2016/11/10 Athens, Georgia、そしてアデルのワールドツアーを見るメキシコシティへの旅

 2016年の休みも、例年のごとく11月の第2週になった。ただ、この時期にしたのには別の理由もあった。アデルがワールドツアーでちょうど全米を回っているところだったからである。何とかしてこのチケットを手に入れて、もぐりこめないものかと思った。アデルがワールドツアーをやるなんてことは、もうないかもしれない。したとしても何年も先であろう。ただでさえ飛行機嫌いで知られる彼女だ。すでにもう人生を何回も遊び呆けても十分なほどの金を稼いでいる彼女は、いつ引退をしてもおかしくないし、ツアーをやらなければならない理由は何もないのだ。アデルの前のツアーは2011年だった。この時は『21』を出した頃で、まだ世界的な大ブレイクとまではいかなかった。それでもアメリカにもツアーに行っているが、会場の規模をみると、今回のツアーとは全く違う。おそらく今回の彼女のツアーは、世界的なブレイクをファンに感謝する意味を込めて、世界を回っているものなのだ。そして、それでもアデルはやはり日本には来ないということがちょうどこの頃ハッキリした(どういうこと!?)ので、だからこそ今回のこのツアーは見たいと思ったのだ。何とかして、このアデルのチケットを取って、他のスケジュールを合わせてみようと考えた。

 当然、チケットは正規のルートでは全て売り切れている。チケットマスターなどではね。ただ、いつも利用しているStubHubもそうだが、チケットを媒介しているサイトはいくつもあって、売り出されているのは売り出されているのだ。どこもスタジアム級の会場なのだが、アリーナの席となると5、6万円は当たり前の値段になっている。ただ、いくつもチケットサイトを見ていると、どうも同じ出品者が同じチケットを複数のサイトで登録して出しているような感じがして、しかも手数料の違いも各サイトでバラバラだったりするので、見るべきサイトは2,3つにしぼることができた。そして、自分の休みのスケジュールで行ける会場となると、ダラスかオースティンやヒューストンかということになったのだが、オースティンはチケットの出回っている量が相対的に少なく、価格もべらぼうに上がっていた。ならダラスやヒューストンで探して、そうなると飛行機は直行便のあるJALかなとか色々、その他の日程も合わせて調整したのだが、どうも納得のいくスケジュールを組むことができず、チケットも高いものしか手に入りそうになかった。しかし、まだ奥の手があったのだ。

 アデルは11月の14日と15日にメキシコでもライブを行う。メキシコに行く手はないかと考えた。チケットサイトを見ると、チケットも比較的安かった。もちろん、アメリカに比べて、元が安い値段設定にしているというのもあるのだが。とはいっても、アリーナはやはり、前の方だと4、5万円はする。ただ、会場の席図を見てみると、ステージだけではなく、花道が作られていて、さらにアリーナの真ん中にもステージが設けられるようだった。ということは、演出で、ステージだけでなく、花道を通り、客席上のステージでも歌う形になっているのだと見えてきた。となると、アリーナ席ならば、後ろの方でも結構楽しめるのではないかということがわかった。そんな中で見つけたのがスタンドの前の方の席だ。そこはステージの方にかなり近く、値段は200ドル以下であったのだ。メキシコだし、実際どうなるかもわからないが、そこのチケットを購入することに決めた。ひょっとして、もっといい席が出たら、あらたに買って、この席を売ればいいことだしと思った(売り方もすでに確認していた)。ただ、200ドル以下といっても、手数料と送料を合わせれば、余裕で2万円を超えたのだけれども。すでに、このアデルのワールドツアーの別公演の映像がもうyoutubeには上がっていて、大体どんなものなのかわかってきたというのもあった。ちなみにメキシコでの会場はPalacio de los Deportes(パラシオ・デ・ロス・デポーテス)というアリーナで、メキシコシティの空港から歩いても行けそうな近いところだということもわかり、メキシコに行こうと決めた。私自身メキシコに行くのは初めてで、あまり面倒な移動はしたくなかったというのもある。

 タコスは大好きだが、メキシコで約1週間も観光して楽しくなれる自信はなかったので、旅の最初か最後にメキシコを入れて、通常の予定はいつも通りにアメリカで過ごそうと計画を立てる。すると、メキシコのアエロメヒコ航空だと、帰国便の出発が深夜0:25で、翌々日の朝6:20に成田に着けることがわかった。11/14(月)にメキシコシティでアデルのライブを見て、そのままその日に帰国すれば、11/16(水)の朝に着いて、ちょっと眠れば、その日から仕事もできるというスケジュールが立てられるので、それで決行。メキシコの航空会社だけに、アメリカに入るにはかなり便数もあって都合もいい。そこで、今回はメキシコシティから3時間ちょっとで行けるアトランタを中心にして予定を組むことにした。特別な追加料金もかからなかったが、それでもアエロメヒコ航空のチケットは、アメリカや日本の航空会社の格安航空券と比べると、ちょっと割高だ。それほどサービスも良さそうじゃないし、機内食ももう一つだろうななどと思いつつも、ただ、朝に帰れるという都合のいいスケジュールはアエロメヒコ航空以外には組めなかったから仕方がない。

 アトランタは、学生時代以来行っていないが、キレイで大好きな街だった。当時はコカ・コーラの本社に行ったり、CNNを見学したり、マーティン・ルーサー・キングの墓や生家に行ったことを覚えている。機会があれば、もう一度行きたいと思っていたものの、なかなかいいスケジュールを組める予定が立てられず、そしてNHLのホッケーのチーム(スラッシャーズ)もなくなったので、さらに予定が組みにくくなったのだ。さらにアトランタと言えば、これもまた大好きな街、アセンズがある。ロックバンド、R.E.M.が生まれた場所であり、ジョージア大学(UGA University of Georgia)の大学街である。そして、今回行くスケジュールでは、ジョージア大学のフットボールチームであるブルドッグスが、ライバルであるオーバーン大学タイガースと対決するカードがはまることが判明。これは見なきゃいけないだろうと思ったわけだ。ただ、一年に一度のそれだけのゲームがある日でもあり、アセンズは小さな街なので、なかなか前日に泊まれるいいホテルがない。もちろん車で移動するわけだが、できればスタジアムに近いところにホテルを取って、個人的には駐車場代節約のために歩いて行ければというのがあった。

 そこで、今回初めてではあるが、Airbnbを利用することにした。いわゆる民泊である。個人宅や個人所有の部屋を借りて、ホテルの代わりに泊まらせてもらえるものだ。一応、宿泊と朝食が付いている形にはなっている。このジョージア州のアセンズにも、結構登録されている場所があって、値段は本当にピンキリである。中には一軒家をまるまる借りれるというのもあった。ただ、今回せっかく利用するので、ホテルよりも割安で利用できるところを選んだ。安いところは一泊4000円ほど。安い、安すぎる。個人宅の一部屋を借りるというものだが、自分が条件として調べたのは、車を駐める場所があること、夜遅くとも自由に出入りができること(スタジアムやライブに行くもので)、夜中でもシャワーも浴びれること、ジョージア大学まで歩いて行ける距離にあるところだった。一番近くていいなと思ったところは、自分が予約したのが2か月近く前の話だったので、その頃の予定がまだわからないと言って断られたが、次の候補のところが予約できたので、そこに2泊することにした。十分キレイな部屋であった。学生時代に、英語で手紙を書いてみようみたいな授業があったが、そんな感覚で、オーナーと英語でメールでやりとりをすれば、簡単に予約できる。一応、Airbnbというサイトを介しているので、いざとなればそこにクレームなどを言うこともできるわけだ。結論から言うと、自分としては大変ありがたかった。また利用してみようと思ったくらいだ。Airbnbというサイトは、もし、自分が空き家や空き部屋を持っていれば、ホストになることもできるのである。

 いざ出発である。アエロメヒコ航空は快適ではあったが、今回Expediaで航空券を買ったのだが、結局自分の取った席はエコノミーでも、デルタのエコノミーコンフォートのような特別な料金がかかる席らしく、Expediaではそんなことは何にもふれられてなかったので、空港で抗議すると、Expediaには何度もそのように喚起するように言っているが、なっていないので困っているという。仕方ないので、追加料金を確か3000円ほど払う。だが、特にデルタのエコノミーコンフォートのようにちょっと前の座席との幅が広いというわけでもないようで、ただ前方の席というだけだ。機内食では特別メキシコっぽいものが出るわけでもない。あとは映画が結構古くて、今劇場でやっているような最新のものは見れなかったので要注意である。あと、機内wi-fiの料金をクレジットカードで買おうとしたが、何度やってもうまくいかず。今後はよっぽど料金が安くないと利用しないなという感じだった。

 遅延はしなかったが、メキシコシティの空港で一度荷物を出して、入国審査を受けて、アトランタの行きの便に乗る。この辺が面倒くさい。空港に着いたころに、ホスト(部屋のオーナー)からメールが入っていた。このまま問題なく着けるかな~という感じだったが、返信。アトランタ到着は予定は20時過ぎだったが、ちょっと遅れたと思う。そこからレンタカーを借りて、アセンズへ。今回の車は、赤のNISSAN VERSA。後ろに日本名のNOTEとも記されていた。いつものVERSAだったので安心だったのだが、なんと初めてバックモニターがついている車だった。あらためて運転してみると、こんなにバックモニターって便利なのねと感動。アトランタからアセンズには、車で1時間くらいで着くかと思ったら、初めて運転する道だし、夜だし、アトランタをちょっと抜けると、とにかく真っ暗の田舎道なので、迷いはしなかったが、これで合っているのかと不安になるレベル。結局、着いたのは21時半を過ぎていたかと思う。着いたホストファミリーの家は、アセンズのダウンタウンといっても、東側の川を越えたら、もう山だった。何だか、坂を結構登って、山の中腹くらいにあるような場所で、すごいところに来たなという印象だった。着いた時は夜だからわからなかったが、次の朝見るとそのすごさがよくわかった。
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 ホストさんは白人の40代後半から50代のおばさんで、とても感じのいい人で安心。犬もネコもこんなに人なつっこいかと思うほどかわいらしい。こんなに遅い時間に着いて申し訳ないです。部屋は6畳くらいのこじんまりとしたところで、そこまでは聞かなかったが、子どもが都会に行ったり、独立したりで空いた部屋を使わせてもらっているような感じ。Wi-FIも使えて快適だ。
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 ずいぶん遅くなってしまったが、この日はアセンズのダウンタウンの老舗のライブハウス、40 Watt Clubで、MITSKIというアーティストのライブを見るつもりで、チケットを買っていた。もう終わっているかもしれないなと思いつつ、荷物を部屋に置いたらすぐに出かけた。MITSKIというのは、本名をミヤワキ・ミツキという日本生まれの日本とアメリカのハーフの女性アーティストで、小さい頃から海外を転々とし、現在はニューヨークを拠点に活動しているという。日本語も話せるようだが、歌詞は全て英語で、本人はアコースティックギターエレキギターを弾いて、90年代のオルタナロック的な曲を展開するところがおもしろいと思った。あえてインディーズ路線を狙って、服装もカジュアルで、メイクもほとんどすっぴんみたいなナチュラルにしているようで、もうちょっと曲をポップな展開にしたらもっと売れるだろうし、元が美人なんだからちゃんとメイクもすればいいのにと思ったが、それは余計なお世話だろう。後でわかったことだが、日本サイトがあって日本でも公演をやっていると知って驚いた。チケットは、チケットマスターとかでは買えず、ライブハウスのオフィシャルサイトで買う。値段は12ドル。安い。アメリカのライブの値段はよっぽど有名なアーティストでなければ、こんなもんだ。正直、間に合うかどうかもわからなかったので、行けなくても仕方ないと思って買ったものだ。
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 さすがに街の中心部まで歩いて行くとなると遠い。もうちょっと近い部屋にするべきだったなと思いながら、アセンズの中心部に着くと、さすがにここはにぎやかだ。R.E.M.を生んだ街で今もたくさんのライブスペースがあって、酔っぱらった若者たち(ほとんどはジョージア大学の学生か)が騒いでいて、活気がある。40 Watt Clubを探して、前まで来ると、外に客がたむろしていた。すでに時間は22時を余裕でまわっていて、もう終わったかなと思ったら、案の定終わっていた。中に入ると、ステージの撤収も終わっている感じ。くうっ、もったいないと思ったが仕方がない。写真だけ撮って出る。アセンズの街を探索すると、学生時代に来たはずなのだが、相変わらず何も思い出せない。ライブハウスがいっぱいあったことはうっすらと覚えているのだが、その程度だ。ただ、このようなジャンルを問わず、様々なライブがこんんなこじんまりとした街で色々見られるというのが、この街のすごいところだ。この日はそのまま部屋に帰って、(もうホストさんは寝てしまったようだ、ネコだけが迎えてくれた)シャワーを浴びて寝た。
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