(NHLアイスホッケー)サンノゼ・シャークス vs オタワ・セネタース San Jose Sharks vs Ottawa Senators @ HP Pavilion 2009/12/01

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 明けて12月になり、1日。この日はサンノゼ(San Jose)である。なかなかに大きな街である。とは言いながら実際聞いても信じられないのだが、この街は今や全米で人口の多い街ベスト10に入るほどの都市なのだ。なんとサンフランシスコよりも人口が多いのである。

 この街に来たのは、NHLアイスホッケーのサンノゼ・シャークス(San Jose Sharks)を見るためである。大都市ではあるが、この街をホームにしているメジャースポーツのチームは、シャークスだけ。これまでサンフランシスコには何度も来ているので、シャークスも見に行きたいとは思っていたのが、なぜかNHLだけスケジュールが合わず、ここまで来ることはなかった。実際サンフランシスコからサンノゼに行こうと思うと、車がないと電車のカルトレインに乗って行くしかないので、結構面倒くさいものなのだが、今年は無論そんなことを心配する必要もなく、アッという間に車で着いてしまった。

 サンノゼ・シャークスのホームは、HPパビリオンという。実におしゃれな建物だ。白い骨組が透けて見えるデザインがライトアップされて美しい。格式高いデトロイトのジョー・ルイス・アリーナも味があって好きだけど、ホッケーのアリーナとしてはこっちの方がいいかな。今回は初めてのHPパビリオンということで、チケットも奮発して高いのを買った。126ドルである。おかげでクラブシートのむっちゃ見やすい席で、ラウンジも利用できた。ホッケーの場合は前の席すぎると、パックが飛んで来ないように設けられているシールドがあって見にくくなるので(遠目には透明でクリアなように見えるが、近づくとけっこうキズだらけで角度によってはゆがんで見えたりする)、シールドのちょっと上くらいがベストなのである。ちなみにシャークスの選手登場は鮫の口を模した登場口から出てくるのだが、実はその鮫の口がアリーナの天井にずっと吊るされていて、ちょっとまぬけであった。

 サンノゼ・シャークスはここ10年、ほぼ毎年プレイオフに出場する強豪チームになっているが、プレイオフではなかなか勝ち進めないチームとしても知られている。カンファレンス決勝まで進めたのはわずか一年だけ。昨年度はウエスタン・カンファレンス1位どころかリーグ1位となる成績をおさめながら、プレイオフ一回戦で早々に負けてしまうという失態を犯してしまった。それだけに、今シーズンに賭ける思いは相当なもののはずだ。今年はオリンピック・イヤーということもあり、NHLも盛り上がるはずだし。

 この日の対戦相手は。オタワ・セネタース。奇しくも去年デトロイトで見た試合も対戦相手はオタワだった。ともにこのディヴィジョン1位を走るチーム同士の対戦ということで、NHL屈指の好ゲームとなるはずだったが、去年見た時とちがって、この日のオタワは迫力に欠けていた。強固なはずのディフェンスも見られず、第2ピリオド序盤で4-1というスコアになってしまい、シャークスは完全に余裕モードになっていた。最終スコアは5-2。それだけシャークスのハイパーオフェンスが炸裂したということだろう。

 勝ちゲームを見れたという点では良かったのだが、何がショックだったかと言えば、シャークスのゴーリーがエブゲニ・ナボコフ(20 Evgeni Nabokov)じゃなかったってことだ! 今年35歳の彼は、ロシア人で1999年にNHLのシャークスに加入し、NHLではシャークス一筋、オフェンスばかりが圧倒的に注目される中、シャークスのディフェンスを支えてきた男であり。ロシア代表のゴーリーでもある英雄だ。そんなナボコフもついに先発降格の時代となったのかと思っていたが(なんせウォーミングアップの特は姿を見せていたので、ケガではないはずだと思っていた)、どうやらそういうことでもなかったらしい。

 この日の先発はトーマス・グレイス(1 Thomas Greiss)だったわけだが、シャークスのゴーリー2枚使いは良くある話で、結局その後の多くの試合はナボコフが先発をつとめていて、ほんとにたまたま自分が運が悪かったということだったようだ。今思うと、ちゃんとウォーミングアップの時、写真を撮っていればよかったなと…。あと何年現役を続けていられるのかわからないが、彼がリンクでシュートをセーブする姿を生で見る日はまた来るのだろうか?と思った(結局、ドミニク・ハシェックが動く姿は生で見れなかったわけで…)。でもロブ・ブレイク(4 D Rob Blake)は今年41歳でもまだシャークスで頑張っているわけだし、その機会はまだまだあるはずだと思いたい。ナボコフは今年のバンクーバー・オリンピックのメンバーにも入っているので、要注目である(ちなみにグレイスはドイツ代表だ)。

 それでも、この日のスター・オブ・ザ・ゲームは2得点をあげたパトリック・マーロウ(12 C Patrick Marleau)だったわけで、初めて見たシャークスの試合で、シャークス一筋の生え抜きの選手の活躍が見れたのだから、運がよかったかもしれない。ちなみにマーロウはオリンピックのカナダ代表に入っているので、これまた要注目である。

 実はこの日のゲームには別の注目点があって、今シーズン、シャークスとセネタースの間でトレードがあって、カナダ代表にも選ばれているダニー・ヒートリー(15 LW Dany Heatly)がシャークスへ、ジョナサン・チーチュー(41 RW Jonathan Cheechoo)とチェコ代表のミラン・マカレック(9 LW Milan Michalek)がセネタースに移った後、初めての古巣との対決となったのだ。結果はヒートリーが2アシスト、マカレックが2得点と、ともに移籍した選手がすばらしい活躍を見せた試合となった。チーチューは得点にはからめなかったが、会場にはチーチューのジャージを着た人がとにかく多いことにびっくりであった。いかに彼が愛された選手だったことがわかる。チームの得点王にもなったくらいだからね。珍しい名前でアナウンサーも色々もじりやすかったし。確かにヒートリーの存在は大きいが、チーチューやマカレックがいなくなっても全然大勢に影響しないシャークスの選手層はほんとに厚い。

 私が個人的に注目した選手は、デヴィン・セトグチ(16 RW Devin Setoguchi)だ。詳しいバイオが探しても載っていなかったのでわからなかったのだが、名前からしておじいちゃんの代が日本人とかいう日系何世だと思う。顔つきもちょっと日本人っぽい。ポール・カリヤと同じような境遇なのだろう。アルバータ州出身のカナダ人で、今年23歳のフォワード、2005年のドラフトでシャークスに指名されたのだが、ロースターに定着したのは昨年度からのようで、まさに今が旬の選手である。
 http://www.nhl.com/ice/player.htm?id=8471682

 アメフト選手みたいなガタイのいい体格なのに、とにかくスピードが速い。そして当たり負けすることがないのだ(だからケガも多いとの指摘も)。今年になってからは、ファースト・スコアリング・ラインに入ったこともあるというからすごいことである。何せシャークスはバンクーバー・オリンピックの各国代表チームに入っている選手がちょっと数えただけで9人いるチームである(NHLでおそらく最多だと思う)。そこを2部のAHLのチームと行き来しながらようやく定位置を確保したのである。明日のシャークスを担う人物にはもちろん、カリヤ2世というべきNHLを代表する存在になるかもしれない。彼の詳しいルーツがわかれば、日本人は絶対興味持つのにと思った次第である。

 ということで、あらためてNHLはおもしろいと思いながら帰途についた今回の旅であった。いよいよバンクーバー・オリンピックが始まるわけだが、今回は決勝戦すら地上波ではやらないようだ。どうなってんだか。あれだけヨーロッパのサッカーはフォローするくせに、同じくヨーロッパで人気があるアイスホッケーは完全放置プレイである。サッカーよりも全然おもろいのにねー。ちなみにNHLはオリンピック・ブレイク(2/16~)ということで、レギュラーシーズン再開は3月1日からである。