2018/11/16 Museum of Pop Culture(MoPOP)@ Seattle, WA

 11月16日。金曜日なのに、この日は大したイベントはなく、せっかくシアトルに来たので、行ってみたかった2か所へ行こうと思った。その1つはamazon goである。シアトルで生まれたamazonで、実験的に作られた無人店舗で、レジがなく、現金を介することなしに商品が購入できるというお店。つまり、店に入ってほしいものを持ち出せる、自分ちの冷蔵庫といったところである。すでにアプリをダウンロードしていて、クレジットカードも登録していたので、あとは店に行くだけになっている。外国人であっても簡単に利用できるところがいい。シアトルにはすでに3軒もamazon goがあるので、自分の泊まっているところから一番近い店に行ってみようと思った。
 初めての街なので、公共交通機関を利用してみようかと思ってはいたが、昨日街を歩いていたやたら目立っていた緑色の自転車、ライムバイクを利用できないかと思った。これは日本でもあるレンタサイクルなのだが、大きく違う点は、時間計算で利用料金を算出してくれて、決まった場所に返すのではなくて、どこに乗り捨ててもOKという新しい画期的なバイクシェアシステムといったものだ。料金は30分1ドル。しかも最初の1ドル分はタダという。これもアプリをダウンロードし、クレジットカードを登録すれば、誰でも利用できる。アプリ上の地図で、街中にいくつも存在しているライムバイクを探して、自転車のQRコードを読み取って、ロックを解除すれば、すぐに乗ることができる。好きな所まで行って、ロックしてアプリを終了すれば、それで精算してくれるものだ。
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 ただ、自分の場合は日本の携帯なので、WIFIがどこまできくのかというのが問題だった。部屋のWIFIでアプリを起動して、泊まっているマンションの下に止めてある自転車のQRコードを読み取り、ロック解除するところまでできるのか? 結果は、何とかできた。実際乗ってみると快適ではあるのだが、ペダルがやたらと軽く、漕いでも漕いでも進まない。変速を変えて重たくしてみるのだが、なんかほとんど変わっていないから、こういうものなのかもしれないが、壊れているのかなという印象も拭えない。正直、別の自転車を試してみたかったけど、すでに使えるWIFIはなくなっていたので仕方ない。

 シアトルの街は、あまり言われてないので知らなかったが、サンフランシスコみたいに結構、坂道が急な街である。ただ、このライムバイクに乗っているとペダルが軽いので、普通の自転車みたく降りなければならないことはない。しかし、しんどさは変わらないので、ハアハア言いながら漕いでいる。また、行こうとしていたamazon goの店舗は、坂の上にある道沿いにあって、ゼイゼイ言いながらたどり着く事態に。ちなみにライムバイクのハンドルの真ん中にはスマホのホルダーがあり、アプリの地図を出しておけば、どこを移動しているのかもわかって運転できる。

 amazon goのアプリを起動し、店舗に入る。スマホをゲートにかざせば、それで入れる。中だけみれば普通のコンビニである。ただし、レジはなくゲートがあるだけ。ちなみに自分が入った店は食料品しか置いていなかったようだ。店に着いたのは12時を過ぎていたので、会社員的な人たちはおらず、客はまばら。出勤前にはここを利用する人も多いのだろうという気はした。全くの無人店舗ではなく、係員のような人もちゃんといて、わからない人の質問に答えたりもしていた。やっぱりモノの値段は結構高い。精算する人がいないだけで、人件費などは普通にかかっているからね。せっかくなので、昼ご飯用にラップサンドイッチとamazon goオリジナルのチョコレートを買うことに。紙袋に入れて、店を出れば、それで終了。商品をスキャンしたりする必要もないから楽だ、というかこれでいいの?っていう感じ。アプリを見ると、ちゃんと持ち出したものが精算されていた。日本のコンビニもやがてこのような形になるのだろうか、オフィスビル内のコンビニとかではすぐにできそうである。
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 amazon go内にはフリーのWIFIがあったので、それを生かしながら、残念ながらライムバイクで来ていたのは自分だけだったので、来た自転車をまた起動して、そのまま部屋へと戻る。帰りは下り坂ばかりで、何の問題もなかった。ちょっと街を寄り道して帰る。自転車に乗っていたのは10分ちょっと。これで1ドルくらいしかかからないのだから、バスや電車を使うよりは断然安い。こっちこそ日本のレンタサイクルが、こんなシステムにならないかねと思った。

 もう1か所、行ってみたいと思ったのは、MoPOPである。ミュージアム・オブ・ポップカルチャー。かつてはミュージック・エクスペリエンスと言っていたかと思うが、ポップミュージックの歴史と音楽を体験できる博物館だったのだが、現在は映画やコミック、ゲームなどポップカルチャー全般を扱うテーマパークとしてリニューアルしたようだ。建物は、ステンレスの金属板がグニャグニャに曲がったようなインパクトある形で知られる、今年89歳にして未だ現役の建築家、フランク・ゲーリーの設計である。その建物だけでも見てみたかったというのもあるが、シアトルはニルヴァーナを産んだグランジの聖地であり、そのような展示もされていると聞いて、行ってみようと思ったわけだ。

 MoPOPは、シアトル・センターとはいうが、街の中心部ということではなく、観光名所が集まっている場所にある。スペース・ニードルというシアトルの象徴のタワーがある一角である。ここへは車で行っても10分かかるので、ライムバイクはやめて、車で出かけた。  こういう観光名所は、通常のホテルならば、割引券などがあったりするものだが、残念ながら自分が泊まっているのは普通のホテルではなかった。展望タワー、スペース・ニードルの入場券や動物園など近くの観光名所5箇所に行ける、シアトル・シティー・パスという安売りのプランがあったが、そこまで観光名所をガッツリ巡るつもりも余裕もなかった。

 MoPOPのチケットは、ネットでも買えて、普通に現場で買うより、2ドル安い。この日の目玉の催し物は、マーベルコミックス関連の展示で、コミックの歴史的資料から、映画で使われたコスチュームや造形物なども展示されているもので、このマーベルの展示を見るかどうかで、8ドル値段が変わる。コミックは読んでいないし、映画をいくつか見ていたくらいでしかないが、映画『ブラック・パンサー』の展示もあるようなので、せっかくだから見てみようと思った。結局、値段は34ドル、これが安いか高いかはまだわからない。

 道は渋滞もしておらず、10分ほどで着く。平日の昼間なので、駐車場も空いていた。駐車場の枠には番号があった。ただ、駐車料金を払う機械が混んでいて、そこそこ人が並んでいた。多分、1時間8ドルのように書いてあったと思う。そもそもここにどれくらいいるかもわからないのに先に料金払うの?と思って、後でもいいだろうと思って、先にミュージアムに入ることにしたのだが、無理に並んででも払っておけばと、後悔することになる。
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 MoPOPの建物は結構大きくて、フランク・ゲーリーの建物ならではの特徴、金属板がうねっている感じはわかるが、すでに近くに来すぎてしまって、全体像を見ることはできない。そうか、だからスペース・ニードルのタワーに登って上から見るのねと思いながら、そこまでしてわざわざ登らなくてもいいやと思ってしまった。建物内は、近代的内部という感じ。フランク・ゲーリーさもそこそこに感じることができる。ネットで買ったチケットをスキャンしてもらって入ると、壁一面がバカでかいモニターで、デビッド・ボウイのライブを流していた。さすが、ポップミュージックの博物館だ。
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 このMoPOPには様々な展示が場所ごとに分かれていて、私が行った時には6つほどあった。「サイエンス・フィクションの歴史」「ホラー映画の歴史」これは有名な作品の解説、ゾンビとは何かなどの用語などの説明、専門家のインタビュー動画や映画で使われた造形物の展示まで、興味のない人をも引きつけるものがあったり、宇宙船や武器についてなど詳しい人にはかゆいところに手が届く解説もあったりする。「インディ・ゲームの展示」これは実際の様々なジャンルのゲームを体験できるもので、好きな人ならここだけでかなりの時間を過ごせる。「ロックバンド、パールジャムの歴史」「ロックバンド、ニルヴァーナの歴史」「ミュージシャン、ジミ・ヘンドリックスの展示(彼もシアトル出身だ)」これらはそれぞれのミュージシャンの関連の品や、グッズ、関係者のインタビューだったり、どこでライブが行われて、そのセットリストまで知ることができるものだったりする。ニルヴァーナの『In Utero』のジャケットの像なんてあることに驚きだったし、それぞれの楽器や秘蔵写真、90年代だからこそ、ここまで残っているんだと思うものまであった。もう1回ちゃんと彼らの作品を聴こうと思ってしまう。さらに「ミュージック・エクスペリエンス」と呼ぶべき、バンドのそれぞれの楽器の仕組みや音楽、ミキシングなどのシステムを演奏して体験できるスペースがあった。子どもじゃなくても夢中になれる場所があるというのがいい。
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 これに加えてさらに今回の目玉展示である「マーベル・コミックスの歴史」まであるというものだ。ここにはマーベルの特別展示のチケットを買っ人間だけが通るゲートがあって差別化されている。そもそもアメリカンコミックを読んでいない私であったが、全作品の歴史はもちろん、映画になった作品は、コスチュームなども数多く展示されており、インスタ映えする写真を撮れるスペースまであった。ほんとに眺めて歩くだけでも2時間くらいはすぐに経ってしまうし、さらに期間限定のイベントもあったりするので、好きな人ならいつまでもいたいと思うであろう場所であった。後でわかったことだが、MoPOPのアプリをダウンロードしていれば、それぞれの展示セクションに入ったら聞けるオーディオガイドまであることがわかった(聞いておけばよかったと後悔)。もし、シアトルに住むなら、年間パスを買っても十分楽しめると思うが、ただ私はNBAチームのない街にいるのはちょっと辛い(ポートランドは近いけれど)。
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 今から思うと、せっかくシアトルに来たのに、ニルヴァーナカート・コバーンゆかりの場所を巡ってみてもよかったなと思った。調べてみると、カート・コバーンが住んでいた家などは大して遠くなかった(彼が育ったアバディーンという街は結構シアトルから離れた場所にあるが)。ニルヴァーナはブレイク当時、私の友人が先に夢中になっていたので、自分も好きではあったが、先を越された感じがあって、そんなにハマれなかった過去がある。ジミ・ヘンドリックスも、カート・コバーンクリス・コーネルも、みんなシアトルだったんだなと思いながら、みんなもうこの世にいない現実を知る。今やデイブ・グロールがニルヴァーナにいた(しかもドラマーだった)ことも知らない人が大勢いる時代だ。はるかにフー・ファイターズにいる方が長いのだから仕方がない。

 ミュージアムを出ても、売店にも様々なものがあって(ここはチケットがなくても入れる)。いかにもアメリカ的な土産物からレアなTシャツだったり、フィギュアだったり、書籍だったりが揃っている。ほおっておいたら色んな物を買ってしまいそうで、わざわざここで買うものではないでしょと自分に言い聞かせて、最低限の土産しか買わないことにして、外に出る。
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 このシアトル・センターの一角には、キー・アリーナがあったので、近くまで見に行ってみることに。かつてNBAシアトル・スーパーソニックスの本拠地だったところだ。キーというのは、シアトル近辺に店舗があるキー・バンクという銀行のこと。実は現在も使われていて、WNBAシアトル・ストームの本拠地である。しかもストームは去年の優勝チームだ(スーパーソニックスは1回しか優勝していないのに、ストームは3回も優勝している)。閉まっていて入れなかったので、外から写真だけ撮る。
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 結局MoPOPには3時間くらいいたことになり、すでに駐車場に戻ってきた時には暗くなっていて、駐車料金を払おうとしたら、車のウインドウに紙が挟まっていて、駐車違反だから超過料金込みで払えという知らせが。最低料金だけでもいいから払っておけばと後悔する。ここがシアトル・センターという観光名所が集まっている土地だということを忘れていた。そりゃ駐車料金だってチェックしているでしょう。ただ、自分の車はレンタカーだし、カナダで借りたのだが、なぜかオレゴン州のナンバーが付いている車だったりするので、スルーしたところで、自分のところまでわざわざ来て料金を払わされることなんてないだろうと思ったが、また何年後かにあらたにアラモ・レンタカーに借りに来た時に、あの時の駐車料金として積載した料金を請求されても辛いなと思いながら、これは払った方がいいのかなと思って、とりあえず部屋に帰った。帰りは会社員の帰宅時間に重なったのか、かなりの渋滞に合う。シアトルは坂の途中で車を止めていると、結構、急なので、アクセルを踏む前に下がってしまうくらいなので要注意である。ローやセカンドにしておいた方がいい。