2013/11/30 Indiana University Hoosiers vs. Purdue Boilermakers @ Memorial Stadium (NCAA football)

 明けて30日は、朝から空港に行って移動である。 目指すはインディアナポリス。この移動もデルタにした。 オーバーンヒルズからデトロイトの空港に行って、 チェックインして、さらに移動して、 ゲームに間に合う時間となると、朝イチだとつらいし、 午後になると間に合わないので、なかなかに選択が難しい。 国内移動はデルタにこしたことはない。
 
 インディアナポリスはなかなかの都会であった。ここでの車は、 色は変わったが、黒のトヨタカローラ。特にサプライズもなし。 しかし、ここから移動である。 行き先はインディアナ州ブルーミントン。 インディアナ大学のゲームを見るためである。 この日はカレッジフットボールのレギュラーシーズン最終戦ゲーム であり、対戦相手は宿命ライバル、パデュー大学である。 ようやくスケジュールがあって、 ついにインディアナ大学へ行けることとなった。 ブルーミントンはそれこそインディアナ大学の大学町といってもい いところで、他には目ぼしいものは多分ない。ちなみに隣のイリノイ州にもなぜかブルーミントンという街があって、街の規模はこっちの方が大きそうなのだが、知名度は圧倒的にインディアナ州の方が有名である。
イメージ 7
 インディアナポリス到着は午前10時半、車を借りて11時。 インディアナポリスまでは地図で見るならば、 1時間くらいで行けるはずとふんだ。 試合開始は午後2時半だからホテルにチェックインして、 さらに大学内などを探索もできる時間がある。 しかしインディアナ州は圧倒的に田舎であった。ダウンタウン をちょっと出ると、 ものの見事に農村地が広がる。 しかもブルーミントンへ向かう道は森の中を通る狭い道を抜けてい くので、これで合っているのかと不安になるような道中であった。 それこそアメリカの絵に描いたような田舎の景色で、 池を脇に見ながら通り抜けていく道は、 絵ハガキにもありそうな美しい風景であった。 こんな時に一人で運転してると、写真も撮れないから、つらいのよね。
 
 ブルーミントンに到着したのは、まだ昼前であった。 ホテルはインディアナ大学まで歩いていけるデイズインにした。 実はブルーミントン、そしてインディアナ大学にも来るのは、 初めてではない。 大学時代にサンフランシスコからメンフィスまでのグレイハウンド をつたっての旅で、ここに来て、数泊したことがある。 大学を探索して、 やたらキレイで学食がおしゃれでおいしかったことをおぼえていたのだが、 20年以上たって来てみると、さすがに何にも印象がない。 スタジアムやアリーナなどの様子はそれほど変わってないはずなの だが、当時はアメリカンスポーツにまだ関心もなかったので、 何にもおぼえていない。そんなもんである。
イメージ 1
 そもそも当時ブルーミントンに来ようとしたのは、 ここが自分が大ファンであるロックミュージシャンのジョン・ クーガー・メレンキャンプの出身地(厳密に言うと、 この近くの小さい町なのだが)であったからというのがあった。当時『ザ・ ロンサム・ジュビリー』 という今でも大好きでたまに聴くアルバムが大ヒットした後で、 そのアルバムのクレジットに記載されていたベルモント・モール・ スタジオというメレンキャンプが作った専用のレコーディング・ スタジオを見に行こうとしたのである。 その時は自転車で移動していたので、 ベルモントというブルーミントンからすぐ隣の町に行って探したものだった。
イメージ 16
  町というよりも、田舎道が一本走ってるだけみたいな何もないところで、車が一台通れるかくらいの舗装もされていない道だった。 数百m移動しないと、隣に家すらもないようなところを探している中で、 普通の一軒家なのだが、中から明らかにレコードではない、 生のバンドが練習のように演奏している音が漏れて聞こえてくる場所 があり、ここがベルモント・モール・ スタジオだとなぜか確信して、 当時の自分は写真を撮ったりしたのであった。 後でわかったことだが、その当時、ジョン・クーガー・ メレンキャンプは、次のアルバム『ビッグ・ダディ』 を自分のスタジオでレコーディングしていた時期と重なっていたのである。だから彼がこの町にいたことは間違ってはいないはずだった。
 
 今回、時間もあったので、当時の記憶を頼りにベルモント・ モール・スタジオを探してみようと思った。しかし、 20年の時の流れはすごいものだ。ベルモントの町へ行く道( ていうか、インディアナポリスから通って来た道だった) は普通に舗装されており、 ベルモントの町も確かに山の中ではあるのだが、 たくさんの分かれ道ができており、別荘風の家や、 馬もいるような農家風の家などがいくつも普通に建っており、 その当時見つけた一軒家がどこにあったのかすらもわからなくなっ ていた。こうなると、はたして当時自分が見たのが、ベルモント・ モール・スタジオがどうかも怪しくなり、 なんせ当時撮った写真がどこにいったのか見つけられなかったので確認のしようもないのである(あの頃はデジカメもなくて、「写るんです」で撮っていたからね)。
 
 あらためて、 どこかのテレビがジョン・ メレンキャンプをインタビューするのに、 スタジオを訪ねていたYouTubeの映像を見たりしたが、 こんな場所来たことなかったよな~という印象しか持てない。 そもそもベルモント・モール・ スタジオは住所も公開されていない場所( 実際あるのはその隣町のナッシュビルじゃないかという情報も得 た)で、見学ツアーも行われていない( 30人以上で申し込めば見学できるという情報もあったがよくわか らない)。ものすごい熱心なファンを装って、 近所の人に場所を聞こうとしたりしたが、 そこは山の中の田舎である。どこの家を訪ねても人がいないので、有益な情報も得られなかった。 そうこうするうちにインディアナ大学に戻らなけれならない時間に なったので、仕方なく引き返した。ちなみにジョン・ メレンキャンプのバンドメンバーのトビー・ マイヤーズは、今もその隣町のナッシュビルに住んでいて、 ライブ活動もやっていたりするので、今後機会があれば、 そちらから迫ってみたいと思った。
 
 ずいぶん話はそれたが、インディアナ大学である。 それこそジョン・メレンキャンプはこの地の有名人で、このスタジアムで国歌を歌ったりすることもあって、スタジアムBGMでも彼の曲がかかったりするのだ。インディアナ大学アスレチックチームの愛称はHoosiersフ ージャーズという。 インディアナ州の住民という言葉であるらしい。 チームカラーのクリムゾンとクリームの赤と白のカラーは実に目立 って美しい。 インディアナ州はとにかくバスケットボールが盛んな州で、 インディアナ大学はそれこそバスケの名門で、デトロイトピストンズを優勝に導いたアイザイア・トーマスの母校であり、 昨季もカンファレンス・チャンピオンとなり、 ドラフト1巡目にビクター・オラディポとコーディー・ ゼラーの2人の選手が指名されたほどである。 今回も滞在中にバスケットボールチームが見られればよかったのだ が、残念ながらスケジュールが合わなかったので仕方がなかった。でも 、 インディアナ大学フットボールチームも実におもしろいのである 。バスケットとは違い、 所属カンファレンスのBigTenは、 オハイオ州立大にミシガン大、 ミシガン州立大など、歯が立たないほどのアメフトの名門強豪チームがひしめき合って いるので、なかなか勝星があげられないシーズンが多いのだが、 それでもこれまでNFLに地味ながらも選手を輩出しているチーム である。古くはQBトレント・グリーン、 そしてスティーラーズで活躍したWRアントワン・ランドール・ エルや最近ではボルチモア・レイヴンズにいたWRタンドン・ ドス、CBトレーシー・ポーターなどがいる。 そして今年のチームにだって期待できる選手がいるのだ。
イメージ 2
 一方、 対戦相手のパデュー大学は、ノーベル賞をとった根岸英一さんが教鞭 をとっている大学として日本で少し有名になったが、 こちらは理系の名門大学である。インディアナ大学から言えば、 インディアナポリスを越えてシカゴへ向かう道の途中にあるウエス ト・ラファイエットという街にあり、 地理的にも車で2時間ほどでいけるほど近い。 アスレチックチームの愛称はBoilermakersボイラーメ イカーズという。 こちらのフットボールチームも決して強いチームではないが、 NFLにも数多くの選手を輩出しているチームである。 古くはQBボブ・グリーシー、そしてあのQBドリュー・ ブリーズの出身大学である。さらにDBロッド・ ウッドソンやFBマイク・オルストットなど名選手も多く、 最近ではワシントン・レッドスキンズのDEライアン・ ケリガンなどがいる。 両校のライバル関係は、それこそ20世紀はじめくらいから始まって いるほど歴史があるもので、歴史的 事情まではよくわからないのだが、 フットボールでの対戦は毎年レギュラーシーズンの最終戦に組み込 まれる人気ゲームであり、昔からOld Oaken Bucketという古い木のバケツのトロフィーをめぐって争われ るゲームなのだ。
イメージ 3
 かといって、 両校の関係がライバル心むきだしの一触即発なものかというと、そうでもないようだ。 インディアナポリス市内にはIUPUI(Indiana University – Purdue University Indianapolis ) という文系のインディアナ大と理系のパデュー大が合同して作っ たような大学もあるのだから、よくわからない。 ちなみにIUPUIから初めて出たプロスポーツ選手が、 NBAインディアナ・ペイサーズのPGジョージ・ ヒルだそうだ。
 
 フットボールの試合が行われるのはメモリアル・ スタジアムという。ここもNCAA footballのゲーム内では、何度も見ているのだが、 本物を見るとやはり感慨深い。逆に言うと、 あのゲームのそこのリアリティーの正確さに本当に驚く。このスタジアムは、 1960年に現在の形に作られたというから古い。 キャパシティは5万人以上だからなかなかだ。 今回のチケットは、 オフィシャルサイトではもう買えずに、チケット交換サイトStubHubで買った。 約50ドルで、アウェイ側のスタンドの真ん中くらいである。 チケットは売り切れているはずなのだが、 スタジアムは決して満杯ではなく、空席も目立つ。今シーズン、ここまでインディアナ大は4勝7敗、パデュー大に至っては1勝10敗という成績で、 両校とも優勝を争うほどの成績でなかったというのも あるが、 カレッジフットボールは大体学生のチケットでハケてしまうので、 チケットを持っている人間が必ずしも見に来るとは限らないのである。
イメージ 14
 カレッジフットボールのゲームは油断してはいけない。 ドームのスタジアムに慣れてしまうと、 寒さというものを感じなくなるのだが、 カレッジのフットボールスタジアムはほとんど野ざらしの野外である。 どんなに天気が良くても風が吹く。 そして照明がナイター設備になる時間になると、グッと寒さが増す。 今回も下にサーマルシャツを着て、ユニクロダウンジャケットを着て、 さらに上にジャケットを着ていたのだが、 いい天気だし大丈夫だと思ったが、 それでも寒くて毛布を買ってしまったくらいである。
イメージ 15
 ゲームに戻ろう。今年のインディアナ大の注目は、 2年生で先発に抜擢されたスクランブルQBのTre Roberson(背番号5)、ランニングバックのStephen Houston(背番号12)、そしてレシーバーのCody Latimer(背番号3)、Kofi Hughes(背番号13)などである。 後々彼らはNFLドラフトにかかってプロ入りするかもしれないと 期待されている存在でもある。
イメージ 4
 開始早々いきなりStephen Houstonの53ヤードのタッチダウンランが飛び出し、インディアナの先制である。そしてパデュー大の攻撃がパントに終わると、次のインディアナの攻撃はTre Robersonの自身のランと、Cody Latimer、Kofi Hughesへの連続パスが続き、みるみるうちに14-0となった。実力伯仲のいい勝負のライバル対決かと思っていたのだが、ここまでの実力差を目にして、割と興味を失ってしまった。しかしパデュー大の攻撃が再びパントに終わり、Tre Robersonがパスとランを使い分けて攻めるものの、割と簡単にTre Robersonがパスをインターセプトされて攻守逆転。お互いそれほど大したことないのかもと思いはじめた。
イメージ 6
 第2クォーターになると、パデュー大の1年生QB、Danny Etling(背番号5)にショートパスを次々と決められ、タッチダウンをとられ14-6に。エクストラポイントのキックをブロックした時はオッと思ったが、インディアナのディフェンスにも相当難がありそうだと見えてきた。次の攻撃ではTre Robersonが自分で走るか、パスを投げるかという単純な攻撃でも21-6に。点取りゲームの様相を呈してきた。パデュー大にフィールドゴールは許したものの、Tre Robersonの自身のランとパスの波状攻撃を見せ、さらに2つのタッチダウンパスを追加し、前半は35-9で終わる。パデュー大のディフェンスが甘すぎるのか、それでもTre Robersonはなかなか止められないほどの才能があるのかもしれないと思えてきた。
イメージ 5
 第3クォーターも早々に相手の攻撃をパントで終わらせると、再びTre Robersonが攻め込み、42-9、さらに49-9になる。さすがに試合結果も見えてきて、この頃になると日も落ちてきて、寒くて我慢できなくなってきた。しかし毛布を買いに行っている間に、パデュー大の反撃が始まったようだった。70ヤードのロングパスを決められたりして、49-16に。第4クォーターになっても、Danny Etlingに50ヤードのパスなど、いいように投げられて、49-23。するとTre Robersonの攻撃も見切られたのか、またインターセプトを喫する。そうなると次のパデューの攻撃ではDanny Etlingに80ヤードのタッチダウンパスを決められて、49-30に。楽勝ムードどころか、一つ間違えば勝利もわからないような状況になってきた。
イメージ 8
 しかしここでインディアナは踏ん張った。Tre Robersonのランの他、RobertsとHoustonの2人のRBを使い、最後はKofi Hughesのタッチダウンパスで56-30と再び突き放す。しかし、その後の攻撃では、Etlingがノーハドルでパスしか投げないような強引な攻撃にもかかわらず、ショートパスを次々と許し、タッチダウンまでやられて56-36。2ポイントコンバージョンをなんとか阻止したくらいのディフェンスだった。この後、パデュー大はオンサイドキックを決められず、そのまま56-36で試合は終了。大差で勝った試合ではあるが、もし選手だったら勝った気がしないではないかというほどの試合だった。
イメージ 9
 Tre Robersonはパス273ヤードで6タッチダウンパス。自身のランでも155ヤードも走ったほどのスクランブラーぶりである。ランではRBのStephen Houstonが131ヤード,2タッチダウン。D'Angelo Robertsが113ヤード。レシーバー陣はCody Latimerが110ヤード、1タッチダウン。Kofi Hughesが54ヤード、1タッチダウン。Shane Wynn(彼ははランでも活躍しショートヤードゲインの時に登場する)が52ヤード、3タッチダウンという成績。
イメージ 13
 一方パデュー大は、ランは50ヤードだったものの、Danny Etlingのパスに480ヤード、4タッチダウンパスを許すというとんでもない結果に。アメリカンフットボールには、強豪校でなくとも、攻撃陣にはそれなりの才能が集まる。ただディフェンスでもどれだけの才能が集められるかということで、強豪校と普通の大学の差が出る。ディフェンスで勝敗が決まるというのが、ハッキリとわかった。ともにディフェンスはザルとしかいえないようなチームであった。とはいいながら、パデューのQB、Danny Etlingは1年生でありながら先発し、これだけの記録を残せるのだから、大したもの、要注目の存在である。インディアナのQB、Tre Robersonもまだ2年生だから、この対決はまだ数回見られると思うので、楽しみがあらたに増えたという感じである。
イメージ 11
 一応、宿命のライバル校に勝利し、シーズンを終えたインディアナのメンバーは大騒ぎである。勝利トロフィーのOld Oaken Bucketを選手達がかついで回るのが見えるが、なんせ木の桶なので、歴史はあるのだろうが、全くありがたみがよくわからない。どう考えても、安物でも金属のカップの方が絵にはなるよね…と思う。全く何もおぼえていなかったインディアナであるが、個人的にはすごく好きな街ではあるので、また来てリベンジを果たしたいと思う。
イメージ 10
 結局、今シーズンのドラフトでは、3年でアーリーエントリーしたWR Cody Latimerが2巡目24番のピックという高評価でデンバー・ブロンコスに指名。彼がペイトン・マニングのパスを受けるのを見られる日は来るのだろうか。4年生のTE Ted Bolser(背番号83)が7巡目2番のピックで、ワシントン・レッドスキンズに指名された。WR Kofi Hughes、RB Stephen Houstonは残念ながらドラフトにかからず。Hughesはなかなか巧者のレシーバーのように見えたんだけどね。一方、パデュー大もCB Ricardo Allenが5巡目でアトランタ・ファルコンズ。OT Kevin Pamphileが、5巡目でタンパベイ・バッカニアーズと、ともに2人がNFLドラフトに指名されるというやはり両校似たような結果を見せるのであった。ライバル校として、おもしろいというか何というか…。ちなみに来シーズンの両校の対決は、パデュー大のホームで行われる。
イメージ 12