2016/11/13 Carolina Panthers vs. Kansas City Chiefs @ Bank of America Stadium (NFL football) ②

 第4クォーターになり、カンザスシティ・チーフスは、ここで第1クォーターで自身へのパスを取れずにインターセプトされた借りを返すかのようにチーフスのWRタイリーク・ヒルが奮起する。自身がキャッチした3本のパスを足がかりに敵陣18ヤードまで進むのだ。しかし、ここでQBアレックス・スミスのあともう1本のパスが通らず、チーフスはフィールドゴールを選択。3点を返して17-6に。
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 一方のパンサーズは、QBキャム・ニュートンが先ほど攻撃で得点できなかった怒りなのか、追いつかれそうな焦りがあったからなのか、自陣29ヤードで、ベテランのタイトエンド(TE)グレッグ・オルセンに投げたパスが、チーフスの名手CBエリック・ベリーにインターセプトされてしまう。敵陣内42ヤードでキャッチしたエリック・ベリーは、パンサーズの選手のタックルをこれでもかという具合にヒラリとかわして、逆方向に旋回して回り込んでエンドゾーンまで走り込む。コーナーのパイロンに足が当たる感じでタックルされて外に出されたが、見事インターセプトタッチダウンを返す。ここでチーフスはすかさず2ポイントコンバージョンを選択。QBアレックス・スミスのパスは冴えて、走り込んだTEのトラヴィス・ケルシーに見事に通り、タッチダウンは8点プレイとなり、17-14と3点差に詰め寄る。フィールドゴール1本で同点というパンサーズファンにとっては信じられない展開となった。
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 ここからパンサーズのオフェンスは機能しなくなった。1つファーストダウンは取ったが、結局パントで終了。しかもチーフスのWRタイリーク・ヒルは、リターンで21ヤードも戻し、次のチーフスの攻撃は敵陣49ヤードから始めるという絶好のスタートに。QBアレックス・スミスはここでも危なげなくショートパスを通すなどして、敵陣14ヤードまで進む。ここでもタッチダウンは取れなかったが、フィールドゴールを確実に決めて、ついに17-17の同点に追いついた。試合時間は残り、約4分半だった。

 パンサーズは次の攻撃でも、流れを呼び戻すことはできなかった。RBはフォジー・ウィテカーに変わったが、自陣48ヤードまでしか進めず、またパントで終わる。しかし、ここでパンサーズのディフェンスが奮起する。続くチーフスの攻撃では、アレックス・スミスのパスにファンブルを誘発。ファンブルはチーフスボールとなったが、続くプレイで、アレックス・スミスをサックし、チーフスの攻撃をパントに追い込んだ。試合時間、残り30秒でパンサーズの攻撃へ。パンサーズファンは、誰もがこの試合、延長戦のオーバータイムに入るだろうと思っていたところに悪夢が起こる。
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 残り29秒、自陣20ヤードからのパンサーズの攻撃、QBキャム・ニュートンの投げた約14ヤードのパスは、WRケルヴィン・ベンジャミンに確かに通った。だが、タックルにいったチーフスのディフェンスは、WRベンジャミンが倒れ込む前に、ボールをかすめ取るように抜き取ったのだ。これがパンサーズのファンブルとなった。ファンブルを誘発させたのはチーフスのCB、マーカス・ピータース。これまで見せ場がなかったかのように見えた彼が、最後にビッグプレイを起こしてみせた。会場のパンサーズファンは一気に静まりかえり、何が起こったのかわからないという風にリプレイのスクリーンを凝視する。そして、一転して落胆の声に変わる。なんと自陣29ヤードのところで、ボールが敵チームに渡ってしまったのだ。
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 残り20秒。チーフスオフェンスは冷静にランで時計を進め。残り4秒のところでタイムアウト。敵陣18ヤードのところで、37ヤードのサヨナラフィールドゴールを決めて、17-20。ここで残り時間はゼロとなり、チーフスの逆転勝利で試合終了。目の前で勝ち試合をすくわれてしまったちぐはぐなパンサーズ、そしてチーフスの試合巧者ぶりばかりが目立つゲームとなってしまった。
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 スタッツを見ると、パンサーズにとって決して悪い試合ではないということはわかる。パスはパンサーズがトータル242ヤード、チーフスが165ヤードと圧倒。ランがパンサーズがトータル99ヤード、チーフス96ヤードと互角。ディフェンスも、パンサーズ、チーフス共に、被サック2、被インターセプション1、ファンブルが1と2でほぼ変わらず。プレイングタイムは、パンサーズが約35分、チーフスが約25分と優勢であっただけに、なぜ負けたのかがわからないという試合であろう。
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 結局、このシーズン、パンサーズは6勝10敗と、スーパーボウルまで進出した前シーズンと違い、プレイオフすら出られないという結果に。一方チーフスは、12勝4敗と明暗が分かれた。でもプレイオフではチーフスはなかなか勝てないのだが…。パンサーズに関しては、この2017-18シーズンでどこまで成績を戻せるかで、真価が問われるというものだろう。

 何とか体力があったので、暗くなる前には帰りたかった。結局初めて行ったシャーロットでは何の探索もしなかった…。しかし、この日の帰り道ほど、つらいものはなかった。行きの時はまだ明るかった山道は、帰りは、辺りは全く何も見えないただの暗闇であった。ハイウェイの車線だけが光っている道を延々と走り続けるだけ。しまいには自分を追い越していくような車すらも通らなくなり、対向車も見なくなった。走っているのは自分だけになると、ここは何だ?どこだ?と、妄想の空間を走っているかのような気持ちになる。ラジオもかからなくなって音がしなくなると、自分の車が走る音以外は何も聞こえない、意識が朦朧としているかのような、夢の中で走っているかのような気分が続いておかしくなる。延々と続く、いつまでもゴールのないかのような道に耐えきれずに、ドライブインがあると寄り道して、何か食べ物を買ったり、給油したり、休憩せずにはいられない辛さ。店員さんと少し会話することで、何とか人間性を取り戻せていた感じ。今日のうちにホテルに帰ることができるのだろうかとすら思った。帰りは都合上、4回くらい止まって、ご飯を食べたりして、休憩をしたと思う。アトランタダウンタウンが見えてきた頃には、自分の頭は意識があるんだけれども、意識のないような状況だったように思う。あまりにもゆっくりと休み休みの運転しかできなかったこともあり、ホテルに着いた頃には夜9時くらいだったように思う。なんか夜中中運転していた感じで、まだ9時だというのが信じられなかった。1日約8時間のドライブ。よく無事で帰って来れたことだと思う。もうこんな運転は二度としないと誓った。昔はいつか車でアメリカ縦断などしたいようなことを思ったこともあるが、自分には無理だろうなとこの時、悟った。

 ホテルに戻ってようやく落ち着いたので、一応、この日もしかしたら行けるかもしれないかなと思って、チケットを取っていたライブに行こうかと思った。SKINNY LISTERというイギリスのバンドで、アトランタダウンタウンの外れにあるThe Masqueradeというライブハウスで行われるものだ。この日は日曜日で、アトランタではそれほどおもしろいアーティストはライブを行っていなくて、自分が唯一魅かれたのが、このバンドだった。アメリカに行って、アメリカのバンドを見ないのもどうかという気はするが、かといって、日本で見れるかといえばそれほど有名なバンドでもない(後でわかったことだが、このバンドも2013年にはフジロックで来日しており、2014年にはクアトロでライブを行っていた)。アイルランド民族音楽的要素のあるバンドで、見てて文句なく楽しいにちがいないとは思ったからだ。アメリカのライブなので、チケットは安くて15ドルなのだが、さすがにこの日は、帰れるかどうかもわからなかった日なので、買ったチケットマスターでは見られなかった時の保険をつけておくべきだった。チケット上では開演は夜7時となっているが、前座がいたとして始まるのは夜8時過ぎ、しかし、これまでの教訓から、カリフォルニアやニューヨークではない、アトランタみたいな場所では、ほんとに夜7時からライブが始まっているのかもしれない。
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   車で、The Masqueradeの前に着いた時には、もう9時半を過ぎていたかと思う。周りは閑散としていた。そして、スタッフらしき人物が、表の看板を変えようとしていたところだった。ああ、やっぱり完全に終わっていた。こんなもんだ。何だろう、今回の旅は、ほんとにこういう失敗が多かったな~。やっぱり1日に無理してイベントを詰め込むだけ詰め込むのは、やめた方がいいかもしれないと思うようになった。