Mika(ミーカ)の新作(2作目)"The Boy Who Knew Too Much"

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 ファーストを聴いた時は、『現代のクイーン』だと思ってうれしくなったものだが、2作目の今作も相変わらずスゴイ。ただ今作で思ったのは、この人はクイーンというよりも80年代ポップの体現者なんだろうということだ(なぜか私がピンときたのは、ニック・カーショウだった!)。声はジョージ・マイケルに似てきたというべきか。

 ジャケットのデザインからして、1作目とレイアウトをここまで同じにするところからして何と言うか、「自分は何も変わらないでこの路線を突っ走りまっせ」という決意のようで興味深い。確か1作目のジャケは本人のデザインだというのを知ったおぼえがあるが(前作のCDを捜して確かめたかったのだがすぐに見つからなかった)、今作も本人作だったりするのだろう。このジャケット、色合いは確かにちがうのだが、まちがえて前作を買ってしまう人がいないか心配になったのだが。

 ただこの人の注目すべきところは、その歌詞のひねくれたところにもある。音はポップソング全開であっても、よく見ると(聴くと)歌詞が変だ。他人を突き放したようであり、理解されない孤独な自分であったり。その辺はバイオで語られているところの、幼少期に各地を転々とした時の居場所のなさ感やいじめ体験などが元になっているのだろう。

 シングル曲の”We Are Golden”からしてそうである。
(歌詞は、http://www.kovideo.net/lyrics/m/Mika/We-Are-Golden.html を参照)
一見すると究極のポジティヴソングであるのだが、よく歌詞を見ると、それは負け惜しみというかカラ元気とでもいうべきものだと感じられる。自分はこんな人間じゃない。何かできる人間だと思いながら、一歩踏み出せない自分の勇気のなさとその焦燥感。それを他人から指摘された時に、精一杯否定する自分(でもそんな自分を嘆いている)とでも言うべきものであろう。本当ならば、”I Am Golden”とするべき内容であるはずだが、そこをweにしたところが、でもこの気持ちをわかってくれる人が他にもいるはずという、Mika自身の呼びかけであるように読み取ったのだが、いかがなものだろうか。

 一作目ほど売れるのかどうか正直わからないが(もう3年前である)、なぜか気になる人物なのである。