2013/11/29 Michigan Wolverines vs. Coppin State Eagles @ Crisler Center (NCAA Basketball)

 翌日もデトロイトなのであった。そこで、 これまでデトロイトにいた時に行けなかったところに、ようやく 行くことにした。それはミシガン大学だ。車で行けば、 30分ちょっとで行けるのだが、 これまではどうにもイベントのスケジュールが合わず、 なおかつNBAピストンズのホーム、パレス・オブ・ オーバーンヒルズに行こうとしている時だと方角がちがうので、 結構めんどくさいというのがあった。ミシガン大学がある街、アナーバー(Ann Arbor)はデトロイトの西、 オーバーンヒルズは北方向にあり、 それぞれがデトロイトから1時間ほどかかる場所で、 巡って移動しようと思うと時間がかかる。 デトロイトダウンタウンには何もないけど、郊外には 放射状に街が色々と開けているのが、おもしろい。 この日はミシガン大学のバスケットボールの試合が午後にあり、 夜にオーバーンヒルズでピストンズの試合があるというスケジュールだったので、 時間もありそうだし、回ってみることにした。

 そういうわけでミシガン大学である。ミシガン大・ウルバリンズ( University of Michigan Wolverines) は言わずとしれたバスケットはもちろんフットボールなどでも名門で数 々の名選手を輩出している。 青と黄色のカラーの独特のユニフォームはどこかで見たことがある にちがいない。そんな ミシガン大のバスケットボールチームは、なんと昨シーズン、NCAAトーナメントのフ ァイナルまで進出したのである。クリス・ ウェバーやジュワン・ハワード、ジャレン・ ローズがいた頃(ファヴ5)の1993年以来、20年ぶりの快挙であった。 それでも相変わらず優勝できないのが、ミシガンらしいといえばらしい。

 昨シーズンのメンバーは、ティム・ハーダウェイ・ジュニア( 現ニックス)、トレイ・バーク(現ジャズ)、グレン・ ロビンソンⅢ、Mitch McGary、Nik Stauskasなどがいた。今、 考えるとすごいメンバーである。 これでも優勝できないのだからNCAAバスケットのレベルがい かにすごいかがわかる。今シーズンは、ハーダウェイ・ ジュニアとトレイ・ バークがドラフトエントリーしてプロ入りし抜けたが、グレン・ ロビンソンⅢは1年生だったこともあり、 ドラフトエントリーを回避し、大学に残ることになったので、 せっかくだから見ておきたいと思ったのだ。

 グレン・ロビンソンⅢ(背番号は1)、名前からわかるとおり、 NBAバックスなどで活躍した名選手、グレン・”ビッグドッグ” ・ロビンソンの息子である。父グレンは元々インディアナ出身で( 大学はパデュー大)、息子も地元インディアナで育ったようだ。インディアナ州のミスター・バスケットボールに選ばれた父に勝るとも劣らない、高校時代からオール・アメリカン・ゲームに出場したほどの人物だから、親子の 才能のすごさを認めざるを得ない。ハーダウェイ・ジュニアといい、 自分がNBAを観ていた頃の選手の息子がプロ入りしようとする年 齢になっているのだと思うと、感慨深いし、 月日の経つのは早いものだと思う。 息子グレンは今年のドラフトの目玉であり、Mitch McGary(背番号4)もドラフトエントリーすると見られているから、 ミシガン大学の選手層は翌シーズンから厳しくなるかもというところなので、今年見られるなら、それを逃す手はないと思ったのだ。
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 ミシガン大の今日のゲームの相手は、Coppin State Universityというマイナーな大学なので、 プレシーズンゲーム的な肩慣らしの試合のような感じであろう。 とはいえ、Coppin Stateはボルチモアにある大学であり、 おもしろいことに大学バスケットの超一流校は東海岸にはほんとに 少ないので、名門校には入れなかったものの、 地元志向の強い家庭の人間だったりで、 才能がある選手がいるのかもしれないと期待もしてみる。
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 ミシガン大バスケットチームのホームはクライスラー・ センターという。自動車のクライスラーとは関係なく、 かつての(なぜか)フットボールチームの名コーチの名前らしい。 1967年の建設ということが、リノベーションが行き届いていて、 古い感じは全くしない。2階席は相当高い位置にあって、 実に見やすい。チケットはオフィシャルサイトで買った。インターネットで 普通に外国人にも買えるところがうれしい。さすがの名門大学だ。
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 特に気になったところはというと、 マーチングバンドが学生ではなく、 シニアのおじいちゃんみたいな人もいた集まりだったことだろうか 。バスケットの場合はこうなのか?  全てがそうなのかはわからなかった。 メインのバンドはフットボールの遠征に行っているのかとも考えた が、 フットボールチームは明日ここホーム(隣接しているスタジアム)で最終戦のホームゲームがあるわけ で、どうにもよくわからなかった。
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 ゲームが始まった。グレン・ロビンソンⅢは結構、 線が細い印象であった。とはいえ、 自分で切り込むこともできれば、バスも出せるし、 リバウンドも取れるし、 3ポイントも高確率で決めることができる。 まさに非の打ち所のないオールラウンダーであった。 シーズン序盤の格下相手のお試し試合ではあったが、 予想以上に次元が違っていた。
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 記憶があいまいなのだが、父親のプレイスタイルは、 こんな感じだったっけ?と思った。 むしろイメージとして思い浮かんだのは、スコッテイ・ピッペンの姿であった。 シーズン序盤ということで、100% の力ではやっていないのだろうが、自分が切り込んでいったり、 シュートすれば、確実に決められるだろうところを、 チームメイトに譲ったりしているかのように見受けられたのだ。 そういうところこそピッペンらしいといえばピッペンらしいのである が…。
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 気が付いたら、前半の中盤ですでに、10点以上の差が付く展開である。何がちがうかと言えば、リバウンドであった。ミシガンは誰だってリバウンドが取れるが、相手にはリバウンドが取れる人間はわずかしかいない。前半終了で42-23、もうこのゲームに対する興味はなくなった。
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 グレン・ロビンソンⅢは後半途中でベンチに退いて、 再び出てくることはなかったが、 さすが昨年ファイナルまで進んだミシガンである。 序盤のリードを追い付かれるどころか、さらに倍離す勢いで、最終スコアは87-45で勝利。グレンⅢは27分の出場で14点、6リバウンドだった。やはり印象に残ったのは、昨年もスターターだったMitch McGaryだろうか。6点、8リバウンドだったが、2ブロックも決めていて、数字には出てこないが、ポストにいると実に心強い人間である。トップスコアラーは、スターターではないが24点をあげたZak Irvin(背番号21)という選手。ポジションはガードであるが、背も割と高くて、3ポイントを6本も決めるアウトサイドシューターで、ゴール下でリバウンドもとれる。これでまだ1年なのだから実に楽しみである。
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 残念だったのは、今日のゲームに昨シーズン活躍したNik Stauskasがケガで出場できずに見れなかったことだった。今シーズンはどうかと思われていたミシガン大だったが、Nik Stauskasの大躍進があり、ウィスコンシン大や宿敵ミシガン州立大を下し、10連勝を記録するほどになったのだ。その後、今年は弱いはずのインディアナ大に敗れたりしたが、まだまだシーズン終了までは見逃せない。それにはグレン・ロビンソンⅢの奮起が必要なのだが。一ケタしか得点できなかったりと思えば、20点以上入れたりとか、このムラの多さは何とかならないのかね。
 
 実はグレンⅢには弟がいるようで、ゲレン(Gelen)というらしい。彼はバスケットはやっていなかったようだが、レスリングの高校チャンピオンだったとかで、今年からパデュー大学のフットボールチームにラインバッカーとして入るらしい。弟はバスケットチームではないが、父親と同じ大学に入学するわけだ。こちらもどうなるかわからないが、おもしろくなりそうである。