2018/11/18 Indianapolis Colts vs. Tennessee Titans @ Lucas Oil Stadium (NFL football)①

 明けて11月18日日曜日である。シアトル・タコマ空港を深夜0時40分に出発して、シカゴ・オヘア空港に朝6時30分過ぎに着いた。さすがに前日の移動で疲れてすぐに寝てしまったので、眠さはもうない。ここで1時間ちょっと待ち、インディアナポリス行きに乗り換えである。シカゴからインディアナポリスへは飛行機で1時間ほど。車で移動しても4時間もかからないくらいで着けるのだが、ここまで飛行機のチケットを買って移動していれば、1時間ほどで着く乗り継ぎ便を買い足しても、ほとんど金額は変わらないので、飛行機で移動するのが効率的なのである。

 シカゴからインディアナポリスへは、飛行機で移動すると1時間ほどだが、時差が1時間違うので、7時30分に出発して、インディアナポリスに着いたら、現地はもう9時30分なのである。インディアナ州デトロイトのあるミシガン州は、地理的には明らかにシカゴのあるイリノイ州の方と近いのに、時間だけは頑なにニューヨークと同じイースタンタイムにしているから面倒くさい。標準時的な経度の時間で言っても、シカゴの方に合わせた方が納得のいく時間帯のはずなのだが、アメリカでは何かとイースタンタイムの時間で語られるものが多いので、そっちに合わせておいた方が便利なことは確かにあるのだ。

 ということで、インディアナポリスに着いて9時30分過ぎ。これだけの距離を移動し、明けて日曜日13時からのNFLのゲームを余裕で見られる時間に着くという離れ業ができてしまった。空港に着いてレンタカーを借りる。この街はすでに3度目であり、空港の感じもよくおぼえている。ただ、ここでもアラモレンタカーは初めてなので、少し不安があった。インディアナポリスは田舎の街なので、よくわからんところがある。与えられた車は、私には初めての車高の高いSUV仕様の車だった。黒のフォードのタイタニアム。SUVといっても、コンパクトなエコSUVと言われているもので、車高以外は普通のセダンよりも小さいかもしれない。この車の難点は、GPSが携帯タイプではなくて、車に完全に備え付けられている仕様だったということだ。何だかシアトルの時と違って、入力方法もちがって面倒くさかった。しかし、運転するには、このちょっと高めの席の位置が結構、快適で乗りやすかった。この車を最初から予約すれば、割と高めの料金になるタイプなのだろう。
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 車を借りて移動し始めても10時過ぎ。インディアナポリスダウンタウンへは1時間もかからないで着ける。ここでの宿は、ホテルではなく、AirBnBで申し込んだ。マンションの一室を借りるというタイプのもので、どんな部屋なのか、写真では豪華そうな感じではあったが、行ってみるまでわからないので、ちょっと不安ではあった。インディアナポリスダウンタウンの中心で、アメフトのルーカス・オイル・スタジアムにも、バスケットアリーナのバンカーズライフ・フィールドハウスにも近くて歩いて行ける場所にある。フットボールの開催日に泊まるので、値段はだいぶ高くなっていたが、それでも1泊1万円しなかった。ホテルでは絶対取れない値段だった。

 そもそも朝10時過ぎに着けることはわかっていたので、アーリーチェックインと駐車場に車を先に止めたい旨をリクエストはしていた。しかし、あらためてメールをすると、やはりルームクリーニングをしていて、12時前に部屋に入るのはきびしいというようなことを言われる。それはキツイな~と思いながら、マクドナルドで朝飯を食べて、11時過ぎではあるが、一度部屋に行ってみようと考えた。

 問題は、泊まるマンションの場所と駐車場の場所が違うということだった。駐車場は2ブロック南にあるようで、住所も記されていたので、そこに行ってみて、車を停められるならそうしようと思った。時間は11時過ぎくらいになっていた。しかし、自分は重大な事実を見落としていた。この日は日曜日、フットボールゲームが行われる日であり、スタジアムに歩いて行けるほど近いマンションの周辺は、すでに警察が交通規制をしていて、一部の道路を通行止めにしようとしていたのである。

 そして、泊まる場所はホテルのような看板があるわかりやすい場所ではなく、ただ住所があるだけ、車のナビでもgoogleマップでも、建物がどのものか特定できない。しかもこの辺の場所は、建物に大きく番地も書いていなくて、車で流しているだけだとわからない。すでに周りは、警察が交通規制を行っていて、なんとかこの住所の場所に行きたいと警官に言って、周辺をグルグル回っている状態だった。マンションどころか駐車場の方も、住所だけでは場所を特定できなかった。駐車場みたいな場所はいくつかあったが、そこは普通の有料駐車場で、自分が泊まるマンションのパーキングなのかどうかがわからない。

 どこかに車を止めて、歩いて探すしかない。でも、色々なところに警官が立っていて、自分のいる通りは割と交通量もあって、路上駐車ができる余裕のある場所はどこもなさそうだった。とりあえず一時駐車できる場所を探すが、フットボール開催日なので、駐車場はイベントパーキングの高い値段になっているものの、背に腹は変えられない。一番近いパーキングビルの中に駐車して、歩いて探すことに。料金は25ドル。また余計な出費である。本当は止められる駐車場があるはずなのに、別の場所に車を止めている。幸いにも時間制限はないようなので、またシアトルの時と同じく、今日はここに止めておいた方がいいかもしれない。

 泊まる予定のマンションと駐車場を歩いて探す。来ていたメールをもう一度よく見ると、バーになっている店の隣に奥まった出入口があると書いていた。ここか。車で通ってたのに気付かなかった。ほんとにそんなもんである。メールにロック解除のパスワードが書いてあって、押してみるとすんなり入れた。自分が住む部屋は3階にあって、暗い廊下を進んでいくと、記された部屋があり、カギは開いていた。

 玄関のドアを開けると、小さいテーブルがあって、そこにカギ一式が置かれていた。すでに掃除は済んでいるようだ。時間はもう12時近かったが、もっと早く来てもすんなりと入れたんじゃないかという感じだった、ほんとに失敗した。

 廊下を抜けると、驚いた。そこには30畳以上はある黒いソファが置いてあるおしゃれなリビングがあり、さらに横に大きなテーブルがあるダイニングがある。まさか、これが自分の泊まる部屋なの!って感じだ。
さらに手前にはシステムキッチンがあり、コンロにオーブン、電子レンジ、巨大冷蔵庫、ありとあらゆるものが揃っている。さらに奥に入るとキングサイズのベッドルームがあり、バスルームがある。さらに驚いたのは、玄関のドアを入ったすぐ左手にもベッドが2つある別のベッドルームとバスルームもあったのだ。これはゲストルームってこと? いや、すごいよ、この部屋。ここに1人で泊まるってことかよ。これホテルでいえば、十分スイートルームクラスじゃないの? この部屋を1人で借りて、2泊する状況にイマイチ理解ができなかったこんな部屋を格安で借りれるAirBnBには感謝しかない。写真では確かに見ていた。ただ自分の予測では、この広いリビングは同じく泊まっている何人かの宿泊客と共有で、自分の部屋はベッドルームだけなのかと想像していたのだ。
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 AirBnBの部屋の規定には、絶対にパーティー禁止と書いていた。いや、でも本当のことを言えば、ここはセレブがパーティーをするための部屋というのが正しい使い方だろう。この部屋に10人くらい集まったところで、何の狭さも感じないだろうし、違和感もないだろう。ここを1人で泊まることが、もったいない、申し訳ないと感じるほどなのだ。シアトルの時もそうだけど、こんな部屋を使えるなら、もうちょっと色々使い道を考えていた方が良かったと後悔した。以前にインディアナポリスに来た時は、スタジアム近くのホリディ・イン・エクスプレスに泊まったのだが、あまりに普通の狭いビジネスホテルの部屋すぎて、驚いたことを思い出した。その時に比べると、考えられないって。

 部屋のすごさに興奮して、時間を忘れてしまっていたが、もう12時を回っている、ルーカス・オイル・スタジアムに行かなくてはいけない。今日の主要イベントは、まずそこである。NFLインディアナポリス・コルツのホームゲーム、この日の対戦相手は同地区ライバルのテネシー・タイタンズである。確かこの前にコルツを見に来た時も、対戦相手はタイタンズだった。部屋の探索は後にして、とりあえず外出する。

 部屋のカギを確認しながら出かける。一応、取ってもらっていた駐車場の場所は確認しとかないといけないから探してみると、まさかのまさかだった。なんと自分が止めたパーキングビルが、マンションの契約駐車場だったのである。ゲートに、駐車場カードをかざして、出入りする仕組みだった。ああ、もうちょっと早くマンションを見つけて、駐車場のカギをもらっておけば…。もうすでに金は払ってしまっているし。ほんとに余計な25ドルを払ってしまっただけという事実に心底後悔した。やはり毎回毎回無駄なことばかりしている。

 ルーカス・オイル・スタジアムは2回目である。これまで行ったスタジアムの中では、オイルメーカーだけに大胆に実物の車や自動車の部品パーツを展示しているようなデザイン的にもおしゃれな空間で、むやみに広くてやたらと歩かされることもないし、ドーム球場だから中に入ったら全く寒くないというのもあって、一番好きな球場でもある。その印象は今回も変わらず。
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 今回、あらためてインディアナポリス・コルツを見に来たのは、今シーズンは、クォーターバック(QB)のアンドリュー・ラックが怪我から復活していたということがあった。ラックをそれこそ、初めて見たのは、記録を見ると2009年のスタンフォード大在学時であった。その時、初めて私はカレッジフットボールを生で見たのだ。思えばあの頃のスタンフォード大学のチームが、見ていて一番おもしろかったかもしれない。ヘッドコーチは、シカゴ・ベアーズなどで活躍した元クォーターバックのジム・ハーボ―(後にNFLのコーチにまで昇りつめるとは当時思いもしなかった)。ランニングバックには白人だが、ハイズマン賞候補になったトビー・ゲ―ハートがいた。当時のPAC10カンファレンスの王者、USCトロージャンズに勝って、強豪校への道を歩み始めていた時代。ラックはまだ1年生のクォーターバックだった。この時代のロースターにいたかなりの人数がプロに進んでいるから、いかにすごかったかがわかる。RBトビー・ゲーハート、ワイドレシーバーのクリス・オウス、タイトエンドのジム・ドレイ、コービー・フリーナー、ディフェンスでは、DEトーマス・カイザー、ラインバッカーのシェイン・スコブ、コーナーバックにはリチャード・シャーマンなどなど、だが、今も現役で活躍しているのは、アンドリュー・ラックとリチャード・シャーマンくらいしかいない。プロの世界はきびしい。トビー・ゲーハートは大学時代ものすごい成績を残したのに、プロでは1,2試合活躍したゲームはあったものの、全くモノにならなかった。今、彼はどこで何をやっているんだろうか?

 アンドリュー・ラックはその後、順調に成績を残し、スタンフォード大学の一時代を築く、そしてドラフトの全体1位で、インディアナポリス・コルツに指名された、ペイトン・マニングの後継者として期待を受け、本人には縁もゆかりもないインディアナポリスの地ではあったが、才能を発揮しフランチャイズプレイヤーとして存在感を示した。コルツは、彼をNFLの環境に慣らさせるため、大学のチームメイトのTE、コービー・フリーナーも指名したのだ。コルツは、2012年から2014年まで順調にプレイオフに進み、2014年はカンファレンスファイナルにまで進出。しかし2015年に、ラックは肩の怪我で試合に出られずプレイオフを逃すと、復帰した2016年は4000ヤード以上を投げるもチームは8勝8敗でプレイオフを逃す、2017年は、15年からの肩の状態が悪化し、手術に踏み切り、シーズンを全休していたのである。

 2018年はラックが万全の状態で戻って来たシーズンだった。1勝5敗という序盤は最悪のスタートだったが、負け試合にしても全て接戦で落としていたので希望はあった。今シーズンの特筆すべきは、最強のオフェンスラインの構築であった。ラックのサックを受ける回数が例年に比べ各段に減ったのである。相手チームはラックにさわることもできないほどであった。第7週のバッファロー・ビルズ戦からは3連勝。この週のゲームに勝てば、勝率5割となる。コルツのいるAFC南地区は毎年大混戦の地区で、抜け出るチームが出ない。勝率5割でも地区優勝、プレイオフが見えてくるといってもいい。

 一方の対戦相手のテネシー・タイタンズ。QBのマーカス・マリオタは、アンドリュー・ラックがスタンフォードを卒業した2012年に、オレゴン大学の先発QBに1年生でなった人物(意外にも大学時代に2人の対戦はない)。オレゴン大学覇権の時代を作ったのは、彼があってと言ってもいいだろう。2015年にドラフト全体2位で、タイタンズに入団。1年目の年に1ゲームのQBレイティングの最高値を記録するなど、自ら走るスクランブルQBでありながら抜群の制球力を誇る、脅威の新人として注目された。しかし、強豪チームではなかったタイタンズということもあってか、毎年、怪我で数試合は離脱する状況で、シーズン全体では特筆すべき成績は残していない。ラックと違い、年にパスが4000ヤードを超えたシーズンはなく、チームをプレイオフに導いたのは、2017年になって初めてだった。それだけに2018年シーズンは期待を持てたのだが、勝ち星は伸びず、ここまで5勝4敗。しかし、前の週ではニューイングランド・ペイトリオッツに勝利して、勢いには乗っている。

 今回のチケットは、いつものごとくチケットマスターのチケットエクスチェンジで購入。インディアナポリス・コルツのチケットは、他のチームに比べても安い。今回も200ドル以下で、フィールド中央ブロックの1階席の12列目みたいな最高の見やすい席が取れた。以前にコルツを見た時のことを思い出さざるを得ない。記録を見ると2013年だったが、なんと1階席の最前列のチケットが取れたのである。その時もタイタンズ戦であったが、なんとNFLオフィシャルのゲームハイライトに自分の姿が映り込むという一生ものの経験をさせてもらった。実は今回も、最前列の席を取ろうと思えば取れる状況で、普通に出回っていたのだ。フィールド中央のブロックではなかったものの、それは以前の時も同じで、今回も250ドルくらいで買える値段だった。迷いはしたが、意外と最前列は低くて見にくかったという経験もあり、今回はあきらめた。
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 選手が入場し、まもなくキックオフ。やはりアンドリュー・ラックへの声援は特別だ。実は初めて生で見るアンドリュー・ラックとマーカス・マリオタの対決である。以前、2013年に見た時は、マーカス・マリオタはまだ大学生で入団していなかったのだ。当時のタイタンズのエースQBはジェイク・ロッカーだったが、怪我で出場していなかったことをおぼえている。ちなみに彼はワシントン州出身でワシントン大学のOBである。