West Virginia Mountaineers @ Rutgers University Scarlet Knights 2011/10/29(NCAAカレッジフットボール、ラトガーズ大学)②

 現在のカレッジフットボールで、もっともおもしろいカンファレンスはBig Eastにちがいない。所属するチーム(大学)は、Cincinnati, Conneticut, Louisville, Pittsburgh, Rutgers, South Florida, Syracuse, West Virginiaの8校。いわゆるフットボールの超一流校が所属するACCBigTenSECPac12(今シーズンからCoroladoUtahが加わり、Pac10から12校になった)のカンファレンスなどは、優勝常連校みたいな1,2校が抜きん出ていて、逆に最下位が定位置みたいな学校もあったりして、ある程度勝敗が予想できてしまったりするのだが、Rutgersの所属するBig Eastカンファレンスは、特にここ最近のシーズンがそうなのだが、各チームの実力がとにかく均衡しており、どこが優勝してもおかしくないし、勝敗も全く予想がつかないから、おもしろさがある。逆に去年あんなに勝っていた学校が、次の年にはなかなか勝てなかったりもするのである。
 
なぜなのかといえば、やはり超一流校ではないから、高校時代から大活躍していたスーパースターが入学することが多くはないから、選手の実力が自然と拮抗するのだろう。しかし、そういう選手の中には、未だ見出されていなかっただけで、大学に入って一気に才能が開花する選手がいて、注目を浴びた彼らが所属チームの成績を押し上げたりするわけである。プロのスカウトはその辺も見抜いていて、このカンファレンスの学校にいた選手がNFLに行くことも多いし、それこそ高校時代からスーパースターだった人間よりもプロで活躍したりすることもあるからおもしろいわけである。
 
話は戻るが、そんなRutgersの注目選手と言えば、Mohamed Sanu(6、WRJr)である(サヌーと発音する)。抜群の身体能力とキャッチのうまさは、すでにWRで10本の指に入ると分析されていたりする。現在3年なのだが、来年ドラフトエントリーするのではと言われている。このままケガがなければ上位指名も夢ではないだろう。続いてSan San Te(1、KJr.)。彼はキッカーで、まだ3年なのだが、その長距離成功率の高さから将来のプロ入りが期待されている存在。名前からしてアジア系のようで注目である。そしてGary Nova15QBFr)。Rutgersは昨シーズンも1年生のクォーターバックが先発していたのだが、彼も1年生だが先発のQBを任される逸材である(去年の先発QBを追い抜いて先発になったのか、ケガでの代役先発なのかはわからなかった)。
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 さらに話は戻り、この日のWest Virginia戦なのだが、実はWest Virginiaは、Big Eastカンファレンスの中でも最も優勝が多い最強豪校である。今シーズン、Rutgersはここまで5勝2敗、一方のWest Virginiaもここまで52敗、ただWest Virginiaは、この時点で全米ランキング25位にランクされる強豪であることに変わりない。Rutgersにとって、この試合に勝つと、カンファレンス優勝も夢ではない重要な試合であったことを念頭に置いてもらいたい。
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 1stクォーターにSan San Teのキックで3-0と先制したRutgers(以下RU)だが、直後West Virginia(以下WV)にAlston(RB)の52ヤードランタッチダウンのビッグプレイが飛び出し、3-7とリードされる。雪のせいもあるだろうが、RUだってランプレイをやっていないわけじゃない。このままWVを止められないないんじゃないかという不安がよぎる。しかし、その後、サックからのファンブルリカバー(実はハイライト映像を見るとSmith(QB)がただすべってボールを落としただけだと判明)で絶好の位置からの攻撃を得たRUNova(QB)Sanu(WR)へのタッチダウンパスを通し、10-7と逆転。ただそれもつかの間、その直後WVAustin(WR)を使ったランで80ヤードタッチダウンのビッグプレイが飛び出し、10-14と再逆転。常にRUのディフェンスには不安が残る状態。しかしRUは攻撃陣が奮闘する。NovaHarisson(WR)への45ヤードタッチダウンパスを通し、17-14とまた逆転。まさに怒涛のような1stクォーターであった。
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 2ndクォーターになっても試合は動く。今度はRUが自陣4ヤードでファンブルしてしまい、それをWVがリカバー。WVは手堅くランタッチダウンを取り、再び17-21と逆転。ここからRUは小刻みにランとパスを使い分けヤードを稼ぎ、ついにJamison(RB)のランでTD24-21と逆転する。ここからRUのディフェンスがようやく機能しはじめる。WVの攻撃をしのいでパントにさせると、次のシリーズでもRUはヤードを稼ぎ、Jamison18ヤードランタッチダウンで、ついに31-21と突き放す。この日初めて2スコアのリードとなった。RUのディフェンスは次のシリーズでもランプレイでロスを連発させるなど、光明が見えてきたところで、前半が終了。
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 後半になって、ハーフタイム中に除雪車がさらに駆動、フィールドの雪がかなり取り払われたのも影響したのではないかと思うが、ここから試合は一気に膠着状態となる。これまで威力を発揮していたRUのオフェンスはファーストダウンを取るのも難しいほどに。そうなるとやはり地力に勝るのがWVSmith(QB)Bailey(WR)へのTDパスで31-28と加点。3rdクォーターの得点は両チームこれのみだった。RUNova(QB)のパスもインターセプトされたり、完全にオフェンスが見切られてしまっているんじゃないかと思えてきた。
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 4thクォーターになり、再びRUのオフェンスが機能しはじめる。RUは敵陣11ヤードまで進んだところで4ダウンギャンブルを展開。しかしNovaのパスは見事に失敗し、無得点に終わってしまう。思えばここが試合のキーポイントだったかもしれない。終わったゲームに「たられば」を言っても仕方がないが、San San Teフィールドゴールを蹴らせていれば、結果は変わっていたかもしれない。その後のシリーズで、WVは背水の陣で本気を見せ、怒涛の攻めを展開する。徐々に後退するRU。最後はSmith(QB)自ら走り込んでTD。しかしここでWVはエクストラポイントに失敗し、6点しか入らず、得点は31-34に。逆転はしたものの、差は3点。まさに先ほどRUがキックを蹴っていれば…と思いたくなったのも仕方がない。
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 しかしRUにまだツキが残っていたのかと思いきや、直後のシリーズで、今度はNova(QB)がサックされてしまう。これがファンブルとなり、ボールはWVの元へ。位置は自陣40ヤードだったのだが、WVは確実に攻め込み、最後はAustin(WR)への20ヤードのパスTDが決まり、31-41と逆に10点差と引き離されてしまった。ここでまだ残り時間は5分近くあったのだが、明らかにNovaは焦っているように見えた。ランでも走れないことはわかっていたが、とにかくパスで押しまくるだけ。残念ながらそのほとんどはWVに見切られていた。敵陣に入るものの4ダウンギャンブルに失敗。そして最後は再びインターセプトを取られ、万事休す。これが1年生QBの限界だったのかもしれない。やはりクラッチパスは試合経験を積まないと無理なのか? 試合はそのまま31-41で終了。
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 ずいぶん長くなりましたが、最悪の状況で観戦していた分、これくらい書かないと気が済まなくなった感じです。それだけおもしろい試合だった。しかしその日はStanford vs USCの試合がダブルオーバータイムにもつれ込む熱戦だったため、スポーツニュースはほとんどそちらに時間をとられてしまっていたが。
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 結局Rutgersは次の試合から、昨シーズン1年生ながら先発を務めていた、Chas Dodd(現在2年)に先発QBを交代することになる。Rutgersは、結局最終戦Conneticutにも負けて3敗。現在Big Eastカンファレンスは、LousvilleWest VirginiaCincinnati2敗で並ぶという結果に。この3チーム、直接対決ではそれぞれが1勝1敗という、まさしく混沌とした優勝争いとなっている。