2020/01/06 Washington Wizards vs. Boston Celtics @ Capital One Arena (NBA Basketball) ①その前に

明けて1月6日、月曜日。本日もキャピタル・ワン・アリーナに行く予定である。この日はワシントン・ウィザーズ対ボストン・セルティックス戦。同じアリーナに4日も行くなんてことは、ほんとにこれまでの旅ではなかったことだ。ただ、この日はナイトゲームなので、それまでの時間は観光して過ごすことにした。 

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ワシントンDCに来たら、私が行ってみたいなと思っていた博物館がある。「ニュージアム」という名前で、文字通り、ニュースとジャーナリズムの歴史を展示する博物館である。ベルリンの壁やワールドトレードセンターのアンテナ部分が展示されていたり、過去の世界的なニュースの一面記事、ピューリッツアー賞を取った写真などが、その背景とともに紹介されていたり、数々の歴史的な映像も振り返って見ることができる場所で、半日くらいは余裕でいられる場所と聞いていた。ワシントンDCには、ナショナルモールと呼ばれる地域があり、スミソニアン博物館などたくさんの博物館、美術館があり、ほとんどすべての入場料は無料なのだが、このニュージアムは珍しい入場料が有料の博物館なのだが、それでも見たいと思っていたのである。

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後で調べたら、財政難で閉館するような話がそれまでも出ていたようだが、エクスペディアでチケットは普通に買えたので、行こうと思っていたのである。しかも、ホテルからも歩いて行ける距離だったので、この日の午前中に出かけたのであるが、見事に閉館していた。2019年12月31日が最後の開館日だったようだ。ちょっと遅かった。まだ閉館して1週間も経っていないわけだが、エクスペディアも閉館することがわかっているなら、チケット売るなよ。すでに工事業者みたいな人たちが出入りしていて、所蔵品などはまだ残っていたのだろう。後でニュース記事を見ると、ジョンズ・ホプキンス大学に売却されたようである。 ていうか、いまだに旅行サイトなどでも普通にニュージアムの記事が紹介されたままになっているところが多い。ちゃんと閉館した事実を入れて更新してくれ。
 
ぽっかり予定が空いてしまったので、ワシントンDCに来て、楽しみたいものを満喫することにした。以前の記事でも書いたが、ワシントンDCは計画的に作られた街なので、道幅もほんとに広いので、道端にとにかく数多く置かれているのが、シェア電動スクーター(キックボード)である。2018年にインディアナポリスに行った時に、シェア自転車とは別に電動スクーターが流行していることを記したが、ワシントンDCはその比でなかった。むしろシェア自転車なんてほとんど見かけない、電動スクーターの街と言ってもいいだろう。以前記したようにLimeやBIRDの有名な会社のものもあるがワシントンDCでは圧倒的なシェアを誇るのがSkipという会社の車体だ。水色のマークの電動スクーターで、地元DCの会社のみたいだ。もし可能ならば、これに乗って市内観光を思ったのである。

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ニュージアムは閉館していたが、幸いにもフリーのWIFIの電波はまだ生きていて、屋外でインターネットにつなげることができたので、Skipに登録してみることにした。外国人なので、アメリカのドライバーライセンスはないので、パスポートの写真をスマホで撮って送ってみる。これで合っているのかも不安で、そんなすぐに対応してくれないだろうと疑っていたが、ものの5分くらいで審査が終わり、登録完了となった。びっくりである。あとは地図画面に表示されている車体から、バッテリーの残量などを確認しながら、好きなものを選んで乗るだけである。乗った時間分の料金を払うというのも、シェア自転車と同じシステムである。
 
これはそもそも2018年に調べてわかっていたことだが、シェア電動スクーターはホームページで記されてはいるが、原付と同じ扱いなので、ヘルメットを着用して乗らなければならないことになっている。ただ、実際にヘルメットを着けて乗っている人間は皆無と言っていい。2018年の時も乗りたかったが、自分は車も運転する身なのであきらめたが、すごく後悔したので、今回は乗ってみることにした。 

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何も操作に難しいものはなく、実に快適なものであった。ただ30分乗って8ドルちょっとだったので、シェア自転車に比べたらかなり割高であるが、疲れることがないので、観光客にとってこれほど便利なものはない。逆に地元の人間が普段使いで乗るようなものではないということだ。問題は、海外の携帯を持っていない自分のような身としては、2018年のシェア自転車の時のように、フリーのWIFIがつながるところでないと、終了させることができないということだ。普通にホテルの前に止めて、WIFIをつないで、終了させる分には何の問題もない。
 
せっかくなので、歩いては行きづらい場所まで、電動スクーターで行って、ご飯を食べようと思った。大したところがなければ、アメリカに行った時必ず行っていたお気に入りのイートイン可のパン屋チェーン、パネラブレッドの店をメモしておいて、そこに行けばいいやと考えた。そんな中、アメリカでも私的には食の革命が起こっていたのである。ホール・フーズ・マーケットのお店だ。大きくくくればスーパーマーケットではあるが、私がここを好きなのは、特にスープの種類が豊富で、おかずもおいしいものばかりで選ぶのも苦労するほどあるところだ。なんと、そのホール・フーズ・マーケットに、イート・イン・スペースができていたのである。

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私の記憶では、ホール・フーズ・マーケットはいわゆるスーパーであり、店内に食べる場所はなかった。そのため、これまでの旅では、いつもスープとパンとおかずを買って、車の中で食べていたのである。いやいや、ホール・フーズ・マーケットにイート・イン・スペースがあるなら最強でしょ。持ち帰りしかできなかったからこそ、自分はパネラブレッドを選んでいたのであり、あまり変わり映えしないメニューのパネラブレッドなんて、もう選ばないよ。確かにパネラブレッドに比べると、少し高いんだけどね。
 
結局、クラムチャウダーとパンとチキンの煮込みのおかずを買って店内で食べ、明日の朝ごはんのパンも買い、さらにドラッグストアで個人的な買い物も済ませ、ホテルに戻ったのであった。話は逸れたが、夜になり、キャピタル・ワン・アリーナに向かう、今回の旅の中では最後の4日目である。 

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この日はワシントン・ウィザーズ対ボストン・セルティックスのゲームであり、今回の旅のスケジュールを決めた時から一番見たい試合に設定していた。2017年、全体3位指名のジェイソン・テイタム、2016年全体3位指名のジェイレン・ブラウンを擁するイースタンカンファレンスの強豪、ボストン・セルティックス鳴り物入りで移籍したカイリー・アーヴィングがフィットしなかった問題はあったが、それでもプレイオフに進出して勝ち進む実力と未来を持っているチームだ。今季はベテランのポイントガード、ケンバ・ウォーカーが加入、さらに名シューター、ゴードン・ヘイワードがケガから復帰した万全のシーズンを送っている。ちなみにヘイワードは、インディアナ州インディアナポリス出身で、大学はインディアナポリスにあるバトラー大学、大学時代に彼を指導していたコーチが、現在ボストン・セルティックスのヘッドコーチであるブラッド・スティーブンスという、そこからのつながりがある。本来ならば、八村塁がテイタムとマッチアップをするはずだったのだが、ケガで欠場中なので、そこは悔やんでも仕方がない。
 
チケットは、前述したようにワシントン・ウィザーズのオフィシャル運営のパーシャルプランで購入したものの1つであるが、今日の座席はA列である。つまりスタンド席の最前列だということだ。嫌が上にも期待は高まるというものだろう。普通ならばこんな席はなかなかの値段でなければ手に入らないはずだが、そこはパーシャルプランならではのからくりがあって、セットで買うので、日程によってはいい席を割り当ててくれるので、自分はこのゲームで希望を出していたのだ。

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まあ、しかし表もあれば裏もある。以前、アメリカンフットボールインディアナポリスコルツ戦でもスタンド最前列の席を買った話を書いたが、最前列と言えども、最前ではないのだ。私が勝ったフットボールの最前席の場合は、自分の席の列のさらに前に簡易のスタンド席が別に置かれてあり、そこには当日のイベント出演者とそのスタッフたちが座る席があった。前のスタンド席とは段差もないので、視界は完全に開けているわけではないし、フットボールの場合は中継カメラのクレーンが常に行き来しているので、機材のせいで試合が見にくくなるタイミングも結構あった。
 
NBAバスケットの場合も似たものといえば似たものだった。確かに自分の席はスタンドの最前列ではあるが、そこからブロックを隔てて、さらに前には、良さげなパイプ椅子を使った席が5列分もあった。これがいわゆるコートサイド席というやつで、チケットの値段も一段高い別の枠の席があるのだ。しかもこの5列分と自分のいる最前列には段差がないので、前に人が座ると、結構見にくくなる。つまり、最前列とは言うが、実質6列目であり、むしろ段差がある分、自分のすぐ後ろのスタンド2列目や3列目の方が見やすいのではないかとも思うのであった。

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今回はセクション121であり、前回や前々回と違って、アウェイ側のボストン・セルティックスのベンチのすぐ後ろだった。こちら側にいると、ボストンの熱狂的なファンも多くいて、結構うるさい。ボストンとワシントンDCはそれほど遠くないので、熱狂的ファンは足を伸ばしてでも来るのであろう。なので、ワシントン・ウィザーズのベンチ側の様子は全くわからない。この日、八村が会場に姿を現したのかどうかもここでは見ることができなかった。でも、セルティックスの選手たちは本当に近いところにいて、作戦タイムの声も聴こえそうなほどであった、ボストンのヘッドコーチのブラッド・ティーブンスが試合中にサイドライン沿いをうろちょろしているのをこんなに近く見られるのは良かったのだが、何せ自分はそんなにボストン・セルティックスに思い入れはないのであった。今回は実質6列目ではあったが、それでも後でNBA楽天の中継映像を見ると、ひいたカメラでは自分の姿を常に確認することができた。どうも変な感じだ。

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試合の話に戻ると、2日前、ワシントン・ウィザーズはケガ人ばかりの状況でベンチメンバーだけで92得点をあげ、128-114と格上のデンバーナゲッツに勝利するという金星を上げたばかり。ここまで11勝24敗、ホームゲーム6連戦の最終戦であり、この日もひょっとしたらという期待が持てた。だが、ボストン・セルティックスはこの日まで3連勝中、ここまで25勝8敗でイースタン・カンファレンス2位、完全に格が違う。だが、ポイントガードのケンバ・ウォーカーはインフルエンザでここ2試合を休場しており(今考えればコロナと違って平和な時である)、この日の試合も出ないということだが、だからといってウィザーズが勝てるかというとそんなことは決してなく、ケンバがいなくてもボストンは体勢的には何の問題もないようだ。ちなみにボストン・セルティックスには、2018年にインディアナ大学に行った時に見た1年生のエース、ロミオ・ラングフォードがドラフト1巡目14位で指名され、ルーキーとして入団している。このように大学の試合を見た選手が、プロで活躍する姿を見られるのが大きな楽しみでもあるのだが、何と彼もケンバと同じくインフルエンザにかかって欠場するということ。残念だが仕方がない。

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この日のスターターは、ワシントン・ウィザーズが、アイザイア・トーマス(G、背番号4)、ゲイリー・ペイトン2世.(G、背番号20)、ジョーダン・マクレー(F、背番号52)、アイザック・ボンガ(F、背番号17)、イアン・マヒンミ(C、背番号28)。ボストン・セルティックスが、マーカス・スマート(G、背番号36)、ジェイレン・ブラウン(G、背番号7)、ゴードン・ヘイワード(F、背番号20)、ジェイソン・テイタム(F、背番号0)、ダニエル・タイス(C、背番号27)という布陣。ウィザーズは懲りもせず、ここ2試合全くいいところのないアイザイア・トーマスをまだスターターで使うようである。なんか失望とともに始まったこの日のゲームであった。

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2020/01/05 George Washington Colonials vs. St. Bonaventure Bonnies @ Charles E. Smith Center (NCAA Basketball)

この日、NHLのゲームを見た後に行こうと思ったのは、ジョージ・ワシントン大学のバスケットボールチームの試合である。ジョージ・ワシントン大と言えば、あの日本人NBAプレーヤーとなった渡邊雄太が通っていた大学である。彼は卒業してしまったが、チームは、Atlantic10という強豪ぞろいというわけではないカンファレンスでは実力のあるチームで、NCAAトーナメントに出場する可能性は低いけれども、見る価値はあるなとは思っていた。

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ジョージ・ワシントン大のチームの愛称はコロニアルズ(Colonials 植民地のとか、開拓民のという意味だろう、やはりワシントンだから)実は今シーズンのロースターには、ジャミーア・ネルソンJr.(ガード、背番号12)という名前があり、私は直近のスタッツとともに注目していた。あのマジックなどで活躍したポイントガード、ジャミーア・ネルソンの息子である。写真を見ても結構,親父と似ている。2世選手としてはものすごく注目されているというレベルではないけれども、まだ1年生であり見た感じ少年で、大学でどういう成長をするかはわからないから、注目しておくに越したことはないと思っていた。しかも、渡邊雄太選手の付けていた12番を引き継いでいるのである。
 

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この日に見る候補は、もう1つあった。NBAの下部組織Gリーグのワシントン・ウィザーズの平たくいえば2軍であるキャピタル・シティ・ゴーゴーの試合もあった。私はGリーグの試合は今まで見たことがなく(かってはDリーグとも呼ばれていたが、その時代にさかのぼっても見たことはないので)、いい機会だと思っていた。2軍とは言っても、ワシントン・ウィザーズは今シーズンケガ人が続出しており、2WAY契約の選手もどんどんウィザーズのゲームに出場し活躍している。ゲーリーペイトン2世やギャリソン・マシューズ、アンジェスパセチニクス、アドミラル・スコーフィールドたちが主戦場として戦う姿を見られるわけだから、ウィザーズの今後を支える選手たちを見ておくことはできる。
 
Gリーグのキャピタル・シティ・ゴー・ゴーの試合は、ダウンタウンのど真ん中にあるキャピタル・ワン・アリーナではなく、郊外のポトマック川をはさんだ反対側にある、エンターテインメント・アンド・スポーツ・アリーナで行われる。この日の対戦相手は、オクラホマシティ・ブルー。ただ、試合開始時間が15時からだったので、NHLのワシントン・キャピタルズの試合が終わるのは15時は過ぎるだろうと踏んでいたし、移動に30分かかるとしたら、ほとんど見られないかもしれないと思って、あきらめた。一方、ジョージ・ワシントン大学の試合は15時半開始だった。正直、チケットの値段は、両方ともNBAに比べたら驚くべき安さで、それほど変わらないので、30分遅いこちらを選んだというわけだ。
 
ジョージ・ワシントン大学は、ワシントンDCのダウンタウンのど真ん中にある。とはいえ、自分の泊っているホテルからは離れているので、歩いて行くには遠い。バスや地下鉄でも行けたのだろうが、せっかく車があったので、自分で運転して行くことにした。NHLのゲーム終わりで移動するから、渋滞に巻き込まれるかもと思ったが、そんな心配はなかった。結局、15分くらいで着く。ジョージ・ワシントン大は本当にダウンタウンの街中にある大学で、明確にキャンパスというものが区別されてあるわけではない。ここは大学の建物だけど、この区画は普通の住宅だったり、オフィスビルだったりして、違いもよくわからない。ニューヨークのコロンビア大学みたいな感じだ。バスケットの試合会場は、チャールズ・E・スミス・センターといって(慈善活動家の名前で、バスケット関係者の名ではない)、選手の姿が大きく張り出されていて、わかりやすいホールなのだが、専用の駐車場があるわけではなく、結局、民間のビルの駐車場に止めることに。なんやかんやと試合会場に入った時には、もう前半が終了する直前だった。実にもったいない。

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ジョージ・ワシントン大学というと、日本人がイメージすると、初代大統領ワシントンの名をもらって作った、新興の私立大学みたいな気がするかもしれないが、1821年設立というかなり古い大学である。さすがにジョージ・ワシントン本人が設立した学校ではないが、「首都に国民が広く学べる大学を作りたい」という彼の遺志を元に作られたという。首都ワシントンにあるだけに、国際関係学、政治学という分野に強く、ロースクールとしても非常に有名な学校である。卒業生には、ジョン・フォスター・ダレス(元国務長官ワシントンのダレス空港の由来となった人物)、コリン・パウエル(元国務長官)、ジョン・エドガー・フーヴァー元FBI長官)など、とんでもない人たちを輩出している名門大学である。いやはや、こんなすごい大学に渡邊雄太選手は入学して卒業したんだということに驚く。ちなみにアンジェラ・アキも卒業生らしい。
 
せっかくなので、渡邊雄太選手の痕跡が何か残っていないか探そうと思ってきたんだけど、実際には何もなかったわ。だいぶ遅い時間に着いたので、売店にはプログラムも売ってなかったし、ホールの周りのメモリアル的なものを見ても、それっぽいものは見つけられなかった。学校からすれば、偉大な選手の1人には違いないはずだけどね。

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高校からプレップスクールを経てとはいえ、アメリカの大学に入学するなんて、なかなか普通の人間にはできないよ。本人の努力が一番ではあるが、両親が貧乏な家庭では無理だし、彼の場合は親がバスケ経験者であったこともあるが、親の理解がなければとてもじゃないけどダメだ。彼が在籍した年代は、NCAAトーナメントには出れなかったが、2015年と2016年にはNITトーナメント(NCAAトーナメントに出場できなかった大学で行われる残念大会みたいなものの1つ)に出場。しかも2016年は優勝している。2017年は、また違う大会、CBIトーナメントに出場した。これらの大躍進には、後にNBA選手になったタイラー・カバノーという先輩がいたことも大きかったのだが。渡邊雄太は、4年生時は準キャプテンも務めたというからすごいことだ(この4年生時の2017-18シーズンだけは芳しい結果を残せなかったのだが)。ちなみに渡邊雄太選手が在籍していた2016年にジョージ・ワシントン大学は、日本に遠征して、日本代表や琉球ゴールデンキングスと練習試合を行っている。とにかく渡邉雄太によって、日本人にとってもなじみ深い大学となっていることは間違いない。
 
話はそれたが、今日の試合である。 この日の相手はセント・ボナベンチャー大学。どこだよ、それ?と思うかもしれないが、ニューヨーク州のだいぶ北部、アルガニーという町にある大学(バッファローに近い)で、バスケットマニアならたまに聞く大学で、バスケには特に力を入れている学校である。どちらかというと、通年はジョージ・ワシントン大よりも成績のいいチームだ。NCAAトーナメントにもたまに出場することもあるほどだ。NBAに進んだ選手というと、最近ではオーランド・マジックなどで活躍し、現在は中国リーグでプレイしている、カナダ人のアンドリュー・ニコルソンがいる。昔でいうと、デトロイト・ピストンズのレジェンドであるボブ・レイニアーもこの大学の出身らしいが、さすがにその時代となると私もわからない。 やはりこのような中堅の大学では、プロで活躍できる選手となるとほとんどいない。もちろんジョージ・ワシントン大もしかりである。 セント・ボナベンチャー大のチームの愛称は、ボニーズ(Bonnies 骨のように強いという意味か)。  

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席に着いてしばらくしたら、前半終了でハーフタイムとなった。スコアは28-30とジョージ・ワシントン大がリードしている。NBAを見ていると、第1クォーターが終わった後のようなスコアだが、カレッジバスケットは、前後半それぞれ20分で行われるのだ。NBAほど点は入らないのが常だ。一見したところではわからないが、微妙にルールもコートサイズも違う。
 
ハーフタイムに、先述したように、渡邊雄太のゆかりのものを探すも見つけられなかった。後半になって、ようやく試合をきちんと見る。この大学の試合の雰囲気がどんなものかわかるまで少々時間がかかった。ジョージ・ワシントン大の選手は比較すると小さいように見えた。プロフィールを見ても6フィート10インチ(208cm)ある選手は1人しかいなかった(しかも試合に出ない1年生だった)。そして、3ポイントシューターが複数いて、彼らを中心にゲームを組み立てていく感じだった。メイシオ・ジャック(ガード、背番号14、3年生)、ジェイミソン・バトル(フォワード、背番号10、1年生)の主に2人。メイシオ・ジャックは自身でドライブもしながらシュートも撃つし、スペースを作り、空いている選手にパスを渡す役目を果たす。さらにガードのアーメル・ポッター(背番号2、4年生)やアミール・ハリス(背番号22、2年生)のドライブからの得点や、スリーも撃つなどの選択肢があるようだ。注目のジャミーア・ネルソンJr.(ガード、背番号12、1年生)は、スターターのポイントガードとして出場したようだが、この日の出番はあまりなかった。スティールやアシストをした時には非凡さは感じたが、試合に出ないとなかなかわかりようもない。

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多分、ジョージ・ワシントンのこのプレイスタイルは、渡邊雄太のいた時代からそんなに変わっていないだろう。渡邉雄太とタイラー・カバノーが3ポイントを撃つタイミングを常に動きながら図っていたような印象がある。ただ、この形は3ポイントが決まっている間はいいが、試合中ずっとそんなことはないので、どうリズムを変えたり、崩していくかが重要になる。さらに背が高い選手がいないから、リバウンドも取れないとなると、相手に付け込まれる隙を多く作ることになる。
 
一方のセント・ボナベンチャー大は、オーソドックスというか、ガードのカイル・ロフトン(背番号00、2年生)から展開していく流れで、彼はドライブもするし、ジャンパーも撃てる、パスもするし、3ポイントも撃てる、リバウンドだって結構取る、まさに万能型ポイントガードだ。ゴール下で待っているのは、センターのオシュン・オシュニーイー(背番号21、2年生)。いかにもアフリカ移民の家系の選手だが、線が細いわけでもなく、抜群の身体能力でスピードが速く、ダンクを繰り出し、リバウンドも取りプットバックもお手の物で、ブロックにも長けている才能のある選手である。身長は6フィート10インチだが、とにかく手が長い。両手を広げた長さ(ウィングスパン)は、7フィート8インチ(233cm)もあって、現在のNBA選手を見ても、オーランド・マジックのモハメド・バンバ(7フィート10インチ、238cm)選手に次ぐ長さらしい。

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この日の試合は、10点以上の点差が開くことはなかったので、両者の実力は拮抗していたと言えるだろう。逆に言うと、両者とも絶対的エースというべき人物がおらず、完全に流れを変えられるわけではないので、試合としてはおもしろみに欠けた感じだ。そんな中で、唯一、エースと呼べる存在になれるだろうと思ったのは、やはりオシュン・オシュニーイーである。いいところで彼の得点能力が、試合を決めた。カレッジバスケの中では、頭一つ抜きんでた存在には違いない。しかし、フリースローは決してうまくはないし、スリーポイントを撃てるわけでもなく、ドライブが得意な感じでもないし、パスで魅せるようなことは難しい選手だと思う。

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なので、彼がNBAで通用するかとなると、おそらく疑問符がつくのではないか。90年代のバスケなら十分通用しただろうが、現代ではポイントセンターという言葉もあるように、長身の選手であっても、さらなる武器がないときびしい時代になっている。とはいえ、まだ2年生なのだから、成長の余地は十二分にあるわけで、今後注目に値する選手なのは間違いない。それを思うと、このジョージ・ワシントン大学を卒業してもバスケを続けて、NBAでプレイすることができた渡邊雄太選手がいかにすごいことかというのがわかるかと思う。先輩のタイラー・カバノー選手も、NBAで選手生活を続けていることだし。ジョージ・ワシントン大、すごいよ。こうやってNBAのウィザーズの試合も見てくると、渡邊雄太選手はウィザーズのテストを受けた方が良かったんじゃないかと思ってしまう。彼なりのビジョンがあって、メンフィス・グリズリーズを選んだんだと思うが、ウィザーズがシューター不足で苦しんでいるのを見ると、地元の選手と言ってもいいのにもったいないなという気しかしない。

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結局、試合は、71-66でセント・ボナベンチャー大の勝利に終わった。 オシュン・オシュニーイーは20得点、9リバウンド、5ブロックという素晴らしいスタッツではあるが、それでも彼が支配していたかというと、そんな印象はないから不思議である。カイル・ロフトンは、17得点、8アシスト、5リバウンド。ベンチスタートのマット・ジョンソン(ガード、背番号4、3年生)が、12得点、3ポイント2/5というのが、ジョージ・ワシントン大の3ポイント攻勢と比較して際立っていた。

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一方、ジョージ・ワシントンは、ジェイミソン・バトルが20得点(3ポイントは3/12)、6リバウンド。メイシオ・ジャックが11得点(3ポイントは3/10)、3アシスト。アミール・ハリスは11得点、7リバウンド、3アシスト、3ブロックというのが、印象に残ったところか。ジャミーア・ネルソンJr.は出場時間12分、得点なし、リバウンド1、アシスト1、スティール1、ターンオーバー1だった。何かアクシデントなどがあったのか、その辺りはよくわからなかった。彼が今後どんな成長を見せるのか興味深いが、この世代で、NBAまで行ける人物が現れるのかどうかとなると、きびしいだろうなとしか思えなかった。

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フィールドゴールは、セント・ボナベンチャーが52.0%、ジョージ・ワシントンが41.8%だったが、ジョージ・ワシントンは、3ポイントが9/27の33.3%だった。リバウンドが、セント・ボナベンチャー33本に対して、ジョージ・ワシントンが27本というのが差が出たところだろうか。トータルとしては悪い数字ではないのだろうが、際立った数字を残せた調子の良かった人物がいなかったというのが大きいだろう。

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結局、セント・ボナベンチャーは19勝12敗、ジョージ・ワシントンは12勝20敗でシーズンを終える。まさかこの当時はコロナでシーズンが途中でキャンセルされ、NCAAトーナメントすら行われないことになるなんて思いもよらなかった。今シーズン、両者の所属するアトランティック10カンファレンスは、オハイオ州にあるデイトン大学が、ドラフト1巡目候補のフォワード、オビ・トッピンを擁し、29勝2敗、全米ランキング3位と圧倒的な力の差を見せつけた。こういう中堅大学でもこういった選手が出てくるのが、バスケットのおもしろいところだ。彼がドラフト何位で指名されることになるのかはわからないが(全体5位以内は確実視されている)、NCAAトーナメントで活躍する姿は見たかったなと思う。

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ジョージ・ワシントン大の会場には、大したグッズなども売っていなくて、結局、何も買わずに帰ることに。そして。明日もまたキャピタル・ワン・アリーナに行くことになっている。
 

2020/01/05 Washington Capitals vs. San Jose Sharks @ Capital One Arena (NHL Ice Hockey) ②

ワシントンDCのダウンタウンにあるキャピタル・ワン・アリーナ。NHLアイスホッケー、ワシントン・キャピタルズサンノゼ・シャークスの試合を私は見に来ている。NBAワシントン・ウィザーズと合わせて、これが3度目のキャピタル・ワン・アリーナである。

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運命の最終、第3ピリオドが始まる。大きく試合が動いた第2ピリオドに対して、ディフェンスは手堅く、シュートにすら結びつかない状況が続く。シュートと言えるのは、ワシントンのセンター(C)クズネツォフ(背番号92)とディフェンダー(D)ジョン・カールソン(背番号74)が放ったくらい。サンノゼの攻撃は完全に封じられている。
 
残り15分29秒、ワシントンのCニック・ダウド(26)のクリアしたパックが観客席に入り、ディレイ・オブ・ゲームのペナルティーサンノゼがパワープレイを展開するが、Dブレット・バーンズ(88)のシュートははじき返され、試合は動かない。残り12分16秒、シャークスオフェンスが攻勢をかける。だが、レフトウイング(LW)パトリック・マーロウ(12)の浮かしたリストショットは簡単にゴーリー(G)ブレイデン・ホルトビー(70)にセーブされる。ライトウイング(RW)ティモ・マイヤー(28)のショットも簡単にブロックされた。翻ったワシントンの攻勢、Dディミトリ・オーロフ(9)のショットはシャークスのGマーティン・ジョーンズ(31)の体に当たって止まる。続いてCラース・エラー(20)が抜け出し、ディフェンダーと1対1のとなるチャンス。後ろから来たLWカール・ハガリン(62)に渡すが、彼のシュートも止められた。

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残り9分40秒、ワシントンの攻撃をクリアしたサンノゼが速攻をかける。3対1の絶好の状況となったが、左サイドから上がったLWイベンダー・ケイン(9)のセンタリングはティモ・マイヤーに合わずに阻まれた。すると、このプレイ後にケインが相手ディフェンダーに突っかかり、ペナルティを取られ、ワシントンのパワープレイに。しかし、この好機もワシントンはパックを後逸するなど、まともな攻撃にならない。双方ディフェンスが堅く、このままサンノゼが勝つかと思い始めていた。

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残り5分8秒、ワシントンのジョン・カールソンがディレイ・オブ・ゲームのペナルティーを取られ、またもサンノゼのパワープレイに。しかし、イベンダー・ケインは倒され、Cローガン・クチュール(39)のシュートはブロック、ワシントンは見事なクリアで時間を消費させ、ここでもサンノゼは全く有効的なシュートも撃つことができない。
 
サンノゼのパワープレイが終わって、残り3分となり、ワシントンが総力戦をかけてくる。ジョン・カールソンのシュートがゴーリーにキャッチされて時計が止まった。残り1分41秒でのフェイスオフを取って、ワシントンはついにゴーリーを下げた。スケーターを6人にしての総攻撃。ただ、パックを取られると、ゴーリーがいないので、点を取られる可能性が限りなく高くなる。ジョン・カールソンから、クズネツォフ、Cバックストローム(19)、RWのT.J.オーシ―(77)と渡し、最後はCアレックス・オベチキン(8)がシュートを放つが阻まれた。ゴール裏の攻防からパックが再び戻ったところで、ジョン・カールソンのオベチキンへのパスを、サンノゼのティモ・マイヤーがインターセプトワシントンのディフェンスは何とか戻るが、体勢を立て直そうとしたところで、サンノゼがパックを奪い取り、センターに上がっていたローガン・クチュールにパス。そのままゴーリーのいないエンプティネットにシュートを入れる。これで4-2.残り1分。もうサンノゼが勝ったと誰もが思っていた。

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まだワシントンは終わっていなかった。フェイスオフを取り、攻め込んだゴール裏。そこから抜け出したパックが戻り、センターに押し出されると、LWジェイコブ・フラーナ(13)が1回転しながらのターンアラウンドシュート、これが決まり、4-3。残り47秒、わずか10数秒の出来事だった。まさに取られたらすぐ取り返すキャピタルズの面目躍如。

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キャピタルズファンは盛大に盛り上がる。次のフェイスオフもワシントンが取った。両チームとも必死である。一度アイシングで時計が止まり、残り33秒、またもフェイスオフをワシントンが取る。キャピタルズが攻めるハーフコートでプレイが進む。右サイドのフェンス越しの攻防から抜けたパックは、ゴール前で待つ、T.J.オーシ―の元へ。振り切ったショットはゴール左隅に入った。なんと、残り15秒で4-4の同点。こんなことがあるのか? シャークスファンには悪夢のような瞬間だった。天を仰ぐ、サンノゼゴーリー、マーティン・ジョーンズ。歓喜に沸くホームの観客。これがワシントン・キャピタルズの底力なのか。残り15秒、フェイスオフはシャークスが取るが、攻めきれずにオーバータイムへ。

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サンノゼ・シャークスの楽勝のゲームかと思っていたのが、まさかのオーバータイムである。イベンダー・ケインにとっては3度目のハットトリックのゲームが、こんな形になるとは思いもよらなかっただろう。アイスホッケーは本当に何が起こるかわからない。NHLではオーバータイムとして5分が設定されているが、ゴールが決まった時点で終了のサドンデスである。意気消沈しているかに見えたサンノゼであるが、まだ負けるつもりはなかった。意気揚々と攻め立てる。残り4分13秒、ティモ・マイヤーのショットは外れるが、悪くはない展開だ。

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ワシントンはニクラス・バックストロームが攻め上がるが、ゴール裏に回って戻したところをサンノゼが奪い返し、速攻をかける。2対1となり、ブレット・バーンズからイベンダー・ケインに合わせるが、Gホルトビーが止めた。リバウンドをワシントンが取り、反転攻勢をかける。オベチキンが右サイドから上がるが、シュートは撃てず。ここでクリアしたパックが、前線のブレット・バーンズに渡り、一気に駆け上がった。ゴーリーホルトビーと1対1となった絶好のチャンス。しかし、バックハンドのショットは、ホルトビーが体で止め、ゴールならず。ここでサンノゼシャークスの望みは絶たれたかもしれない。
 
そのまま攻撃に転じたワシントンは、ジョン・カールソンが敵陣内に持ち込むと、2対1の流れとなり、左から上がったセンターのラース・エラーにパスすると、そのままリストショットを放ち、ゴールの右隅に吸い込まれた。残り2分59秒、4-5でワシントン・キャピタルズの勝利で試合終了。まさに一瞬の出来事だった。何ということだという言葉しか残らない。こんな試合を見れたことは儲けものではあるが、シャークスファンとしてはショックが半端ない。最高潮の盛り上がりを見せたワシントンのホームの観客、それは当然だ。どう見ても落とした試合だったから。

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ゲームまとめを見ると、ショット・オン・ゴールの数は双方29本と変わらない。パワープレイを生かせたサンノゼと、ワシントンで違いはあったが、結局はワシントンの執念が勝ったということか。昔はNHLのゲームでは3スターズといって、その試合の際立った人物を3人選ぶということをしていたはずだが、最近はもうちゃんとやらないみたいね。

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1月はこんな状態であったが、それがコロナの影響で中断することになるとは、この時は思ってもいなかった、それでもNBAと同じく、NHLも会場を限定してシーズン再開、70試合で終了し、プレイオフ進出決定戦を行った。プレイオフそしてファイナルと、感染クラスターを起こすことなく、NHLもシーズンエンドを迎えた。結局、ワシントン・キャピタルズは、イースタンカンファレンス3位でプレイオフを迎えるが、ニューヨーク・アイランダーズに4勝1敗で敗退。この日の熱狂は何だったんだろうというシーズンエンドだ。サンノゼシャークスは29勝36敗5分とウエスタンカンファレンス最下位に終わり、プレイオフにも出れず。思えば今シーズン最大のつまづきが、この日の試合だったのかもしれない。スタンレーカップ優勝への道はまだまだ遠い。
 
ゲームが終了したのは、15時半を過ぎていた。この日はもう一つ行くイベントの予定を入れていたので、試合の余韻を噛みしめることもなく、会場を早々に後にして車で出かけることに。
 

2020/01/05 Washington Capitals vs. San Jose Sharks @ Capital One Arena (NHL Ice Hockey) ①

明けて1月5日の日曜日。この日は午後からキャピタル・ワン・アリーナである。
だが、バスケットではない。NHLのアイスホッケーである。先述したが、キャピタル・ワン・アリーナは、ワシントン・キャピタルズの本拠地でもある。むしろ、ワシントン・ウィザーズよりも、こちらの方が地元では有名で人気もある。今日は日曜日なので、ナイトゲームではなく、デーゲームということだ。

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NHLを見るのは、数年ぶりなのでワクワクしている。これまでは11月、12月のアメリカンフットボールのシーズン中にアメリカに来ていたので、まずはフットボールの試合のスケジュールを先に入れて、それに合わせて、NCAAのカレッジフットボールNBANHLという風に予定を入れていた。アメリカのプロスポーツのスケジュールはうまいことできていて、NBAとNHLは同じホームアリーナを使うことが多いのだが、NBAのチームがホームで試合をしている時には、NHLのチームはロードのスケジュールに入っている時が多い(もちろんその逆も)。もちろんイレギュラーな時もあり、私はロサンゼルスで昔、昼にNBAクリッパーズのゲームがあり、夜にNHLキングスのゲームがあるというのに遭遇したことがある。アリーナをバスケット仕様からホッケー仕様にすることは、その逆もだが、数時間で簡単にできるものだ。ということで、今回はワシントン・ウィザーズがホームで連戦スケジュールをこなす中、ぽっかりと空いた1日にワシントン・キャピタルズの試合が組み込まれているというわけなのである。

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ワシントン・キャピタルズは2018年にチーム創設初の優勝を飾った。だが、チームとしてずっと弱小だったかというと、そんなことはない。むしろ、プレイオフでいいところまでいくが、最終的に勝てないというチームの印象だった。私の記憶に残っているのは、1998シーズンのスタンレーカップファイナル進出だ。守護神、オラフ・コルジクの絶対的セーブに、ピーター・ボンドラ、アダム・オーツらを擁した怖いチームだった。私は個人的には、この時代のキャピタルズのユニフォームが一番好きだし、カッコいいと思っている。今の赤青のそれこそウィザーズみたいなユニフォームはちょっと…。何せ、この1998年シーズンは、私の大好きだったデトロイトレッドウィングスが優勝した年だから覚えているのだ。

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この1998シーズン以降、ワシントン・キャピタルズはファイナルに進めなかった。2004年のドラフトでロシアの天才、アレックス・オベチキン(背番号8)が加入するも(プレイしたのは2005年から)、ファイナルに進出し、優勝するまでに13年かかったから、いかにNHLで勝ち抜くことが大変かということがわかるだろう。今シーズンもオベキチンは健在で、優勝候補のトップチームと目されているキャピタルズを見ない手はないだろうと考えたわけだ。この日までには、28勝9敗5分とまさに順調である。分と書いているが、NHLの場合は、これはオーバータイムでの負けのことである。勝利した場合のポイントは2点だが、オーバータイムでの負けであれば、勝ち点が1点入る。この勝ち点のポイント総数で順位が決まるのがNHLなのだ。

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今日の相手は、サンノゼ・シャークスもちろんこのゲームだからこそ、わざわざ見る意味があった。これまでにもサンノゼに行って、ホームのSAPセンターでゲームを見たし、アウェイでも何度か追いかけた、ひいきのチームだ。カリフォルニアのNHLのチームで、いまだ優勝できていない最後のチーム。ずっと弱小と言われてきたアナハイム・ダックスだって、ドアマットチームだったロサンゼルス・キングスだって、優勝を経験したのに。サンノゼシャークスは1991年にリーグ拡大のために誕生したエクスパンションチームだ。数年は苦戦したが、90年代末からプレイオフ進出常連の強豪チームとなった。しかし、スタンレーカップファイナルには進むことができなかった。後から創立したダックスに先を越され、低迷を続けていたキングスも優勝して、先を越されること数年。そんなシャークスが初めてファイナルに進出したのは、2016年シーズン。だが、ピッツバーグペンギンズに力の差を見せつけれた完敗だった。昨シーズンもカンファレンスファイナルに進出し、今度こそ優勝へとの機運が高まるが、この時もずっと低迷し続けていたはずのセントルイスブルースに足元をすくわれてしまった(結局、ブルースはファイナルでも勝って、初優勝を飾った)。

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今シーズンも期待できるかと思っていたシャークスだが、これまで19勝21敗3分とイマイチ波に乗れていない。約15年チームにいたジョー・パベルスキーがチームを去ったのが大きかったのか? 新キャプテンになったのは、ここ数年エースとして大活躍だったローガン・クチュール(背番号39)。世代交代という意味では、何の問題もないだろうと思っていたのだが。アイスホッケー選手では珍しいアフリカ系カナダ人のレフトウィング(LW)のイベンダー・ケイン(背番号9)、スイス人ライトウィング(RW)のティモ・マイヤー(背番号28)、ディフェンダーのブレット・バーンズ(背番号88)、エリック・カールソン(背番号65)、41歳のベテランセンター、ジョー・ソーントン(背番号19)ら主力メンバーは変わっていないにも関わらず、調子が出ない。ちなみにゴーリーは、2015年にロサンゼルス・キングスから移籍して先発となった30歳のマーティン・ジョーンズ(背番号31)。ドラフト外でプロに入り、下部リーグでプレイし続けた後、キングスでバックアップのゴーリーとなった苦労人だ。だが、この日のゲームは、サンノゼシャークスにとって悪夢と言えるものとなった。

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ワシントン・キャピタルズは、この日まで28勝9敗5分とリーグで圧倒的成績を残している。注目すべきはオベチキン以外にも、スウェーデン人32歳のセンター、ニクラス・バックストローム背番号19)、チェコ人24歳のLW、ジェイコブ・フラーナ(背番号13)、28歳のロシア人センター、エフゲニー・クズネツソフ(背番号92)、かつてセントルイスブルースで活躍し、2015年に加入した33歳のRWのT.J.オーシ―(背番号77)、そしてディフェンスメンながら、ポイント(得点とアシストの合計)でチーム1を誇る30歳のジョン・カールソン(背番号74)など、いくらでもすばらしい選手がいる。ゴーリーは2010年からキャピタルズでプレイしている30歳のカナダ人、ブレイデン・ホルトビー(背番号70)。みんな2018年の優勝を経験しているんだから、それは強いはずである。

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この日のチケットは、普通にチケットマスターで買った。NBAワシントン・ウィザーズのパーシャルプランでチケットを複数買っていた私は、チケットを扱う会社も同じなので、NHLのキャピタルズのゲームも組み込んでもらえないかと聞いたら、それはできないと言われた。キャピタルズには、キャピタルズのプランがまた別にあり、担当者も違うのだ。さすがにキャピタルズのプランまで購入する余裕もなかったので、このゲームは個別に買うことにしたというわけだ。NHLアイスホッケーは、リンクに近い下の方のアクリル板が前にある席だと、選手がぶつかってくる迫力は味わえるのだが、ゲーム自体の流れをよく把握できないので、アクリル板に遮られないちょっと上方の席を買うようにしている、今回買ったのはK列。もろもろ入ると200ドルを超えるくらいの金額、ウィザーズのチケットより全然高い。
 
それは会場に着くと明らかになった。ウィザーズと違って、空席がほとんどないのである。ウィザーズの試合も実際にはチケットは売れていないわけはないのだが、客が来ない。さっきのパーシャルプランにキャピタルズの試合を組み込めないかと頼むのはバカで、そんなドル箱のキャピタルズのゲームを格安料金で早々に渡すわけはないのだ。逆にキャピタルズのパーシャルプランを買っていたら、ウィザーズのゲームは入れてくれたかもしれないかもなと想像した。

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会場に早めに入ると、キャピタルズの選手がリンクに入ってお披露目練習をしており、すでに多くのファンがかぶりつきで集まっており、自分が座るはずの席も他人に占領されていた。それくらいの人気なんだと実感する。やっぱり優勝するとチームは変わる。仕方なく自分の席に近い空席で写真を撮り、空くのを待つ。ほぼ5分くらいで選手たちはロッカールームに消えて行き、ファン達も解散して引きあげていった。ようやく自分の席に着く、昨日見たバスケットのアリーナが、アイスホッケーのアリーナに変わっているのが壮快だ。このアイスリンクの寒さがちょうどいい。落ち着いてから、売店でホットドッグを買って戻る。売店は当たり前だが、変わっていない。移動式の屋台風の店は違うものが出ていた。
 
NHLの試合は久々なので、緊張感が走る。本当なら堂々とシャークスファンとしてユニフォームを着るくらいのことはしたいのだが、何せホッケーを久方、生で見ていないので、そんな勇気はない。この日の服装も、グッズこそ着けていないが、赤青のキャピタルズカラーにまとめてあるのが情けない。当たり前のことだが、客席はほとんど白人で、アジア人系の人間もあまり見かけない。アメリカの分断ではないが、これは昔からであり、一度見さえすればアイスホッケーはおもしろいのだが、やはりNFLNBAと違って、プロモーションがうまくないし、歴史も遥かに古いので、ゲームシステムなどの改革もなかなかできないのだろう。アメリカ4大スポーツと言われてはいるが、NHLは昔と違ってさらに水をあけられているだろう。

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試合が始まった。アイスホッケーの試合は、20分1ピリオドで、それが3ピリオドある。古くからの伝統でそうなっているから仕方のないことだが、4クォーター制で、前半と後半がはっきり分かれるNBANFL違って、盛り上がりには欠ける構成である。第1ピリオドは一進一退の展開だった、というしか仕方がない。ホッケーは点が入らなければ、それまでの攻撃は意味がないし、ディフェンスとしては合格点ということだ。後々、点が入った時に、それはあの時のあの攻撃があったからこその意味があるものだという分析はできるが、この日のゲームには、まだそれというべきプレイはなかっただろう。バスケットのように多くの点を稼いでいくものであったり、アメフトのようにヤードを稼いで進んでいくものではないから、とにかく経過にはあまり意味はない。なので、プレイに全部ふれたところで仕方ないから、書くことも少なくて済むというものだ。

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第1ピリオドはスコアレスで0-0のままだったのだが。印象に残ったのは、残り12分41秒のキャピタルズのフラーナのゴールポスト直撃のショット。残り11分23秒のシャークスの攻撃、トーマス・ハートルのリストショット、相手ディフェンダーに当たってもう一度シュートしたのをパトリック・マーロウ(背番号12)がスティックで当てて軌道を変えたショット、そのリバウンドをローガン・クチュールがリストショットで返すが、これもはじかれてしまった連続攻撃だろう。パトリック・マーロウは、プロ入り23年目40歳の大ベテラン、かつてシャークスのリーディングスコアラーでもあったが、移籍した後、今季、古巣に戻ってきた。今でもゴール前のスティックさばきは誰よりも長けているなという印象で、すごいの一言であった。 

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第1ピリオドでは、キャピタルズのキャプテン10年目のオベキチンの見せ場は特になかった。確か昔はすぐわかるようになっていたはずだが、今のnhl.comのスタッツは、ピリオドごとのシュート数やパック保持時間みたいなものが出なくなっているようだ。それがあるとゲームの傾向というのも見返しやすいのだが、仕方がない。シュート数は私が数えたところによると、サンノゼ11本、ワシントン10本とそれほど変わらない。双方、ペナルティーもなかったので、試合は淡々と進んだ。今日はこのまま早く終わるのかもと思ったが、それがまさかあんなことになるとはというこの日の結果は、この時点では誰も予想できなかったであろう。

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第2ピリオドに入った。このまま一進一退の攻防が続くかと思いきや、試合は動いた。わずか1分後のシャークスの攻撃、右サイドから上がったティモ・マイヤーのスナップショットがゴーリーモルトビーにはじかれて、パックがゴール後ろから左サイドへ流れ、マイヤーが相手ディフェンダーと交錯する中で、イベンダー・ケインがパックを確保し、リストショットを撃つ。これもモルトビーのマスクに当たり、体勢を崩してマスクが外れるアクシデントとなって、プレイがストップ。この機に乗じて、シャークスは次の攻撃で、ゴール前の攻防から後方のマイヤーに戻し、ロングシュートを撃つ、ゴール前にいたRWバークレイ・グッドロウ(背番号23)がスティックを合わせて、はじいたパックがゴールを割った。先制点かと思いきや、スティックを頭上に上げた行為がハイスティックのペナルティー取られてノーゴールに。キャピタルズは助かった形になったが、怒涛の攻撃に明らかに動揺しただろう。

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その後、サンノゼが一方的に押しまくる展開が1分半ほど続き、会場のワシントンファンが騒ぎ出し、ようやくワシントンが盛り返す感じに。5分経過し、ワシントンのRWリチャード・パニックが攻め上げる時に立ちはだかった相手ディフェンダーに対して、スティックでたたくアクションをしてしまい、ペナルティーボックスへ。アイスホッケーでは勝負どころである、この日初めての数的優位の2分間のパワープレイが始まる。1分が過ぎた頃、相手ハーフコートでパスを回しながらショットの機会をうかがうシャークス。ティモ・メイヤーがゴール下に流したパックはディフェンダーにはじかれ左サイドへ、リバウンドを拾ったジョー・ソーントンがセンタリングしたのに、イベンダー・ケインが合わせて、この日初めての得点が入った。1-0。第2ピリオド、残り13分35秒だった。
 
しかし、それからわずか1分後だった。シャークスの攻撃をしのいだキャピタルズは、ゴール近くのディフェンダーがロングパスを放つ。相手ディフェンダーと交錯する中で、パックはするっと前方へ抜けた。走り込んだRWブレンダン・レプシックが、ゴール前にいたセンター、ニック・ダウド(背番号26)に合わせると、そのままパックはゴールへ。アッという間に1-1の同点。このゲームはこういう入れたら入れ返すシーソーゲームな展開がとにかく際立つものだった。

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残り12分。ワシントンに絶好の好機があらわれる。ディフェンダーから上げたパスは、味方と相手ディフェンダーが争う中で触られずに前方へ抜ける。そこに走り込んだニック・ダウドがパックを取り、左サイドから速攻をかける。逆サイドから走り込んで来たRWガーネット・ハサウェイに絶好のタイミングで渡るが、イベンダー・ケインが体当たりしてシュートできず。ケインはスラッシングのペナルティーを取られて、ワシントンのパワープレイに。
 
このパワープレイで、アレックス・オベチキンがこの日初めてのシュートを見せる。彼はその後、立て続けに3本もシュートを撃つのだからすごい。彼がスラップショットを撃つだけで会場がどよめく。しかしパワープレイ終了直後、リバウンド争いで後ろへパックを後逸してしまうと、シャークスオフェンスがそこを突いて奪い、ローガン・クチュールが速攻をかける。ディフェンダー2人がクチュールの前に立ちはだかると、後ろからついてきていたイベンダー・ケインに渡すと、ディフェンダーの隙をついた電光石火のショットが見事決まる。第2ピリオド、残り9分54秒、これで2-1と再びリードしたサンノゼ・シャークス相手より人数が少ない中でのショートハンドゴールかと現場では思ったが、すでに相手のパワープレイは終わっていたようだ。

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ここからまたも一進一退の攻防が続く、シャークスはイベンダー・ケインが抜け出し、ゴーリーと1対1になる決定的な瞬間があったが、シュートは決まらず。残り4分半、ワシントンのDラドコ・グーダスが、サンノゼのパトリック・マーロウに対し、スラッシングのペナルティーまたもシャークスのパワープレイになる。2分間のパワープレイが終了する直前、ゴール正面ハーフコートぎりぎりの位置からDエリック・カールソンの撃ったロングシュートがディフェンダーに当たり、こぼれ球をすかさずイベンダー・ケインが撃ち返し、パックはゴールの右隅に吸い込まれた。残り3分11秒、これで3-1。イベンダー・ケインはハットトリックである、これまでのチームの得点は、全部彼であった。残念ながら彼のゴールシーンは、自分のいる側と反対側だったので、ちゃんと撮れず。それは仕方のないことで。NFLNBAを見慣れている自分にとって、アフリカ系の彼のような選手は無条件で応援したくなる。やはりカナダ人だからということもあって、小さい時からホッケーをしていて才能が開花したのだろう。

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しかし、ここからがワシントン・キャピタルズのすごいところだった。残り1分半を切り、ゴール前の攻防でT.J.オーシ―が相手と交錯して倒れた動きがあった後で、ゴール後ろに転がったパックを彼が拾って、ゴール前に戻したところを、LWジェイコブ・フラーナが押し込んで、3-2に。またもわずか1分ですかさず得点を返す離れ技だった。残り24秒、ワシントンはクズネツォフが抜け出してゴーリーと1対1になる絶好のチャンスがあったが、シュートに至らず。3-2で、第2ピリオド終了。先ほどと違って一気に試合が動いた、これだからホッケーはおもしろい。サンノゼが圧倒的に押していたかのようなピリオドだったが、シュート数は双方12本くらいと変わらなかった。ただサンノゼはミスショットが多すぎた感じ。わずか1点のリードだけで済んだキャピタルズがラッキーだったように思った。

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2020/01/04 Washington Wizards vs. Denver Nuggets @ Capital One Arena (NBA Basketball) ②

キャピタル・ワン・アリーナ2日目、ワシントン・ウィザーズデンバー・ナゲッツ。八村はケガでしばらく出場しておらず、エースのブラッドリー・ビールも欠場する中、完全な負け試合だろうと思っていたのだが、前半は55-61とまさかのウィザーズリードで終了。前日と同じくポイントガード(PG)のイシュ・スミスが活躍を見せていた。ハーフタイム中は、昨日もアリーナ周りをぶらぶらしていたので、特別変わっているものはないのだが、一応出かけた。

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後半はデンバーの攻撃から。いきなりウィル・バートンがジャンプショットを沈めて57-61、さらにルーズボールファウルがあったということでフリースローも与えられ、58-61。さらにウィザーズは、次の攻撃でトラベリングを犯しターンオーバー。ナゲッツは、ジャマール・マレーがステップバックのジャンプシュートを決めて、60-61の1点差に。こういう展開はそもそも予想通りなので、見てる方は驚きもしないのだが、バスケットは一瞬で戦況が変わるからこわいもんだ。

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ウィザーズは、後半PGをアイザイア・トーマスに戻した。ジョーダン・マクレーがジャンプシュートを放つも外れるが、イアン・マヒーミがリバウンドをプットバックし、60-63に。するとナゲッツは、二コラ・ヨキッチとマレーのコンビの展開が生きて、マレーの3ポイントが決まる、これで63-63の同点に。ナゲッツがスリーが決まり出したらいよいよヤバい感じだ。

 
ウィザーズはどうももたもたした印象。それでもナゲッツディフェンスからファウルをもらい、トーマスがフリースロー2本を決めて、63-65。その後、ウィザーズはなんとかディフェンスで踏ん張り、得点を与えない。しかし、オフェンスはどうもちぐはぐで、ボールが手につかない。ラッキーが続いてなんとかボールを失わずに済んでる感じ。ショットクロックギリギリでトーマスのドライブからフローターが入って63-67。
 
ナゲッツはまたもヨキッチとマレーのコンビ。マレ―がヨキッチのスクリーンを使い、ペイントへ入りレイアップを沈める、トーマスのファウルもあり、3点追加し66-67。ウィザーズはマクレーが切り込みファウルをもらいフリースロー2点を追加した(66-69)。ナゲッツは組織的攻撃を仕掛ける。マレ―、ヨキッチ、ゲーリー・ハリス、さらにマレーから外のウィル・バートンに渡し、3ポイントが決まったと思いきや、先にポール・ミルサップのオフェンスファウルがあったということで無効に。ウィザーズはなんとか助かったとしか言いようがない。しかし、次の攻撃で、トーマスがジャマール・マレーにボールをはたかれスティール、そのまま速攻のダンクシュートを決められる(68-69)。いずれはこうなる形だったのか…。またも次の攻撃で、トーマスはジャンプシュートをマレーにブロックされて、ターンオーバー。ボールをもらうタイミングもフェイクのスリーもドライブも何もかも見透かされているかのようだった。ナゲッツは、ヨキッチがペイントにドライブしていく流れでディフェンスを引き付け、追いかけてきたミルサップにボールを渡し、ダンクシュートが決まり(70-69)。鮮やかに逆転したところで、ウィザーズのタイムアウト

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ウィザーズは、PGをイシュ・スミスに変えてリスタート。しかし、ジョーダン・マクレーがターンオーバー。昨日大活躍した男だが、今日はなかなかうまいことはいかない。それでもナゲッツの攻撃を抑えたが、マクレーは3ポイントも入らない。続くナゲッツの攻撃では、ミルサップにファウルを与えてしまい、フリースロー2点を献上、72-69。ウィザーズは、相手のオフボールファウルでフリースロー1点を追加しただけ(72-70)。イシュ・スミスに代わってもなかなかリズムに乗れない中で、ようやくペイントでのジャンプシュートが入って、72-72の同点に。
 
だが、ナゲッツはやはり本調子ではなかった。ヨキッチは、マヒンミからファウルをもらいフリースローを得るが、これを2本とも外す。さらに、ウィル・バートンは3ポイントを外す、味方の攻撃が続くのだが、ボールをもらってもジャンプシュートも入らない。

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すると、ウィザーズはイシュ・スミスが攻撃をリセットし、ミドルシュートを決めて72-74と再びリードした。だが、ディフェンスはマレーを止められず、ファウルでフリースロー2点を与えて、再び74-74の同点。するとイシュ・スミスは先ほどとは逆側のペイント外からのミドルシュートを決めて、74-76に。

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第3クォーター残り5分を切り、ここから一気にペースが速まり撃ち合いに。ナゲッツゲーリーハリスがヨキッチからハンドオフされると、するするっと中に入り込んでレイアップを決める(76-76)。ウィザーズは、ゴール下まで進んだイシュ・スミスが外コーナーのトロイ・ブラウンJr.に渡すと、彼はそのまま切り込んでレイアップショットを沈める(76-78)。ナゲッツは、マレーが一度ヨキッチに渡したボールを再びもらって、またもスリーポイントを決めた(79-78)。ウィザーズは、イシュ・スミスがジョナサン・ウィリアムズとのコンビで攻め、最後は一度離れたウィリアムズに渡しダンクを決めさせた(79-80)。ナゲッツはやはりマレーとヨキッチだが、ヨキッチは自身ではスリーを撃たず、調子のいいマレーに戻し、ゴール下に切り込みリバースレイアップを決める(81-80)。ウィザーズは、イシュ・スミスがドライブでペイントに入り、外のマクレーにキックアウトパス、マクレーはコーナーのトロイ・ブラウンJr.に渡し、彼はドライブしつつの反転してのフェイダウェイショットに成功(81-82)。昨日がマクレーなら、今日はトロイ・ブラウンJr.である、日ごとにスターが変わるウィザーズである。

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ナゲッツは、マレーがドライブしてオープンになったトップのヨキッチにパスをするが、それでもスリーは決まらない、逆にウィザーズはそのままイシュ・スミスが速攻で切り込みゴール下でレイアップを沈める、これで81-84となり、ナゲッツタイムアウトを取る、第3クォーターは残り3分15秒。それまでとは打って変わったテンポの速い撃ち合い。完全にイシュ・スミスのペースコントロールであり、これにナゲッツは前半乗せられてひどい展開になったのを、また繰り返しているのであった。
 
タイムアウト明け、ナゲッツはマレーがドライブして中に入り、メイソン・プラムリーにパスしようとしたボールが、相手ディフェンダーに当たり、ファンブル。こぼれ球をイシュ・スミスが拾い、ファストブレイクをかける。相手ディフェンダーの位置を確認したスミスは、コーナーのギャリソン・マシューズにパス、3ポイントが決まって81-87と突き放す。しかし、次のナゲッツの攻撃で、マレーのスリーポイントシュートに、トロイ・ブラウンJr.がファウルを取られ、3本フリースローを与えてしまう。マレ―はフリースローを外すわけもなく、84-87。 

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ウィザーズはイシュ・スミスで仕掛け続ける。トップで相手ディフェンスの動きを見極めつつ、自らドライブしながら、空いたジョナサン・ウィリアムズにパス、フックシュートが決まり84-89。ナゲッツはヨキッチをベンチに下げた。マレ―からの速い展開で、ウィザーズに対応する流れか、代わったマリク・ビーズリーがレイアップを決めて、86-89。しかし、ウィザーズは、またもイシュ・スミスのドライブから今度は空いたアンジェスパセチニクスにボールを渡し、レイアップシュートが入り、86-91。先ほどと左右はちがうがほとんど同じ動き。完全にイシュ・スミスに乗せられているナゲッツ、またもここでタイムアウト残り1分47秒。
 
ナゲッツは、モンテ・モリスとウィル・バートンで攻め上がる。メイソン・プラムリーがペイントでゴリゴリ押し込む中でパセチニクスからファウルをもらってフリースローを得るが、彼はフリースローが入らない。リバウンドを自ら取るも、そこからのシュートも外す。一方、ウィザーズは、イシュ・スミスがトップを縦横無尽に動き、穴が開いたと見るやドライブをかける、レイアップは外したが、パセチニクスがリバウンドを拾ってゴールに戻し、86-93。ナゲッツは、ウィル・バートンがスリーを外し、ジェレミ・グラントがドライブしながら押し込んで、88-93とするのが精一杯。

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第3クォーター、残り30秒、イシュ・スミスは時間を使いながら、パセチニクスのスクリーンを呼び込み、スペースを見つけてドライブ、相手ディフェンダ―届かない絶妙の位置でジャンプシュートを沈める、これで88-95。残り5秒、ナゲッツはモンテ・モリスのジャンプショットのこぼれ玉をメイソン・プラムリーが戻して、90-95。これで第3クォーターが終了。なんと、まだウィザーズがリードをしているという信じられない展開である。

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最終第4クォーターは、そのままイシュ・スミスを残したウィザーズの攻撃から。ギャリソン・マシューズの3ポイントは外れる。ナゲッツはモンテ・モリスが残っている、彼がドライブする中で、どフリーになっていたマリク・ビーズリーが3ポイントを決めて、93-95に。しかしナゲッツはディフェンスでファウルが続き、攻勢には出られない。ウィザーズは、イシュ・スミスがフェイントをかけてミドルシュートを放つも外れるが、またもゴール下のパセチニクスがリバウンドを押し戻して93-97に。ナゲッツは、マリク・ビーズリーからジェレミ・グラントに渡し、ペイントに押し込みながらシュート成功、ギャリソン・マシューズがファウルを取られて3点プレイに、96-97と1点差に詰め寄った。
 
ウィザーズは、ギャリソン・マシューズがまたもスリーを失敗。すると、ナゲッツはモンテ・モリスからビーズリーグラントとパスをつなぎ、またもビーズリーが3ポイントを沈めて、99-97と逆転。ウィザーズは、イシュ・スミスがドライブから切り込んだフローターシュートで99-99と同点に追い着く。ナゲッツは、モリスが中へ切り込む流れで、空いたメイソン・プラムリーに渡し、ダンクシュートで101-99。すかさずイシュ・スミスがスロットルを上げてドライブ、ゴール下にいたフリーのアイザック・ボンガに渡し、レイアップが決まり、101-101の同点。

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ナゲッツは、グラントがオフェンスファウルを取られ、ターンオーバー。するとウィザーズは、トロイ・ブラウンJr.がトップでボールをもらい、エルボーでジャンプシュート、シュートは外れるが、リバウンドが自身のところに戻ってきて、今度はステップインしてのレイアップが決まり、101-103となったところで、ナゲッツタイムアウト
 
残り9分を切った。デンバーはなおもモンテ・モリスらセカンドユニットが残る。またもビーズリーに渡すが今度はスリーは決まらない、トロイ・ブラウンJr.がリバウンドを取り、速攻をかけるが、ボールをもらってゴール下に走り込んだマシューズは止められる。イシュ・スミスがジャンプショットを放つが外れ、リバウンドも相手に取られたが、相手のファウルがあり、ボールは戻ってきた。今度はイシュ・スミスがドライブからレイアップを放つ。相手に止められたがゴールテンディングが取られて、101-105と2点追加。
 
ここからイシュ・スミス劇場が始まる。モンテ・モリスのドリブルを後ろからスティールしてボールを確保すると、そのまま攻め込み、緩急をつけてフェイントをかけながら、得意のミドルシュートを決める(101-107)。ナゲッツは、モリスからビーズリースリーポイントこれも外れ、リバウンド争いに勝ったウィザーズはそのまま速攻をかける。トロイ・ブラウンJrが中に走り込んだパセチニクスに合わせる。シュートは外れたがフリースローをもらい、1本決めて101-108に。

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ナゲッツは、ヨキッチ、マレー、ハリスを戻した。ウィザーズディフェンスはファウルを取られるが、サイドラインから再開したボールを、トロイ・ブラウンJr.がスティール、またも速攻に転じる。ここでイシュ・スミスがボールをもらい、ペイントの中から外をスルスルと動き、隙を見つけてまたもミドルシュート、これが決まり101-110と9点差となり、ナゲッツタイムアウト

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残り7分を切った。ナゲッツはヨキッチがボールをもらってゴール下へ。フックシュートを外したが、リバウンドを取り、攻撃続行、外のウィル・バートンに渡すがスリーポイントは決まらず、またもヨキッチがリバウンドを奪い、ゴール下の争いから今度はフックシュートを沈めて、103-110に。こういう攻防こそ、ナゲッツの強みであるのだが、今日はなかなか見られなかったね。ウィザーズは、イシュ・スミスが再び攪乱しながらのステップワークでレイアップを放つが外れる。だが、リバウンドをボンガが取り攻撃続行、パスを1つ挟んで自身に戻した後、切り込んでシュートを放つ。外れるがフリースローをもらい、2本決めて103-112に。

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ウィザーズのディフェンスは、ヨキッチにも対応する。アウトオブバウンズにさせた後、マレーのシュートもミスさせて、リバウンドを取り、速攻に転じる。イシュ・スミスは縦横無尽に動き回り、ペイントゾーンを横切った後で、踵を返して、ジャンプシュートを沈める。103-114と差は10点差以上に広がった。イシュ・スミスは、ナゲッツの強力スターター陣相手にも全く臆するところがない

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点差が開いたナゲッツは、ヨキッチがすぐにスリーを放つが、これも決まらない。それでもリバウンドを確保、ハリスが攻防の中、ミルサップに渡す。ゴール下へ押し込みレイアップを放つが外れ、リバウンドも取れない。逆にウィザーズは、攻め込む中で、スミス、ブラウンJr.、マシューズと渡して、ミルサップのファウルを誘い出す。マシューズはフリースローを1本しか決められなかったが、103-115に。

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ナゲッツは、マレーからヨキッチの流れでフローターを放つが、これも決まらず、リバウンドはウィザーズの手に。イシュ・スミスがボールを持ち、ドライブするスペースをうかがうのかと思いきや、今度はスリーポイントを放ち、これが見事にゴールに吸い込まれる、103-118。なんと、これでこの日、32得点、こうなると、本当に誰も止められない、会場は歓喜の渦に。ナゲッツタイムアウト

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残り5分を切り、ウィザーズファンには勝利も見えてきたが、まだ先は長い。それほどまでにここまでが濃密な数分間だった。ナゲッツは、ゲーリーハリスが切り込んでリバースレイアップを放つが決まらない。リバウンドはまたもウィザーズ。ボンガが中へ突破するが、外にキックアウト、スミスはコーナーのマシューズにパスするが、スリーは決まらない。ナゲッツは、ウィル・バートンがドライブしながらのレイアップ、ファウルをもらいフリースロー2点を返した(105-118)。
 
ウィザーズは、イシュ・スミスがペイントへ運びディフェンスをひきつけ、ジョナサン・ウィリアムズに渡すが、フックシュートは入らず。ナゲッツは攻勢に転じるが、ヨキッチはトップでボールをもらい、十分な間があったのに、スリーを放たない。結局、ビーズリーが無理なショットを撃ってエアボールとなり、ウィザーズの攻撃に。ボンガが時間を使いながらも、行けるとみるや、ドライブで突っ込んでスピンムーブをかけてのレイアップを沈めた、105-120。ナゲッツは、ビーズリーがゴール下のヨキッチに渡すが、ボールが手につかずお手玉、シュートもできずに、ウィザーズの手に渡る。ヨキッチが、ただのでくの坊になってしまってるよ。

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残り3分を切った。ウィザーズは時間をいっぱいに使い切ることをせずに、隙があれば狙っていくようだ。イシュ・スミスは縦横に動き回りながら、ジャンプシュートを放つ。外れるが、リバウンドをジョナサン・ウィリアムズがプットバック(105-122)。ナゲッツは、マレーがドライブからのレイアップを放ち、ファウルをもらい3点プレイに、108-122。1人意地を見せるものの、ここでヨキッチとハリスはベンチに下がった。
 
イシュ・スミスは、ハーフコートの高い位置から様子をうかがい、相変わらず隙を見てドライブをかける。だがシュートは外れて、リバウンド争いで味方がファウルを取られ、フリースローを与えてしまう。マレ―が2本決めて、110-122。ウィザーズはパスを回しながら時間をかけて、イシュ・スミスはそれでも中へ攻め入っていく。ゴール下のボンガに渡し、フェイントかけゆっくりと決めた(110-124)。

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残り2分を切った。マレ―は1人、気を吐き、ドライブからレイアップを沈める、112-124。チームはインテンショナルファウルで、相手にフリースローを与える。マクレーが2本決めて、112-126。ナゲッツは、マイケル・ポーターJr.がダンクを決めて114-126、ウィザーズはもうほぼディフェンスをせず、お愛嬌だ。残り1分、ウィザーズは時間をかけて攻めながらも、ジョーダン・マクレースリーポイントを撃つ、外れるがリバウンドを味方のボンガが取って攻撃続行、マクレーは今度はドライブしてのレイアップが決まり、114-128。ナゲッツは、モンテ・モリスがスリーを撃つが外れ、リバウンドはやはりウィザーズへ。時間をかけて攻めながらも、マクレーショットクロック前にスリーを放つ。強豪相手の勝利だから味わえる至福の時間だ。最後はモンテ・モリスがレイアップを外し、そのまま試合終了。まさにベンチメンバーでもぎとった、番狂わせの大勝利となった。 

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主なスタッツを見てみると、ワシントンで注目すべきは、イシュ・スミスが32得点、8アシスト、3スティール。トロイ・ブラウンJr.が25得点、14リバウンド。アイザック・ボンガが15得点。アンジェス・パセチニクスが13得点、8リバウンド。ジョナサン・ウィリアムズが12得点、8リバウンド、3ブロックといったところか。恐るべきはベンチメンバーのスコアで、なんと92得点を取っているところだ。もうスターターも何もあったもんじゃない。ちなみに上記でこの日スターターだったのは、ジョナサン・ウィリアムスのみである。

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デンバーは、ジャマール・マレーの39得点、4アシスト。二コラ・ヨキッチが14得点、10リバウンド、4アシスト。ポール・ミルサップが12得点、5リバウンドといったところくらいか。ヨキッチがそれでも14得点を取っていたというのが驚きである、それだけ今日は影が薄かった。ちなみにナゲッツのベンチメンバーの得点は32、普通はそんなもんである。

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チームスタッツとしては、フィールドゴール%が。ウィザーズ54.9%、ナゲッツ46.0%。スリーポイント%が、ウィザーズ37.5%、ナゲッツ20.7%。ナゲッツは29本撃って6本しか決まっていないから、いかにひどいかがわかる。ただ、調子が悪かったのは明らかで、ウィザーズのディフェンスが良かったからというわけではないのが悲しいところだ。リバウンドは、ウィザーズ49本、ナゲッツ33本、中でもオフェンスリバウンドが、ウィザーズ14本、ナゲッツ9本と差が出ている。まあ、これも見ている分には、結構ラッキーだったところがあったなという感想である。
 
この試合で、ナゲッツは43勝22敗。ウィザーズは24勝40敗となった。八村がいたとしてもそんなに成績は変わらないだろうとある程度予想はしていたが、その八村もいなくなって、すでにプレイオフは無理だろうと思う状況ではあるが、それでもなかなかの希望を見せてくれた試合であり、それを私が行った時に観れたということは幸運であった。2試合続けて圧倒的な存在感を見せつけたイシュ・スミスを、ウィザーズは次戦どうするのか、楽しみになってきた。

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実は、キャピタル・ワン・アリーナには、今回の旅であと2回来る予定にはなっているのだが、これほどいい試合はなかなか見ることができないだろうなと思ってしまうのであった。しかし、うれしいことに、その期待は見事に裏切られることになるのであるが…。
 
さすがに1日バスケットのゲームを2試合観ると疲れる。アリーナのオフィシャルショップの八村グッズは、昨日と同じくサイズなど、品切れになっているものが多い。もう試合にも出ていないから、このまま入荷することもないのかなと思いながら、まだ淡い期待を抱くことにする。試合後、アリーナ周りのレストランや八村行きつけと噂される日本食の店をのぞいたりしたが、結局、お腹はもう空いていないので帰る。アリーナに行く旅の日々では、なかなか現地のレストランに入ることがない。アリーナでは食べ物はそんなに安くはないし、お腹も減ってないし、やはりもったいないという結論になってしまうのだ。明日、1月5日もまたここキャピタル・ワン。アリーナに来るのだ。
 

2020/01/04 Washington Wizards vs. Denver Nuggets @ Capital One Arena (NBA Basketball) ①

ホテルに戻ってきたのは、17時くらいだっただろうか。1時間くらい時間をつぶして、昨日と同じキャピタル・ワン・アリーナに出かける。どこかへ観光に出かける時間はさすがになかった。アリーナは昨日と何も変わっていない。まあ2日続けてくれば、もう慣れたものだ。出てる店も一緒だ。今日は昨日見ていて気になった店のビーフヌードルを食すことにする。
 
昨夜、完敗したワシントン・ウィザーズの今夜の相手は、デンバー・ナゲッツ。昨日の連敗中だったポートランドに比べれば、はるかに手ごわいチームで、今シーズンはこれまで24勝10敗、エスタン・カンファレンス2位につけている。普通に考えれば今日も負け試合だなと思っていた。一方のウィザーズは、昨日負けて10勝24敗、ナゲッツとほぼ逆の成績である。唯一の希望はデンバーはホームでは圧倒的に強いが、アウェイではわりかし負けることが多いということだろう。

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この日のチケットは、昨日と同じセクションで割り当てられたのだが、J列だったので昨日のD列に比べたら、少し上の方になる。後で楽天NBAの映像で見たが、コート全体が入る一番ひいたサイズの画でも自分の姿はわからなかった。ワシントンのベンチを撮っていた映像で、一瞬見切れたかなというところがあったくらいだった。私としては、一度、デンバー・ナゲッツのエース、二コラ・ヨキッチを生で見たかったというのがあった。ポイントセンターという言葉が生まれたように、ポジションはセンターだが、中からでも外からでもシュートができ、攻撃の起点となって必ず自らボールを受けて、味方にパスしたり、自身が撃ったりというゲームをコントロールするという動きを見たかった。センターであるが、ボールタッチの回数、アシスト数でもチームトップともいえる数字なのである。ただ、そんなに前の方じゃなくてもいいかと思って、金額節約のために少し後ろの席にしてもらったのである。
 
いや、まあヨキッチはでかかった。身長もそうだが、横幅が全然違う、圧倒的な存在感である。これにマッチアップするのはさぞ大変だろうと。ジャンプボールの時の画像を見てもわかるだろう。そして、試合前に気付いたのは、昨日と同じセクションなのでウィザーズのベンチ側の席だったのだが、トーマス・ブライアントは確認できたのだが、この日は八村塁の姿がなかったことだ。今日は治療なのか、休養なのかわからないが、療養期間中の昨日に八村の姿を見かけたことがいかにレアだったのかと思った次第である。後で楽天NBAの映像を見たら、八村塁は会場に来ていて、コメントを出したというアナウンスがあったが。いや、会場には多分姿を見せなかったよ、映像でも映ってなかったし。

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ウィザーズのスタメンはほぼ変わらない。昨日アッという間に退場したのに、やはりポイントガード(PG)はアイザイア・トーマス(背番号4)を使うようだ。シューティングガード(SG)はゲイリー・ペイトン2世(20)スモールフォワード(SF)には昨日35得点の活躍を見せたジョーダン・マクレー(52)を起用した、今季初先発ということでNBAは活躍すれば道は開かれるのであるパワーフォワード(PF)にジョナサン・ウィリアムズ(19)、センター(C)にイアン・マヒンミ(28)。エースのブラッドリー・ビールはやはり今日も欠場のようだ。

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ナゲッツは通常のスタメンである。PGにジャマール・マレー(27)、SGにゲーリー・ハリス(14)、SFにウィル・バートン(5)、PFにポール・ミルサップ(4)、Cに二コラ・ヨキッチ(15)。
 
試合が始まった。ジャンプボールはウィザーズが取った。ジョーダン・マクレーが最初のシュートを撃つが外れる。リバウンドを取るが、ボールが手に付かず相手に渡してしまう、こういうところがウィザーズである。ナゲッツは、ヨキッチが中へ外へと動いて、エルボーでボールを受けると、スピンムーブしながら中へ入り、そのままフックシュートを決める。最初の得点はナゲッツだった(2-0)。さらにウィザーズは、マヒンミとゲイリー・ペイトンの連携ミスでターンオーバー、ボールを取ったウィル・バートンのシュートにアイザイア・トーマスが追い付いてファール。2本もらったフリースローをウィル・バートンが決めて4-0、早くも先行きが心配になるウィザーズである。

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アイザイア・トーマスが中に切り込んでのレイアップは決まらず、しかしナゲッツもジャマール・マレーが3ポイントを外すので、まだリズムには乗れない。ウィザーズの最初の得点は、ファウルをもらったアイザイア・トーマスのフリースローだった(4-2)。デンバーはすぐにウィル・バートンがジャンプシュートを決めて、6-2とする。ウィザーズはアイザイア・トーマスが突破口を開こうとするが、レイアップは外れるし、3ポイントも外す。すると、ナゲッツはマレーがペイントにドライブした後、外の空いたヨキッチにパス、3ポイントシュートが見事決まり9-2に。ウィザーズはタイムアウトを取る。

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タイムアウト明け、ウィザーズはジョーダン・マクレーにボールを持たせるが決められない。しかしナゲッツも、ミルサップ、マレーとシュートを外す。ウィザーズはマクレーがディフェンス2人を引きつけて、空いたジョナサン・ウィリアムスにパス、レイアップは外すが、イアン・マヒンミがリバウンドを押し込んで、なんとか9-4に。すると中に押し込むヨキッチに対して、マヒンミがファウルを取られ、フリースローを与えてしまった(11-4)。ウィザーズは、マヒンミと代わったラトビア出身のアンジェスパセチニクス(背番号18)はフリーになったところでジャンプ―シュートを撃つが失敗。ナゲッツはマレーとミルサップが連携で攻めてくるがシュートが決まらず、やはり波には乗れない。ウィザーズもマクレーにトーマスが撃つが決まらず、なんともちぐはぐな展開になってきた。
 
およそ1分後ようやく得点が入る、ナゲッツがヨキッチとゲーリーハリスのコンビプレーでシュートを外すと、リバウンドを取ったゲイリー・ペイトンがそのまま速攻をかけ、3ポイントラインにいたアイザイア・トーマスに渡し、やっとシュートが決まった(11-7)。ウィザーズは、ペイントで押し込むヨキッチにダブルチームで対応すれば、ボールを外に出されても3ポイントシュートが本当に決まらないので、余裕ができはじめた。攻撃では、トーマスのフローターのミスショットを、ジョナサン・ウィリアムズがダンクで押し込んで11-9に。ナゲッツゲーリー・ハリスも外から撃つが決まらないのだが、ヨキッチがアイザイア・トーマスからファウルをもらってフリースローを追加する、これで13-9に。

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そこから両者、点が入らない攻防が続く。アイザイア・トーマスはやはり空回りで、ナゲッツもヨキッチでのインサイドでの動きを止められる。ジョーダン・マクレーはシュートが決まらず、ナゲッツは代わって入ったマイケル・ポーターJr.(背番号1)が突破するもオフェンスファウルを取られてストップ。そんな中、ウィザーズは、マクレーがドライブでペイントに入り、放ったレイアップシュートの外れたリバウンドを、パセチニクスがダンクで押し込んで13-11に。
 
ナゲッツは外からのシュートが相変わらず入らない。マレ―の3ポイントが外れ、そのリバウンドからの攻撃で、ウィザーズはトロイ・ブラウンJr.(背番号6)が、スルスルっと中に入り込んで撃ったレイアップがリングにはじかれながらも吸い込まれ、第1クォーター残り4分半を切って、13-13の同点に。
 
ナゲッツはまたもゲーリー・ハリスが3ポイントを外し、ウィザーズがリバウンドを取る。続く攻撃、トロイ・ブラウンJr.からフリーになったジョナサン・ウィリアムスに渡し、ミドルシュートが決まり、13-15とついに逆転する。
 
ナゲッツはヨキッチがベンチに下がり、メイソン・プラムリー(背番号24)が入る。またもゲーリーハリスがスリーを外して、そのまま攻撃が移ってしまう。しかし、今度はウィザーズの攻撃時に、ジョーダン・マクレーからボールをスティールし、速攻でガードのモンテ・モリス(背番号11)からジェレミー・グラント(背番号9)アリウープパスを受けてダンク、15-15に戻す。だが、ウィザーズもトップのジョーダン・マクレーが、サイドからゴールに走り込んだジョナサン・ウィリアムスに合わせ、ダンクが決まり15-17と引き離す。ナゲッツは、ポーターJr.がフリーになったゲリー・ハリスに渡すが、やはりスリーが決まらない。リバウンドがアウトオブバウンズになって、ナゲッツタイムアウトデンバーナゲッツは9本スリーポイントを撃って、1本しか決まらないという調子の悪さである。

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タイムアウト明け、ナゲッツはモンテ・モリスのジャンプショットが外れ、リバウンドを取ったウィザーズが速攻、代わって入った、昨日活躍した2way契約のギャリソン・マシューズ(背番号24)がいきなり3ポイントを放ち、これを外すもファウルをもらい、3本のフリースローを得る。これを全部決めて15-20に。

 
ナゲッツはペイントでボールをもらったプラムリーがレイアップを放つが、これをパセチニクスにブロックされる。こぼれ玉をウィザーズのトロイ・ブラウンJr.が拾って速攻。パセチニクスがスクリーンをかける中、トロイ・ブラウンJr.はゴール下に切れ込んでいく中で、メイソン・プラムリーからファウルをもらって、フリースローこれを2本とも決めて15-22。
 
ナゲッツは、モリスからフォワードのジェレミ・グラント(背番号9)にパスし、3ポイントを放つがやはり決まらない。人が代わっても、やはり3ポイントを撃ち続ける攻撃のようだ。そのリバウンドをまたウィザーズが取り、速攻を仕掛ける。代わったガードのイシュ・スミス(背番号14)から、中のジョナサン・ウィリアムスに渡し、一旦外のトロイ・ブラウンJr.に戻し、自ら切り込んでフローティングショットを決めて、15-24に。
 
ナゲッツはパターンは変えるも、やはり最後は外からグラントがスリーを撃ち、またも決まらずアウトオブバウンズに。ウィザーズは、ガードがイシュ・スミスに代わり、ボールが左右に大きく回る流れになった。イシュ・スミスがフリーになったアウトサイドのトロイ・ブラウンJr.にパス、ドライブして切り込んでいく中で、シュートをフェイクしてインサイドのパセチニクスに渡し、レイアップシュートが決まり15-26、まさかのウィザーズが11点リードとなった。

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ナゲッツは、ボールを持ったプラムリーがペイントへと押し込む流れで、中に入ってきたポーターJr.にボールをパスし、ポーターJr.はそのままダンク(17-26)。イシュ・スミスは反撃を仕掛けようとするが、ボールをもらったトロイ・ブラウンJr.がアウトオブバウンズとなり、小休止。しかし、ナゲッツもポーターJr.がトラベリングの反則で、ボールが戻って来た。第1クォーター残り1分を切った。
 
ウィザーズは、イシュ・スミスがギャリソン・マシューズに渡し、マシューズは3ポイントをフェイク、フリーになったイシュ・スミスに戻す、するとスミスも3ポイントをフェイクして、左コーナーのオープンになっていたトロイ・ブラウンJr.にパス。ブラウンは3ポイントを見事沈めて、17-29に。
 
ナゲッツは、モンテ・モリスのこの日初めてのジャンプシュートが入り、19-29。残り25秒となりイシュ・スミスが時間を使い、ゆっくりと攻める。残り10秒を切ってドライブで切り込みながらフェイクを入れて後退、ペイント外からのミドルシュートを撃って19-31。最後、ナゲッツはバートンのジャンプショットが外れて、第1クォーター終了。まさかまさかのウィザーズリードの展開となった。外からのシュートが決まらない中、それでも3ポイントを撃ち続け、デンバーは墓穴を掘った感じ。11本撃って1本しか決まってないんだから、どうしようもない。

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第2クォーターはナゲッツの攻撃から始まる。マイケル・ポーターJr.の力任せの切り込みに、ギャリソン・マシューズがファウル。しかし、フリースローは1本しか入らず(20-31)。次の攻撃でウィザーズは、トロイ・ブラウンJr.から中にいたアイザックボンガ(背番号17)に針の穴を通すようなパスが入り、そのままシュートが決まり20-33。 

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ナゲッツは、やはり3ポイントが入らない。ポーターJr.が外した後、ウィザーズがリバウンドを取って反撃、トロイ・ブラウンJr.が軽やかなステップでレイアップを決めて20-35と突き放す。ナゲッツは、プラムリーがペイント内でディフェンスを押し込みながら翻ってのフックシュートを放つ。これは外れるがゴールに飛び込んでいたポーターJr.がリバウンドからのプットバックを決めて22-35。ウィザーズは、イシュ・スミスがサイドからゴール下を横切りながらレイアップを放つ。リングに嫌われるも落ちたリバウンドをパセチニクスが拾い、レイアップを放り込んで22-37。ナゲッツはモンテ・モリスがフローター、ウィザーズはブラウンJr.がオープンのジャンプショットを決めて、24-39となったところでタイムアウト

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タイムアウト後もナゲッツはリズムに乗れない。連携のパスミスでターンオーバーを重ねる。しかし、次のウィザーズの攻撃で、パセチニクスのダンクをブロック。速攻はファウルで止められたが、モンテ・モリスのフローターショットで26-39。さらにギャリソン・マシューズのドライブからのレイアップを、プラムリーが止める。ディフェンスは機能しはじめたようだが、やはりポーターJr.の放つスリーが決まらない。
 
ウィザーズはイシュ・スミスが起点となって、明らかにリズムが乗り始めた。リバウンドを取り、自らドライブして中に入りながら無理と悟るや、そのままボールをキープしたまたペイント外へ出る。まさに縦横無尽。マッチアップしたエルナンゴメスを翻弄し、フェイダウェイシュートを決めて26-41に。しかし、ナゲッツも追いすがる。戻ったジャマール・マレーがジャンプシュートを決め、ファウルももらって29-41に。ヨキッチとゲーリー・ハリスも戻るが、彼らのコンビネーションでもシュートは決まらず。代わったウィザーズの攻撃で速攻を仕掛けられ、イシュ・スミスの切り込みに、ゲーリー・ハリスがファウル。スミスはフリースローを1本外すが、29-42に。ミルサップも戻り、なんとか攻撃のリズムを取り戻したいところ。
 
ここでようやくジャマール・マレーのスリーポイントが決まる(32-42)。ウィザーズは、トロイ・ブラウンJr.のドライブからのレイアップで応酬(32-44)。ボンガのファウルで、ミルサップがフリースロー2本決めて34-44とするが、ここからウィザーズに攻勢をかけられる。イシュ・スミスが切り込みながら、外のトロイ・ブラウンJr.にパス、キャッチ&シュートの3ポイントが決まり、34-47。ナゲッツはマレーのスリーが決まらず、またもウィザーズが速攻。トロイ・ブラウンJr.からアイザック・ボンガに渡し、レイアップを放ったところでファウルをもらう。フリースローを2本決めて、34-49に。

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ナゲッツは、ベテランのミルサップがそんな悪い流れに影響されず、淡々と中へ押し込みレイアップを決めるが(36-49)、ファウルをもらった後のフリースローを外し、リバウンドをとったボンガに今度は一気に速攻をかけられる。レイアップシュートを決まられ、たまらず止めようとしたミルサップがファウルを取られて、3点プレイに(36-52)。
 
ナゲッツは、ゲリー・ハリスがドライブからのダンクでなんとか反撃、ファウルももらい3点返して39-52に。ウィザーズ、イシュ・スミスの緩急のつけたボールコントロールで揺さぶられるも、やはりミルサップがインサイドへゴリゴリと進むパターンでファウルをもらい、フリースロー2点を追加し、41-52に。
 
第2クォーターも6分を切った。ウィザーズは、ポイントガードにアイザイア・トーマスを戻す。ジョーダン・マクレーに渡し、3ポイントが決まって、41-55に。さらにナゲッツの攻撃を失敗させると、マクレーが起点となって、イアン・マヒーミのスクリーンを使い、オープンになったところでのジャンプシュートが入り、41-57。
 
ヨキッチが戻ってもナゲッツの攻撃は噛み合わないが、それでもマレーがジャンプシュートを決めると(43-57)、そのままディフェンスでもプレッシャーをかける。ウィザーズはマクレー、ボンガ、トロイ・ブラウンJr.と積極的に仕掛けるが、スリーポイントが外れると、リバウンドを取ったゲーリー・ハリスが速攻を仕掛け、インサイドのミルサップに渡し、シュートも入り、45-57に戻したところで、ウィザーズのタイムアウト

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タイムアウト明け、ウィザーズは好調のイシュ・スミスを再び戻した。ここら辺の臨機応変なところはすごいと思う。スミスは攻め込むが、ナゲッツディフェンスに阻まれ、こぼれ玉を拾ったマヒンミのシュートも外れる。すると、ウィザーズもナゲッツのハリスのシュートをブロックして止め、アウトオブバウンズに。仕切り直した攻撃で、ヨキッチがフローターを決めて、47-57に。すると次の攻撃でウィザーズは、アイザイア・トーマスがハンドリングするのだが、パスミスでスティールされる、ボールを奪ったゲーリー・ハリスが速攻のレイアップで、49-57に。ガードの2人が同じコートに立つ中で、その調子の違いが浮き彫りになった格好に。

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ナゲッツのディフェンスが功を奏してきたのか、ウィザーズはタフショットを撃たされ得点が入らない。続くディフェンスでは、ミルサップのトラベリングのターンオーバーで救われたが、攻撃で今度はジョーダン・マクレーがスティールされ、ジャマール・マレーにボールをそのまま持ち込まれ、ダンクで返された(51-57)。

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イシュ・スミスは何とか突破口を開こうとするが、シュートが入らない。しかし、ナゲッツもヨキッチの調子が悪く、点を返すことができない。ウィザーズはアイザイア・トーマスが攻め込み、レイアップを決めるが、マレーとぶつかった際のオフェンスのファウルを取られて無効に。そうすると今度はマレーが、ヨキッチとのコンビネーションでドライブからレイアップを決めて、53-57と4点差まで追い上げた。残り1分半となったところで、ウィザーズがたまらずタイムアウト
 
ここでも流れを引き戻したのは、イシュ・スミスだった。隙を見てドライブで切り込んで、高く上げたティアドロップシュートで53-59。すると、次のナゲッツの攻撃でマレーからヨキッチのパスをマヒンミが止めてスティールすると、ボールをもらったイシュ・スミスがそのまま攻め込んで、相手ディフェンスを交わしてのリバースレイアップシュートで、53-61に。

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ナゲッツは、やはりマレーがスリーポイントを外し続ける。ウィル・バートンがレイアップを沈めて、前半最後の得点を決める。55-61、6点差で前半終了。ウィザーズのターンオーバーが続き、決して好調ではないナゲッツが追い上げる形となる、これで試合は全くわからなくなった。

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2020/01/04 University of Maryland Terrapins vs. Indiana University Hoosiers @ Xfinity Center (NCAA Basketball②)

 インディアナ大学フージャーズとメリーランド大学テラピンズの試合が始まる。
これまで両校はともに11勝2敗、しかし先述したように前評判は圧倒的にメリーランド大学が高かった。しかも今シーズン、この対戦カードはお互いのホームで1試合ずつ戦うことになっており、様子見のようなスタートとなった。メリーランドは1年生のスモールフォワード(SF)、ドンテ・スコット(背番号24)が口火を切り、3ポイントを撃つが外れる。インディアナは4年生のポイントガード(PG)、デボンテ・グリーン(背番号11)がジャンパーを撃つが決まらず、メリーランドのエース、ジェイレン・スミス(背番号25)がリバウンドを取る。今度はメリーランドの4年生PG、アンソニーコーワンJr.(背番号1)が3ポイントを撃つが決まらず。両チーム、選手の構成も戦術もなんとなく似ている。

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最初の得点は、メリーランド大だった。コーナーに位置するドンテ・スコットが、立ちはだかるトレイス・ジャクソン・デイビス背番号4)の頭上を越して、ペイントにいるジェイレン・スミスにパス、スミスはディフェンスの隙をついてジャンパーを決めた。すぐさまインディアナも、デボンテ・グリーンがペイントにいるセンター、3年生のジョーイ・ブランク(背番号50)に渡す。ブランクはじりじりとゴールに詰め寄り、隙を狙ってジャンパーを放ち成功。昔ながらのポストプレイが得意なセンターという感じ、この選手がいるからジャクソン・デイビスが自由に動けるんだなと感じる。
 
約1分の攻防が続き、次の得点はメリーランドだった。トップでハンドオフされたボールをアンソニーコーワンJr.が中央にドライブで切り込み、ゴール下からジャンパーを決めた、インディアナディフェンスは反応できず。続くインディアナの攻撃は、ジョーイ・ブランクが先ほどと同じようにペイントでボールももらい、ゴール下に詰め寄る、今度はジェイレン・スミスがディフェンスに付くと、ジャンパーを撃つが決まらない、しかし、リバウンドをブランクが拾い、ティップショットを入れ4-4の同点。

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またも1分ほど攻防が続く。いい動きだったのは、メリーランドの2年生のシューティングガード(SG)、アーロン・ウィギンス。ジャンプショットにリバウンド、3ポイントと実に多彩、この人もなかなかの逸材で、NBAに行ってもおかしくない存在のようだ。しかし得点を決められず、タイムアウトがとられた。2014年のNBAドラフト1位、現在はゴールデンステートでプレイしているアンドリュー・ウィギンスと血縁関係があるのかなと思ったが、全く関係ないようだ。
 
タイムアウト後、メリーランドはジェイレン・スミスが仕掛けるが、ジャンプシュートは外れる。一方、インディアナは果敢なパス回しから、コーナーでボールを受けた3年生のフォワード、ジャスティン・スミス(背番号3)が、ペイントまでドライブし、ターンアラウンドジャンパーを決めて、6-4とリード。彼は去年もスターターでプレイしていた選手だ。メリーランドは、ジェイレン・スミスがターンオーバーからファウルを取られ、一旦下がる。インディアナは、またもジャスティン・スミスが今度はウィークサイドからターンアラウンドジャンパーを放ち、外れるがリバウンドをジョーイ・ブランクが取り、シュートしようとするが、代わった南スーダン出身のセンター、コール・マリアル(背番号15)がディフェンスファウル、フリースローを得る。しかし、ブランクは1本しか沈められず7-4。
 
ゲームの展開はなかなか進まず、ディフェンスの攻防でファウルとターンオーバーを繰り返す。1分後、ようやくメリーランドが、コーワンJr.から4年生のガード、ダリル・モーセル(背番号11)にボールが渡り、様子を窺い3ポイントを放ち成功、7-7に。すぐさまインディアナは、1年生のガード、アーマン・フランクリン(背番号2)が、中にいた4年生フォワード、デロン・デイビスに渡すと、ペイントまで持って行き、ジャンパーを放ち成功、9-7とまたリード。続いてメリーランドは、コーワンJr.が切り込んでファウルをもらうが、1本しかフリースローを決められず9-8。

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またも1分ほどお互いシュートを決められない状況が続く。トレイス・ジャクソン・デイビスがコートに戻り、ブロックを決めた。さらにインディアナは、トップでボールをもらったジャクソン・デイビスがアーマン・フランクリンに渡し、二人がクロスする形でドライブするかと思いきや、フランクリンがミドルシュートを放ち、これが決まり11-8。さらに次のメリーランドの攻撃では、ゴール下でボールを受けた2年生フォワードのリッキー・リンド(背番号4)のシュートを2度に渡って、ジャクソン・デイビスが阻み、ブロック。すぐに攻守が切り替わると、彼は中央に走り込みボールをもらい、2人のディフェンスをものともせず、ゴール下に入ってレイアップを決めて13-8。大型ルーキーがまさに電光石火の実力を見せつけた形だ。ここでタイムアウト

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カレッジバスケットとNBAの違いは、コートのサイズや3ポイントラインなども微妙に違うのだが、何よりも大きいのは、NBAは12分の4クォーター制であるが、カレッジは前後半の20分制というのが一番大きなところだろう。だからこそ、作戦が重要になり、そこを注意して切り替えて見ないといけない。

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タイムアウト明け、メリーランドはジェイレン・スミスを戻した。前半残り10分を切ったところで、彼はするすると3ポイントライン外まで上がると、マッチアップしていたジャクソン・デイビスのマークを外し、軽やかに3ポイントを撃って決めてみせた、13-11。3ポイントだって難なく決める万能さに驚き。動きはケビン・デュラントを彷彿させるものだった。インディアナは、デボンテ・グリーンが、インサイドのジョーイ・ブランクにボールを入れるが、彼のシュートは外れる、それでもリバウンドを取ったブランクは、外のグリーンにボールを戻し、そのままキャッチ&シュートで放った3ポイントが入り16-11に。すると今度はお返しとばかりに、ジェイレン・スミスがトップでもらったボールをウィングのアーロン・ウィギンスに渡し、コーナーへスイッチしたスミスが再びボールをもらって、そのまま3ポイントシュート。これがまんまと決まり16-14に。このジェイレン・スミスって只者じゃない、相当の選手じゃないのと思ったがこの時だった。
 
双方が3ポイントを撃つオフェンスが続く。メリーランドはジェイレン・スミスにドンテ・スコット、インディアナはデボンテ・グリーン。しかし、お互いに決まらずタイムアウト。残り7分、メリーランドは、トップからコーワンJr.が放った3ポイントが外れるも、そのリバウンドをアーロン・ウィギンスが取り、レイアップを決めて16-16の同点。

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ここからインディアナのペースが狂う。コーワンJr.が、ゴール下に走り込んだダリル・モーセルにアリウープを狙うと、ジャクソン・デイビスはそれを読んで阻止するが、ファウルを取られ、2本フリースローを決められ、16-18とリードを許す。さらに自軍の攻撃では、ペイント外でボールをもらったジャクソン・デイビスが、そのまま切り込みダブルクラッチレイアップを放つが、これが外れ、リバウンドを取ったアーロン・ウィギンスに覆いかぶさった動きが、またファウルを取られ、フリースロー2本をさらに追加されて、16-20に。インディアナは、次の攻撃でもシュートが決まらず、一方メリーランドは、ドライブで切り込んだダリル・モーセルのレイアップが決まって16-22と6点差に、ここでたまらずタイムアウト

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しかしメリーランドは、ジェイレン・スミスの続く1本が決まらず、逆にファウルを取られて、フリースロー2本を返され18-22に。それでも次の攻撃で、コーナーでボールももらったダリル・モーセルが、ドライブしてゴール下まで進みレイアップを決め18-24に。
 
残り4分を切り、ここから膠着状態に。お互いシュートが決まらず、インディアナはファウルでフリースローをもらうが、2本とも外してしまう。残り2分15秒、インディアナの3年生ガード、アル・ダーハム(背番号1)のシュートが何とか入り20-24に。しかし、メリーランドは次の攻撃でアーロン・ウィギンスが3ポイントを沈め突き放す、20-27。
 
その後は双方ディフェンスが踏ん張り、アウトサイドからシュートをするしかないような状況に。前半終了間際、メリーランドは、ゴール下の攻防でジョーイ・ブランクのファウルを引き出したが、フリースローを1本しか決められず、20-28。これで前半終了。大学バスケは概ね入る得点が少ない。NBAなら1クォーターの得点である。両チーム、ディフェンスのうまさが光るも、試合巧者としてメリーランドの方が一枚上手だなと感じた前半だった。

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後半はメリーランドの攻撃で始まる。ダリル・モーセルのドライブからのジャンパーは外れるが、リバウンドをジェイレン・スミスが奪い取り、相手のファウルをもらいフリースロー2本獲得、20-30と10点差に。インディアナは、すぐさまデボンテ・グリーンがジャンプショットで2点返し22-30。何だろうね、どうせならもうちょっと下がって3ポイントを撃てばいいのに、かなり遠いミドルシュート彼はこの距離が得意なのだろうか。そして、またもジェイレン・スミスの見せ場がやって来る。スクリーンをすっと外して、ゴール下に入り込みボールをもらい、ジャンプシュートしようとしてファウルをもらう。だが、フリースローは1本しか決まらず22-31。次にインディアナの攻撃がターンオーバーで終わると、ジェイレン・スミスは相手センターのブランクを引き付けてペイント外へ出て、インサイドを空けた。するとそこにアーロン・ウィギンスが切り込んでダンクを決める。これで22-33と11点差になり、インディアナタイムアウト

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明けてインディアナは奮起。デボンテ・グリーンがドライブからのレイアップを外すも、トレイス・ジャクソン・デイビスがリバウンドを拾ってティップイン、さらにファウルももらって3点プレイとなり25-33。次の攻撃では、ゴール下でボールをもらったジャクソン・デイビスが、外にキックアウト。ボールをもらったジャスティン・スミスがドライブしてジャンパー、これが決まり27-33。すると、メリーランドも同じようなプレイでペイントにいたアーロン・ウィギンスが外のフリーになっていたドンテ・スコットにパス、彼の3ポイントが決まり、27-36と9点差に突き放す。それからは、約1分双方スリーポイントの打ち合いとなるが決まらず。インディアナのアーマン・フランクリンのエアボールとなった3ポイントを、引き続きインディアナのブランクが押さえ、アウトサイドのジャスティン・スミスにパス、彼がフローターを決め、29-36の5点差になったところでタイムアウト
 
なおもインディアナの3ポイント攻勢は続く。またもアーマン・フランクリンの3ポイントのミスショットのリバウンドを、ジョーイ・ブランクが取り、体勢を整えてのフックシュートで、31-36まで詰めた。メリーランドも3ポイントを撃つが、外して取られたリバウンドから速攻を仕掛けられる。デボンテ・グリーンがアリウープ気味に中に入れたパスを、ジョーイ・ブランクがレイアップで入れて、33-36と3点差にまで戻した。
 
メリーランドは、そこから反撃を仕掛ける。ドンテ・スコットがドライブからフェイクを入れたジャンパーを決めて、33-38に。ジェイレン・スミスはダブルチームで止められるが、ボールを渡したPGのアンソニーコーワンJr.が躍動。中に切り込んだフローターで33-40。さらにインディアナのアーマン・フランクリンのドリブルのこぼれ玉をスティール、そのまま速攻をかけ、3年生ガードのエリック・アラヤ(背番号5)のレイアップシュートをアシストして33-42。次の攻撃でもミドルのジャンパーを撃つ時にファウルをもらい、2本のフリースローを獲得、33-44と再び11点差に広げた。
 
インディアナは、メリーランドの堅いディフェンスにシュートを決められず、フリースローを稼いで3点を返すも、36-44。すぐにエリック・アラヤにジャンパーを返され、36-46と戻される。インディアナの2年生ガード、ロブ・ファイニーズ(背番号10)がジャンパーを返して38-46とするが、点差はなかなか縮まらない。すると、残り10分を切ったところで、メリーランドはコーワンJr.が狙いすましたステップバックスリーを放ち、またも38-49と11点差に。

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相手ファウルの際に、ジェイレン・スミスがコートに戻ると、やはり彼は確実にリバウンドを取る。ジャクソン・デイビスともう1人、2枚のディフェンスがいても、セカンドチャンスのシュートを決めて、さらにファウルまでもらう。フリースローは決まらなかったものの、38-51の13点差に。さらに、インディアナオフェンスの連携ミスからスティールしたボールを、コーワンJr.が速攻をかけ、ドンテ・スコットに渡しダンクシュートをお膳立て。これで38-53の15点差となり、インディアナはたまらずタイムアウト

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インディアナのオフェンスは、それからもうまく機能しない。ジャクソン・デイビスのフックシュートは外れ、ジェイレン・スミスにリバウンドを取られる。この時、同じリバウンドに絡んでいたドンテ・スコットにファウルがあったということでフリースローをもらうが、ジョーイ・ブランクはなんと2本とも外してしまう。さらにアル・ダーハムはタフショットを撃たされてしまい、リバウンドをジョーイ・ブランクがはじくが、ボールはメリーランドのエリック・アラヤに押さえられ、速攻をかけられる。ディフェンスが戻り、ジャンプシュートは外させたが、そこでゴールに飛んでいたのがジェイレン・スミス、見事リバウンドをプットバックして、38-55の17点差に。ジェイレン・スミスは、ゴール下の攻防でも、ジャクソン・デイビスのシュートを完璧にブロック。完全に無双状態に。 今思えば、この試合は、ここでもう決まっていただろう。 残り7分24秒となり、今度はアーロン・ウィギンスが中へ切り込んでレイアップを決める、ジャクソン・デイビスは腕を伸ばすが届かず、38-57の19点差にまで広がる。
 
インディアナフリースローを1本しか返せず39-57、さらにゴール下に入ろうとしたジェイレン・スミスにファウルを侵し、フリースローを2本与えて、39-59とついに20点差に。残り6分、ジェイレン・スミスのマークが外れた時に、ジャクソン・デイビスがボールをもらい、ドライブダンクシュートをお返し、41-59とするが、その後が続かない。またもディフェンスで、ドライブからシュートするアーロン・ウィギンスにファウルを与えてしまい、2本のフリースローを献上、41-61の20点差に戻されると、さらにコーワンJr.クラッチレイアップシュートにも、ジャクソン・デイビスがファウルを取られ3点プレイに、41-64の23点差。ここでジャクソン・デイビスはベンチに下がった。インディアナは次の攻撃でも、アーマン・フランクリンが不用意なパスをスティールされ、速攻を仕掛けられる。スティールしたダリル・モーセルは最後、走り込んだ自分にボールを戻してもらい、レイアップシュート、さらにファウルをもらって3点追加、41-67に。残り4分28秒には、ゴール下でボールをもらったジェイレン・スミスが、ダメ押しとも言えるターンアラウンドのダンクショットを決めて41-69に。そして、エリック・アラヤがフリースローを2本追加、この日最大の41-71の30点差に広がった。 

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試合の大勢は決まってしまったが、インディアナは少しでも点差を詰めるしかない。ここで気を吐いたのは4年生のポイントガード、デボンテ・グリーン。3ポイント2本に、2点シュート2本、フリースロー3本と、13得点を挙げる。他の選手があげたのは5点のみだったので、驚きである。メリーランドは、1フィールドゴールと2フリースローを追加しただけで、最終スコアは59-75、メリーランド・テラピンズが自力を見せつけたゲームだった。

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特筆すべきボックススコアだが、メリーランドは、ジェイレン・スミスが19点、8リバウンド。アーロン・ウィギンスが13得点、8リバウンド。アンソニーコーワンJr.が13得点、6リバウンド、6アシスト。ダリル・モーセルが12得点、ドンテ・スコットが9得点と、先発4人が二桁得点を記録。インディアナは、デボンテ・グリーンが18得点、ジョーイ・ブランクが9得点、10リバウンド。トレイス・ジャクソン・デイビスが7得点、5リバウンド、3ブロック。ジャスティン・スミスが7得点、5リバウンドといったところか。

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チーム別成績で言うと、フィールドゴール成功率は、メリーランドは38.7%、インディアナは36.1%とそれほど変わらず、決して高くない。明らかに違うのはフリースローの成功率で、メリーランドは21/25で84.0%に対して、インディアナは11/18で61.1%という低さ。ターンオーバー数は、メリーランドは7本に対し、インディアナは14本で、ターンオーバーから失った得点は25点にもなるので、ディフェンスの差が勝利を分けたゲームであった。

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それにしても驚くべきは、数字以上の圧倒的インパクトのあったジェイレン・スミスである。まさに隙のないオールラウンダーな活躍ぶり。一方、トレイス・ジャクソン・デイビスは大器の片鱗は充分に感じられるも、その実力差には歴然とも言えるものを感じた。1年大学に入ったのが違うだけであるが。実際、2人は同じ年齢だが、ジャクソン・デイビスはまだ幼さを感じるほどの、風貌の違いがある。まだ彼は1年生だから、これからの伸びしろには期待できると信じたい。

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先述したように、この対戦カードは、1月26日に今度はインディアナのホームで再戦が行われた。結果は77-76で、インディアナはやはりメリーランドに勝てず、惜敗。トレイス・ジャクソン・デイビスは、13得点、8リバウンドと、前回よりも奮闘したが、ジェイレン・スミスが29得点、11リバウンド、2ブロックを記録し、彼を全く止めることができなかったのが、敗戦の要因だった。
 
メリーランド大テラピンズは、今シーズン、強豪ひしめくビッグ・テン・カンファレンスでまさに台風の目となった。全スケジュールを消化して、ウィスコンシン大が21勝10敗、 ミシガン大が22勝9敗、 メリーランド大が24勝7敗と続く大混戦に。3校すべてカンファレンス内の対戦結果は14勝6敗で並び、直接対決の結果でこのような順位となった。全米ランキングでいうと、ミシガン州立大が9位、メリーランド12位、ウィスコンシン大17位と評価もかなり分かれる。カンファレンスチャンピオンシップをどこが制するのか、NCAAトーナメントではどこが勝ち上がるのか、これほど楽しみな年はなかったのであるが、カンファレンスチャンピオンを決めるトーナメントが始まったところで、新型コロナウイルスの影響により、全試合が中止。その後のNCAAトーナメントまでが一切行われないという悲しい年になってしまった。
 
ちなみにインディアナ大は20勝12敗でシーズンを終了(カンファレンス内の勝敗は9勝11敗)。ビッグ・テン・カンファレンスのトーナメントが始まったところで(1回戦ではネブラスカ大に勝利)、全試合が中止となり、3シーズンぶりにNCAAトーナメントに出場できるかどうかは幻となってしまったのであるが、正直かなり微妙だったようには思う。
 
メリーランド大のジェイレン・スミスは、2020年のドラフトにアーリーエントリーを表明した。実力からすれば当然のことで、1巡目の予想がされているが、できればNCAAトーナメントでの活躍も評価されての結果の方が望ましかったかったように思えて仕方ない。まだまだ全国的にはそこまで注目されている選手ではないので、その試合での姿を見られれば、確実に評価は上がっただろうと思うからだ。そして、おまけにゴーグル姿でフラットトップの個性的な風貌である。例年ならば、NCAAトーナメントで予想外の活躍をしたシンデレラチームの選手が高く評価され、意外な順位に変わったりするのだが、今年は前評判だけの評価のドラフトになるようで、本当にすごい才能の選手が埋もれてしまう可能性もあり、つまらなくなってしまうかもしれない。アーロン・ウィギンスは、今シーズンのアーリーエントリーを回避したようだが、それでも4年生のアンソニーコーワンJr.だって、ドラフト2巡目とかにかかる可能性だってある。名門大学で3年、4年活躍したポイントガードは、戦力としてある程度の期待はできるので、チームはバックアップとして確保しておきたいものなのだ。ミシガン州立大のPG、カシウス・ウィンストンも4年間大学でプレイした選手である(彼は指名が確実視されているが)。ドラフト外ででも入団して、ロスターに入る可能性も大きい。インディアナ大のデボンテ・グリーンだって、そうなってる可能性は大いにあるだろう。

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トレイス・ジャクソン・デイビスはすぐにドラフトにアーリーエントリーしないとは表明しているらしく、3年や4年大学でプレイする可能性がある。あまり活躍しすぎてスーパースターになってしまうと、ドラフト上位になり弱いチームに入ることになってしまうので、個人的な希望としては、彼がインディアナペイサーズでプレイするのをぜひ見てみたいと思っているのである。その時は、父親と同じ32番を付けてもらって。

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この日、試合が終わって、アリーナ周りをまわって、モニュメントなどを探索してみる。メリーランド大学のスポーツの殿堂の選手たちの写真などが壁に飾られており、通路の途中には、2002年にNCAAチャンピオンに輝いた時の優勝カップが飾ってあった。この時の映像が残っているなら、ぜひ見てみようと思う。ショップをのぞいて帰る。実は今回の旅では、もう一度ここに来ることにはなっているので、商品を買うのは次回でもいいやと見学するだけにする。この日は土曜日で、学内は静まりかえっていたので、特に探検することもなく帰ることに。ワシントンDCに戻り、夜には再びワシントン・ウィザーズの試合に出かける予定もあったからだ。

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