2020/01/05 Washington Capitals vs. San Jose Sharks @ Capital One Arena (NHL Ice Hockey) ②
ワシントンDCのダウンタウンにあるキャピタル・ワン・アリーナ。NHLアイスホッケー、ワシントン・キャピタルズ対サンノゼ・シャークスの試合を私は見に来ている。NBAワシントン・ウィザーズと合わせて、これが3度目のキャピタル・ワン・アリーナである。
運命の最終、第3ピリオドが始まる。 大きく試合が動いた第2ピリオドに対して、 ディフェンスは手堅く、シュートにすら結びつかない状況が続く。 シュートと言えるのは、ワシントンのセンター(C)クズネツォフ(背番号92)とディフェンダー(D)ジョン・ カールソン(背番号74)が放ったくらい。 サンノゼの攻撃は完全に封じられている。
残り15分29秒、ワシントンのCニック・ ダウド(26)のクリアしたパックが観客席に入り、ディレイ・オブ・ ゲームのペナルティー。サンノゼがパワープレイを展開するが、Dブレット・バーンズ(88)のシュートははじき返され、試合は動かない。 残り12分16秒、シャークスオフェンスが攻勢をかける。だが、レフトウイング(LW)パトリック・ マーロウ(12)の浮かしたリストショットは簡単にゴーリー(G)ブレイデン・ホルトビー(70)にセーブされる。ライトウイング(RW)ティモ・マイヤー(28)のショットも簡単にブロックされた。 翻ったワシントンの攻勢、Dディミトリ・ オーロフ(9)のショットはシャークスのGマーティン・ ジョーンズ(31)の体に当たって止まる。続いてCラース・ エラー(20)が抜け出し、ディフェンダーと1対1のとなるチャンス。 後ろから来たLWカール・ハガリン(62)に渡すが、 彼のシュートも止められた。
残り9分40秒、 ワシントンの攻撃をクリアしたサンノゼが速攻をかける。 3対1の絶好の状況となったが、左サイドから上がったLWイベンダー・ ケイン(9)のセンタリングはティモ・マイヤーに合わずに阻まれた。すると、 このプレイ後にケインが相手ディフェンダーに突っかかり、 ペナルティを取られ、ワシントンのパワープレイに。しかし、 この好機もワシントンはパックを後逸するなど、 まともな攻撃にならない。双方ディフェンスが堅く、 このままサンノゼが勝つかと思い始めていた。
残り5分8秒、ワシントンのジョン・カールソンがディレイ・ オブ・ゲームのペナルティーを取られ、 またもサンノゼのパワープレイに。しかし、イベンダー・ ケインは倒され、Cローガン・クチュール(39)のシュートはブロック、 ワシントンは見事なクリアで時間を消費させ、 ここでもサンノゼは全く有効的なシュートも撃つことができない。
サンノゼのパワープレイが終わって、残り3分となり、 ワシントンが総力戦をかけてくる。ジョン・ カールソンのシュートがゴーリーにキャッチされて時計が止まった。 残り1分41秒でのフェイスオフを取って、ワシントンはついにゴーリーを下げた。スケーターを6人にしての総攻撃。ただ、パックを取られると、ゴーリーがいないので、点を取られる可能性が限りなく高くなる。ジョン・カールソンから、 クズネツォフ、Cバックストローム(19)、RWのT.J.オーシ―(77)と渡し、 最後はCアレックス・オベチキン(8)がシュートを放つが阻まれた。 ゴール裏の攻防からパックが再び戻ったところで、ジョン・ カールソンのオベチキンへのパスを、サンノゼのティモ・ マイヤーがインターセプト。 ワシントンのディフェンスは何とか戻るが、 体勢を立て直そうとしたところで、サンノゼがパックを奪い取り、 センターに上がっていたローガン・クチュールにパス。 そのままゴーリーのいないエンプティネットにシュートを入れる。 これで4-2.残り1分。もうサンノゼが勝ったと誰もが思っていた。
まだワシントンは終わっていなかった。フェイスオフを取り、攻め込んだゴール裏。 そこから抜け出したパックが戻り、センターに押し出されると、LW ジェイコブ・フラーナ(13)が1回転しながらのターンアラウンドシュート、 これが決まり、4-3。残り47秒、 わずか10数秒の出来事だった。 まさに取られたらすぐ取り返すキャピタルズの面目躍如。
キャピタルズファンは盛大に盛り上がる。次のフェイスオフもワシントンが取った。 両チームとも必死である。一度アイシングで時計が止まり、 残り33秒、またもフェイスオフをワシントンが取る。キャピタルズが攻めるハーフコートでプレイが進む。 右サイドのフェンス越しの攻防から抜けたパックは、 ゴール前で待つ、T.J.オーシ―の元へ。 振り切ったショットはゴール左隅に入った。なんと、残り15秒で4- 4の同点。こんなことがあるのか? シャークスファンには悪夢のような瞬間だった。 天を仰ぐ、サンノゼのゴーリー、マーティン・ジョーンズ。 歓喜に沸くホームの観客。これがワシントン・ キャピタルズの底力なのか。残り15秒、 フェイスオフはシャークスが取るが、 攻めきれずにオーバータイムへ。
サンノゼ・シャークスの楽勝のゲームかと思っていたのが、 まさかのオーバータイムである。イベンダー・ ケインにとっては3度目のハットトリックのゲームが、こんな形にな るとは思いもよらなかっただろう。 アイスホッケーは本当に何が起こるかわからない。 NHLではオーバータイムとして5分が設定されているが、 ゴールが決まった時点で終了のサドンデスである。 意気消沈しているかに見えたサンノゼであるが、 まだ負けるつもりはなかった。意気揚々と攻め立てる。 残り4分13秒、ティモ・マイヤーのショットは外れるが、 悪くはない展開だ。
ワシントンはニクラス・バックストロームが攻め上がるが、 ゴール裏に回って戻したところをサンノゼが奪い返し、 速攻をかける。2対1となり、ブレット・バーンズからイベンダー・ケインに合わせるが、Gホルトビーが止めた。リバウンドをワシントンが取り、 反転攻勢をかける。オベチキンが右サイドから上がるが、 シュートは撃てず。ここでクリアしたパックが、前線のブレット・ バーンズに渡り、一気に駆け上がった。ゴーリーのホルトビーと1対1となった絶好のチャンス。しかし、 バックハンドのショットは、ホルトビーが体で止め、 ゴールならず。ここでサンノゼ・ シャークスの望みは絶たれたかもしれない。
そのまま攻撃に転じたワシントンは、ジョン・カールソンが敵陣内に持ち込むと、 2対1の流れとなり、左から上がったセンターのラース・ エラーにパスすると、そのままリストショットを放ち、 ゴールの右隅に吸い込まれた。残り2分59秒、4- 5でワシントン・キャピタルズの勝利で試合終了。まさに一瞬の出来事だった。何ということだという言葉しか残らない。 こんな試合を見れたことは儲けものではあるが、 シャークスファンとしてはショックが半端ない。 最高潮の盛り上がりを見せたワシントンのホームの観客、それは当然だ。どう見ても落とした試合だったから。
ゲームまとめを見ると、ショット・オン・ ゴールの数は双方29本と変わらない。 パワープレイを生かせたサンノゼと、ワシントンで違いはあったが、 結局はワシントンの執念が勝ったということか。 昔はNHLのゲームでは3スターズといって、 その試合の際立った人物を3人選ぶということをしていたはずだが 、最近はもうちゃんとやらないみたいね。
1月はこんな状態であったが、 それがコロナの影響で中断することになるとは、 この時は思ってもいなかった、それでもNBAと同じく、NHLも会場を限定してシーズン再開、70試合で終了し、プレイオフ進出決定戦を行った。プレイオフ、 そしてファイナルと、感染クラスターを起こすことなく、NHLもシーズンエンドを迎えた。結局、ワシントン・キャピタルズは、 イースタンカンファレンス3位でプレイオフを迎えるが、 ニューヨーク・アイランダーズに4勝1敗で敗退。 この日の熱狂は何だったんだろうというシーズンエンドだ。サンノゼ・ シャークスは29勝36敗5分とウエスタンカンファレンス最下位 に終わり、プレイオフにも出れず。 思えば今シーズン最大のつまづきが、この日の試合だったのかもしれない。 スタンレーカップ優勝への道はまだまだ遠い。
ゲームが終了したのは、15時半を過ぎていた。 この日はもう一つ行くイベントの予定を入れていたので、試合の余韻を噛みしめることもなく、会場を早々に後にして車で出かけることに。