2012/10/25 Robert Glasper Experiment @ UCLA Royce Hall

 10月25日。今回の旅程での懸念点は、この日をどうするかということだった。 なぜかこの日は、LAでもNYでもスポーツのイベントがなかったのだ。そもそもどこに行くかということでも、ヒューストンにするか、 ボストンにするかなど迷ったのだが、 どこにしても今回の日程では完璧に埋まるスケジュールを作ることができな かった。唯一、アリゾナのフェニックスに行けば、 スポーツにライヴに全日程くまなく入れ込めるイベントがあったの だが、それほど好きでもないチームなどを見るために、 ずっとフェニックスにいるのもなんだかなあという感じもし たので、今回はナッシュビルに行くことだけを先に決定した。

 この25日の選択肢としては、 NYに行ってアポロシアターエスペランサ・ スポルディングを見るか、LAでロバート・ グラスパーを見るかということだった。 アポロシアターは、中に入ったことがなかったので魅力的ではあった が、結局ロバート・グラスパーを選んだ。 少し前の六本木ビルボードライブでのショーが見られなかったこと。このUCLAのライブの告知に、with special guestと記載されてあったこと。ビルボードでのライブはバンドだけだったようで、 ゲスト的なものはなかったらしいという情報を聞いたので、わざわざアメリカで観る価値もあるのかなと思った。そして場所が、Royce Hallというライブ会場としては珍しい大学構内のホールだっ たことというのがあり、ちょっと行ってみたいとこちらを選んだわけだ。 とはいうものの、その決定をしてチケットをとってしばらくした後に、ロバート・グラスパービルボードライブでの再来日公演が決定。 しかもスペシャルゲストとして、ご丁寧にレイラ・ ハサウェイの名前があった。なんだ、結局レイラ・ ハサウェイとツアーをするわけ?と思い、 スペシャルゲストへの期待は全く薄れてしまっていたのであった。
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 この日はそれ以外にイベントがないので、昼間は買い物とかしながら、アメリカの吉野に久々に行ったりした後に(アメリカの吉野家には、日本にはないクラムチャウダーがある。これが結構イケるのだ)、出かけることに。 Royce Hallという会場は、結構おごそかな感じだったので(1927年にできたから、80年以上前の建物だ)、 ライヴも時間通りに始まるのかなと思ってしまった。 この日は、通常ならライヴの前に行くスポーツイベントがなかったのでよかっ たのであるが、UCLAの敷地の中は実にわかりにくく、 パブリックなパーキングがなかなか見つからない。 いくつか見つけた駐車場は、専用のセキュリティーカードがないと入れないもので、しかもそこに行くまでわからないから、本当に迷惑なもんだ。入口までつけて、入れずにバックして戻ったりとか、まるで不審者である。 敷地内には地図もなく、 結局、案内で聞いて地図をもらって、やっと止める。ここまでで30分くらいかかってたんじゃないだろうか。夜になると大学内は 基本暗く、止めた駐車場が閉まってしまわないかが心配になった。ロイスホールは、ライトアップされていて、重厚で壮大な建物だった。しかし、そんな格式の高いところで行われるライヴでも、 やはりアメリカのライヴの基本的法則は適用されるものであった。
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 アメリカで行われるライヴには、必ず前座があり、 メインは約2時間後(時間にして22:00過ぎ)にならないと出てこないということだ。 会場がどこだろうと、格式高かろうと、そんなことは関係ない。 この日の自分の席は、列の真ん中だったりして、 しかも古いホールだから前の座席との間も決して広くない。 なかなか出るに出られず、苦しい目をした。 おまけにその前座のバンドやユニットの音楽は悪くはないと思うのだが、 パンチに欠けるというか決め手がないというか…基本的に退屈なのだ。 前座のバンドというのは、たいていそういうものなのだろうが。

 ロバート・グラスパーが登場したのは、まさしく午後10時。 その前に休憩もあったので、 この時間に来ればよかったとどれだけ思ったか…。 登場したのは、 これまでのツアーと同じバンドだった。あれ、ライラ・ ハサウェイはいないの?って思ったが、 どんどんライブは進行していく。スペシャルゲストって、 誰のこと?って思いながら…バンドの中にゲストがいるのか? とも思ったが、何の紹介もない。そして、いくらたってもライラ・ ハサウェイも出てこない。ロバート・グラスパーはジャズバンドなので、基本はインストで(ゲストボーカルがいないので、 時折ボコーダーが入るわけだが)、 猛烈な後悔がおそってきた。 これなら以前見たのと変わんないよーと思いながら。
 
 すでに1時間半もたっただろうか、もう終わりなんじゃないの?って思った時、 バンドメンバー紹介となり、その最後に何を長々と説明してるんだと思ったら、 なんと客席側から突如出てきてステージに上がったのが、コモンだった!  いやー、確かにこれは驚いたね。そして、マイクを持ってフリースタイルを始めたのだ! まさか、スペシャルゲストって、コレだったの!?って感じである。演ったのは、 J・ディラに捧げた曲だったように思う(確かに2006年の”J Dillalude”だった。『In My Element』収録)。たった1曲で客席を一変させるほど沸かせるんだから、 MCの力って、本当にすごいなと思った次第である。しかし、 何でコモンがLA?でと思ったが、 映画関係で来てたみたいだった。後で、 前日のクリッパーズレイカーズのゲームのハイライト映像を見 たら、コモンが客席にいるのを抜かれていたのを発見した。 昨日も同じ場所にいたんだと知って、さらに驚いた次第である。 そんなこともあるのねー。
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   話は戻るが、 コモンは結局その一曲をやっただけ。なぜかコモンが消えた後に、バンドが”TheLight”をやったりして、 よくわからんことになっていたが(だったらそれもちゃんと演ったら?って感じ)。バンドが退いて、コモンはもう一回出てくるのかと思いきや、結局 出て来ず。あっという間のスペシャルゲストだった。 その時の映像があったので、貼っておく。当日、カメラなんかなかったのになと思ったら、ステージ袖 から関係者?が撮っている映像だった。
客が撮っていた映像もあった。一番長いけど、これは 遠いなー。
ほかにもあった。自分のいた方と反対側からの映像だけど。
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  ロバート・グラスパーは、このアルバム『Black Radio』で見事、グラミー賞を獲得(しかもBest R&B Albumである!)。なんと今年10月には『Black Radio 2』が出るみたいだ。今度もまた実におもしろい人選である。この辺のセンスがほんとにええのよね。