2017/11/6 New York Rangers vs. Columbus Blue Jackets @ Madison Square Garden (NHL Ice hockey)

この日は、朝を迎えるまでは、何事もなく帰国するはずだった。飛行機の予定は9時。今回はデトロイトから入国したので、一度国内線でデトロイトに移動してから、国際線で帰ることになっている。ブルックリンからJFK空港までは、普通なら1時間あれば余裕で着けるはずだ。一応、朝5時半過ぎにはホテルをチェックアウトしたと思う。思えば、このタイミングが問題だったのかもしれない。

ホテルを出た先のバレットパーキングのブースには、担当者がいなかった。今から思えば、ちょうど交代のタイミングだったのかもしれない。しばらく待っても来ないので、ホテルのフロントに言って呼んでもらった。ようやく人がやってきたので、車を出してくれと頼む。無線で連絡をしても、駐車場の現場の方に担当者がいないらしく、では、自分が車を取ってくると言ったので、待つことにした。しかし、これが5分待っても10分待ってもなかなか来ない。なぜか、この時間帯には、同じホテルの客で、このパーキングを利用している客もいなかったのだ。もう一度、ホテルのフロントに、車が来ないんだけどと言ったように思う。すると、ようやくさっきの人間とは別の人間がブースに入ったので、その人間に自分の車が来ないんだけどと言うと、すぐ来るから待てと言う。  しかし、これがまた5分待っても10分待っても来ない。 そうこうしているうちに、同じホテルの客らしき人物が、新しい担当者に車を呼んでくれと頼んでいた。この時すでにもう6時を回っていた。一体どうなっているんだという感じだった。

先にも記したように、このホテルは奥まった通りの中にあって、駐車場からはここまでは少し距離があるのだろう。しかし、それにしてもこの駐車場は人をなめている。これがブルックリンのシェラトンの客への扱いである。表向き、ホテルとパーキングは別の会社ではあるが、でも、このパーキングはホテルの客で成り立っているはずだ。思えば、ホテルから出た大きな通りの2,3軒先ににパーキングのビルがあったことを思い出し、そこにセルフで駐車しておけばよかったと何度も嘆いた。

すると、ホテルの前に止まった車がある。なんと先ほどの新しい担当者に車を頼んだホテルの客の車であった。ほんとに頭にきたので、どうなってるんだと言って、飛行機に遅れたらどうするんだと担当者に言った。すると、新しい担当者は、もう一回向こうの現場に連絡したようで、すぐ来るからみたいなことをまた言う。それからさらに5分以上待ったと思う。ようやく自分の車がやって来た。なんと車を運転してきたのは、自分が車を頼んだ人間とは全く違う担当者だった。本当にどうなってるんだと、この時ばかりは悪態をついた。すでに時間は6時20分を回っていたと思う。もう順調に運転できて着いて、何とか間に合うか間に合わないかの時間帯だった。

ホテルに文句を言って何とかなるもんでもないと思ったので、空港まで飛ばして急ぐしかないと思った。しかし、もう辺りは明るくなっていて、交通量はかなり多くなっていた。飛ばそうと思っても遅々として進まない区間が多い。道に迷うことはなかったが、自分の場合、レンタカーを返さなければならないのだ。そして、レンタカー返却所がまた混んでいて、なかなか自分の担当が来ない。さらに、待っていた空港へのシャトルバスは、自分が乗ろうとした直前に出発して、1本待つことに。結局、空港に着いた頃には8時前だったと思う。機械でチェックインをするが、またカウンターが行列をなしていて、荷物を飛行機に積む時間に間に合わず、去年と同じく、予定していた飛行機に乗れないという悪夢を味わうことになった。もう本当に私はニューヨークが嫌いだ。何でこんな目に遭わないといけないのだろう。

後で調べたが、時間の決まっていない交通機関には遅れたところで、遅延証明が出ないものは、保険金も出ないのだ。そもそもパーキングだから交通機関ですらないのだけれども。元々、デトロイトでの乗り継ぎは2時間もなかったスケジュールだったので、デトロイトへの便を変更すると、帰国日も翌日になってしまざるを得なかった。そもそも格安チケットなので、ニューヨークからの直行便ならいくらでも帰れる便はあるのに、デトロイト経由で帰らないといけないのが悲しいところだ。そして、変更手数料も4万円ほどかかった。まさに最悪とはこのことだ。

どうせなら、ここでせっかく楽しまなければならないとと思った。最初はデトロイトにこの日のうちに早めに移動することを考えて、便のあるラガーディア空港へ向かったが、色々調べるうちにデトロイトには、この日大したイベントはないことがわかり、ニューヨークにもう一晩泊まることにした。しかし、もう車はない。あらたに1日車を借りるのももったいないので、地下鉄で移動できるところにする。選んだのは、ロングアイランドシティ。ロングアイランドとも言っても、あのロングアイランドではなく、クイーンズとブルックリンの間、マンハッタンの対岸にある場所である。ここは意外とホテルの値段も高くなく、地下鉄の接続が便利な穴場だということがわかった。ただ、車があったら、ここを選んだかというと微妙だ。

そして、この日選んだイベントは、NHL、ニューヨーク・レンジャーズのゲームであった。相手はコロンバス・ブルージャケッツ。場所はおなじみのマディソン・スクエア・ガーデンである。ここ数年、NHLのゲームはなかなか見れなかったので、実に久しぶりだ。本当は先述のようにバークレイ・センターに行きたかったのだが、この日はゲームがなかった。空港でネット接続し、取ったホテルには、スーツケースがあったので、タクシーで向かう。

すでに何やかんやと午後を過ぎていたので、早いかなと思ったが、ホテルにチェックインできた。ネットに接続して、Stubhubで取ったチケットをフロントでプリントアウトしてもらう。ほんとにたった数時間で何とかなるもんだと納得。しかし、ただでさえ、1日帰国が伸びてかなりの出費となったので、チケットは100ドル以下の安い2階席を買った。アイスホッケーの場合はかなり見づらいのだが、そこは我慢することに。

ゲームまで時間があったので、昨日、時間がなかったブルックリンを探索。さらに一昨年、Stubhubで買ったチケットを売り直して得た、払い戻し金のチェックを換金して受け取る。チェックは、ウェルズ・ファルゴ銀行のものだったのだが、なぜかデトロイトにもフィラデルフィアにもウェルズ・ファルゴ銀行の支店がなく、この日そのまま帰っていたら、結局換金できずに紙切れになっていただろうものだった。払い戻し金は100ドルちょっとだったが、結局手数料を取られ90ドルちょっとに。それでも戻ってきただけマシだった。おそらく他の銀行でも換金できたかもしれないが、余計な手数料がむちゃくちゃ取られたかもしれない。

夜になってマディソン。スクエア・ガーデンに向かう。もう何度ここに来たのかわからない。スポーツの殿堂とか何とか言うが、実際ゲームの世界では実在のこの名前を使わせてくれない鼻持ちならないアリーナでもある。ニューヨーク・レンジャーズの試合を見るのは、おそらく3,4度目くらい。レンジャーズは、2014年にまさかのファイナル進出したものの、最近はプレイオフには進出するも、あまり芳しい成績を残していない。今シーズンはここまで6勝7敗2分と黒星が先行している。
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対戦相手のコロンバス・ブルージャケッツ。2000年にミネソタ・ワイルドとともに誕生したエクスパンションチームであったが、ここまでプレイオフにもなかなか出れず、出ても1回戦敗退と低迷の続くチームである。しかし、今シーズンはこれまで9勝4敗1分と出だし好調である。今シーズンは、NHLに17年ぶりに新たに生まれたチーム、ラスベガス・ゴールデンナイツがシーズンスタートから快進撃を見せており、まさに彼ら新チームに負けるわけにはいかないと刺激を受けている感じにもなっているようだ。
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NHLの客の入りはもうずっと良くない状態が続いているらしいが、やはりガーデンは特別だ。空席はほとんど目立たない。でもチケットが取りやすいのは確かで、この日、自分が取ったのは2階席の2列目だったのだが、何と2階席の最前列の席には専用の小さな液晶モニターがあって、それを自由に動かして見れるようになっていた。空いていれば、そこを取るべきだったなと後悔。でも最前列ならそんなモニターがなくても遮るものがないから見やすいはずで、最前列ばかり優遇されているようで、こりゃダメだなと思った。
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今年はオリンピックイヤーであるから、NHLは通常ならばシーズンをその期間休止して、選手は母国代表に戻っていいシステムを形作っていたのだが、平昌のスタッフはバカなのか、NHLと協定を結ばなかった。そのためNHLはシーズンを休止せず、選手たちにも母国代表に加わることを認めなかった。そのためオリンピックにどうしても出たい選手は、NHLのチームと契約しない者も現れた。結局、オリンピックで世界的に一番盛り上がる競技であるはずのアイスホッケーがどうにもつまらないもので終わってしまい、NHLの方もオリンピックで活躍した選手が注目されてさらに盛り上がるという効果も生まれず、双方、何も得をしないという最悪の結果になってしまった。

試合前にはニューヨーク・レンジャーズフォワード、リック・ナッシュ選手のNHLゲーム1000試合出場のセレモニーが行われた。実はリック・ナッシュは、当初コロンバス・ブルージャケッツで華々しいキャリアを築いてきた選手。だからこそ、古巣との試合の時にこういうセレモニーをやるのが、粋な計らいである。しかし、リック・ナッシュはこの試合、大した活躍ができず。そして、この時はそんなことになると考えもしなかったのだが、レンジャーズは、2014年のファイナル進出の立役者である彼を、今シーズン、トレードでボストン・ブルーインズへ手放す決断をする。運命というのはわからないもんだ。これまでニューヨーク・レンジャーズには、他チームで活躍した選手が色々と移籍してきたが、そこはニューヨークという土地のプレッシャーからか活躍できずに終わった人も数多い中で、結果を残したナッシュが去るという時代が変わる境目になったようだ。
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試合が始まった。しばらくNHLを見ない間にだいぶ選手も代わっているので、ついていけない部分もありながら、やはり大学のアイスホッケーとは違うスピードと迫力をひしひしと感じた。コロンバスで躍動していたのは、かつてはレンジャーズにいて明らかにフィットしていないように見えたセンターのBrandon Dubinsky。時代の流れを感じるね。実はこのニューヨーク・レンジャーズコロンバス・ブルージャケッツの対戦は、スウェーデン代表になったヘンリック・ルンクイストとロシア代表にもなったセルゲイ・ボブロフスキーというNHLを代表する名ゴーリーの対決でもある。第1ピリオドは、シュート数は4本に対して10本とニューヨーク・レンジャーズが明らかに押していたが、双方無得点に終わる。
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しかし、第2ピリオドが始まってすぐ、大きく流れがブルージャケッツへと変わる。レンジャーズのゴール後ろでの攻防から戻されたパックをArtemi Panarinが一瞬の隙をついて押し込み、先制ゴール。さらに4分後には縦に出されたパスを、コロンバスのジョッシュ・アンダーソンが速攻でゴール左に押し込むショットで0-2とリード。名手ルンクイストがこんな形で決められるとはと驚いたゴールだった。レンジャーズにとっては我慢の時間が続くが、12分にディフェンスにチェックされたレンジャーズのセンター、J. T. Millerが倒れ込みながらもセンタリングして出したパックを、Micheal Grabnerが合わせてゴールし、1点を返す。これにはボブロフスキーも反応できず。
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すると、第3ピリオドになり、流れはレンジャーズへ。コロンバスはファウルトラブルに陥り、レンジャーズのパワープレイの時間が増える。アイスホッケーはペナルティを取られると、選手がペナルティボックスに入ることになり、相手チームの数的優位が生まれる。これこそがゲームの行方を左右するホッケーの面白さでもある。このゲームこそ、そのパワープレイで試合が決まったと言えるゲームだった。5分、パワープレイで攻め込んだレンジャーズは、ディフェンダー、Kevin Shattenkirkのミドルショットが、ゴール右に突き刺さり、これで2-2の同点。誰かがスティックに当ててコースを変えたようにも見えたが、ビデオを見ると当たっていなかった。うまい具合にオフェンスとディフェンス選手の間を抜けて、ゴーリーの死角となったようだ。
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だが、好調のブルージャケッツは死んではいなかった。3分後の第3ピリオド8分、また先ほどのようなゴール後ろの攻防から一瞬戻されたパックを、Oliver Bjorkstrandが押し込む形で、コロンバスが2-3と突き放す。しかし、その1分後、また不用意なペナルティでパワープレイを与えてしまったブルージャケッツ。フェイスオフから戻されてパックを、ディフェンダーがロングシュート、ボブロフスキーは止めるが、そのこぼれ玉をすぐにChris Kreiderが押し込んで、わずか1分で3-3の同点に。
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すると、さらに2分後の第3ピリオド11分、またブルージャケッツのペナルティで、レンジャーズのパワープレイに。この日はパワープレイになると、すぐに試合が動く。左サイドでの攻防から右サイドにはじき出されたパックを、Pavel Buchnevichがゴール右へ入れ込んで、4-3となりついに逆転。ボブロフスキーは右サイドが全く見えてないのかと思うほどガラ空き状態だった。今日は調子が悪かったようだね。
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それからは一進一退の攻防が続くも、ブルージャケッツはレンジャーズのゴールを割れず、最後はゴーリーを引き上げた全員攻撃のエンプティネットの状態でパックを取られて、Micheal Grabnerに押し込まれた、この日2点目のダメ押しゴールで、5-3で試合終了。このレンジャーズの第3ピリオドの3点に何気に全てからんでいたのが、レンジャーズのセンターMika Zibanejadだった。彼が今後の新たなレンジャーズの顔ということになるのだろうか。いずれにしても今シーズンの不調を帳消しにするかのようなレンジャーズの快勝ゲームだった。
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しかし、その後のニューヨーク・レンジャーズはと言えば、先述のようにリック・ナッシュ、そして Micheal Grabner、J. T. Miller をも放出するという大改革に出たものの、2010年代で初めてプレイオフを逃し、勝率5割を切るという散々なシーズンとなってしまった。一方、コロンバス・ブルージャケッツは今シーズン、プレイオフに進出するも、これまでと同じく1回戦敗退。

一方、今年加入したベガス・ゴールデンナイツは、エクスパンションチームで最初のシーズンでスタンレーカップファイナルに進出という輝かしい結果を残したチームとなった。あわや優勝するのではないかという勢いに乗るチームの夢を砕いたのが、ロシアの天才、アレックス・オベチキン率いるワシントン・キャピタルズだった。ワシントンは1974年の球団創設以来始めての優勝、そしてオベキチンはNHLに加入して13年目にして悲願の初栄冠というNHLでも記念すべきシーズンとなった。ホッケーの圧倒的な才能であるオベキチンもNHLで優勝するのに、これほどかかったのだ。私自身もこれからもまたちゃんとNHLをチェックしようと思った年でもあった。しかし、こんなにおもしろいのに、なかなか陽の目を見ることがないんだよね、NHLは。情報もなかなか入って来ないし。

翌日は、一転して何の問題なく無事に帰国した2017年の旅。私がちゃんとニューヨークに適応できる日は来るのだろうか。ニューヨークで車を運転しなきゃいいのか。いずれにしても、しばらくはニューヨークに行きたくないんだが。余談だが、帰りの飛行機でも、行きと同じように「菊の会」という日本舞踊?のオバサマ方の集団に遭遇する。向こうはアメリカ公演で1週間も行くんだね。実はこの方々の舞台衣装など?を運ぶ大量のスーツケースが、自分のものと全く同じ色で、バゲッジクレイムに同色のスーツケースがあふれて、間違えられて自分のものを持って行かれやしないかと、行きも帰りもヒヤヒヤした。それはそうと、2018年も同じようにまた旅行ができるのかどうか、心配だ。