West Virginia Mountaineers @ Rutgers University Scarlet Knights 2011/10/29(NCAAカレッジフットボール、ラトガーズ大学)

この日は朝から飛行機でニューアークまで行く予定だった。空港で見た天気予報では、にわか雨(shower)となっていたので、雨が降っていたらスタジアム観戦は嫌だなと思っていたのだが、昼に着いてみると、なんと雪が降っていた。しかもやむどころか、どんどんひどくなってくる。そして、デトロイトよりもはるかに寒い。一応防寒対策として成田で買っていたユニクロのダウンがこんなにすぐ必要になるとは思わなかった。
 
 時間に余裕はあったものの、できるだけ早く移動した方がいいと思い、すぐにハーツレンタカーへ。今年も愛車はNISSAN VERSAになった。この日はラトガーズ大学(Rutgers, The State University of New Jersey)に行くつもりであったのだが、もうすでに雪はかなりつもっており、正直たどりつけるかどうかの方が不安になってきた。ラトガーズ大学(Wikipediaでも指摘されているが、ラッガースと発音しないと通じない)はニュージャージー州のピスカタウェイという街にあり、普通ならばニューアーク空港から30分ほどで着くはずなのだが、何せハイウェイでは運転していても吹雪でほとんど前が見えないので、限りなくスピードを落とさないと進めない。しかも別車線の車が追い抜いていくと、雪のかたまりがフロントガラス全面に覆いかぶさり、ワイパーが3往復くらいしないと、視界が全く開かない状態になった。むしろ無事に着けるのかどうかの方が心配になってきた。
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 結局、1時間ほどかかって、ようやくニューブランズウィックという街のホテルに着いた。ハイウェイを降りた頃には視界も開けてきて、雪の降りもゆるくなってきた。しかし、周りは一面の銀世界である。後でわかったことによると、10月にニューヨーク近郊で雪が降ったのは、30年以上ぶりとのことで、自分が通ってきたハイウェイ、ニュージャージー・ターンパイクでは速度規制がひかれたらしい。あともう少し出発が遅れれば、もっと時間がかかっていたかもしれない。
 
 この日はRutgers大学フットボールチームが、ホームに強豪West Virginia大学を迎えての試合である。Rutgers大学のスポーツチームの愛称はScralet Knightsという。日本語で言えば、「深紅の騎士」といったところで、ユニフォームもマークもなかなかにカッコイイ。しかも実力だってある。元々、頭のいい学校ということもあるのだろうが、NFLにもRay Rice(RB)を筆頭に、地味ではあるが戦力として重宝される選手たちを輩出している。日本ではほとんど知られていないが、アメリカでもかなり古い(12番目?)大学であり、名前からすると私立のようであるが、州立大学なのである。
 
 中でも私が魅かれたのはスタジアムである。今シーズンから地元企業のスポンサーがついて、High Point Solutions Stadiumという名前になったらしいが、その観客席から壁から、真っ赤な背景の中に緑の芝のフィールドが広がる様が圧巻なのである。しかもその芝は5ヤードごとに色分けがされており、プレイする人間にとっても実にわかりやすいだろう、やさしいスタジアムになっている。と言うと、私は以前にもそこに行ったことがあるかのような表現に聞こえるかもしれないが、もちろん今回が初めて。そのスタジアムを見たことがあるのは、NCAA Footballというゲームの中での話。でもこのゲーム内のそれぞれの大学のスタジアムは、中にある広告以外の風景がすべて完璧に再現されているのだ。そもそも私のフットボールへの興味がカレッジまでに広がったのは、このゲームの影響にほかならない。
 
 一応、ホームページを見てみると、中止とは書いてなかったので(駐車場のどこかは閉鎖するとは書かれていたが)、時間通りに行ってみることにする。もちろんドーム球場ではないので、雪はまだやんでないし、吹きさらしになることだろうから、さらにアウターと手袋を買ってから行くことにした。フットボールの試合は中止になることはほぼない。そもそも相手選手は遠征していてスタンバイしているわけだし。
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 着いたはいいが、すでに駐車場からスタジアムに着くまでの間で、雪に足をとられにとられ、もうすでにビショビショである。おまけにゲームの世界できれいだったスタジアムは、一面、真っ白であった。フィールドのラインすらわからない。なんとか除雪車がライン部分だけは雪を取り除こうとしている。ていうか、よく除雪車があったもんだ。しかも雪は一向にやまず、時折吹雪もきびしくなるほどで、観客席で観ている人間はほぼ半分。他は上の屋根のある方に避難している。私自身は観客席で頑張ろうとするが、トイレが近くなって仕方がない。
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 ちなみにこのRutgers大学のスタジアムには、The Birthplace of College Footballと書かれている。ラグビーを改良して作られたアメリカンフットボール、その最初の試合が行われたのが、このRutgers大学なのだ。それくらい長い歴史を誇る学校なのである(カレッジフットボールの起源はハーバード大学という説もあるらしい)。NCAA Footballのゲーム画面でも、Rutgersのスタジアムには、この文字が見えていたのだが、ほんとにスタジアムに来て、この文字を見ると、特別の感慨がある。スタジアムは雪だらけだけどね。まあフィールドのフェンスに描かれているこんな文字を気にしているのも自分だけだと思うが。
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  この最悪のコンディションで、試合がどうなったか? これがまたとんでもないエキサイティングなシーソーゲームになった。ちなみに相手のウエスバージニア大学の愛称はMountainerrsだし、決して雪が降らない地域ではないだろうけど、フィールドにこんなに雪が積もることなんて経験してないだろう。どちら側にしても手探りというか慣れない様は明らかで、最初はもうランにしろパスにしろビッグゲイン続出であった。最終的にリードが変わること、なんと7回! びしょ濡れになって凍えていたことがあっても、まれに見るほどおもしろいゲームだった。Rutgersは普段ホームでは赤を基調にしたユニフォームだったと思うが、この日は黒だった。
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