2015/11/13 New York Knicks vs. Cleveland Cavaliers @ Madison Square Garden (NBA Basketball)

 ホテルにチェックインして、暗くなってからガーデンへ向かう。ニューヨーク・ニックスの今日の相手は、クリーブランド・キャバリアーズであり、チケットは早々に売り切れて、高値になっていた。今となってはどれだけおぼえている人がいるかどうかわからないが、NBA同期のレブロン・ジェームスとカーメロ・アンソニーの対決カードである。ニックスは決して強いチームというわけでもないのに、ニューヨークというだけで、チケットの値段は高い。そして、キングことレブロン・ジェームスの出る試合ということで、さらに跳ね上がる。今回は2階席のゴールの側。いい席ではないが、仕方がない。チケットはチケットマスター・エクスチェンジには出回っておらず、StubHubで取った。2階席で見ると、プロジェクション・マッピングが実にきれいに見える。確か前に
ガーデンに来た時は、まだこんな技術はなかったなと思いながら。技術の進歩は速いね。
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 マディソン・スクエア・ガーデンはもう何回目かもわからないくらい。ただ、ニックスの試合となると、3回目くらいか。カーメロ・アンソニーのチームになってからのニックスを生で見るのは最初かもしれない。2014-2015シーズン、主力がケガで離脱したままファイナルで孤軍奮闘したものの敗れたレブロンキャバリアーズとニックスの今季初の対戦である。NBAは同じ年に入団したライバルの二人。しかし、優勝経験もあり、何度もファイナルを経験しているレブロンに対し、カーメロはファイナルにすら今まで進出していない。チームの選手層にある程度の差はあっても、才能自体は申し分ない二人にどうしてこれだけの差がついてしまったのか、それは運だけではない、この試合を見て、何となく気がついてしまった。
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 クリーブランド・キャブスはカイリー・アービングは欠場しているものの、ケビン・ラブは出場しており、大幅な戦力の変化はない。ニックスの注目は何といってもルーキーながら先発を勝ち取ったラトビア出身のクリスタップ・ポルジンギスであろう。試合序盤、キャブスのJ.R.スミス(この人は以前ニックスにいたんだ)が2本のスリーポイントを決める。ニックスもポルジンギスとカーメロが応戦。カーメロは躍動、フェイドアウェイのミドルショットや3ポイント、相手からファウルをもらううまさ、ディフェンスのタイミングをはずすフェイクなど、とにかくすばらしい。カーメロは一人で第1クォーターだけで14点も取った。ただ、キャブスはレブロンが様子をうかがっている感じが目に付く。相手が調子に乗ってきたかと思えば、その流れを断ち切るように自分で決めたり、それ以外は味方をアシストして、飛ばしすぎないように、追いつかれないように気を配っているようであった。第1クォーターが終了して29-23でキャブスがリード。レブロンも気が付けば10得点していた。
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 第2クォーターに入り、キャブスはブレイクしたガードのデラベトバ、ニックスはようやくニューヨークに来て花開いたフォワードのデリック・ウィリアムスがいい動きを見せる。中盤になって、ニックスはアーロン・アフラロが活躍を見せて逆転。それでもレブロンはディフェンスに集中していて、離されないように味方をサポートしているのがはっきりわかる。前半を終了し、53-46でニックスがリード。カーメロは前半終了間際にも3ポイントを決め、前半だけで22点(うち3ポイントが4本)を記録、一方レブロンは13点だった。
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 第3クォーターに入り、ここからレブロンの戦術が生きてくる。味方をアシストしながら、自分で決めなければならないところは決めていく形、ニックスはポルジンギスとアフラロが得点を重ねて引き離そうとするが、要所を抑えたキャブスがついに同点に追いつく。思えば、ここからカーメロのシュートがとにかく決まらなくなっていた。途中でレブロンがベンチに下がって、ニックスが再びリードする。第3クォーターが終了して、72-66でニックスがリード。
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 そして、第4クォーターに入って、大きく流れが変わる。レブロンがこれまで鳴りを潜めていたかのように、ここに入って積極的に自分から切り込む動きに入る。ショットが決まればいいし、決まらなくても相手のファウルを誘い、フリースローは取る。そして、点差がみるみる縮まっていく。かと思えば、また味方を生かす戦法に切り替えていく。この辺の緩急の付け方が実に巧みなのだ。一方のカーメロはというと、ショットが決まらなくなっても、結局、全部自分で打とうとするんだよね。むしろ、アフラロやポルジンギスがフォローして、なんとか追いつかれないように頑張っている感じ。残り2分となり、レブロンがレイアップで同点に追いつくと、今度は自らのフェイダアウェイショットで逆転。あとはガードのモー・ウィリアムスが巧みにボールを操り時間を稼ぎ、ファウルをもらってフリースローで点差を広げる。終わってみれば、90-84でクリーブランドの技ありの勝利。ホームのニックスの見せ場も作らせながら、最後は余裕を持って勝つという、まさに横綱相撲の以外の何物でもない。第4クォーターにはニックスは12点しか取れていなかった。
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 レブロンは31点に3リバウンド、2スティール、6アシストという結果。記録では6アシストだが、そんなものなのという印象。それだけゲームを完全に支配していた感じである。その他、モー・ウィリアムスが20得点。ケビン・ラブが7得点、11リバウンド。センターのティモフィー・モズコフが11得点、7リバウンド。ベンチスタートのフォワード、トリスタン・トンプソンが10リバウンドを記録していた。

 一方、ニックスはカーメロ・アンソニーが26点、アーロン・アフラロが14点、クリスタップ・ポルジンギスが11点、7リバウンド。ポイントガードのホセ・カルデロンが10得点。
説明でもわかったかと思うが、カーメロが前半とうって変わって、後半は4点しか取れず、完全に押さえ込まれていた。これが試合巧者のレブロンと、カーメロの根本的な差なのだろう。ファイナルなどを経験してきた差なのかもしれない。
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 シュートの技術だけ取れば、カーメロの才能のすごさは、レブロンも凌ぐものであろうことは疑いようがない。ただ、試合のすべてを通して、好調さを維持し続けることは難しい。自分のシュートが決まらなくなった時にどうするのか、ゲームを通して仕掛ける反撃のタイミングを常にうかがっていて、全体を見ていた印象のあるレブロンに対して、カーメロがゲームメイクをどこまで考えてプレイしていたのか、そこには歴然とした差があるとしか言えないだろう。ニックスに、そんなカーメロの負の部分を補う優秀なポイントガードがいればいいのだろうが、このチームに、ちゃんとしたポイントガードが定着したことが数年ないんだよね。カルデロンではあまりに役不足であることはよくわかった。

 この試合で、クリーブランド・キャブスは8連勝を記録。一方ニックスは黒星先行が続く結果に。それがそのままシーズンを通しての結果も反映することになったと言ってもいい。ニックスはこのシーズンもプレイオフにも出れず、キャブスはイーストではほぼ敵なしの状況だ。このままゴールデンステートと対戦するファイナルの再現となるか、見ものである(それが、実際になってキャブスが球団創設以来の初優勝となったのだからすごいもんだ)。

 ニューヨークなので、試合の途中で、セレブが客席にいるのが、時折カメラに映し出されるのだが、この日は俳優のマイケル・J・フォックスの姿がいたのが感動的だった。前日に見たニューヨーク・ジェッツの選手、モハメド・ウィルカーソンなども来ていた。
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