2020/01/04 University of Maryland Terrapins vs. Indiana University Hoosiers @ Xfinity Center (NCAA Basketball②)

 インディアナ大学フージャーズとメリーランド大学テラピンズの試合が始まる。
これまで両校はともに11勝2敗、しかし先述したように前評判は圧倒的にメリーランド大学が高かった。しかも今シーズン、この対戦カードはお互いのホームで1試合ずつ戦うことになっており、様子見のようなスタートとなった。メリーランドは1年生のスモールフォワード(SF)、ドンテ・スコット(背番号24)が口火を切り、3ポイントを撃つが外れる。インディアナは4年生のポイントガード(PG)、デボンテ・グリーン(背番号11)がジャンパーを撃つが決まらず、メリーランドのエース、ジェイレン・スミス(背番号25)がリバウンドを取る。今度はメリーランドの4年生PG、アンソニーコーワンJr.(背番号1)が3ポイントを撃つが決まらず。両チーム、選手の構成も戦術もなんとなく似ている。

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最初の得点は、メリーランド大だった。コーナーに位置するドンテ・スコットが、立ちはだかるトレイス・ジャクソン・デイビス背番号4)の頭上を越して、ペイントにいるジェイレン・スミスにパス、スミスはディフェンスの隙をついてジャンパーを決めた。すぐさまインディアナも、デボンテ・グリーンがペイントにいるセンター、3年生のジョーイ・ブランク(背番号50)に渡す。ブランクはじりじりとゴールに詰め寄り、隙を狙ってジャンパーを放ち成功。昔ながらのポストプレイが得意なセンターという感じ、この選手がいるからジャクソン・デイビスが自由に動けるんだなと感じる。
 
約1分の攻防が続き、次の得点はメリーランドだった。トップでハンドオフされたボールをアンソニーコーワンJr.が中央にドライブで切り込み、ゴール下からジャンパーを決めた、インディアナディフェンスは反応できず。続くインディアナの攻撃は、ジョーイ・ブランクが先ほどと同じようにペイントでボールももらい、ゴール下に詰め寄る、今度はジェイレン・スミスがディフェンスに付くと、ジャンパーを撃つが決まらない、しかし、リバウンドをブランクが拾い、ティップショットを入れ4-4の同点。

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またも1分ほど攻防が続く。いい動きだったのは、メリーランドの2年生のシューティングガード(SG)、アーロン・ウィギンス。ジャンプショットにリバウンド、3ポイントと実に多彩、この人もなかなかの逸材で、NBAに行ってもおかしくない存在のようだ。しかし得点を決められず、タイムアウトがとられた。2014年のNBAドラフト1位、現在はゴールデンステートでプレイしているアンドリュー・ウィギンスと血縁関係があるのかなと思ったが、全く関係ないようだ。
 
タイムアウト後、メリーランドはジェイレン・スミスが仕掛けるが、ジャンプシュートは外れる。一方、インディアナは果敢なパス回しから、コーナーでボールを受けた3年生のフォワード、ジャスティン・スミス(背番号3)が、ペイントまでドライブし、ターンアラウンドジャンパーを決めて、6-4とリード。彼は去年もスターターでプレイしていた選手だ。メリーランドは、ジェイレン・スミスがターンオーバーからファウルを取られ、一旦下がる。インディアナは、またもジャスティン・スミスが今度はウィークサイドからターンアラウンドジャンパーを放ち、外れるがリバウンドをジョーイ・ブランクが取り、シュートしようとするが、代わった南スーダン出身のセンター、コール・マリアル(背番号15)がディフェンスファウル、フリースローを得る。しかし、ブランクは1本しか沈められず7-4。
 
ゲームの展開はなかなか進まず、ディフェンスの攻防でファウルとターンオーバーを繰り返す。1分後、ようやくメリーランドが、コーワンJr.から4年生のガード、ダリル・モーセル(背番号11)にボールが渡り、様子を窺い3ポイントを放ち成功、7-7に。すぐさまインディアナは、1年生のガード、アーマン・フランクリン(背番号2)が、中にいた4年生フォワード、デロン・デイビスに渡すと、ペイントまで持って行き、ジャンパーを放ち成功、9-7とまたリード。続いてメリーランドは、コーワンJr.が切り込んでファウルをもらうが、1本しかフリースローを決められず9-8。

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またも1分ほどお互いシュートを決められない状況が続く。トレイス・ジャクソン・デイビスがコートに戻り、ブロックを決めた。さらにインディアナは、トップでボールをもらったジャクソン・デイビスがアーマン・フランクリンに渡し、二人がクロスする形でドライブするかと思いきや、フランクリンがミドルシュートを放ち、これが決まり11-8。さらに次のメリーランドの攻撃では、ゴール下でボールを受けた2年生フォワードのリッキー・リンド(背番号4)のシュートを2度に渡って、ジャクソン・デイビスが阻み、ブロック。すぐに攻守が切り替わると、彼は中央に走り込みボールをもらい、2人のディフェンスをものともせず、ゴール下に入ってレイアップを決めて13-8。大型ルーキーがまさに電光石火の実力を見せつけた形だ。ここでタイムアウト

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カレッジバスケットとNBAの違いは、コートのサイズや3ポイントラインなども微妙に違うのだが、何よりも大きいのは、NBAは12分の4クォーター制であるが、カレッジは前後半の20分制というのが一番大きなところだろう。だからこそ、作戦が重要になり、そこを注意して切り替えて見ないといけない。

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タイムアウト明け、メリーランドはジェイレン・スミスを戻した。前半残り10分を切ったところで、彼はするすると3ポイントライン外まで上がると、マッチアップしていたジャクソン・デイビスのマークを外し、軽やかに3ポイントを撃って決めてみせた、13-11。3ポイントだって難なく決める万能さに驚き。動きはケビン・デュラントを彷彿させるものだった。インディアナは、デボンテ・グリーンが、インサイドのジョーイ・ブランクにボールを入れるが、彼のシュートは外れる、それでもリバウンドを取ったブランクは、外のグリーンにボールを戻し、そのままキャッチ&シュートで放った3ポイントが入り16-11に。すると今度はお返しとばかりに、ジェイレン・スミスがトップでもらったボールをウィングのアーロン・ウィギンスに渡し、コーナーへスイッチしたスミスが再びボールをもらって、そのまま3ポイントシュート。これがまんまと決まり16-14に。このジェイレン・スミスって只者じゃない、相当の選手じゃないのと思ったがこの時だった。
 
双方が3ポイントを撃つオフェンスが続く。メリーランドはジェイレン・スミスにドンテ・スコット、インディアナはデボンテ・グリーン。しかし、お互いに決まらずタイムアウト。残り7分、メリーランドは、トップからコーワンJr.が放った3ポイントが外れるも、そのリバウンドをアーロン・ウィギンスが取り、レイアップを決めて16-16の同点。

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ここからインディアナのペースが狂う。コーワンJr.が、ゴール下に走り込んだダリル・モーセルにアリウープを狙うと、ジャクソン・デイビスはそれを読んで阻止するが、ファウルを取られ、2本フリースローを決められ、16-18とリードを許す。さらに自軍の攻撃では、ペイント外でボールをもらったジャクソン・デイビスが、そのまま切り込みダブルクラッチレイアップを放つが、これが外れ、リバウンドを取ったアーロン・ウィギンスに覆いかぶさった動きが、またファウルを取られ、フリースロー2本をさらに追加されて、16-20に。インディアナは、次の攻撃でもシュートが決まらず、一方メリーランドは、ドライブで切り込んだダリル・モーセルのレイアップが決まって16-22と6点差に、ここでたまらずタイムアウト

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しかしメリーランドは、ジェイレン・スミスの続く1本が決まらず、逆にファウルを取られて、フリースロー2本を返され18-22に。それでも次の攻撃で、コーナーでボールももらったダリル・モーセルが、ドライブしてゴール下まで進みレイアップを決め18-24に。
 
残り4分を切り、ここから膠着状態に。お互いシュートが決まらず、インディアナはファウルでフリースローをもらうが、2本とも外してしまう。残り2分15秒、インディアナの3年生ガード、アル・ダーハム(背番号1)のシュートが何とか入り20-24に。しかし、メリーランドは次の攻撃でアーロン・ウィギンスが3ポイントを沈め突き放す、20-27。
 
その後は双方ディフェンスが踏ん張り、アウトサイドからシュートをするしかないような状況に。前半終了間際、メリーランドは、ゴール下の攻防でジョーイ・ブランクのファウルを引き出したが、フリースローを1本しか決められず、20-28。これで前半終了。大学バスケは概ね入る得点が少ない。NBAなら1クォーターの得点である。両チーム、ディフェンスのうまさが光るも、試合巧者としてメリーランドの方が一枚上手だなと感じた前半だった。

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後半はメリーランドの攻撃で始まる。ダリル・モーセルのドライブからのジャンパーは外れるが、リバウンドをジェイレン・スミスが奪い取り、相手のファウルをもらいフリースロー2本獲得、20-30と10点差に。インディアナは、すぐさまデボンテ・グリーンがジャンプショットで2点返し22-30。何だろうね、どうせならもうちょっと下がって3ポイントを撃てばいいのに、かなり遠いミドルシュート彼はこの距離が得意なのだろうか。そして、またもジェイレン・スミスの見せ場がやって来る。スクリーンをすっと外して、ゴール下に入り込みボールをもらい、ジャンプシュートしようとしてファウルをもらう。だが、フリースローは1本しか決まらず22-31。次にインディアナの攻撃がターンオーバーで終わると、ジェイレン・スミスは相手センターのブランクを引き付けてペイント外へ出て、インサイドを空けた。するとそこにアーロン・ウィギンスが切り込んでダンクを決める。これで22-33と11点差になり、インディアナタイムアウト

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明けてインディアナは奮起。デボンテ・グリーンがドライブからのレイアップを外すも、トレイス・ジャクソン・デイビスがリバウンドを拾ってティップイン、さらにファウルももらって3点プレイとなり25-33。次の攻撃では、ゴール下でボールをもらったジャクソン・デイビスが、外にキックアウト。ボールをもらったジャスティン・スミスがドライブしてジャンパー、これが決まり27-33。すると、メリーランドも同じようなプレイでペイントにいたアーロン・ウィギンスが外のフリーになっていたドンテ・スコットにパス、彼の3ポイントが決まり、27-36と9点差に突き放す。それからは、約1分双方スリーポイントの打ち合いとなるが決まらず。インディアナのアーマン・フランクリンのエアボールとなった3ポイントを、引き続きインディアナのブランクが押さえ、アウトサイドのジャスティン・スミスにパス、彼がフローターを決め、29-36の5点差になったところでタイムアウト
 
なおもインディアナの3ポイント攻勢は続く。またもアーマン・フランクリンの3ポイントのミスショットのリバウンドを、ジョーイ・ブランクが取り、体勢を整えてのフックシュートで、31-36まで詰めた。メリーランドも3ポイントを撃つが、外して取られたリバウンドから速攻を仕掛けられる。デボンテ・グリーンがアリウープ気味に中に入れたパスを、ジョーイ・ブランクがレイアップで入れて、33-36と3点差にまで戻した。
 
メリーランドは、そこから反撃を仕掛ける。ドンテ・スコットがドライブからフェイクを入れたジャンパーを決めて、33-38に。ジェイレン・スミスはダブルチームで止められるが、ボールを渡したPGのアンソニーコーワンJr.が躍動。中に切り込んだフローターで33-40。さらにインディアナのアーマン・フランクリンのドリブルのこぼれ玉をスティール、そのまま速攻をかけ、3年生ガードのエリック・アラヤ(背番号5)のレイアップシュートをアシストして33-42。次の攻撃でもミドルのジャンパーを撃つ時にファウルをもらい、2本のフリースローを獲得、33-44と再び11点差に広げた。
 
インディアナは、メリーランドの堅いディフェンスにシュートを決められず、フリースローを稼いで3点を返すも、36-44。すぐにエリック・アラヤにジャンパーを返され、36-46と戻される。インディアナの2年生ガード、ロブ・ファイニーズ(背番号10)がジャンパーを返して38-46とするが、点差はなかなか縮まらない。すると、残り10分を切ったところで、メリーランドはコーワンJr.が狙いすましたステップバックスリーを放ち、またも38-49と11点差に。

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相手ファウルの際に、ジェイレン・スミスがコートに戻ると、やはり彼は確実にリバウンドを取る。ジャクソン・デイビスともう1人、2枚のディフェンスがいても、セカンドチャンスのシュートを決めて、さらにファウルまでもらう。フリースローは決まらなかったものの、38-51の13点差に。さらに、インディアナオフェンスの連携ミスからスティールしたボールを、コーワンJr.が速攻をかけ、ドンテ・スコットに渡しダンクシュートをお膳立て。これで38-53の15点差となり、インディアナはたまらずタイムアウト

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インディアナのオフェンスは、それからもうまく機能しない。ジャクソン・デイビスのフックシュートは外れ、ジェイレン・スミスにリバウンドを取られる。この時、同じリバウンドに絡んでいたドンテ・スコットにファウルがあったということでフリースローをもらうが、ジョーイ・ブランクはなんと2本とも外してしまう。さらにアル・ダーハムはタフショットを撃たされてしまい、リバウンドをジョーイ・ブランクがはじくが、ボールはメリーランドのエリック・アラヤに押さえられ、速攻をかけられる。ディフェンスが戻り、ジャンプシュートは外させたが、そこでゴールに飛んでいたのがジェイレン・スミス、見事リバウンドをプットバックして、38-55の17点差に。ジェイレン・スミスは、ゴール下の攻防でも、ジャクソン・デイビスのシュートを完璧にブロック。完全に無双状態に。 今思えば、この試合は、ここでもう決まっていただろう。 残り7分24秒となり、今度はアーロン・ウィギンスが中へ切り込んでレイアップを決める、ジャクソン・デイビスは腕を伸ばすが届かず、38-57の19点差にまで広がる。
 
インディアナフリースローを1本しか返せず39-57、さらにゴール下に入ろうとしたジェイレン・スミスにファウルを侵し、フリースローを2本与えて、39-59とついに20点差に。残り6分、ジェイレン・スミスのマークが外れた時に、ジャクソン・デイビスがボールをもらい、ドライブダンクシュートをお返し、41-59とするが、その後が続かない。またもディフェンスで、ドライブからシュートするアーロン・ウィギンスにファウルを与えてしまい、2本のフリースローを献上、41-61の20点差に戻されると、さらにコーワンJr.クラッチレイアップシュートにも、ジャクソン・デイビスがファウルを取られ3点プレイに、41-64の23点差。ここでジャクソン・デイビスはベンチに下がった。インディアナは次の攻撃でも、アーマン・フランクリンが不用意なパスをスティールされ、速攻を仕掛けられる。スティールしたダリル・モーセルは最後、走り込んだ自分にボールを戻してもらい、レイアップシュート、さらにファウルをもらって3点追加、41-67に。残り4分28秒には、ゴール下でボールをもらったジェイレン・スミスが、ダメ押しとも言えるターンアラウンドのダンクショットを決めて41-69に。そして、エリック・アラヤがフリースローを2本追加、この日最大の41-71の30点差に広がった。 

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試合の大勢は決まってしまったが、インディアナは少しでも点差を詰めるしかない。ここで気を吐いたのは4年生のポイントガード、デボンテ・グリーン。3ポイント2本に、2点シュート2本、フリースロー3本と、13得点を挙げる。他の選手があげたのは5点のみだったので、驚きである。メリーランドは、1フィールドゴールと2フリースローを追加しただけで、最終スコアは59-75、メリーランド・テラピンズが自力を見せつけたゲームだった。

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特筆すべきボックススコアだが、メリーランドは、ジェイレン・スミスが19点、8リバウンド。アーロン・ウィギンスが13得点、8リバウンド。アンソニーコーワンJr.が13得点、6リバウンド、6アシスト。ダリル・モーセルが12得点、ドンテ・スコットが9得点と、先発4人が二桁得点を記録。インディアナは、デボンテ・グリーンが18得点、ジョーイ・ブランクが9得点、10リバウンド。トレイス・ジャクソン・デイビスが7得点、5リバウンド、3ブロック。ジャスティン・スミスが7得点、5リバウンドといったところか。

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チーム別成績で言うと、フィールドゴール成功率は、メリーランドは38.7%、インディアナは36.1%とそれほど変わらず、決して高くない。明らかに違うのはフリースローの成功率で、メリーランドは21/25で84.0%に対して、インディアナは11/18で61.1%という低さ。ターンオーバー数は、メリーランドは7本に対し、インディアナは14本で、ターンオーバーから失った得点は25点にもなるので、ディフェンスの差が勝利を分けたゲームであった。

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それにしても驚くべきは、数字以上の圧倒的インパクトのあったジェイレン・スミスである。まさに隙のないオールラウンダーな活躍ぶり。一方、トレイス・ジャクソン・デイビスは大器の片鱗は充分に感じられるも、その実力差には歴然とも言えるものを感じた。1年大学に入ったのが違うだけであるが。実際、2人は同じ年齢だが、ジャクソン・デイビスはまだ幼さを感じるほどの、風貌の違いがある。まだ彼は1年生だから、これからの伸びしろには期待できると信じたい。

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先述したように、この対戦カードは、1月26日に今度はインディアナのホームで再戦が行われた。結果は77-76で、インディアナはやはりメリーランドに勝てず、惜敗。トレイス・ジャクソン・デイビスは、13得点、8リバウンドと、前回よりも奮闘したが、ジェイレン・スミスが29得点、11リバウンド、2ブロックを記録し、彼を全く止めることができなかったのが、敗戦の要因だった。
 
メリーランド大テラピンズは、今シーズン、強豪ひしめくビッグ・テン・カンファレンスでまさに台風の目となった。全スケジュールを消化して、ウィスコンシン大が21勝10敗、 ミシガン大が22勝9敗、 メリーランド大が24勝7敗と続く大混戦に。3校すべてカンファレンス内の対戦結果は14勝6敗で並び、直接対決の結果でこのような順位となった。全米ランキングでいうと、ミシガン州立大が9位、メリーランド12位、ウィスコンシン大17位と評価もかなり分かれる。カンファレンスチャンピオンシップをどこが制するのか、NCAAトーナメントではどこが勝ち上がるのか、これほど楽しみな年はなかったのであるが、カンファレンスチャンピオンを決めるトーナメントが始まったところで、新型コロナウイルスの影響により、全試合が中止。その後のNCAAトーナメントまでが一切行われないという悲しい年になってしまった。
 
ちなみにインディアナ大は20勝12敗でシーズンを終了(カンファレンス内の勝敗は9勝11敗)。ビッグ・テン・カンファレンスのトーナメントが始まったところで(1回戦ではネブラスカ大に勝利)、全試合が中止となり、3シーズンぶりにNCAAトーナメントに出場できるかどうかは幻となってしまったのであるが、正直かなり微妙だったようには思う。
 
メリーランド大のジェイレン・スミスは、2020年のドラフトにアーリーエントリーを表明した。実力からすれば当然のことで、1巡目の予想がされているが、できればNCAAトーナメントでの活躍も評価されての結果の方が望ましかったかったように思えて仕方ない。まだまだ全国的にはそこまで注目されている選手ではないので、その試合での姿を見られれば、確実に評価は上がっただろうと思うからだ。そして、おまけにゴーグル姿でフラットトップの個性的な風貌である。例年ならば、NCAAトーナメントで予想外の活躍をしたシンデレラチームの選手が高く評価され、意外な順位に変わったりするのだが、今年は前評判だけの評価のドラフトになるようで、本当にすごい才能の選手が埋もれてしまう可能性もあり、つまらなくなってしまうかもしれない。アーロン・ウィギンスは、今シーズンのアーリーエントリーを回避したようだが、それでも4年生のアンソニーコーワンJr.だって、ドラフト2巡目とかにかかる可能性だってある。名門大学で3年、4年活躍したポイントガードは、戦力としてある程度の期待はできるので、チームはバックアップとして確保しておきたいものなのだ。ミシガン州立大のPG、カシウス・ウィンストンも4年間大学でプレイした選手である(彼は指名が確実視されているが)。ドラフト外ででも入団して、ロスターに入る可能性も大きい。インディアナ大のデボンテ・グリーンだって、そうなってる可能性は大いにあるだろう。

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トレイス・ジャクソン・デイビスはすぐにドラフトにアーリーエントリーしないとは表明しているらしく、3年や4年大学でプレイする可能性がある。あまり活躍しすぎてスーパースターになってしまうと、ドラフト上位になり弱いチームに入ることになってしまうので、個人的な希望としては、彼がインディアナペイサーズでプレイするのをぜひ見てみたいと思っているのである。その時は、父親と同じ32番を付けてもらって。

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この日、試合が終わって、アリーナ周りをまわって、モニュメントなどを探索してみる。メリーランド大学のスポーツの殿堂の選手たちの写真などが壁に飾られており、通路の途中には、2002年にNCAAチャンピオンに輝いた時の優勝カップが飾ってあった。この時の映像が残っているなら、ぜひ見てみようと思う。ショップをのぞいて帰る。実は今回の旅では、もう一度ここに来ることにはなっているので、商品を買うのは次回でもいいやと見学するだけにする。この日は土曜日で、学内は静まりかえっていたので、特に探検することもなく帰ることに。ワシントンDCに戻り、夜には再びワシントン・ウィザーズの試合に出かける予定もあったからだ。

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