ドラマ『ブザー・ビート』の最終回のバスケシーンについて

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 珍しく(というか以前にもアイスホッケーを取り上げていたりして、日本でのマイナースポーツに関心があるかのように見せている?フジテレビの月9なのだが)今回バスケットボールを取り上げていたので、観ていたのがドラマ『ブザー・ビート』である。

 主人公の部屋に飾っているのが、レジー・ミラーのジャージだったりして、なかなかバスケットボールをわかっている人が作っているんだなと思っていたこのドラマである。もちろん日本のプロバスケットボールチームが抱える現状だって表面しか描かれないし、主人公の所属するチームの勝敗状況がどんなものかもきちんとフォローしないし、そもそも1時間のうちにバスケットボールのシーンだって申し訳ない程度にしか出ない回も多々あったが、それは恋愛中心の月9には意味のないことだし、基本的に興味があるのは主人公の恋の行方だけで、一般の女子がわからないものをそんなに出しても仕方がないだろうという考え方も理解できるわけだが、今回の最終回のバスケットボールのシーンを観ると、やっぱり救いがないなと思った次第である。

 試合の残り時間もわずかの中、主人公のチームが負けている展開で、延々と見せるのは主人公のバスケットカウントのフリースローじゃないだろう。もちろん以前にもフリースローで主人公は失敗していたという伏線があるのだが、そこでのフリースローはたった1点だ。もちろんたった1点もゲームの中では重要ではあるが、ここで緻密に見せるべきはあと残り数秒で主人公が打つブザービートのシュートであるはずだ! 

 走る主人公に、残り時間のカウント、パスを出すチームメイト、懸命にガードに行く相手チーム、手から放たれるブザービートのシュート、弧を描いて落ちて行くボールのマルチアングル、客席の顔、ネットに吸い込まれていくボール、すべてを何度もカットバックさせながら、あと残り○秒、残り○秒とスローにして丹念に見せるべきはこのシュートだろう。このドラマのタイトルが『ブザービート』なんだから。それをこのドラマは一瞬にして終わらせてしまった。アッという間にスリーポイントが決まって勝負に勝って(1点差で)、エンドクレジットなわけだ。

 スローにしながらカットバックして見せるのは、その前のフリースローというアホらしさ。そこまでするのなら、主人公にはフリースローを失敗させた方がよかった。そうすれば、何とか試合会場に間に合った彼女が、再び主人公をバカと罵倒するのにも余計に意味がある。その言葉に奮起してブザービーターを決める方が盛り上がるからね。まあそうすると点差は微妙に設定し直さないといけないわけだけど。

 あと根本的にトンチンカンなのが、この主人公は最後のブザービートのシュートを普通にきっちりとスリーポイントラインのギリ手前で打っていたことだ。タイムアウト後の再開じゃないんだから、そんなにきっちりとスリーポイントを打てる時間があるのなら、普通はもう一歩二歩なんとか踏み出して跳んでレイアップなどを打ち、少なくとも同点にしてオーバータイムに持ち込むだろう。オーバータイムで負ける可能性もあるが、ただでさえ成功しないスリーポイントをはずして負けたらシャレにならんわけだし。
 
 ブザービートシュートで盛り上げるためには。普通には絶対はずしてしまうだろうな距離から、エアボール覚悟で打つシュートにすべきであろう。なんとか届くように投げて、体勢を崩して主人公が倒れ込んでしまうくらいの演出があってもいいはずである。

 結論、やっぱりこの人達はバスケットボールをわかっていない。