2015/11/13 EL VY @ The Bowery Ballroom

 ガーデンから戻ってほぼ22時前、まだまだマンハッタンの夜は終わらない。今度出かけるのはThe Bowery Ballroom。結構マンハッタンの南部も南部である。東西を通る数字の名前が付くストリートが終わってしまったところだ。車で行ってもいいのだが、ストリートビューで見たら、近くに駐車場もなさそうだし、夜も遅いから路駐しても大丈夫そうだなとは思ったが、もしものことを考えて地下鉄で行くことにする。深夜でも地下鉄が走っているニューヨークはつくづく便利だと思う。そして、実際地下鉄の駅から徒歩2,3分くらいで行けるところなのであった。The Bowery Ballroom は今でこそ結構なライブハウスであるが、元々は名前の通り、舞踏会が行われるような場所だったんだろうなと思わせてくれるくらいの実に古くて雰囲気のある場所だ。後でウィキペディアを見たら1929年にできた建物だそうで驚く。まさか当時の人は、ここが現代音楽のかかる場所になるとは思いもしなかっただろうが、そういう建物の活かし方もニューヨークのすごさだろう。
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 今回、見ることにしたのはELVYというユニット。この日にライブを行っているバンドは他にもいくつもあったのだが、19:00とかの時間があまりにも早い設定になっているライブは、通常は前座のバンドがあって、始まるのは22時くらいなはずなのだが、NBAを見てから駆け付けると本当にもう終わってそうな気がするのと、名前を知っているアーティストでライブの雰囲気が予想できそうなものもパスして、想像もできないようなものに行くことに決めた。そこでELVYなのだ。写真だけを見ると、もっさいおっさんの二人組で、どんな音楽をやるのだろうという興味が沸いてくる。轟音のロックでもおもしろい、アート系のテクノっぽいものかもしれないと思って、You Tubeで音を聴いてみたら、実にポップな曲がいくつもあり、俄然興味が出てきた。
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 調べてみるとEL VY(エル・ヴァイと読む)は、ザ・ナショナルというグループのマット・バーニンガー(髪の長いメガネのおっさん)と、メノメナというグループのブレント・クノッフが作った、まだできたばかりのユニットで、この日のライブは彼らの初めてのアルバム「Return to the Moon」のリリースを記念したものであることがわかった。正直、ザ・ナショナルもメノメナも知らなかったが、音を聴いてみると、ザ・ナショナルはロックバンドであるが、いかにもアメリカ人のインテリが好みそうな、通にウケる皮肉たっぷりのバンドといった感じである。しかし、このELVYはよりエレクトリックポップ色が強くなったものなのだろうと理解した。

 会場に入ると、1Fはエントランスであり、ライブが行われるフロアは地下にあった、どんどん人が集まってきてにぎやかになっている。まだライブは始まっておらず、そして今にも始まろうという時間帯なのがわかる。そう、通常ならば、このような22時過ぎからライブは始まるのだ。客層はほとんど白人。アジア人すら見かけない。そして、ほぼ10分も待ってないくらいでライブは始まった。
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 ELVYは二人だが、ライブにはサポートメンバーも後ろにいた。ただそのサポートメンバーは照明の加減で前からは見えにくいようにしている。マット・バーニンガーは真ん中でスタンドマイクで歌い、傍らにブレント・クノッフが何台かのキーボードで横を向いて演奏する感じ。曲調は風貌からして時に前衛的だったりするのかと思いきや、ことごとく王道とも言えるポップなのであった。そして、マット・バーニンガーはとぼけた顔をして、奇妙な振り付けをつけたりして、歌ったりするから、実にかわいらしくもあり、おもしろい。掘り出し物のライブとは、こんなものを言うのであろう。
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 そして、アンコールで出てきた時に彼らが演ったのは、ファイン・ヤング・カニバルズの名曲『シー・ドライヴス・ミー・クレイジー』ときた。自分が大好きなバンドの曲を、こうやって現在の時代に演ってくれる人達がいることがうれしいし、大拍手である。そして会場も一体となって歌い出し、終了。次の日は移動日が朝も早いので、余韻が冷めやらぬままホテルに帰る。
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