あえて言う! 私の「2006年のベストアルバム」はこれだ!!(中編)

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 またいつまでやるんやという感じですが・・・、引き続きランキングです。


 第7位 『Back To Black』 AMY WINEHOUSE (Universal Island Records 171 421 1)

 たまたまあるサイトで知ったこのアルバム、HMVのインターネットでなんとか取り寄せて買った。聴いてなるほどクセになる。何か60年代70年代のソウルを意識した、ロバータ・フラックアレサ・フランクリンみたいな感じ。冗談じゃなく本人の声量はかなりある。ルックスは若い頃のシェールみたいな感じで、目立つタトゥーとともに、ファッションもインパクト大。(曲の雰囲気も似てるかも)(とは言ってもその時代を肌で知るほど年ではありませんけどね)。

 エイミー・ワインハウス、すでにセカンドアルバムだそうだが、まだ23歳だそうだ。しかもイギリス人というのに驚いた。こういう人が出てくるからUKは奥が深い。しかも彼女は全部の曲を書いているソングライターでもある。プロデュースはマーク・ロンソン!にサラーム・レミ(ファーストも担当)というから、その期待の高さがわかる。あれよあれよという間に、このアルバムはUKチャート1位になってしまい、彼女はブリットアワードで、ベスト・ブリティッシュ・フィーメール・アーティストまで受賞してしまった。でもまだ日本盤は発売されてません。

 なんかゴスペルをやっていたような感じがあるけれども、本人は昔ラップグループを組んでいたらしい。聴いていた音楽はソルト・ン・ペパからサラ・ヴォーンと幅広い。彼女に関して注目されているのは、その破天荒な生活ぶりでもあり、そもそも「Rehab」という曲がアルコール中毒矯正施設入りを拒否する歌だったりするわけで、それ以外にも摂食障害や薬物問題だとか、様々な過去があるらしい。そんなところが彼女を年相応に見えないミュージシャンたらしめているものかもしれない。

 いずれにしてもこれだけ聴いて圧倒されるアーティストってなかなかいない。名実ともに注目のアーティストにはちがいないです。これからHIPHOP系のアーティストにもフィーチャーされるに違いないでしょう。アメリカではOKAY PLAYERの所属に入ったらしいですし。ザ・ルーツとかとの共演もあるかもです。


 第6位 『Loose ルース』 NELLY FURTADO ネリー・ファータド (ユニバーサル UICF-1065)

 言わずとしれた大ヒットアルバム。まさかここまでヒットするとは本人も思わなかったでしょう。いわゆる大ヒットしたアルバムというのは、評論家やライター達も自分がそこまで持ち上げる必要はないんじゃないかとも思ってしまうんでしょうね、このアルバムを上位に挙げる人は少なかったのは事実だが、それでも傑作にはちがいないので、あえて私は上位に挙げることにする。なんせほぼ全曲ティンバランドのプロデュース。今どきそんなに彼が力の入るアルバムがミッシー・エリオット以外に実現するということは、彼にとっても会心のアルバムなわけでしょう。実際それだけのアルバムだ。

 このアルバムのうまいところは、80年代ポップスのにおいをうまい具合に仕込んであるところだろう。逆にHIPHOPというにはあまりにも遠い。初期マドンナというかユーリズミックスというかリサ・リサ&カルトジャムというかティファニーというか、ピコピコする電子音をはさんだりとか特にね。でも、その辺も含めてティンバランドだと言われればそれはそれで納得してしまうのである。「マンイーター」にしても本家!?ホール&オーツの曲すら連想させるところがある。ただそれだけに終始せず、自らのルーツでもあるラテンテイストも入れているところが彼女のこだわっているところなのだろう。

 しかしアメリカでもイギリスでも1位とは、セカンドアルバムの『フォークロア』は何だったんだというほどの結果である。『フォークロア』は個人的にはこれでこれで好きだったんだが(母国カナダではヒットしたらしい。そういえば彼女はカナダ人だったんですねー)。

 最近の動向を聞かないが、これだけヒットしたアルバムをうけて、彼女が自作で再びティンバランドと組むのかが気になるところだ。これまでとにかく意外な方向で楽しませてくれただけに、その辺の動きも気になるところでしょう。あえてまたはずしてくれることを期待してますが。


 第5位 『Yo Yo Yo Yo Yo ヨーヨーヨーヨーヨー』 SPANK ROCK スパンク・ロック
 (Beat Records BRC-146)

 このゲーム音のような音楽にラップがのっている様はやはり驚きだった。スパンク・ロック、MCのナイーム・ジュワンとDJのトリプル・エクスチェンジことアレックス・エプトンからなる二人組の、これがデビューアルバムである。ナイームは10代の頃、RAWKUSのモス・デフやタリブ・クウェリらと交流があったらしい。そんな人間がレゲエ、エレクトロ、ハウス、マイアミ・ベースなどとも形容しがたいトラックで展開するHIPHOPとも言いがたい音楽に行き着くのである。

 でもこういう曲って前になかったっけ?あったよね?と思いながら、スチャダラパーの『ゲームボーイズ』じゃないか!と思い出して聞き直してみたら、やっぱり違ってたね・・・。電気グルーヴにもなかったっけ? なぜか自分にはちょっと懐かしいような感じがしたものでもあったのだ。

 しかしこのアルバム、なぜかbmrやblastなどのブラック・ミュージック系の雑誌のライター達で評価する人が少なかった。確かに純粋なHIPHOPではないけど、こんなものが出てくるからHIPHOPっておもしろいんだけど・・・。彼らは一体何を求めてるんだろうね? スパンク・ロックの曲(アルバムの4曲目)『リック・ルービン(そんなタイトルの曲名です)』は、そんな閉塞したHIPHOPに対して、十分な革命宣言となりえていたように思う。

 ということで私はこのアルバムは断然支持します。アルバムを通して聴くと、ちょっとだれたりするところもあるけれども、それでもこのインパクトある何曲かは十分HIPHOPの一つの到達点にはちがいない(何とかならんのかと思う下品なリリックの曲だったりもするんやけど)。ちなみに個人的なベストトラックは6別椶痢悖稗唯叩戮任垢諭


 第4位 『Costello Music コステロ・ミュージック』 THE FRATELLIS ザ・フラテリス
 (ユニバーサル UICI-1052)

 正確に言うと、このグループ及びアルバムを知ったのは今年に入ってからなんやけど、実際日本盤が出たのは3月になってからだったりもするけど、かと言って本国で発売されたのは去年やしブレイクしたのも去年なので、これを今年のベストに入れるのもまぬけなので、去年のベストに入れるとしたら、ここに入れるしかない!というわけで、こんなに上位になってしまいました。実際それだけの強烈な印象を残した久々のロックバンドである。

 スコットランドグラスゴー出身の3人、ジョン・フラテリ(Vo,G)、ミンス・フラテリ(Dr)、バリー・フラテリ(B)によるフラテリス。何なの?兄弟?親族?かと思うが、アルバムを見ただけでは、ジャケットにもインナーにも決して美人ではないランジェリー姿の3人の女性(むしろオバサン?)のイラストがあるだけ。メンバーの写真は全く出ていない。そこでこちらは、あえてそういう売り方をしているバンドなんだなと納得する。

 となるとPVでもメンバーを明かさないものなのかと思いきや、最初のシングルの『ヘンリエッタ』ですでにバンドメンバー顔出してるやん!って力も抜けてしまった感じなのであった。しかもそのメンバー達は、どう見てもさえない兄ちゃん(というかオッサン)であった。調べてみるとさすがに30は越してなかったが、やはりオッサンだ。さらに顔を見ても明らかに兄弟でもないだろうし親族でもない、そもそもfratelliという言葉自体が兄弟を意味するという、まさに人をくったかのようなバンドだったのだ。しかも彼らバンドを結成して1年もたってないらしい。『コステロ・ミュージック』というタイトルも、エルヴィス・コステロとは関係ないらしい。ちょっとちがうというか、ちがうしね。

 そんな売り方もあったのだろうが、バンドは大ブレイク。すでに本国イギリスでは60万枚を売り上げ、このアルバムからはなんとシングル4枚が出て、2曲目の『フラットヘッド』はiPODのCMソングにまで起用されてしまったからすごいものだ。

 曲はシンプルなロックンロールなんだけど、どこか懐かしさがあり新しさも感じる、最初にストロークスやジェットを聴いた時のような感覚を得たバンドだった。こういうのを求めていたのに、今までなかったようなもの。最初から最後までずっと突っ走っている感じの気持ち良さがそこにはあるのだ。

 それは私が決してリバティーンズアークティック・モンキーズ、そしてクラクソンズには感じなかったものである。何なのだろう、これは? 決してギミックのない、格好をつけていない、あくまでストレートなポップソングだったからなのかもしれない。彼らのどうにもさえない姿を見てから、さらにその思いが強くなった。ウィーザーを見た感覚とも似ているのかな?とも思った。


 ということで残念ながらまだ終わらないので、次回も続きます。