2016/11/14 Adele Live 2016 @ Palacio de los Deportes, Mexico City ②

 自分でもびっくりしたが、アデル本人が登場して実際に生歌を聴くだけで、鳥肌が立ってきた。それだけの迫力と圧倒的なカリスマがあった。そして、会場はすぐに合唱の嵐となった。本当に合唱したくなる気持ちはよくわかる。アデルもそれを受けて気持ち良さそうに歌っているのが見れて、微笑ましい。本当にこの人はライブで歌うのが好きなのだというのが伝わってきた。
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 そして、何よりも現場でわかって驚いたのは、これはほとんどYoutubeにあまり上がっていないものだからさらに驚いたわけだが、数曲歌うと、すぐにアデル本人のMCが入るということなのだ。それぞれの会場に応じたジョークを交えたおしゃべり。会場はそのたびに爆笑になる。この曲はよく間違えるから嫌いとか、〇〇して失敗したとかみたいな、自虐的なものも入れてくるので、そのたび笑いが起きる。この人は何よりも、おしゃべりが好きな20代のオバサンだということだ。自身の歌で年配のファンをも感動させる才能はもちろんだが、そっちのしゃべりのエンターテイナー的な才能もあるんだなということもよくわかった。それこそ歌手で有名になる前に、トーク番組のホストなんかもやっていても成功したのではないかと思うほどだ。

 メキシコの国旗をマントのようにしてかぶって登場し、スペイン語のあいさつもする、地域ネタも折り込みつつ、お客とうれしそうに話すおしゃべりのコーナーを作るアデル。メキシコのライブなのに、その選んだ客、選んだ客がアメリカ人ばかりで、ガッカリしていたのがおもしろかった。ファンの数に対して、アメリカ公演の数が少なすぎるということだろう。このメキシコ公演は2日間あったのだが、ほとんど購入しているのは、アメリカ人かもしれないなと思った。そして、この場に日本人はどれくらいいるんだろうと想像してみた。メキシコには日本人もたくさんいるはずだが、会場でそれっぽい人は見かけなかったな…。

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 このライブを通して気付いたのは、会場内の告知もスタッフからもアデル本人からも、写真や動画を撮るなといったことは一切言っていなかったことだ。アデル自身は、せっかくここで私の歌を聴きに来ているんだから、カメラのレンズを通してではなく、ちゃんと自分の目で見なさいよと言っていた。そして、アデルは観客に携帯のライトを付けろと呼びかけて、会場内を暗くして照らさせて、その日なりの会場の景色を作ろうとした演出があった。つまりは、この日の写真や動画を撮らせることが、ライブの宣伝になり、ひいてはここに来れなかった多くのファンにも自分のライブの映像を見てもらえることになるということもわかっているのだろう。なぜか自分はデジカメのバッテリーが途中で切れてしまって、携帯のカメラに移行する羽目に。携帯カメラは解像度を低く設定していたのを忘れていたため、後で後悔した。

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 アデル本人が言うようにできるだけたくさんの人に聴いてもらいたかったというこのライブは、ヒット曲はほぼ網羅されていた。しかし、”Don't You Remenber” や"Make You Feel My Love"など、かゆい所に手が届く曲もやってくれたのには好感を持った。せっかくバンドがいたのだから、盛り上がる "I'll Be Waiting"もやってほしかったというのはあるが。

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 "Someone Like You"から"Set Fire To The Rain"の流れで、一旦アデルはステージ奥にひけた。ここまで14曲。時間はまだ夜10時にはなっていなかったように思う。帰りの飛行機の時間は、夜12:30なので、10時30分過ぎに空港に戻るようにすればよかったのだが、最後までいて、帰りの客の渋滞に巻き込まれて、空港に戻るのに時間がかかってしまうのだけは避けたかった。なので、アンコールが始まって、最後の曲になるまでには出ようと決心した。アデルが再登場して、最初の曲は”When We Were Young”だった。何となく自分はこの曲を待っていたのかもしれない。今回の旅でもラジオを聴いていて、一番かかっていたのがやはりこの曲だった。この曲が終わると、すぐ会場を出る。建物を出た時には”Rolling In The Deep”がかかっていて会場が合唱しているのが聞こえたところだった。後でわかったことだが、この曲がこの日の最後の曲だったのだ。ということは、トータル16曲で、1時間半ほど。この曲まで聴いていて終わって出たら、人の波に巻き込まれていたかもしれないからヤバかったと思う。

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 会場外の幹線道路に出て、歩いて帰ろうかとも思ったが、タクシーが止まっていたので、そのまま乗り込む。ラッキーだった。歩いて20分以上かかった道も、車で移動すると、空港へは高架の道を通っていくので、5分ちょっとで、余韻を噛み締める間もなく、着いてしまった。10時15分前だったように思う。時間的には余裕も余裕だったが、最後までいたら、少なくともタクシーはつかまえられていなかっただろうなと思った。

 今回わざわざメキシコまでアデルを見に行った意味はあっただろうと思う。ツアーは2017年も続き、彼女はオーストラリアやニュージ―ランドには行ったけれど、結局、日本公演はまだないからね。メキシコじゃなくとも、海外でアデルのライブを観た日本人はどれくらいおるんやろと正直思った。アエロメヒコ航空の深夜便の帰国は快適ではあったが、羽田ならともかく、成田着なので、早朝でまだスカイライナーや成田エクスプレスのない時間で、特急に、通勤客のラッシュの時間に、スーツケースを持ち込んだ状態で乗り込むので、気まずい思いをしなければいけないのだけは勘弁してほしいなと思った。電車は成田空港から発車するので、空港利用者のためのはずで、こちらの方が理屈としては正しいはずなのだが、通勤客で一杯になって、こちらが恐縮しなければいけなくなるのはわけがわからないので、そこは何とかしてもらいたいものだ。