個人的な2012年のベストアルバム①

ほんとに今さらながらだが、個人的な2012年ベストアルバムをごく簡潔に記録しておきたいと思う。
 
10位 Celebration Rock  Japandroids セレブレーション・ロック/ジャパンドロイズ
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ユニット名にひかれて、掘り出し物のように気に入ったもの。手作り的な、衝動に任せたような音作りがすごく新鮮に感じた。かといって、こちらがほっておかれるような感じでは全然ない。いかにもさえないルックスの男2人組というのもいい。でも、音的にはウィーザーというよりも、なぜか初期リプレイスメンツのような雰囲気を感じた。古くはないけど、懐かしい。こういうのを久方、聴いてなかったな~というものだった。ちなみにユニット名は、語呂合わせで付けたようで、特別メンバーが日本に関わりがあったというわけではないらしい。
 
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初期のブラーを思い起こさせてくれた快作だと思う。ブラーも再結成したことだし、まんまブラーでやってもおかしくない曲ばかりである。声までほぼデーモン化している。これまでこの人のソロ作は、途中でダレたりして最後まで聴けないものが多かったけど、今回はそうではなかった。でも、ノイズを組み合わせたりしたり、不協和音で遊んでみたりしてるんだけど、なぜだかどうしようもない古さとかダサさを感じてしまう。そこがJapandoridsとは違う印象なのである。リズムの打ち込み具合が目立つからなのか、サックスを使ったりしているからなのか? やっぱりデーモンのやってる音楽の方が圧倒的に新しくてシャレオツなのよね。かえって、ブラーでのデーモンの存在感を感じてしまうものだった。
 
8位 『All Of Me  Estelle オール・オブ・ミー/エステル
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前作に比べて、完全に忘れ去られたように見受けられる今作である。評論家筋からも見放されている感じもある。だが、決して悪い作品ではない。この人のように何でもできる人が、消えていってしまうならば、もったいなさすぎる。“American Boy”を狙いすぎたシングルで当たらなかったというのはあるだろうが、アルバムを通して聴けば、その素晴らしさはわかる。特に後半にかけては、佳曲揃いでどんどん盛り上がってくる。しかし、逆に言うと、そこまで一般の人間が我慢して聞いてくれると思っているのだろうか? 曲順というものを考えないのだろうか? だったらもっとシングルヒット量産に攻勢をかけるべきものなのだが、そんな宣伝に金をかけられたわけでもなく、正直よくわからない。
 
7位 『Brack Radio Robert Glasper Experiment ブラック・レイディオ/ロバート・グラスパー
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ヒップホップとジャズの体現ということだが、ヒップホップからもジャズからも日本の評論家陣には顧みられなかったこの作品。本国ではグラミーもとってるからいいのだが…。ジャズ好きは、ちゃんとしたジャズが聴きたいんだとか、ヒップホップじゃないとかぬかすならば、ほんとに死んでくれ。アーティスト側のこういう試みを持ち上げなくてどうする? 個人的には、experimentという割には、音楽的には至極真っ当なもので、もっともっと実験してもいいんじゃないかと思ったくらいである。フリージャズ的なものだったり、変態的なビートだったりしても、ラッパーはいくらでも柔軟に合わせられるものなのに。
 
6位 『Food & Liquor 2 : The Great American Rap Album Pt.1  Lupe Fiasco フード&リカー2 : ザ・グレイト・アメリカン・ラップ・アルバム/ルーペ・フィアスコ
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 その大仰なタイトルと裏腹に、セールスも評価もパッとしない作品となってしまったが、そこまで悪いかというと、全然そんなことないぞという作品である。ケチのつけはじめは、
Pete Rock”T.H.O.Y.”ネタをまんま使った④Around My Way”である。Great American Rap Albumという割には、人が使ったビートかよということになるし、そこまでの大ネタを使うなら、もう1、2曲それっぽい曲があってもよかった。そして、残念ながらこのアルバムで最もキャッチーな曲がそれだったということに尽きる。いわゆる叙情的な曲では、名曲となりえたものが多いのだが…。タイミングが合えば、シングルとして売れたかもしれないが、今さら仕方ない。だったらなおさら、このタイトルはそれで良かったのか?ということになる。
 
 次点 『Sorry To Bother You  The Coup
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2012年の作品ということで、あえて次点として、コレをあげておきたい。ギャラクティックのゲストヴォーカルとして、トム・モレロと組んだストリート・スウィーパー・ソーシャル・クラブとして、2度も来日を果たしたブーツ・ライリー。アメリカの最も過小評価されている音楽的才能、彼の率いるThe Coupの『Pick A Bigger Weapon』(2006年の私の圧倒的ベストアルバムである)以来の作品である。Facebookでツアーバスのための寄付を求めているのを見て、そんなに大変なのかというのを知ったのだが、
それもそのはず、この新作はビッグバンド的大所帯なのであった。長年、外部の人たちと活動をすることでブーツ・ライリーが音楽的に行き着いた先がこういうものになったということなのだろうか? その分、泥臭いファンク色やヒップホップさは薄れたものとなった。おもしろい曲もあるんだけど、でもなんかこれだけじゃ物足りなかったな…。