31ヤードからのサードダウンで、またも
QBマリオタをサック。ボールをファンブルさせたが、リカバーはタイタンズ。ここもパントで終わらせた。すると、次のコルツの攻撃は、ラックのT.Y.ヒルトンへのパスは、タイタンズのディフェンスの反則により、難なくヤードを稼ぐことに。さらに今年からコルツに加入したWR、ライアン・グラントへのパスで敵陣42ヤードまで侵入、RBマックのランで敵陣38ヤードまで進むと、ラックからルーキーRB、ナイハイム・ハインズへのショートパスで18ヤードまで進むと、これまたルーキーRBのジョーダン・ウィルキンズが18ヤードを走り込んでタッチダウン。キックも決まって、これで24-0。もう試合は見えたかなという感じであった。
イメージ 8

 まだ第2クォーターは残り2分半あった。タイタンズの攻撃は、自陣25ヤードから。それでもQBマリオタはショートパスを投げ分けて、敵陣43ヤードまで進む。しかし、またもここでコルツディフェンスがマリオタをサック。残り1分、タイタンズはたまらずタイムアウトをコール。45ヤードまで戻されたものの、サードダウンでマリオタが4ヤードを走り、ファーストダウンを取る。残り29秒、ショートパスで敵陣38ヤードまで進んだが、またまたコルツディフェンスがマリオタをサック。敵陣45ヤードまで戻されて、残り16秒、再びタイタンズタイムアウト。結局、このプレイでマリオタは負傷して退場。後半、姿は見せたものの、この試合で戻ってくることはなかった。あっけないもんだ。
イメージ 5

イメージ 18

 タイタンズの交代したQBは、ブレイン・ギャバートだ。ジャクソンヴィルジャガーズで将来を嘱望されたはずのQBは結果を残せずに、サンフランシスコ49ersへ、49ersでも一時期活躍したはずが、結局数字を残せず、アリゾナ・カージナルスを経て、テネシー・タイタンズにやってきたというわけである。ポケットパサーなのにコントロールも悪いのだからしょうがないのか。でも、8年目でプロ生活を続けてられるのだから、NFLでは大したものである。
イメージ 7

 残り16秒、ギャバ―トは、敵陣45ヤードからショートパスを通すが、残り39ヤードの微妙な位置に。しかし、フラッグが出ており、コルツディフェンスの反則で15ヤード献上、敵陣24ヤードまで進んだ。ここでタイタンズフィールドゴールを蹴り、24-3で前半が終了した。

 ハーフタイムの間に、インディアナポリス・コルツのレジェンドであるWR、レジー・ウェインの名誉リングを受けるセレモニーがあった。思えば、入場前にReggie! Reggie! Reggie!と書かれた旗が配られていたのだが、そういうことかと納得する。私はトイレに行ってしまっていたため、残念ながらそのほとんどを見逃してしまった。初めてここでコルツを生で見た2013年の時、レジー・ウェインは出場していなかったはずだから、試合中に生で動いているレジー・ウェインは見ることができなかったということだ。しかし考えてみれば、このセレモニーはレジー・ウェインの背番号87が永久欠番になることではないらしい。約15年のキャリアで14000ヤード以上、タッチダウン90を超える記録を残し、2006年の優勝に貢献し、コルツの一時代を築いた人であるはずなのに、それはまだないということなのか…。面倒くさいね~。そんなレジー・ウェインにしても、ルイジアナ州の出身で大学はマイアミ大学だから、インディアナ州には何のゆかりもなかった人物とも言えるわけで、人生どうなるかというのは、本当にわからないものだ。
イメージ 9

イメージ 10

 後半はコルツの攻撃から。リターン時の反則から自陣10ヤードからのスタートとなった。QBラックによるWR、T.Y.ヒルトンやロジャースへのパスなどで自陣42ヤードまで進むも、パントで終了。しかし、コルツのディフェンスはやはりすごかった。次のタイタンズの攻撃、自陣17ヤードからRBルイスのランとQBギャバートのパスで、自陣46ヤードまで進んだ後のサードダウン、ギャバートのパスを、ルーキーラインバッカー(LB)ダリウス・レオナードがインターセプト、そのまま10ヤードリターンし、36ヤードの地点でアウト・オブ・バウンズとなった。さらにこの時、タイタンズのフェイスマスク反則があり15ヤード献上されて、なんと敵陣21ヤードからの攻撃というこれまたラッキーな展開に。
イメージ 11

 この好機に、QBアンドリュー・ラックは、きっちりとT.Y.ヒルトンへパスをつなげ、ヒルトンがそのままエンドゾーンへ走り込み、タッチダウン。審判は、ヒルトンがディフェンスと交錯した時、ラインを割ったのではないかという判断を下し、タッチダウンではないとしたが、ちょうどこちらの観客席は良く見える場所にいたので、一斉にブーイングが起こる。ちょうどその時の動画も撮っていたよ。コーチがチャレンジを要求し、ビデオ判定の結果、覆りタッチダウンとなる。キックも決まり、31-3に。ほんとにすべてがコルツのいいように回っているとしか言いようがない。

イメージ 12

イメージ 13

 第3クォーター残り7分半、続くタイタンズの攻撃は、自陣25ヤードからのスタート。QBギャバートのショートパスでファーストダウンは取るも、またもコルツのディフェンスがギャバートをサック。攻撃はパントで終了した。続くコルツの攻撃は自陣15ヤードからスタート。RBマックのランでファーストダウンを取った後、ラックからインマン、マック、ヒルトンへのパスで敵陣に入り、第3クォーターが終了。
イメージ 15

 第4クォーター、コルツの攻撃は続く。マックの連続ランで敵陣33ヤードまで進むと、ラックのヒルトンへの16ヤードパスが通り、敵陣17ヤードに。さらにマックの連続ランで敵陣7ヤードまで進み、最後は右にロールアウトしたWRインマンに、ラックがパスを通してタッチダウン。キックも決まって、38-3まで差は広がった。
イメージ 14

 第4クォーター、残り12分。タイタンズの攻撃はペナルティーもあって、ファーストダウンも取れずにパントで終了。コルツはもうアンドリュー・ラックを引っ込めて、QBジャコビー・ブリセットを投入した。ニューイングランド・ペイトリオッツと、WRフィリップ・ドーセットとのトレードで加入した選手だ。ドーセットがペイトリオッツでなかなかの活躍をしているのを見ると、T.Y.ヒルトンに続くワイドレシーバーが育たないコルツとしては、もったいなかったのではないかという思いが強い。そんなドーセットは、レジー・ウェインと同じマイアミ大学出身の、コルツがドラフト1巡目で指名したワイドレシーバーだったのだが…。話は戻って、QBブリセットだが、2度パスを投げて、1本は通るがヤードロスに。攻撃はパントで終了した。

 コルツのパントがうまくて、タイタンズの攻撃は、自陣6ヤードからのスタート、残り時間は8分。ここでRBデリック・ヘンリーがようやく走り出す、ギャバートのパスもあって自陣42ヤードまで進むと、さらにギャバートは、TEアンソニー・ファークサーに28ヤードのパスを通し、敵陣30ヤードまで侵入。さらにヘンリーのランで25ヤードまで進んだところで、2ミニッツウォーニングとなる。どうでもいいけど、38-3で負けているチームが攻撃にそんなに時間をかけてどうするという感じだ。コルツの反則で20ヤードまで進んだ後、ギャバートが、TEマイコール・プルーイットに19ヤードのパスを通して、敵陣1ヤードまで進んだ。最後はギャバートが、WRテイジェイ・シャープにパスを合わせて、ここでタイタンズがこの試合初めてのタッチダウン。キックも決まり、38-10となる。だが、すでに残り時間は2分を切っているので、コルツはもう二―ダウンをするだけで、試合終了。タイタンズは、ほぼ何もできなかった試合であった。
イメージ 16

 コルツは、QBアンドリュー・ラックはパス29回中23回成功で、297ヤード、3タッチダウンパス、QBレーティングはなんと143.8という数字であった。サックは1つも受けておらず、タイタンズディフェンスはラックに触れることもできなかったのではないかという記憶である。ランはRBマーロン・マックが61ヤード、1タッチダウン。レシーブは、T.Y.ヒルトンが9キャッチ、155ヤード獲得で2タッチダウン。まさにラックのためにあったようなゲームであった。タイタンズは、QBマリオタがパス85ヤード、1被インターセプト、QBギャバートがパス118ヤード、1タッチダウンパス、1被インターセプト。ディフェンスでは、コルツがDEケニー・ムーアが10タックル、0.5サック。DEジャベル・シェアードは、3タックルながら、1.5サックを記録。タイタンズは、2年目のCBアドリー・ジャクソンが9タックルくらいか。
イメージ 17

 チームとしては、ファーストダウン獲得が、コルツ26にタイタンズ16と圧倒。パス獲得がコルツ295ヤード、タイタンズ176ヤード。ラン獲得がコルツ102ヤード、タイタンズが87ヤードだった。ボール保持時間は、コルツが31分16秒、タイタンズが28分44秒と意外と変わらないのは、タイタンズが常にいいフィールドポジションで、コルツに攻撃権を与えてしまっていたからだろう。

 この試合で勝率を5割に戻したコルツは、快進撃を続け10勝6敗でシーズンを終了し、プレイオフに進出。ワイルドカードヒューストン・テキサンズを下したが、ディビジョナル・プレイオフカンザスシティ・チーフスに敗れた。キッカー、アダム・ヴィナティエリの絶不調と審判の判定の悪さで負けてしまった形となったが、アンドリュー・ラックの復活は見事に印象づけることができた。やはりドーム球場がホームのチームは、なかなかプレイオフで勝ち進むのはつらいのかな。極寒のアウェイスタジアムで戦うのはなかなかに大変であろう。そんなヴィナティエリは元々ペイトリオッツにいた選手なのだが。

 一方のタイタンズは、その後持ち直したものの9勝7敗で終了し、プレイオフには出られず、マリオタのこの日の怪我は問題なかったようだが、結局シーズン終盤に負傷してしまい、最終のプレイオフを賭けたコルツ戦には出場ができなかった。チームを牽引する司令塔というには、どこか物足りない存在ではあるが、それでもジェイク・ロッカーの時代に比べれば断然マシであろう。

 この日は別の予定もあったので、そのまま部屋に戻ることに。やはり広すぎてどうも落ち着かない部屋である。そしてエアコンがなかなか暖かくならない。部屋の規則として、エアコンの設定温度の制限だけはされていたので、仕方なく我慢する。NFLで言えば、この週のマンデイ・フットボールカンザスシティ・チーフスロサンゼルス・ラムズの試合がおもしろ過ぎた。51対54でラムズが勝ったのだが、両チームの総得点では史上最高を更新したようだ、何度も逆転に次ぐ逆転というシーソーゲームに、やはりスタジアムで自分が生で見るのなら、こういうゲームの方がいいな~と思うのであった。