2020/01/03 Washington Wizards vs. Portland Trail Blazers @ Capital One Arena (NBA Basketball) ①

2019年はこれまでで初めてなのだが、翌2020年の正月明けに休みを取った。実はある計画があったからだ。それはワシントンDCに行くことだった。ワシントンと言えば、NBAウィザーズの八村塁である。もちろん彼の試合を見に行くことが目的の1つではあるが、ただそんなことだけのために計画はしない。

 
すでに夏頃から交渉を続けていたのだが、ワシントン・ウィザーズのシーズンチケットを購入することを考えていたのだ。八村が入団したこともあり、日本人も押し寄せるはずだと確信した私は、ここでシーズンチケットを購入すれば、自分が行けるのは数試合だとしても、必ずそのチケットは売れるはずだと思った。シーズンチケットが買えれば、ホームの42試合分のチケット(プレイオフに出られればそのチケットも)が手に入る。もちろん買うからには、アリーナ1階席センターブロックで、10列目以内の良席を狙う。計算してみると、1ゲーム100ドル以下で購入することができるのだ。しかし、何度か担当者とメールをやりとりして交渉をしたのだが、結局、シーズンチケットは、ワシントンDCかメリーランド州ヴァージニア州の在住証明がなければ買えない原則は変えられないと言われて断念することに。その代わりと言ってはなんだが、パーシャルプランという5ゲーム、10ゲーム単位で、チケットを買うプランを勧められた。
 
シーズンチケットに比べると、明らかに1枚分のレートは高くて、1ゲームにすると200ドル近くになってしまう。これでは普通に旅行に行って観るのと変わらない。他の都市でも人気のカードはもう少し高くなるが、もっと安いゲームのチケットもいくつもある。ただ、10ゲーム購入すると、1ゲームはタダで付けてくれるというので、パーシャルプランで11ゲームのチケットを購入することにした。先ほども言ったように自分が行けない試合のチケットだって、確実に売れるだろうと思っていたからだ。
 
八村が加入したと言っても、元々ウィザーズは決して強いチームではないので、用心をして、できるならシーズン始まって序盤の、レイオフの当落がまだ見えない時期の方がいいだろうと考えた。八村効果で日本人も多数訪れるにちがいない。ただ、八村が加わっても、ウィザーズがそんな急に勝てるわけはないだろう。これまでプレイオフにすら出られないシーズンの方がはるかに多かったのだから。後半戦になって、負けがこんでくれば試合に行く人間も少なくなるし、チケットは売れなくなるだろう。
 
ウィザーズのチケット担当者は、普通のNBAのゲームであれば、かなり高価になるど真ん中のセクションの特等席を選んでくれた。中には最前A列のチケットもあった。これならば、自分が行けない日のチケットでも売れるだろうし、損をすることはないと思った。しかし、まだこの時、私はワシントン・ウィザーズのファンを甘くみていたのだ。ウィザーズは負けが先行する弱いチームのイメージがあるが、全くプレイオフに出られないチームというわけではない。直近では2017-18シーズンには出ているのだけど、1回戦を勝てたことはないし、とにかく勝てるビジョンが見えないチームなのだ。エースのジョン・ウォールは必ず定期的にケガをする。ファンはウィザーズにそもそも期待していないし、レギュラーシーズンのゲームなんてそもそも見に行かないのだ。
 
とにかくこんなにチケットが売れないものかと愕然とすることになった。自分が行けないであろうとあきらめた日程のチケットを売り出したのだが、全くもって売れないのだ。他の都市では、普通にゲームを見ようと思えば、確実に買う特等席とも言えるチケットなのだが。チケットマスターのサイトはわかりやすくて、大体これくらいの値段で売れているとかもおしえてくれるので、そんなに高い値段を付けているわけじゃない。ましてやペアでしか買えないように設定しているわけでもないし、1人でもちょっと行ってみようかと思う人間はたくさんいるものだと思っていた。しかし、これが売れないのだ。
 
ワシントン・ウィザーズのホームゲーム、キャピタル・ワン・アリーナの試合映像を見ていると、かなりの空席が目に付くと思う。これはチケットが売れていないわけではない。ほぼすべての席はシーズンチケットや自分のようなパーシャルプランの購入者の買った席ですでに売れているものなのだ。でも、シーズンチケットのホルダーたちは、よっぽどの試合でなければ自分では見に行かず、チケットを常に売り出している。そこには結構ないい席も驚くほど安く売っていたりするので、そんな席と競合されれば、なかなか自分の持っているチケットが売れることなんてないというわけだ。もちろん二束三文みたいな値段にすれば、売れはするだろうが、そこまでして売ることにさすがに意味はない。ワシントンのファンにとっては、ウィザーズは日常的にあえて見に行くチームではない。それを証拠に、チャンピオンになったNHLアイスホッケーのワシントン・キャピタルズのホームゲームは空席なんてほとんど見られなかった。キャピタルズは昨シーズンも優勝候補だったし、今シーズンも調子がいいからね。思えば、アリーナ前にもダフ屋らしき人物をほとんど見かけなかったんだよね。いずれにしても自分のチケットはeチケットなので、紙に出力して売ることはできなかったのだが。
 
そんな中、ちょうど私がワシントンDCに行く直前に、さらに追い打ちをかける事態が起こる。なんと期待の日本人ルーキー、八村塁がケガで離脱することになったのだ。それまでNBA楽天でゲームの中継映像を見ると、日本人らしき観客もチラホラ見かけたりしていたので希望はあったのだが、一気に見通しは暗くなった。八村は一時はすぐに戻ってくるだろうと言われていたが、結局20ゲーム以上出ないことになり、自分の渡航日には復帰しないことが確実となった。これでは日本人すらも、だいぶ前から予定を入れてチケットを買っている人間じゃなきゃ、あえてワシントンDCに行かないだろう。本当にロクなもんじゃなかった。私は、このウィザーズのチケット購入で、自分史上最大の損失を被ってしまうことになった。
 
自分が購入したのは、あくまでも自分が調整して行けるかなと考えた日程で、11/20のサンアントニオ・スパーズ戦からだった。前述した通り、購入したチケットのサイトからそのままそのチケットを金額を決めて売りに出せる便利なサイトではあるのだが、なんせチケットが売れないので、NBAが開幕してうれしい反面、どんどん青ざめていく感触を味わう。 直前まで価格を調整して売り出してみるが、芳しい結果にならず、損失は増えるばかり。 せめて八村みたいな日本人選手があと1人でもいてくれたらだいぶ違うんだろうが仕方ない。こんなにケガ人ばかり出てるんだから、意外と知られていないが、ワシントンDCの中心部にあるジョージ・ワシントン大学に4年間も通っていたほぼ地元の選手である渡邊雄太と契約すればいいのにさ。メンフィス・グリズリーズだとなかなか上に上げてもらえないのに。残念至極である。
 
ワシントンDCは、これまで自分は何度か乗り換えや通り過ぎたりしたことはあるのだが、実際に泊まって観光するのは初めてなのであった。日本から直行便のある都市なのだが、あまり観光客が行っているという印象はない。昼前発の便で現地時間の午前中に着くという飛行機。正月休み中であるので、事前座席指定もできなかったので、満席なのかと思いきや、自分の隣の席は空いていたりして、他にもちらほら空席が。そして、この飛行機はなぜかスター・ウォーズ仕様であったのだが、これは映画の宣伝なのか、何なのか、映画の告知があるわけでもなくて、よくわからない。CAのエプロンがそれ仕様で、さらに座席の枕カバーだったり、ドリンクのナプキンもスター・ウォーズデザインになっていたりして、記念のカードはもらったのだが、だからって何??? 機内の映画でも、最新作は無理だとしても、旧作すら見られなかったんだけど、何のためのスター・ウォーズ? しかもBB-8 JETだったので、いまいちつまんなかったんだな。R2D2がよかったよ。まあ飛行機のデザインは、中に乗っている人間にとっては、何の意味もないので。
 
ワシントンには、ニューヨークみたいに国際空港が3つあって、自分が利用したのはダレス空港で、一番町から遠くにあって一番デカイ空港だ。ダレスは元国務長官のジョン・フォスター・ダレスに由来している。入国審査のところには、Welcome to Virginiaと書かれていた。そう、ここはワシントンDCではなくて、ヴァージニア州なのだ。外国から来る人間にとっては、何だかな~という感じである。内装デザインにしても田舎の空港感が丸出しなんだ。
 
日本からの便なので、日本人も多くいて、NBAの試合を見に行こうとしている話をしている者も、入管待ちの前の列にはいた。残念だね、八村が出れなくなってさ。しかし、入国審査の待ちが長い。ニューヨークみたいな感覚を気取っているのかもしれないが、どうにもずれているんだよな、ワシントンDC。
 
空港を出たのは11時前くらいだった。ワシントンには地下鉄も通っていて、街のはずれまで大体のところには行けるようにつながっているのだが(でもこのダレス空港までは通っていないらしい)、いつものごとくレンタカーを借りることにした。去年と同じく、GPSが借りれて、ハーツよりも安いアラモレンタカーを予約していた。ダレス空港のレンタカーカウンターは、空港からもだいぶ離れていて、シャトルバスでだいぶ乗ったなという印象。
 
今回、レンタカーで驚いたのは、この記号のところに車があるよと案内されて行った場所で、どの車だよ?と思って聞いたら、「ここにあるどの車でも好きなやつを選んでいい」と言われたことだ。もちろんみんな同じ価格クラスの車ではあるのだが、これまではずっと営業所で勝手に指定されていただけに、これはうれしいシステムだなと思った。これが、アメリカのどこでも適用されるようになったのか、ワシントンだけなのかは、今回ここでしか車を借りていないのでわからなかったが。とはいいながら、結局、何台かある中で、自分が選んだのは、一番よく乗っている日産VERSAの赤だったというところが情けない。後でナンバープレートを見るとフロリダ州の車で、この車、大丈夫なのかと思ったが、アクセルやブレーキの感覚など何も心配することはなく、快適だった。今回、ワシントンならではの話だが「トールフリーパスはいるか」と言われて、申し込んでしまったのだが(もちろん有料)、東海岸地域ではいくつかの州境がまたがっている部分に多い有料道路を、現金を払わずにそのまま通り抜けられるという日本のETCカードみたいなものであった。うーん、今回そんなに遠くまでは行かない予定だったので、無駄な出費であった。しかも、結果、一度たりとも有料道路を通らなかったし。最悪だ。

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ワシントンDCのダウンタウンまでは1時間もかからないで着く予定で、見事にその通りだった。道も混むこともなく、この辺はニューヨークとちがって本当にうれしい。今回、泊まるホテルは初めての、PODという新興のホテルチェーンにした。ここは普通にエクスペディアなどのネットで取れるホテルでは、NBAバスケットの行われる会場、キャピタル・ワン・アリーナから一番近い所だった。何といってもワンブロック先であった。スタジアムやアリーナの駐車場はイベント料金で高いので、できるなら歩いて行ける場所にしようと自分の中で決めているからである。英語でPODというとカプセルホテルみたいな意味になるようだが、実際は日本のようなカプセルホテルではなくて(発想自体はそこからきているのかもしれないが)、アメリカ人が本物のカプセルホテルに自国内で好き好んで泊まるわけはないので。ただほんとに小さいこじんまりしたホテルであるが、かなり清潔でおしゃれなところだった。このPODのチェーンは東海岸にしかないようだが、逆に東海岸だからこそ、こういう小さいホテルでも十分というもので、西海岸ではこれでは商売は難しいだろうと思うほどだ。このPODの発想は、欧米人によるものなのか、アジア系なのか、いずれにしても日本のホテルを知っている人間によるものだなと思った。ホテルにはアーリーチェックインの予約を入れていたので、無事に入れたのだが、問題は駐車場だった。

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ホテルから事前に送られたメールの中に駐車場の案内があった。予想はしていたが、ホテルの敷地内に駐車場はない。1ブロック先にある駐車場を紹介されていたので、そこのパーキングパスをオンラインで申し込もうとするが、なかなか進まない。予約できていないのは明白だった。このメールは出発の数日前に届いており、その時に作業を進めていればよかったのだが、結局、出発当日になって、スマホからアクセスしたのだが、全然予約ができないのだ。自分は1人での移動なので、ホテル前に車を一時停車して聞きに行くわけにもいかず(結構車の通行量が多い通りなので)、示されたパーキングビルに先に車を入れるしかないと思った。自動のゲートで開くパーキングだったので、チケットを受け取って入る。この1回分はムダになるんだろうなと思いながら、ホテルにチェックインして、駐車場について聞くが、学生のバイトのような担当者はよくわからない様子。結局、パーキングは別経営で、パスはネットでしか買えないようで、部屋に入って、PCを接続してパーキングのサイトにアクセスすると、すんなり購入できることに気付く。やはり携帯からでは無理だったというだけのようだった。
 
さっきのチケットで入った分は時間制だったりするので、1日止めてしまうと50ドル以上になってしまうので、一度精算した方がいい。なんせパーキングパスであれば、1日止めても30ドルもしないのだ。購入したパーキングパスをフロントでプリントアウトしてもらって、1回車を出して、そのQRコードを駐車場で読み込ませようとするが、なかなか読んでくれない。どういうことだよと思いながら、なんとか係の人に通話して開けてもらう。後でわかったことだが、携帯画面のQRコードをまんまかざせば、そのまま読んでくれるのであった。このように最初に入った約20ドルの駐車場代のようなムダな出費がとにかくかかるのが、旅のさだめなのである。
 
車を止め直して、部屋に戻る。ホテルのすぐ隣の場所にドラッグストアのwalgreensがあったので日用品の買い物をして小腹を満たし、試合開始にはまだまだ時間があるので、アリーナ近辺を散策してみることに。ワシントンDCは計画的に作られた街だから、道も広々として、狭苦しい印象はない。キャピタル・ワン・アリーナは、NBAワシントン・ウィザーズ、NHLアイスホッケーのワシントン・キャピタルズWNBAのワシントン・ミスティックスの本拠地である。建物の周りには、有名選手のバナーが掲げられており、もちろん八村選手のもある。だが、ワシントンと言えば、やはり2018年に優勝したNHLアイスホッケーのキャピタルズの街である。一番いい場所にエースである、ロシアの天才アレックス・オベチキンのバナーが掲げられている。キャピタルズはかつて1998年にファイナル進出したものの、以降は低迷。2004年にオベチキンが加入したが、なかなかそれだけでは浮上しなかったものの、2016年からディビジョン首位が指定席の強豪チームに。そして2018年にチーム初の優勝を成し遂げたのだ。2019年のシーズンはディビジョン首位を獲ったものの、レイオフのファーストラウンドで敗退、それでも2020シーズンも優勝候補であることには変わりがない。キャピタル・ワン・アリーナは、かつてMCIセンターという名前であり、ヴェリゾン・センターだった場所。私としてはそちらの方がなじみ深かったのであるが、キャピタル・ワンというまた金融系、銀行の名前の入ったアリーナになってしまった。

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ワシントンDCの路上でよく見かけたのは電動スクーター。他の都市で見たシェアバイク(自転車)はほとんどない。なんせ道も広くてちょうど使い勝手が良いのだろう。でも地元の人間は、そうそう乗るわけではなく、あくまで観光客用という感じ。ここワシントンDCで圧倒的シェアを誇っているのが、地元の企業らしいSkipというメーカー。水色の車体だ。昨年、インディアナポリスで見たBIRDやLIMEも見かけはするが、特にLIMEは数が少ない。電動スクーターなので、実際に乗るには法律的にヘルメットが必要なのだが、今年はせっかくだから乗ってみようと思っている。
 
話を戻してウィザーズである。3日のこの日の対戦相手は、ポートランドトレイルブレイザーズ戦であった。昨年はカンファレンス・ファイナルまで進み、ゴールデンステート・ウォリアーズに敗れるものの、エースのデイミアン・リラードとCJ・マッカラムのバックコートコンビが強烈な印象を残したチーム。今シーズンはさらにマイアミ・ヒートで活躍したセンターのハッサン・ホワイトサイドロサンゼルス・レイカーズなどで優勝を経験したトレバー・アリーザが加わり、なんとニューヨーク・ニックスで活躍したカーメロ・アンソニーが電撃復帰した。昨シーズン以上の成績が期待されるも、今シーズンはこれまで14勝21敗とウエスタン・カンファレンス9位と借金生活。この日まで5連敗中と決して順調ではない。 

 

一方のウィザーズはここまで10勝23敗、イースタンカンファレンス12位とさらに分が悪い。ポイントガードのジョン・ウォールがずっと怪我で出ていないのはお約束みたいなものだが、八村塁をはじめ、復帰したはずのエースのブラッドリー・ビールもこの日は欠場、さらにラトヴィア人の3ポイントの名手、ダーヴィス・ベルターンズ、インディアナ大出身のセンターのトーマス・ブライアント、ミシガン大出身のドイツ人のモリッツ・ワグナー、ガードのC.J.マイルズと次から次へとケガで離脱、そもそもロスターは大丈夫なのかと心配されるほどの状態。なんせビッグマンに怪我人続出なので、リバウンドが取れず、相手にセカンドチャンス得点を許してしまうことが特に多いウィザーズの現状である。

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ブレイザーズがデイミアン・リラード、CJ・マッカラムの両エースが健在で、センターのホワイトサイドカーメロ・アンソニー、ケント・ベイズモアというスターターに対して、ウィザーズは、ガードにアイザイア・トーマス、ゲイリー・ペイトン2世、フォワードにトロイ・ブラウンJr.、ジョナサン・ウィリアムズ、センターはイアン・マヒンミというどこかのチームのセカンドユニットよりもさびしいんじゃないかという、この間まで2Way契約だったような選手が入るスターター。これはもう勝利はないだろうと確信してしまうほどのメンツだ。特にアイザイア・トーマスはかつてのセルティックス時代の輝きはとうに失せていて、体型も太ったようで、ここ最近のウィザーズの試合を見ていて、全然フィットしていないなと思っていた。ただでさえディフェンスが得意ではない選手で、とにかくリバウンドが取れないディフェンスが穴のウィザーズでどうなるんやと思っていたが、ここに来て怪我人続出する中で、スターターとして起用されると来たもんだ。見通しは暗いね。
 
この日のチケットは、ちょうどウィザーズベンチ側のすぐ上のセクションのD列だった。D列というと前から4列目ということなのだが、それはあくまでスタンドの4列目ということで、NBAのコートにはさらにアリーナのフロアにもっとチケットの高いセレブや関係者たちが座る特別席の列が5列分くらいあり(ここの席は高低差がないのだが)、実質的には10列目くらいの場所ということになる。それでもかなり近くて見やすい場所には違いない。それでも周りに空席は目立ち、試合直前になっても一向に埋まる気配はないのだ。

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これまでは自分がアメリカで生観戦した試合は、NBA.COMのハイライト映像で見るくらいしかできなかったのだが、今シーズンからNBA楽天に入ったので、後で試合の映像を全て見返すことができるようになった。するとカメラが一番引いた画像では、ちゃんと自分が映っているのを確認することができた。それくらいの位置といえばわかりやすいだろうか。なんかあらためて映像を見ると変な感じである。つまり、選手のベンチ側を撮るカメラで映り込むくらい、言わばそれくらいの価値の席であるはずなのだが、ここの席にしてもサイトで売ろうとしたとしても、おそらくなかなか売れなかったであろう。しかし、このNBA楽天だが、問題は、アメリカにいる間は一切見れないということだ。日本で契約しているからといっても、きちんと料金は払っているのに、アメリカにいると見れないというのは、どこか割り切れない思いがある。これはNBA楽天に限らず、HuluやNetflixのサブスクでも同様である。せめて登録している1台のPCからだけなら見れるみたいなシステムにはしてもらえないものなのか。アメリカにいる時は、テレビ番組は正直見るものがないから、いつもESPNやMTVをつけているだけになっているんだよね。 

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ちょうどここに見える範囲に自分の姿を確認できる

私は試合の1時間半前にはアリーナに着いていて、全体を周って観察していた。決してそんなに大きくはないアリーナである。1997年からこの場所にあるようだが、何度も改装しているようで、古さは感じない。今回の旅行では、このアリーナにあと3回は来る予定になっているので、気になった店の食事をチェックしといて、飽きないように満喫しなければならない。アリーナ内には、他のアリーナと同じく、ワシントン・ウィザーズのチームの過去のユニフォームなどが展示されている。かつてシカゴにありパッカーズという名前だったチームは、ボルチモアに移ってブレッツという名前になり、ワシントンDCに移転する。ブレッツ(弾丸)という名前が物騒だからというので、ウィザーズ(魔法使い)に変わったのだが、そもそもこの名前が全く威厳がないよね、勝てる気がしない。NBAの歴史の中でもなかなかに紆余曲折のあるチームであるが、それでも1977-78シーズンにエルヴィン・ヘイズ、ウェス・アンセルドを擁して一度優勝しているのだから、大したものだ。いまだ優勝すらできていないチームもまだ数多くあるからね。

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アリーナのショップには八村塁関連のグッズは揃っているが、彼が出場していなければ、もうあまり意味はない。やはり日本人らしき客はちらほら見かけるが、目立つほどではない。むしろ、ここワシントンで驚いたのは、やはりニューヨークに近いからか、カーメロ・アンソニーニューヨーク・ニックス時代のジャージを着たファンをよく見かけたことだ。日本のファンからすれば、ニックス時代に怪我もあってチームから見限られただけの選手かと思いがちだが、ニューヨークのファンからすれば、今も地元出身のスーパースターで、シラキュース大学出身だし、今も圧倒的な人気を誇っているのだなと実感。
 
試合が始まるまでの間に、この日一番大きな収穫があった。これまで負傷してから、治療に専念していたのか、チームの試合に帯同していなかった八村塁が、この日、初めてホームコートに姿を見せたのである。黒のジャケット姿で、後でわかったが、自分の名前の「八」の字のネックレスをしていたということだった。これが彼らしいのかどうかわからないが、特にファンに向かって手を振るなどの仕草はなかった。私の席の近くには日本人らしきファンはいなかったが、それでも白人の親子で、八村のジャージを着ていて、鉢巻をしている親子の熱狂的なファンもいたのだが、特に大きな歓声を上げるわけでもなく、そんなもんなのかという感じだった。とにかくこの日のチケットが、ウィザーズベンチのすぐ近くでよかったというものだ。それだけでも価値があったというものだ。まだ自分にも運があるかもしれないと思った。ちなみにセンターのトーマス・ブライアントも一緒で、八村は特にガードのイシュ・スミスとウイングのアイザック・ボンガとよく会話をしていたね。 

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日本人としてはこれだけでも興奮するものであったが、彼が試合に出ていればもっと良かったのにとは切に思う。そんなこんなで試合が始まった。ウィザーズは、スターターだが2Way契約の選手、ジョナサン・ウィリアムズのシュートで先制し(彼はゴンザガ大学で八村のチームメイトだったようだ)、ブレイザーズのCJ・マッカラム、ウィザーズのアイザイア・トーマス、ブレイザーズホワイトサイドがそれぞれ得点を決め、4-4となった試合開始1分半に、大事件は起きた。

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