Wu-Tang Clan live @ Ruby Skye (San Francisco) 2007.12.27. ~ウータン・クラン ライヴ@ルビー・スカイ(サンフランシスコ)

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 ずいぶん久しぶりに書くような気がする。それだけここ数カ月はアホのように仕事が忙しかった。こうやってあらためてブログを書いている幸せというのをしみじみと感じる。久方ぶりでいきなり去年の話だが、これは自分の中の記録としてとどめておくためにここに記すことにする。

 去年の年末、忙しかった仕事をなんとか無理やり一時片づけて、なんとかプライベートでアメリカに行った。行先はサンフランシスコ。短い期間で立てた予定の中でたまたまチケットが取れたのが、このウータンのライブだった。かなり突然の感のある新作『8 diagrams』のリリース記念ということになっている。ウータンとしてのライブを見るのは初めてだ(メソッドマンは日本で見たことがある。あのODBが日本に入国できなかった時だ!)。そもそもヒップホップのライブパフォーマンスをアメリカで見るのも初めてだったので(クラブには何度か行ってはいるのだが)、かなり期待しいくぶん緊張もしていた。

 行って驚いたのはとにかく白人の観客が多かったことである。ほぼ7割が白人だったといってもいいだろう。あと2割が黒人、1割がその他といったところか。元々このルビー・スカイという箱は、普段はロック系ばかりであまりヒップホップのライブを行うようなところでもないらしく(内部は古い教会を改造したみたい)、しかもこのウータンのライブのチケットが60ドルと高額だったということもあるのだろうが(それでも日本でやることを考えるとかなり安いと思うが)、メジャーのメインストリームのヒップホップがいかに白人層に支えられているかということを肌で認識した。

 まあそんなことで、白人ばかりの客の中、全く緊張することもなく、たんたんと前座が続く。前座もどちらかというと白人層を意識したいくぶんミクスチャー的要素のあるグループが多かった。どれもあと何か一つ足らないという印象。アメリカのライブは前座が長いとは聞いていたが、ほんとにとにかく長い。私は21持過ぎに行って、それでもまだ早いかと思っていたが全くその通りで、結局ウータンが出てきたのは深夜12時半くらいだった。

 かなり疲れたが、ウータンが出てきた時はそれもふっとんだ。やはり圧倒的迫力である。あれ、RZAいないよな?と思ったら、ほんとにいなかったようだ。現在9人いるはずのメンバーは、現場に7人しかいなかった。ゴーストフェイスもいなかった。しかしメスがいて、レイクォンがいて、GZAがいて、インスペクターデックがいて、それで十分といえば十分だ。

 曲は昔のクラシックばかり。『Protect Ya Neck』に『Cream』に『M・E・T・H・O・D Man』。これで血が騒がないはずがないでしょう。急のライブだったからだろうが、特別なセットやステージアクションもなく、全体の動きとしてはさびしくもあったが、それを補ってあまりあるのが、メソッドマン一人の動きだった。一人ステージ上を激しく動き回り、モニタースピーカーの上に飛び乗り、煽りまくる。やはり彼は最高の役者である。たった一人で場の空気を根本的に変える男、メス。凡百のラッパー達は、どう頑張っても彼の足下にも及ばないだろう。もっともっと彼から学ぶべきことはあるはずだ。そんなの彼がいつもライブでやってる動きでしょというかもしれないが、彼はそれを10年以上やってるんだから。ほんとにキチガイガイジン(©メソッドマン)だったらここまで完璧なステージングはできんでしょう。

 クライマックスはなんと皆で『Brooklyn Zoo』である。これには驚いた。R・I・P ODBである。最後はODB! ODB! ODB!コールで終わった。わずか10年で歴史を変えたグループ、ウータン。その濃縮さと濃密さにあらためて感嘆した。ライブが終わってあらためて思ったのだが、このライブ新作『8 diagrams』のリリースライブのはずだけど、新曲やったっけ?ってこと。どうやらほんとに一曲もやらなかったようだ。さらにあとで聞いたところによると、RZAは自分のソロツアーも並行してやっており、このウータンのツアーは出たくなかったんだとか。ゴーストフェイスは裁判で来れなかったらしい。こんならしいところもウータンなのである。もう二度と見ることはないだろうと思って見るべきものなのである。結局ODBは生で見ることができなかったしね。