2015/11/16 UC Berkeley Golden Bears vs. UC Santa Barbara Gauchos @ Haas Pavilion (NCAA basketball)

 明けて月曜日、いよいよ帰国日なのだが、飛行機の出発は深夜発の羽田便にしたので、バークレーのカリフォルニア大学に出かける。バスケットチームのゴールデン・ベアーズを見に行くためだ。このシーズン後のドラフトにかかる選手が何人いるんだという正に全米でも屈指のチームを見るのは、今しかないという意味で出かける。フォワードのジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown、後に1巡目3位でセルティックスから指名)、ガードのタイロン・ウォレス(Tyron Wallace、後に2巡目30位でジャズから指名)、フォワードのアイヴァン・ラブ(Ivan Rabb、結局ドラフトエントリーせず)、ガードのジャバリ・バード(Jabari Bird)など、いずれも後にプロとして活躍するであろう選手たちで、全員がドラフトにかかるかもしれないという今後ないだろうほどの最強メンバーが一堂に見られるのである。

 試合は19:30からであるが、飛行機は明けて0:30発で、国際便だから2時間前に空港に着いていないといけないとすると(レンタカーも返さないといけないので)、試合はおそらく最後までは見れないだろうという予測の元で出かけた。

 せっかくなので、バークレーに行く前に、サンフランシスコの埠頭エリア、ピアに行って、名物のクラムチャウダーを食べることにする。ホグ・アイランド・オイスター・カンパニーという有名なレストラン。クラムチャウダーはスープではあるが、それだけで十分お腹いっぱいになるくらいの量がある。これをパンをスープにつけて食べるのが最高においしい。結局、パンをおかわりして食べることになって、もう一食十分なほどなのである。すぐそばに海が見える抜群のロケーションで、人に慣れたカモメは逃げもしない。こういう観光地のロケーションで、ちゃんとチップを払って、ご飯を食べるということが本当にないのが、自分の旅なのだと実感。朝食以外のメシはほとんどスタジアムで食べているからね。スタジアムのメシは割と高いので、朝食などは、コンビニやスーパーで格安で買って済ませるしかないのが実情なのである。
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 ゲーム開始の2時間前には、カリフォルニア大学に入って、中を探索してみることにした。ネットではパーキングパスを買えなかったので、直接、車で乗り入れる。予想した通り、ゲートに係員がいて、パスのある車しか、中には駐車できないと言われる。ただ、今日はフットボールのゲームではない、バスケットのゲームである。来る観客の数は桁違いに少ない。そんなに中に車を止める場所がないのかな?と思いながら、係員から中に入ってもすぐに出るのならいいと言われたので、後でUターンして出るつもりで敷地内に入る。バスケットの会場であるHaas Pavilionのすぐ近くにパブリックのパーキングがあって、もちろん試合開始の2時間前ということもあって、かなりの空きがあった。その精算はパーキングマシンで行うようになっており、マシンはまだ生きていた。試しに車を停めて、クレジットカードを入れると、普通にレシートが出てきた。おおっ、ここに止めてもいいのかと思いながら、試合開始直前になると、このマシンも止められたりするのだろうなと思いつつ、せっかくなので、ここに車を停めさせてもらって、探索することにした。駐車の最大時間は2時間となっており、試合開始時間を過ぎるまでは停められることになる。その後はどうするか? まだマシンが生きていたらチケットを買うか、最悪、車を出して外の場所に止めるのも仕方ないかと思いながら、これからどんどん観客がやって来て車を止めていく中で、自分の車がレッカー移動されるなんてことはまずないだろうという結論に達した。ずっとここに止めておいてやろうと。どうせ自分は試合の途中で帰らなければならない身であり、そんな時間には係員は誰もいないだろうということ、最悪は延長料金を払えばいいのだから。ただ、マシンで買ったチケットは、フロントグラスから見えるように置いておくようにはした。

 ここカリフォルニア大学バークレー校も、自分は学生時代の旅行で訪れたはずなのだが、相変わらず全く何もおぼえていないし、記憶もない。こんな感じだったっけという印象である。バスケットの行われるHaas Pavilionは、とにかく立派な会場だった。ここが体育館であることは、外から見ただけでは、全くわからない。調べてみると、建物自体は1930年代に作られたものであるらしいが、中は改装されていて、とにかくキレイだ。Haas Pavilionという名前は、スポーツに貢献した人物の名前かと思いきや、あのジーンズのブランド、リーバイスの創設者の名前で、カリフォルニア大学のOBで多大な寄付をした人物だということである。リーバイスは今や49ERSの新しいスタジアムの名前に使われており、カリフォルニアにはなくてならない企業なのである。
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 カリフォルニア大学バークレー校のアスレティックチームの愛称は、ゴールデン・ベアーズという。ただベアーズと呼ぶことの方が多いかもしれない。ゴールドとブルーのチームカラーと熊のマークは、一度は見たことがあるだろう。それだけの名門である。バスケットだけでなく、他のスポーツでも数々の有名選手を輩出している。同じカリフォルニア大学のロサンゼルス校、UCLAも似たようなチームカラーであり、そこはカリフォルニア大学として、ある程度統一されたものとなっているようだ。この日の対戦相手は、UCSB、カリフォルニア大学のサンタバーバラ校であり、アスレティックチームの愛称はガウチョスといい、チームカラーはブルーが主体だが、やはり同じブルーとイエロー系の2色を使っている。ただ、バスケットの実力差は全く違うので、ゴールデン・ベアーズにとっては、この日の試合はエキシビジョンゲームの一環であることだろう。まだシーズンは始まったばかりなので、実際スターターのラインナップはほとんど顔見せ程度の出場で、ベンチにひいてしまうかもしれないという程度の期待の元で見に来た感じである。

 今回のチケットは、大学バスケなので、オフィシャルサイトでも買えたのだが、大していい席はなかったので、Stubhubで買った。それでもNBAの試合に比べれば、桁が違う安さである。アリーナは実に見やすく作られている。チームカラーで言うと、以前見たミシガン大学と似ているが、あちらの方が会場はもっとでかくて、急勾配のすり鉢状に作られていたと思う。それは、バスケットに力をかけている差なのかもしれない。ただ、今シーズンに関しては、バークレーに対する期待は特別だ。客層は、大学の試合らしくOB、OGとおぼしき白人のおじいちゃん、おばあちゃんが多い。そこら辺は、実に好感が持てる。カリフォルニア大学バークレー校はアメリカのリベラリストの牙城でもあり、大学街の雰囲気からして独特の誇りを感じられるようなところが実にいい。
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 試合が始まった。ベアーズのスターティングラインナップは、ガードのタイロン・ウォレス(Tyron Wallace)、ジャバリ・バード(Jabari Bird)、ジョーダン・マシューズ(Jordan Mathews)、フォワードのジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown)、アイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)。全員プロになってもおかしくないほどの実力者のメンバーである。さらにそこからサブとして、センターのキャメロン・ルークス(Kameron Rooks)が入ってくる状態だからすごい。最初から技で見せてくれて飛ばしたのは、ジョーダン・マシューズ(Jordan Mathews)。いきなり3ポイント2本を決める。さらにジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown)が続く。アイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)は、かなり警戒されているようで、フリースローでしか得点ができていない状態。開始7分もたたないうちに、すでに10点差が付くような展開だった。中盤以降になっても、タイロン・ウォレス(Tyron Wallace)とジョーダン・マシューズ(Jordan Mathews)が爆発。前半だけで、それぞれ15点、13点をあげて、チームスコアは47-28となり、前半終了。すでに19点も差がつき、試合は決した印象がある。アイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)は調子も悪かったのか、5分でベンチに下がり、得点は本当にフリースローのみの6点だった。
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 ハーフタイムにアリーナ周りを探索してみる。ゴールデン・ベアーズの偉大な選手たちの写真などがギャラリーになった場所などに飾られている。ケヴィン・ジョンソン(サンズなどで活躍し、市長になった)も、ジェイソン・キッドマーベリックスやネッツなどで活躍し、今やヘッドコーチだ)も、シャリーフ・アブドゥル・ラウーフがバークレー出身なのは有名である。最近の選手ではライアン・アンダーソンもそうだった。かつて1930年代にはテッド・オオハシという日系人の選手がいたことも知る。そして、大学らしくスポーツ選手で奨学金を得ている選手たちの写真が掲載されている場所もあった。まさに彼らがプレイした歴史を感じられるアリーナなのである。大学での試合を見るにはこんな楽しみがある。
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 後半が始まった。相変わらずゴールデン・ベアーズは飛ばす。得点差は最大22点差になった。しかも、ベアーズの選手はエキシビジョンゲームのつもりで本気を出していないというところも重要である。アイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)はやはり警戒されていて、得点はフリースローばかりであるが、中盤になって、スティールと初めてのシュートでの得点(ダンク)と、非凡な才能を見せてくれた。後半が半分を過ぎたところで、ここで大事を取って、自分は会場を去り、帰国のため、空港に向かうことに。
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 結局、駐車場からは、普通に超過料金を払うことなく出ることができ、カリフォルニアでもあるので、迷うこともなく、渋滞に合うこともなく、空港には余裕の時間で着いて、帰国することができた。バークレーからなので、空港までは1時間はかかるかと思ったら、30分ちょっとで楽々着いてしまった。こんなことなら試合を最後まで見ればよかったとも思ったが、バスケットなので、観客は少ないといえ、やはり終了後には大学の出口を出るまでには人が殺到さるだろうし渋滞もできるだろうし、時間がかかることは間違いないので、やはり試合終了までには出なきゃいけなかったことにはちがいはないだろう。まあ、でも、帰国便があと30分出発時間が遅ければ、それが一番いいことには違いない。羽田に5時に着いても、6時についてもそんなに変わらないから。

 後で試合を振り返ってみると、最終スコアは85-67。サンタバーバラも後半は頑張って39点を取った。ベアーズの選手のスコアは、ガードのタイロン・ウォレス(Tyron Wallace)が24点でトップ(うちフリースローが11点)、そして6アシスト。フォワードのジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown)が17得点、7リバウンド、1スティール。ガードのジョーダン・マシューズ(Jordan Mathews)は16点、7リバウンド。フォワードのアイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)は結局18分の出場だったが、12得点(うちフリースローが10点)、3リバウンド、2ブロック、1スティール。ガードのジャバリ・バード(Jabari Bird)も10得点と、5人が二桁得点を上げる結果だった。サンタバーバラの方はガードのマイケル・ブライソンという選手が23得点をあげる活躍を見せた。こういう強くないチームにも、おそらく強豪校に入れなかったが実力のある選手がいるのである。彼らがなかなか浮かばれることがないのが悲しい現実ではある。
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 ただ、これだけの人材が揃っていながら、結局、ゴールデン・ベアーズはこのシーズン、強豪校にはことごとく敗れ、Pac12トーナメントでも早々に敗退するという体たらくを見せることになるから、バスケットは水物であることをつくづく認識させられた。しかし、それでも前述のようにフォワードのジェイレン・ブラウン(Jaylen Brown)は、1巡目3位でセルティックスから指名、ガードのタイロン・ウォレス(Tyron Wallace)は2巡目30位でジャズから指名された。パワーフォワードのアイヴァン・ラブ(Ivan Rabb)は、結局このシーズンにドラフトエントリーをしなかったのだが、彼が残った2016-17シーズンもゴールデン・ベアーズは強豪校には勝てず、勝負弱さを露呈。彼のドラフト指名順位は1巡目の後半になりそうで、評価を下げてしまう結果に。弱小チームに入ることにはならないので、その後の活躍によっては、それがいい結果になるかもしれない。いずれにしても、プロで活躍できる素質は十分にあると思うので、できれば地元にチームに指名されて、頑張ってほしいなと思う。