2012/10/28 Vanderbilt Commodores vs Massachusetts Minutemen (NCAA football) ①

 結局、ニューヨークにいたのは1日だけで、 次の日はいよいよナッシュビルへ移動である。 マンハッタンを出るときは、無事 リンカーン・トンネルから抜けることができた。工事中らしく、 確かに入口がわかりにくかった。 なので、予想以上に早くニューアーク空港に着いたのだけれども、 今度はナッシュビル行きの便のターミナルが変更になっており、 しかも空港内を移動するエアトレインが走っていないという事態に 。代替のシャトルバスの乗り場がわかりにくく、 ターミナルに着いたのは、 結構ギリな感じの時間になってしまった。 ほんとに旅行には、何があるかわからないということを思い知らされた。 しかも、 レンタカーの車内に、国際免許証を忘れてしまうというバカまでやって しまった。 ナッシュビルで、車が借りれなかったらどうしようという余計な心配まですることになってしまった。
 
 ナッシュビルまでは2時間ほどのフライト。時差があるので、 着いたら昼だった。幸いにも、国際免許がなくても、車は 難なく借りることができた。国際免許って、ほんとに必要なのか?と思う(次に国際免許を取りに行く時は、 間違いなく怒られるわけだけだが…)。 今回の愛車は茶色のトヨタカローラ。 こういうコンパクトな車が一番楽である。
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 実はナッシュビルは初めてではなくて、 学生時代にテキサスからグレイハウンドに乗って、南部を旅していた 時に立ち寄っているはずなのだが(とはいっても1泊程度)、 ものの見事に何一つ覚えていないし、デジャヴすら感じない。 20年近くも前だと、そんなものなのかと思う。 当時撮った写真も、 もうどこに行ったのかわからなくなってしまって、 一切見返すこともなかったし、実際そんなもんなんだろう。
 
 ホテルは、フットボールスタジアムである LPフィールドの駐車場に面しているラマダを取った。 ここなら、歩いてLPフィールドに行けるから、実に便利なのだ。 しかし、フットボールの試合がある週末は、 駐車場代として余分に30ドルも取られた。 これなら普通に車を運転して、 スタジアムの駐車場に止めるのと変わらないんじゃないか。
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  この日は土曜日。LPフィールドでのテネシータイタンズの試合があるのは、明日、日曜日。そこで今日行くのは、 ヴァンダービルト大学だ。 日本ではなかなか知っている人も少ないだろうこの大学だが、 全米大学ランキングでは20位以内にランキングされるほど、 南部の名門として学術的に非常にレベルが高い大学なのである 。実は日本人でも、 医学系の人はここに留学している人が昔から多かったりするらしい 。創立は、1873年というから、結構古い。 ヴァンダービルトというのは、創立者である実業家の名前だから、 私立大学である。ナッシュビル市内には、 このヴァンダービルト大学が中心部に位置している。
 
 ヴァンダービルト大学のアスレチックチームは、 コモドアーズという。 チームカラーはゴールドと黒だったりするので、 フットボールのユニフォームは、ニューオリンズ・ セインツみたいで、カッコイイのだ。フットボールチームは、 アラバマ大、フロリダ大、ジョージア大など、 全米屈指の強豪がひしめくNCAAディビジョンⅠのサウス・ イースト・カンファレンス(SEC)に所属するので、 毎年好成績をおさめられることは少ないのだが、 それでもNFLにこの大学出身者を何人か見うけられる。一番有名なのは、 ジェイ・カトラー(シカゴ・ベアーズQB)だろうか。 どちらかというと、地味だが、いい味を見せる選手たちで、 雰囲気としてはスタンフォード大やラトガース大に近い感じである。基本、頭のいい学生だったりするので、選手として使い勝手がいいのだろう 。
 
 土曜日は基本カレッジフットボールのゲームがある日なので、 ヴァンダービルト大のフットボールチーム、コモドアーズの試合の チケットを取って、行ってみることにしたのだ。金額は35ドル。残念ながら、 チケットは日本のクレジットカードでは買えないので、 代行サービスに頼んで買った。本日の対戦相手は、 マサチューセッツ大学。強いチームではないので、 負けることはないと思うので、試合はおもしろくないだろうが、 コモドアーズの見せ場はあるだろうとふんだ。
 
 大学構内は、アメリカの大学にしては、決して広くなく、こぢんまりとしているのだが(それでも日本の国立大学よりは広いと思う)、 ちゃんと立派なフットボールスタジアムがあったり、 施設は充実している。せっかくなので、 試合の1時間以上前に行って、大学内を観察してみることにした。 おもしろいのは、メインストリートみたいな広い通りがあって、 そこに多数人が集まっているので、何事だろうと思っていたら、 マーチングバンドやチアリーダーが登場して、演奏がはじまった。 ちょっと高台になっている場所にフットボールチームのクラブハウ スがあり、そこから選手が登場し、 スタジアムまで入るまでがイベントになっている「 コモドアースターウォーク」というものだった。歓声で迎えられ、 スタジアムに入っていく選手たち。 まさに田舎の大学ならではのイベントではないだろうか( 都会の大学にもあるのかもしれないが、 そういうのにこれまで出くわしたことがなかった)。
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 さらに構内を歩いていて目を引いたのは、 クラブハウスみたいな一軒家がいくつもあって、 そこのどれもに外にまであふれんばかりの学生たちが集まって、 みんなして酒を飲んで、音楽を大音量でかけていて、 どんちゃん騒ぎ的なことをしていたことである。 寮という感じの建物でもないだろうし、 サークルやクラブにこのような一軒家が与えられていたりするのか よくわからず、 それぞれ建物ごとにちがう集まりだったりするのかもわからず、 そもそも今日がフットボールチームのホームゲームだから集まって いるのか、 別の集まりなのかもよくわからず、 この騒ぎっぷりならば、多分試合がはじまっても、 おそらく彼らはスタジアムに行くこともなく、 試合をちゃんと見ることもなく、 延々この調子なんだろうなという感じだった。結局、 横目でそのままスタジアムへと歩いていったので、そのまま見送ったので、謎は解明されることもなかったのだが。
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 スタジアムもどちらかというと、バカでかくはなく、 こぢんまりとした感じ。大学のスタジアムなので、 売店も申し訳程度しかなく、 とりあえずプログラムだけ買った。 チケットも上方の席を買った。基本、 大学のゲームは学生のために優先的にいい席が確保されている。 なので、一般に買える席はそれほどいい場所でなかったりする。 でも、席はガラ空きのようにあいている。ああいう席を売ってくれないものかね。せめて、一般の席でも、外国人にオンラインで買えるようにしてくれ。気づいたことは、この大学は、マーチングバンドが実にしっかりしていることだ。これまで見たどこの大学よりも人数が多い。レベルも高いかもしれないと思った。
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  さて、このヴァンダービルト大学。 ナッシュビルの中心部の便利な場所にあることと、 SECカンファレンスのチームだということと、 ユニフォームもカッコイイというのがあるけれど、 それでもわざわざ見に来たというのは、もう一つ理由がある。 このチームのエースQBは、ジョーダン・ ロジャースであり、彼を見たかったのだ。そう。 あのグリーンベイ・パッカーズのQB、アーロン・ ロジャースの実の弟なのである。もしかして、 ロジャース家はナッシュビル出身なのか?と思うかもしれないが、いやいや、そんなことはない。出身はカリフォルニアだ(ちなみ兄、 アーロンの出身大学は、カリフォルニア大学バークレー校・ ゴールデンベアーズである)。ジョーダンは、 兄と同じ高校でQBとして活躍するも、 最初はカリフォルニアのマイナー・カレッジに通い、 そこで実力を見せて、 このヴァンダービルト大学に奨学金をもらって転入したのである。 なのでサラブレッドというより、 意外に苦労人で実力もある感じなのである。
 
  彼は強豪ひしめくSECカンファレンスで、 ヴァンダービルト大を2年連続ボウルゲーム出場まで導いた。 NFL入りもあるかもしれないと言われている存在 なのである。ちなみにアーロンは3兄弟の次男で、 ジョーダンは3男らしい。だが、親や兄弟がいくらすごくても、 自分も活躍できるだけの素質と実力と運があるかどうかは別の世界 。ジョン・エルウェイの息子しかり( アリゾナ州立大のQBだった)、マイケル・ヴィックの弟しかり( 兄と同じヴァージニア工科大のQBだった)。 有名な親や兄弟がいても活躍できなかった人間だって、かなりの数がいるのだ。それを考えると、 いかにマニング兄弟が特殊な存在かというのがわかる。そして、 ジョーダン・ロジャースであるが、 とりあえずこの日の試合のスターティング・ ラインナップには出ていたので、ひと安心である。
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